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<FT特約>中国、経済改革に苦闘 刺激策、商品市場に投機熱
中国商品市場での取引が急拡大している。だぶつくマネーで投機熱が高まる最新の現象だ。当局はシャドーバンキング(影の銀行)の興隆から不動産バブル、そして2015年8月の株価暴落まで、借り入れをテコとした成長策が招いた過剰な現象を抑え込もうとしてきた。経済の急激な減速阻止に1〜3月期に6兆元を超える記録的な信用拡大に踏み切り、その後、金属市場に資金が流入している。
国際市場はこうした動きに懸念を強めている。だが、魅力的な代替案を示すことは容易ではない。
巨額の債務がもたらすリスクは明らかだ。負債総額は国内総生産(GDP)の約240%に相当し、大半の新興国の比率をはるかに上回る。赤字の国有企業がかなりの債務を抱えているため、この数字が長期的に持続可能であるはずがない。さらに懸念されるのは債務増加の速度である。
もっとも、現在では深刻な金融危機のリスクは限定的だろう。閉ざされた資本市場、高い家計貯蓄率、潜在的経済成長力を考えると、中国の全体的な負債水準は警戒レベルを下回るだろう。また、政府には企業債務(実際には国有企業や地方政府関連が多い)を国庫のバランスシートに移し替える余裕がある。政府の財務内容は依然、巨額の公的準備に裏付けられ、健全である。
だが、不良債権処理の包括計画をまとめないうちは、問題の先送りにすぎない。国際通貨基金(IMF)が警告したように、政治的に微妙な分野を含めて産業の再編に取り組まなければ、(債務の株式化や証券化を通じて処理する)現政府案は逆効果ともなりかねない。中国経済のリバランス(消費主導型への再均衡化)は極めて難題で、当局は予見しうる将来、刺激策を続けなければなるまい。
これまではゾンビ企業にあまりにも肩入れしてきた。重要なことは保健、教育、都市の住宅、輸送、大規模な環境浄化など、より社会的に有益な分野に支出することだ。
最も衝撃の小さいシナリオでも、債務負担の軽減にまだ10年近くはかかるだろう。その間、世界各国は中国の改革の遅れのあおりを覚悟することになる。
(28日付、社説)
=英フィナンシャル・タイムズ特約
[日経新聞4月29日朝刊P.6]
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