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IHI本社ビル(「Wikipedia」より/椰子之樹)
ブラジルでIHI、三菱重、川崎重が壊滅…こぞって進出&巨額投資、こぞって巨額損失&撤退
http://biz-journal.jp/2016/05/post_14966.html
2016.05.05 文=編集部 Business Journal
BRICsとは、ブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)、南アフリカ(s)の5カ国を指す言葉だ。2001年に投資銀行のゴールドマン・サックスが、2000年代以降に著しい経済発展を遂げる国々として命名。ブラジルはGDP(国民総生産)が36年にドイツを抜き、50年には世界5位の高い水準に達すると予測した。
BRICsは一時、流行語になり草木はなびいた。国内市場の成長が望めない日本の企業はBRICsの果実を期待してブラジルに進出していった。
日本企業がブラジルに殺到したのは今回が初めてではない。1970年代、住友、富士、第一勧業、三井、三和といった当時の都市銀行や地方銀行までがサンパウロに支店を構えた。ブラジルに進出した日本企業を資金面でサポートするためだ。日本企業のブラジル進出はラッシュと呼べるほどすさまじかった。
だが、ブラジルは80年代に通貨の暴落からデフォルト(債務不履行)に追い込まれた。90年代にはインフレ率が1000%を超える異常なハイパーインフレに突入。ブラジル経済は大混乱に陥った。横並びでブラジルに進出した日本企業は、一斉にブラジルから撤退した。
そんな事実はなかったかのごとく、BRICsとして大ブレイクが期待できるブラジルに再び2000年代後半から日本企業は横並びで進出していった。だが、BRICsのほかの国と同様、ブラジルも資源価格高騰が引き起こした一時的なブームにすぎなかった。
資源価格の下落に内需の不振が重なり、ブラジルの15年のGDP成長率は6年ぶりにマイナスに沈んだ。BRICs賛歌は、うたかたのように消え去ってしまった。ブラジル経済は「悪夢の1980年代に逆戻りする」という指摘まで出始めた。
歴史は繰り返す。横並びでブラジルに進出していった日本企業が一斉にブラジルからの撤退を始めた。
■IHI、三菱重工は撤退、川崎重工は損失を計上
IHI、日揮、ジャパン マリンユナイテッドの3社は、共同で出資するブラジル最大級の造船所から撤退する。3社は、現地に設立した特定目的会社を通じてブラジル最大級の造船所、アトランチコスルに対し、14年までに3社で計140億円程度を投じた。しかし、保有する33%の株式すべてを現地の建設会社2社へ4月中旬に譲渡し、ブラジルの造船事業から撤退する。IHIは15年3月期で特別損失290億円を計上している。
三菱重工、名村造船所、今治造船、大島造船所の造船4社と三菱商事は13年10月、特別目的会社を通じて、ブラジルの大手造船所エコビックス・エンジェビックスの株式3割を300億円で取得した。そのうち半分程度は三菱重工が負担したといわれている。5社は1月、資本を引き上げた。三菱重工は15年3月期に持分法による投資損失141億円を営業外費用として計上したが、ブラジル関連の損失は100億円程度とみられている。
川崎重工業は15年4〜12月期にブラジルの造船事業に関連した損失を計上した。川重が受注し、坂出工場でつくる船体などの評価損を特別損失として192億円、3割を出資する現地造船会社エンセアーダへの出資金や貸付金の評価損を営業損失として28億円、合計で221億円を特別損失として処理した。
造船業界では中国・韓国勢が台頭するなか、ブラジル沖で開発が進む大型油田やガス田向けの資源掘削船の需要が見込めるブラジルの造船所に対し、日本勢は一斉に出資に踏み切った。
しかし、最終顧客であるブラジルの国営石油会社ペトロブラスは、汚職問題による混乱が長引き造船会社への支払いができなくなった。さらに原油価格の低迷で開発プロジェクトが停滞した。当てが外れた造船各社は見切りをつけ、ブラジルから撤退することになったわけだ。
90年代に日本企業は肩を並べてブラジルに進出したが、儲からないとなると津波が引くように撤退した。今回も造船各社は横並びで進出し、一斉に撤退する。「みんなで渡れば怖くない」という行動パターンはちっとも変わっていない。これでは、日本企業に対する不信感をブラジル人に植え付けるだけだろう。
■新日鐵住金、キリンHDは大苦戦
そのほかの日本企業もブラジルで大苦戦している。新日鐵住金は3月、持分法適用会社で経営難に陥っているブラジル鉄鋼大手、ウジミナスが実施する300億円の追加増資を引き受けた。
ウジミナスはブラジル経済の低迷に加え、中国の鉄鋼メーカーによる輸出攻勢で打撃を受け、経営が悪化。15年12月期の連結決算で1200億円の純損失を計上した。ウジミナスを共同運営するアルゼンチン鉄鋼大手のテルニウムと新日鐵住金の主導権争いは、鉄鋼業界ではよく知られている。
12年から新日鐵住金とテルニウムがウジミナスを共同経営する体制になった。14年9月、テルニウム出身の社長の解任に新日鐵住金が賛成。テルニウムが反発し主導権争いが激化し、どちらが降りるかといったチキンレースの様相を呈した。
新日鐵住金にとって高炉一貫製鉄所であるウジミナスは、トヨタ自動車などに鋼板を供給する有力な海外拠点であり、どうしてもテルニウムに負けるわけにはいかないのだ。
キリンホールディングス(HD)は15年12月期の最終損益が473億円の赤字となった。1949年の上場以来初の赤字だ。不振が続くブラジル子会社ののれん代など、1140億円の特別損失を計上したことによる。
キリンHDは2011年に3000億円を投じてブラジル大手、スキンカリオール(現ブラジルキリン)を買収した。ブラジルはビール販売量で中国、米国に次ぐ世界第3位の大市場で、年率5〜6%の成長が続いていた。キリンHDは、ドル箱になるとソロバンを弾いてM&Aに踏み切った。
ところが、買収直後からブラジル経済は失速。まったく当てが外れた格好になった。株式市場では、「キリンHDはブラジルキリンを売却してブラジルから撤退する」と観測する向きが多い。BRICsの成長幻想に飛びついてブラジルに進出した日本企業は、今や満身創痍なのである。
(文=編集部)
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