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日銀「金融政策決定会合」日本経済の沈没を防ぐには、どんな決定をするのが正解か
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48560
2016年04月28日(木) 安達 誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」 現代ビジネス
■日銀による「追加緩和」はあるか?
ゴールデンウィークの大型連休を直前に控えた4月27、28日に日銀の金融政策決定会合が開催される。
読者のみなさんが、当コラムをお読みになるのは、まさに2日目の決定会合直前、もしくは、すでに決定会合が終了し、結果が判明した後かもしれないが、今回は、筆者なりの決定会合の判断基準を示したいと思う。
今回の決定会合の注目は、もちろん、追加緩和の有無である。個人的には「日銀ウォッチャー」なるアナリストが具体的に何をしているのか不明だし、彼らのコンセンサスに意味があるとも思えないが、彼らの追加緩和の予想は二分されているようだ。
「追加緩和ある」派は、ETFの買い増し(現状の年間3.3兆円から7兆円程度にまで)、新しい日銀貸出のスキーム(「成長企業」に対する融資を行おうとする金融機関に対し、マイナス金利で資金を供給する)などを想定している模様だ。
一方、「追加緩和なし」派は、1月末に導入したマイナス金利の効果を見守る必要性(通常の金融緩和でも効果が出るまで半年から9ヵ月程度かかるといわれている)や、政府による補正予算、場合によっては、安倍首相による「消費税率再引き上げ見送り」とのパッケージで実施したほうがより効果的であるという考えから、6月以降の緩和を見込んでいるようだ。
筆者は、これまでにも当コラムで何度か言及したように、「べき」論でいえば、今回(4月28日)の決定会合で、QQE政策を再開す「べき」であると考えている。
理由は、1月末のマイナス金利導入後の円高株安の流れは、主に海外投資家にとって、マイナス金利政策が、「リフレ政策に限界がみえた」と解釈されたため発生しており、海外投資家にとってのリフレ政策は「QQE(量的質的金融緩和)」であったと考えられるためだ。
これは、「追加緩和の手段として新型の日銀貸出が実施される可能性がある」との新聞報道によって、為替レートは大きく円安にふれたことからも明らかであろう。投資家は、「新型貸出」によるマネタリーベースの拡大を予想したと考えられる。
よって、今回、追加緩和を見送るか、もしくは、アリバイ作りに近い小規模緩和(合計で5兆円程度のマネタリーベース拡大、ないしは、-0.1%から-0.2%へのマイナス金利の拡大など)に終われば、ゴールデンウィーク中に大幅な円高が進行することにもなりかねない。
■実体経済では強弱まちまちの状況だが…
三菱自動車の不正問題等もあり、今後、日本株市場には、「コーポレートガバナンスの不備」という新たなネガティブ材料が出てきてもおかしくない状況である。さらに、決算発表では、ここまでの円高によって、業績の下方修正を発表する企業が増えてくる懸念もある。
このタイミングで、追加緩和を見送るか、不十分な追加緩和で終われば、海外投資家にとって、追随者が生まれやすい「わかりやすいシナリオ」として、再び、「円買い・日本株売り」ストーリーが浮上してくる懸念もある。
確かに、実体経済のことだけを考えれば、1月末に導入したマイナス金利の効果・影響を見極めるというスタンスは正しいかもしれない。これまでに発表されている経済指標は、2月、及び3月時点のものである。従って、マイナス金利政策が導入されて、せいぜい2ヵ月しか経過しておらず、効果・影響は未知数であることは否めない。また、経済指標の結果も様々である。
例えば、3月の金融機関の貸出は、銀行・信金計で前年比+2.0%となっており、マイナス金利導入前の同+2.4%(1月)から伸び率が鈍化してきている。また、3月のマネーストック統計では、銀行預金の伸び率には大きな変化はみられないものの、投資信託等の伸び率減速と現金通貨の伸び率の上昇がみられる。これは、あまりポジティブな結果ではない。
一方、2月の第三次産業活動指数をみると、個人サービスは季調済前月比で+0.3%の上昇、特に、生活娯楽関連サービス(飲食店・飲食サービスや娯楽など)は同+0.7%と大幅上昇している(ただし、それまでの低下の反動増という側面も否定できないが)。
また、2月の住宅着工戸数は、季調済前月比で+11.6%の大幅増となった。まだ2月時点までのデータしか公表されておらず、企業の決算説明会等では、「3月になって消費者心理が急に冷え込んだ」という指摘もあり(これがマクロの現象なのか、個別企業特有の現象なのかも不明であるが)、これがマイナス金利政策の効果か否かはわからないが、2月時点までの結果はポジティブである。
このように、実体経済では強弱まちまちの状況であり、日銀が、マイナス金利の効果・影響を見極めてから次のアクションを起こすという考えを持ったとしてもそれほど不思議な話ではない。
ただ、今回、十分な追加緩和を実施しない場合、投資家(特に海外投資家)にとっては、「やはり従来のQQE政策は限界を迎えた」というストーリーを再確認させることになりかねない。
さらに、円高の進行による企業業績の悪化は、株価の下落だけではなく、企業自身の防衛的な行動(例えば、雇用の抑制、資金の退蔵、設備投資の見送りなど)を誘発させ、これが日本経済全体を停滞させることにもなりかねない。
すなわち、今回の決定会合では、とりあえず、「従来のQQE政策が限界を迎えたのではない」点をマーケットに示す必要があるというのが筆者の考えである。
■日本経済が沈没してもいいのか
以上のような話をすると、必ず、追加緩和の具体的な手段は何かという問いを受けるが、追加緩和の手段は「マイナス金利の拡大」ではなく、「QQE(量的質的金融緩和)」の拡大が必要であると考える。
より具体的には、マネタリーベースの拡大ペースを現行の年間80兆円から90〜100兆円程度に拡大させることが最も重要である。
手段としては、株式の購入(ETFの組成のペースが間に合えば、ETFで十分だが、ETFの組成が間に合わなければ、バスケットで購入して日銀自らが事後的にインデックスを組成すればよい)がベストだと考えるが、国債の購入や新しい貸出スキームでもよいと考える。
また、「補正予算、消費増税見送りとパッケージで追加緩和を実施するほうがより効果がある」という考えにも一理あるが、それはそれで別にやればいいのではないかと考える。特に、国債増発を伴う補正予算が策定されれば、日銀にとっては、国債購入によるQQEの拡大という新たなオプションが生まれることになる。
これは、内外で批判の強い「ヘリコプターマネー」的な政策かもしれない。「『ヘリコプターマネー』は、金融政策というよりは、財政政策であり、財政規律を緩める危険な政策である」との批判もある。だが、これは、価値観の問題であろう。
現段階で経済成長をあきらめて、このまま経済がますます沈滞化していくことを甘受してもよい、もしくは、経済全体の沈滞はあくまで日本経済全体の話であって自分はそれでも困らない、というほどの資産がある人にとっては、「ヘリコプターマネー」は余計な政策かもしれない。
だが、そうではない圧倒的に多くの人にとって、このまま日本経済が沈没していくことが耐えられないと考えるのであれば、積極的な経済政策を実施すべきであり、それは重要な政治マターであろう。
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