世界の食料価格指数、4月は3カ月連続で上昇−昨年12月以来の高水準 Whitney McFerron 2016年5月6日 12:22 JST最近の上昇はこれまでの傾向が変化していることを示唆 最近の天候不順でパーム油と大豆が値上がり 世界の食料価格は4月も上昇した。マレーシアやアルゼンチンなどで天候に対する懸念が広がり、植物油が値上がりしたことが要因。 国連の世界の食料価格指数は4月に約0.7%上昇し151.8。3カ月連続で上昇し、昨年12月以来の高水準に達した。同指数は世界中の73の食料価格をモニターしている。世界的な豊作で食料価格指数は過去2年間の大半の期間、低下していたが、最近の上昇はこの傾向が変化していることを示している。 エルニーニョ現象の影響による乾燥天候で、パーム油の主産地であるインドネシアとマレーシアの生産見通しが打撃を受け、パーム油価格はここ数カ月、値上がりしている。アルゼンチンで収穫が始まったばかりの大豆も豪雨と洪水による被害を受け、価格が最近上昇している。国連食糧農業機関(FAO)によれば、世界の植物油価格は4月に4.1%上昇し2014年以来の高値となった。 原題:Vegetable-Oil Rally Boosts Global Food Prices to Four-Month High(抜粋) https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-06/O6QGQ36JTSEM01 テスラが変える金属市場、リチウム価格が急騰 「年産50万台を達成するには全世界で生産されるリチウムイオンを使い果たす」 テスラなど電気自動車メーカーによってリチウムが大量に消費されている。写真はチリ北部アタカマ塩原にあるSQMのリチウム鉱床 ENLARGE テスラなど電気自動車メーカーによってリチウムが大量に消費されている。写真はチリ北部アタカマ塩原にあるSQMのリチウム鉱床 PHOTO: IVAN ALVARADO/REUTERS By STEPHANIE YANG AND BIMAN MUKHERJI 2016 年 5 月 6 日 15:15 JST バッテリー駆動のクルマで自動車業界に変革をもたらしている米テスラ・モーターズが、今度は金属市場を変貌させようとしている。 テスラをはじめとする電気自動車(EV)メーカーによって今、リチウムが大量に消費されている。リチウムは軽金属の一種で、EVの原動力となるリチウムイオンバッテリーに使用されていることから「白い石油」とも呼ばれている。 調査会社ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスの入手可能な直近データによると、1-3月期(第1四半期)の炭酸リチウムの価格は2015年の平均価格と比較して47%も上昇している。しかも、昨年は他の大半の金属やコモディティーは依然低迷が続いていたにもかかわらず、リチウムの価格は28%上昇していた。 2015年のリチウムバッテリー市場の地域別推定シェア ENLARGE 2015年のリチウムバッテリー市場の地域別推定シェア 軟金属需要は衰える兆しを見せていない。ゴールドマン・サックス・グループのリポートによると、スマートフォンとEV向けを中心にリチウム需要は2025年までに現在の3倍、57万トンに拡大する見通しだ。 リチウムを消費しているのはテスラだけではないが、その旺盛な需要は大きな注目を集めている。 同社は5日、新型車「モデル3」がけん引力となり、世界の販売台数が2018年までに50万台、生産台数が2020年までに100万台に達するとの見通しを示した。モデル3は標準価格が3万5000ドル(約380万円)と、セダン「モデルS」の約半値だ。同社によると、モデル3の予約注文台数は既に40万台近くに上る。 それらの生産には大量のリチウムが必要になる。 同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は3月31日のモデル3の発表会で「年産50万台を達成するには、基本的に全世界で生産されるリチウムイオンを使い果たす必要があるだろう」と述べた。 同社はネバダ州スパークスに世界最大規模のリチウムイオンバッテリー工場も建設した。ゴールドマン・サックスによると、モデルSのバッテリーにはスマホ1万台以上のリチウムが使用されている。 テスラのイーロン・マスクCEO ENLARGE テスラのイーロン・マスクCEO PHOTO: PATRICK FALLON/REUTERS 金属元素のうち最も軽いリチウムは地球上に豊富に埋蔵されているものの、採掘は簡単ではない。大半は技術的にも輸送面でも難題の多い場所に埋蔵されているためだ。世界の主なリチウム生産地はチリ、アルゼンチン、オーストラリアの6カ所に広がっている。 金や銅などの他の多くのコモディティーと異なり、リチウムはスポット市場がなく、取引所で売買されていない。価格は買い手と売り手の間で契約を通じて個別に交渉されている。 需要の多くは中国からのもので、電気バスなどの自動車に使用されるリチウムバッテリー向けだ。しかも中国の蔚来汽車(ネクストEV)が来年には初のEVを発表する計画を明らかにしており、リチウム消費が一段と増える可能性がある。 一部アナリストが言うところの「テスラ効果」に見舞われているのはリチウムだけではない。アルミニウム需要も自動車の軽量化で増える可能性がある。テスラの全アルミボディーのモデルSをはじめ、車体を軽くするために鋼鉄の代わりにアルミニウムが用いられるためだ。 電気の伝導体として使用される銅の需要も増す可能性がある。銅生産を手掛けるマントス・カッパーによると、EV1台あたりに使用される銅の量は60キロとディーゼル車の4倍に上る。 カナダ・トロントを本拠とするTDセキュリティーズのコモディティー戦略部門トップ、バート・メレク氏は「状況は変化している」と指摘。「これら自動車がマス市場にとって手頃になりつつある方向へと向かっている。この要因は今後拡大する一方だと想定できる段階にテクノロジーはさしかかっている」と述べた。 一方で、白金とパラジウムの需要は減退するとアナリストはみている。これら金属は主にディーゼル車の排ガス浄化装置に使用されており、バッテリーで駆動する電気自動車には無用だ。 白金を触媒として水素と酸素を融合させて発電する燃料電池自動車が白金の需要を押し上げる可能性はある。しかし、これら自動車に対する関心はテスラのEVほどまだ高まっていない。 中国・天津にある中国比克電池(チャイナBAKバッテリー)のリチウムイオンバッテリー工場 ENLARGE 中国・天津にある中国比克電池(チャイナBAKバッテリー)のリチウムイオンバッテリー工場 PHOTO: KEITH BEDFORD/BLOOMBERG NEWS 自動車調査会社エドムンズ・ドット・コムによると、米国で販売されている自動車に占めるEVやハイブリッド車(HV)の割合は2%未満にすぎず、主流になるまでにはまだ時間がかかる。しかし、バンクオブアメリカ・メリルリンチの金属ストラテジスト、マイケル・ウィドマー氏は、バッテリー駆動車の普及は白金とパラジウムに深刻な打撃を与える可能性があるとみており、「その点に関して業界ができることはほとんどない」と指摘する。 EV市場の需要が旺盛とはいえ、リチウムもいずれ供給過剰に陥る可能性を警告する向きもある。コモディティー市場は急増する需要に追いつこうと生産を急ぐ余り、しばしばそうした問題に悩まされている。 一部業界幹部は、リチウム需要は3〜5年は好調に推移する可能性があるとみている。ただし、生産能力の拡大で、それ以降は供給過剰に陥る可能性がある。 豪資源会社サウス32のグラハム・カーCEOは、進化の激しいバッテリー技術を根拠にリチウム市場に投資することには慎重だ。カー氏は「リチウムは今が旬の可能性があるニッチな種類のコモディティーの1つだ」としながらも、「しかし、テクノロジーが別方向に移行した場合、用途はあまりない」と話す。 一部の世界的な鉱業大手はリチウム価格の急騰を注視しつつも、参入に足るほど市場に深さがあるかどうかを見極めかねている。カナダ・バンクーバーに拠点を置く資源会社ピュア・エナジー・ミネラルズによると、リチウム需要は年間約17万5000トンだ。 鉱業世界最大手の英豪系BHPビリトンのアンドリュー・マッケンジーCEOは「今後も注視していく。しかし、かなり楽観的に見積もっても市場は比較的小さい」と述べ、参入の可能性は低いとの見方を示した。 関連記事 イーロン・マスク氏、帝国の資金回転術 テスラ、1-3月期の世界販売台数は50%増も会社予想下回る 米テスラの新型EV、予約殺到で生産の限界に直面 テスラの「モデル3」、24時間で18万台超受注 https://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AJ292A_LITHI_16U_20160503042407.jpg 成績首位ETFの運用者:商品サイクルが新興市場を18年まで押し上げ Srinivasan Sivabalan 2016年5月6日 11:03 JST 新たな活況・不況のサイクルは1月にスタートした:インベスコ インベスコ運用のETFの1年間のリターン、米国で首位 商品の新たな強気相場定着に伴い、始まったばかりの新興国の株式と債券価格の上昇が2018年まで継続する可能性があるとの見方を、米イリノイ州を拠点とする資産運用会社インベスコ・パワーシェアーズ・キャピタル・マネジメントが示した。同社の上場投資信託(ETF)は新興国に重点を置くETFの中で最高のパフォーマンスを示している。 インベスコが1973年以降のデータを調査した結果、商品相場は通常、7年ごとに活況・不況サイクルを繰り返し、最初の2年に価格が最も上昇することが分かった。直近のサイクルは1月に始まった可能性があり、原油や貴金属、金属、農産物などの原材料に依存する新興国が最も恩恵を受ける見通しだという。 インベスコの商品・代替投資調査・戦略ディレクター、ジェーソン・ブルーム氏は「今後、潜在的な周期的リターンが大きく見込める」と述べた。同氏が運用するソブリン債ファンドの過去1年間のボラティリティ(変動性)調整後リターンは、米国の運用資産10億ドル(約1100億円)以上のETFの中で最高だった。 ブルームバーグの商品指数が1月に付けた過去最低水準から14%上昇する中、新興国の株式市場は3月に強気相場入りし、債券は世界的に見ても安定したリターンを上げている。インベスコの算定によれば、過去4回のそれぞれの商品サイクルの最初の2年間のMSCI新興市場指数の平均累積リターンは63%だった。 原題:Top ETF Says Commodity Cycle to Buoy Emerging Markets Until 2018(抜粋) https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-06/O6QE096S972C01 中国:4月の粗鋼生産は過去最高か、価格上昇で−チャート James Poole 2016年5月6日 14:46 JST 世界の粗鋼の半分を生産する中国の4月の粗鋼生産量は過去最大に増加した可能性が高いと、サンフォード・C・バーンスタインはみている。鉄鋼各社が増産を進めるとともに、国内の価格が1年7カ月ぶりの高値に上昇しているためと説明している。同社のシニアアナリスト、ポール・ゲート氏(ロンドン在勤)は、1日当たりの平均生産量がこれまでの最高水準だった2014年6月の約231万トンを上回った可能性があると指摘。需要が回復し価格が昨年11月の安値から最大69%上昇したことから、マージンは09年以来の高水準となり、各社は供給を増やした。 原題:China Seen Churning Out Most Steel Ever After Price Surge: Chart(抜粋) https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-06/O6QLRR6S972C01
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