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0歳から6歳までの環境が、将来の年収を大きく左右する
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160503-00001707-cakes-life
cakes 5月3日(火)18時0分配信
地域に開かれた新しい保育を実践する「まちの保育園」を経営する松本理寿輝さん。じつは、一橋大学商学部を卒業後、博報堂に入社。その後ベンチャーの副社長になるという、一見、保育業界からは遠いキャリアを歩んできました。大学時代は、意外にも雑誌編集に夢中になっていたとか。しかしこれらはすべて、いまの保育園経営につながっているのです。大学の先生に薦められて行った、児童養護施設でのボランティアが、人生を大きく変えるきっかけになったという松本さん。今回は、「まちの保育園」にたどり着くまでのお話です。
●かわいいだけでなく、たくましい。子どもの可能性に気づいた日
――松本さんは、大学時代は商学部で経営について学んでいたんですよね。そこから、どのようにして保育園にたどり着いたんですか?
大学時代は、けっこう頭でっかちだったなと思います。経営学や経済学を専門としていたのですが、そこで言われている「価値」というのが何なのか、よくわからなくて悶々としていました。同時に、いまはブック・コーディネーターとして活躍している内沼晋太郎くんが同級生にいて、一緒に雑誌をつくっていたんです。彼が編集長で、僕がアートディレクター。いわゆるカルチャー誌で、著名な方に取材させていただくなど、かなり精力的につくっていました。編集部では、「これから、情報はすべてネットに流れていくだろう。それでも紙媒体は何らかの意味で残るはずだ」といった議論をよくしていました。
――いま議論されているようなことを、15年以上前に話されていたんですね。
そうですね。そんな大学生活だったのですが、あるとき授業で、児童養護施設でのボランティアに行く機会がありました。それまで私は子どもに対して、「かわいいな」としか思っていなかった。でも、そこの子どもたちと触れ合ううちに、自ら学び、育っていくたくましさもある存在だということを知りました。子どもは可能性の塊なんです。子どもって、おもしろい! そう思って、幼児教育について調べていき、子どもたちの育ちや学びを中心に据えた、グランドデザインに現場の経営の立場で携わっていきたいと思ったんです。
――そういう想いにたどり着いたのは、いつのことでしょうか?
大学3年のときです。でも、学生の立場でいきなりグランドデザインなどできるわけもない。進み方も見えなかったので、どうしようと思っていました。そうしたら、お話を聞いていた保育関係者の方が「一度、社会を広く見てきたら?」と言ってくださったので、就職をすることにしました。教育はコミュニケーションが本質だと思っていたので、広告代理店を受け、縁あって博報堂に入ることになりました。そこで、教育企業のブランドマネジメントを仕事を通して学ぶことができたんです。
――ここでも、保育園経営につながりそうなお仕事をしていたんですね。
運が良かったと思います。クライアントとの話し合いでは「理念と経営のバランスが大事」ということをよく言っていたのですが、果たして自分が経営するとなったときに、それができるのかなと思いました。そこで、会社の先輩に「経営を学ぶなら、自分で経営するのが早い」というアドバイスをいただき、博報堂をやめて、まずは友人と会社を立ち上げることにしました。経営はすごく大変でしたが、なんとか軌道に乗って落ち着き始めたところで、独立したんです。
――保育園設立に向けて、動き始めた。
はい。2009年から準備を始めて、2011年に「まちの保育園 小竹向原」を開園しました。その後、2012年12月に「まちの保育園 六本木」を、2014年10月に「まちの保育園 吉祥寺」を開園しました。
●0歳から6歳までの環境が、人生を大きく左右する
――まちの保育園では、ほかの保育園にはない取り組みをいろいろされていますが、保育士さんに対しても特別な研修をおこなっているのでしょうか。
一番大事にしているのは、対話です。子どもという存在をどうとらえるか、保育をどのように展開するかについて、保育園としては意思統一をしていく必要がある。そこには、対話が不可欠です。また、まちの保育園での教育は、体系化された知識を教えこむのではなく、子どもたちとともに学び合っていくスタイルをとっています。いま教育業界でよく言われている、アクティブラーニングというものですね。それを実現する上でも、保育士同士、保育士と子ども、保育士と保護者が対話をしていくことが必要です。だから対話が日常的におこなわれるように、意識的に設計しています。
――保育士自身が、どういう人間なのかということを問われそうですね。
保育士も一人の人間として、豊かに生きてほしいと思っています。だから、保育園と家の往復になってしまうのではなく、まちに出ていろいろな人や文化に出会うことを推奨しています。子どもたちのことももちろん、自分たちについての対話もよくするんです。趣味を語り合うなど、大人のための企画もけっこうやります。
――今は、保育士の処遇や人手不足など、保育士にとっては厳しい状況がニュースになっていますよね。
OECD加盟国における調査で、小学校教諭と幼稚園教諭・保育士の差は、小学校教諭を100とすると幼稚園教諭・保育士は平均で94くらいなんだそうです。でも、日本の場合は、幼稚園教諭・保育士が61まで下がる。幼稚園教諭や保育士は、低い処遇で働いている現状があるんです。
一方で幼稚園教諭や保育士が携わる0歳から6歳までの人格形成期というのは、その人の人生にとって非常に大事な時期です。アメリカで幼児期から大人になるまで追跡調査をしたら、0歳から6歳までよい養育環境にいたとされていた子どもたちは40年後、社会的地位がそれなりにあったり、年収が高かったり、犯罪率が低かったり、結婚して子どもがいる率が高かったりしたそうです。何がいい人生なのかは議論があるかもしれませんが、養育環境が子どものその後の人生に影響を及ぼすということが実証された。また、学習においても、0歳から6歳までの環境が、小学校、中学校、高校まで影響するという調査結果もあります。
――本当に大事な時期なんですね。
そういう認識をみんなが持てば、幼稚園教諭や保育士に対する意識も変わるのではないでしょうか。幼稚園教諭や保育士に影響を受けた子どもたちが、20年後には社会をつくる立場になる。そう考えると、彼ら・彼女らが社会をつくっているにも等しい。大学教授くらいの地位があっていいんじゃないでしょうか。もっと、社会的処遇も上げるべきだと思います。
構成:崎谷実穂
企画:早川書房
Tokyo Work Design Week
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