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家屋の倒壊が相次いだ熊本県益城町(C)日刊ゲンダイ
熊本地震でなぜ損壊多発 「1981年耐震基準」の落とし穴
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/180260
2016年4月27日 日刊ゲンダイ
震度7を2回も記録した熊本地震では、耐震補強したばかりの公立小中学校や役所が次々と損傷した。
2013年度に外付けフレームで補強したばかりの熊本県益城町役場も、今月16日の「本震」で亀裂が入り、倒壊の恐れで立ち入り禁止となった。
1981年に改正された建築基準法に基づく国の耐震基準は、「震度5強の地震でほとんど損傷しない」「震度6強〜7の巨大地震でも倒壊や崩壊はしない」ことを目安としている。基準を満たしているはずの建物が続々と半壊、倒壊の被害に遭っているのはなぜなのか――。東京理科大の北村春幸教授(建築構造学)に説明してもらった。
■2度目は想定されず
「新耐震基準は1度目の地震に耐えることを前提としており、何度も大きな地震が続くことは想定していません。ところが、大地震は2度目が来るとボディーブローのように柱や梁にダメージを与え、被害が大きくなります。最初の地震で損傷し強度が落ちることによって、むち打つように大きく揺れたり、壊れやすくなってしまうのです」
新基準は「1度目を耐え、その間に補修し2度目の大地震に備えるため」の法改正だったという。05年の耐震偽装事件をきっかけに、建築確認や検査の厳格化を義務づける改正建築基準法も07年に施行されたが、1981年の新基準そのものが厳格化されたわけではない。築浅の物件だったとしても万全とはいえないという。
「1981年の耐震基準はあくまで最低限の基準と考えた方がいいでしょう。これからマンションを購入しようとする人は、なるべく免震や制震の対策をした物件を選んだ方がいいかもしれません」(北村春幸氏)
全国には新耐震基準を満たしていない住宅が約900万戸あるが、新基準をクリアしていたとしても「すべて安心」とは言い切れないようだ。ネットで検索すると、「免震」や「制震」のリフォームを得意とする建築業者もある。カネはかかるが地震保険と並行して検討してみてもいいかもしれない。
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