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日銀の追加緩和見送りと、経済指標
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52805936.html
2016年04月28日 在野のアナリスト
米FOMCが世界景気に対してやや楽観を示し、タカ派の印象も残る中、日銀が金融政策決定会合で現状維持を決め、緩和を期待していた層が一気に失望売りを浴びせ、円高、株安になっています。先週末のBloomberg記事で、一気に盛り上がった追加緩和。熊本地震でやらざるを得ない、などという市場関係者もいて、前場も底堅かっただけにネガティブサプライズになりました。
しかし、わずか3ヶ月での追加緩和だと明白な失敗とも認識される。しかもマイナス金利は不評、量的緩和のETFやREITの買い入れは、額を増やせば出口が見えなくなるばかりで、市場の急変で日銀の経営を不安定にさせる。指摘された金融機関への貸し出しにマイナス金利、などとなれば日銀がただ損をするだけ。条件をつければ効果が限られ、1月のマイナス金利導入のときのように2、3日で効果が消える。いずれにしろ小出しにやっても意味はなく、やっても後一回、しかもそれは一か八かで、失敗なら委員が総退陣して責任をとるぐらいの覚悟でやるもの、でもあるのでしょう。むしろマイナス金利をゼロに戻すなど、逆方向の動きを志向し易くなってもいます。
日銀がめざす物価2%、しかし3月の全国消費者物価指数は生鮮食品を除く総合で前年同月比0.3%の減少です。しかも項目別でみると支えたのは食料品、はっきり言えばこれが個人の景況感を悪化させています。食料品は誰もが必ず買う、毎月の出費が食料品で圧迫されているから、その他の項目への支出が増えない。3月の家計調査で消費支出をみると、実質では前年同月比、食料品が0.4%減ですが、生活に余裕があると増える被服は12.2%減、交通・通信は12.1%減、教養娯楽が4.5%減。生活に余裕がなくなっていて、支出を控えている。これで日本の景気がよいはずもありません。実収入は実質で前年同月比0.3%上昇、といっても相変わらず世帯主の収入は0.3%減、配偶者の収入が9.1%増、と配偶者がパートなどをして家計を支える構図しか見えないのです。
3月の労働力調査で気になるのは、男性の労働力人口は15〜64歳で20万人減、65歳以上で増減なし、伸びが止まりました。女性は総数で28万人増なのでカバーしている形ですが、これが就業者数に利いていて、男性は減少、女性は増加。やはり配偶者の収入が家計を支える形が鮮明です。自営業者の減少という形でも、これは影響しているのかもしれません。自営業者は男性経営者が多く、廃業という形となり、妻がパートで働きにでる。そんな形が増えているのかもしれません。
3月の鉱工業生産指数は前月比3.6%上昇ですが、同時に在庫指数も2.8%上昇。小売販売額も前年同月比1.1%減。日本ははっきりと消費不況の状況を呈しています。しかも4月には熊本地震の影響がでてくる。日本の景気は深刻な事態です。しかしこれらは金融政策では対応できない。黒田日銀総裁がいうような、マイナス金利で住宅金利が下がる、借り易くなり設備投資が増える、といったものではありません。消費は日々の生活、賃金が増えていかないことには消費も増えない。しかし世帯主の収入が減る一方では、安心して消費していられる環境ではないのです。お金をばら撒いたとて、金利を下げたとて、この傾向を変えることなど到底出来ないのです。
これほどまでの不況にも、政治は無視を決めこみます。何しろ安倍ノミクスは成功した、景気はいい、と未だに言い続けるぐらいであって、不況ではないという認識だからです。しかし消費者物価の低下、水光熱費の減少が大きいといっても、これが消費不況の結果であることは火を見るより明らかなのです。最近では政府内からもデフレ脱却という言葉が聞かれなくなりました。失敗を認められない、愚かな政治によって、まだまだ日本の景気は下方に引きずられるでしょう。そこに来て、余計な口先介入の結果、ますます市場からの信頼は失墜し、市場の暴走を引き起こし易くなった。安倍ノミクスは今や悪ノミクスという印象の方が、強まってきたのでしょうね。
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