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もし、地震で我が家が壊れてしまったら…。その時、地震保険はどれほど頼りになるのだろうか?
意外と知らない?地震保険の最新事情。加入率1位は宮城県、最も低いのは…
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160507-00064953-playboyz-soci
週プレNEWS 5月7日(土)6時0分配信
熊本地震が発生して、改めて注目されている地震保険。実際に地震被害を受けた場合、どれくらいの保険金が、どのような方法で支払われるのか?など、意外と知られていないことも少なくない。
知識が乏しいままだと、もらえるはずのお金が受け取れなくなる…なんてことも起こりうるのだ。そこで、損害保険に詳しい、さくら事務所に所属するマネーコンサルタント・浅井理恵さんに地震保険のイロハを伺った。
−地震保険って加入率が低いですよね。
浅井 東日本大震災を契機に上昇傾向にあるものの、全国平均は28.8%とまだまだ低い水準にあるのが現状です。ちなみに、都道府県別に加入率を見ると、最も高いのが宮城県(50.8%)で、最も低いのが長崎県(13.6%)。首都直下型地震の発生リスクがある東京都は35.6%と平均より高く、4月に被災した熊本県は28.5%と平均よりやや低めでした。
−日本は大地震が起きやすいのに、保険加入者は3.5人にひとりの割合。加入率が低調なのはなぜ?
浅井 地震保険の保険金額は、すでに加入している火災保険の保険金額の50%までと決まっています(※ただし建物は5千万円、家財は1千万円が上限)。建物2千万円の火災保険に加入していた場合、地震で家が全壊してももらえる保険金は1千万円ということで、この額をどう判断するかということですが…。「これじゃあ、家を建て替えることもできない。それなら地震保険料は抑えてしまおう」と考える人が少なくありません。
−なるほど。地震保険って、もらえる保険金が少ないんですね…。
浅井 地震保険の保険金額は、契約先の損保会社で建物や家財の損害状況を確認し、損害の程度に応じて『全損』『半損』『一部損』の3区分に該当する保険金が支払われます。
例えば、建物1千万円、家財500万円の地震保険に加入していた場合、建物なら『全損』で契約金額の100%(1千万円)、『半損』で半額(500万円)、『一部損』で5%(50万円)。同じく家財も『全損』で全額(500万円)、『半損』で半額(250万円)、『一部損』で5%(25万円)の保険金が支払われます。
−その条件(建物1千万円、家財500万円 ※東京都在住、木造住宅)で地震保険の年間保険料を損保会社のHPで試算してみたら総額48,900円と出ました。確かに、保険料節約のために地震保険に加入しないという選択もアリな気が…。
浅井 それも間違いではありませんが、だからといって地震保険が不要であるとも言い切れません。ここは誤った認識を持っている人も少なくないのですが、地震保険の保険金=家の建替え費用・家財の買い替え費用ではないんですね。そもそも、地震保険は地震などによる被災者の生活の安定に寄与するために国が作ったもの。防災グッズが避難時の備えなら、地震保険は被災後の当面の生活を支える経済的な備えになります。
また、耐震性が高い住宅だったため倒壊は免れたが、もらい火で全焼してしまったという場合も地震保険から補償されます。火災保険は地震を原因とする火災を補償の対象としていませんので保険金は1円も出ません。
−では、保険会社の選択や補償の組み立てなど、地震保険はどのようにして選んでいけばいいのでしょうか?
浅井 地震保険は民間の損保会社が負う一定額以上の巨額な地震損害を政府が再保険することで成り立っており、保険料も補償の範囲も全社一律なので、どの保険会社で加入しても一緒です。ただ、火災保険に付帯する方式での契約が前提となるため、単独での加入はできません。セットでの契約が必須となります。
−でも、地震って被害が広範囲に及ぶじゃないですか。当然、保険金の支払いも莫大な額になるわけですよね。すると、損保会社や政府がプールしている保険金が底をついて、もらえるはずのお金がもらえなくなる…なんてことも起こりうるのでは?
浅井 その心配はないでしょう。今年4月現在、1回の地震などによる地震保険の支払い限度額は11.3兆円。関東大震災クラスの大地震が発生しても保険金の支払いに支障がないよう設定されており、東日本大震災の時も支払いが滞ることはありませんでした。
−では、実際に地震が起きて家が壊れた際、まず、やるべきことは?
浅井 身の安全を確保できたら、できるだけ早く契約先の損保会社か代理店に連絡してください。電話をすると被害状況を聞いてくれて、必要書類が指定の場所に送られてきます。その書類を整えて提出すると、後日、鑑定人が調査に訪れ、損害の程度(一部損、半損、全損)を査定。その後、早ければ1週間程度、遅くとも1ヵ月以内には保険金が一括で支払われる流れになります。しかし災害の規模によってはこの限りではありません。
契約者が亡くなり、残された家族がどこの会社の地震保険に加入しているかわからないというケースもあるでしょう。その場合、日本損害保険協会に問い合わせれば契約先の保険会社を教えてくれ、仮に本人確認書類がすべてなくなっていたとしても、氏名、住所、物件の所在地などで本人確認をとって対応してくれます。
−逆に、保険金を受け取るためにやってはいけないことは?
浅井 被災後、家財の損害状況を把握する前に家の中を片付けてしまうこと。後にやって来る鑑定人に家の中を片づけた状態で査定されると、損害の程度が低く評価され、思ったよりも保険金が下りない!なんてことにもなりかねません。そうならないよう、できれば片付ける前に被災した状況を写真に撮っておきましょう。デジカメやスマホで構いません。心情的には辛いかもしれませんが、その写真は後の保険金請求の際に役立ちます。
−査定はどのようにして行なわれるのですか?
浅井 まず、地震保険の対象は居住用の建物と家財です。建物の場合、鑑定人が主要構造部といわれる柱、外壁、基礎、屋根などの損害状況を目視でチェック。主要構造部の損害額がその建物の時価の50%以上なら『全損』、20%以上50%未満なら『半損』、3%以上20%未満なら『一部損』と認定されます。
家財の場合、「食器陶器類」(代表品目:食器、調理器具、食料品など)、「電気器具類」(電子レンジ、ステレオ、パソコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機など)、「家具類」(食器戸棚、タンス、机・いすなど)、「身の回り品」(カメラ、メガネ、書籍、CD、靴、かばんなど)、「衣類寝具類」の5分類に分けられ、各代表品目が何割損傷したかで評価が決まります。
−例えば、被災前に購入した30万円の薄型テレビが地震で壊れたら、保険金として30万円がもらえるということ?
浅井 いえ、そうではありません。家財の査定に時価は関係ないのです。地震保険の家財の査定では、上の5分類の中で、それぞれの品目がいくつ壊れたかをカウントしていきます。
例えば、『電気器具類』の中でテレビが壊れたら2.5%、加えてパソコンが壊れたらプラス2.5%…といった形で査定され、その合計が10%以上30%未満なら『一部損』として契約金額の5%、30%以上80%未満なら『半損』として契約金額の50%の保険金が支払われます。
つまり、10万円のテレビでも100万円のテレビでも数え方は同じ。また、食器類は1%の割り当てなのでお皿が1枚割れても10枚割れても損害の査定は変わりません。家財の査定では、分類の異なる複数の品目に少しでも損害が生じていると損害割合が高くなる傾向があります。
★この続き、後編は明日配信予定。意外と知らない鑑定人の仕事、実情とは?
■PROFILE 浅井理恵(あさい・りえ)
さくら事務所所属。マネーコンサルタント、ファイナンシャルプランナーとして、「住宅資金」「教育資金」「老後資金」「将来の夢資金」の構築をアドバイス。生命保険・損害保険を活用し、お金に関する悩みを解決するプロフェッショナル。主な所持資格は、AFP、住宅ローンアドバイザー、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
(取材・文/週プレNEWS編集部)
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