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2016年04月27日(水) 週刊現代
直撃!鈴木敏文「裏切り者たちに告ぐ」
〜「アイツだけは許せない」という怒り
あまりに急だった日本を代表するカリスマ経営者の退任劇。話題を呼んだ会見から数日後、本誌記者は渦中の会長宅を訪ねた。その口から洩れた言葉には、「謀略」「面従腹背」への怒りが溢れていた。
「嘘が一番、許せない」
100坪以上はある邸宅が立ち並ぶ都内屈指の高級住宅地には人通りもなく、ひっそりと静まり返っていた。4月12日19時。本誌記者が鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス会長の自宅のインターホンを鳴らすと鈴木氏の妻と思われる女性が応答したが、同氏と話したい旨を述べると、すぐに本人が出た。
—週刊現代の記者です。インタビューのお願いに上がりました。
「なんですか。ああ、おたくの雑誌はね、こないだ書いた記事は、まったくデタラメが書いてあるからさ、取材は受けられないよ。ぜんぜんデタラメ書いてるんだもん」
硬い声色で、すぐにインターホンは切れてしまうが、再度鳴らすと、また本人が対応した。
「あのね、デタラメ書いてあるものはしょうがないでしょう。その、要するに、言ってもいないことを言ったなんて書いているし、こっちが迷惑するんですよ」
—お叱りの言葉も含めて、きちんと話を聞かせてもらえないでしょうか。
「じゃあ一言だけ、いま出て行って話をするよ」
インターホンが切れて1分ほどして、ワイシャツにグレーのスラックス、えんじ色のカーディガンを羽織った鈴木氏本人が出てきた。外は風が冷たく、少し寒そうな様子だった。
「あのね、要するに、息子(鈴木康弘取締役執行役員)が社長になるなんていうのは、まるっきり嘘で、誰もそんなこと言ってない。まるきりそんなことはありえないし。
僕はね、今までいろんなところから、おたく(講談社)からも本を出しているし色々やっているけれども、一番、そういう嘘とかなにかっていうことは、僕の人生観では許さないの。だから、今回の問題だって、スパッと引いたわけ。そういうことだから」
終始、落ち着いた口調で感情的な話し方ではないが、息子に関する話をするときは、表情も声も強張ったように感じられた。
後述するが、息子の康弘氏はセブン&アイのネット事業を担当している。実績がほとんどない中で、昨年5月にセブン&アイの取締役執行役員に出世したため、「親の七光りだ。会長は息子を社長の座に就けたがっているのではないか」という疑念が社内に渦巻いていた。
「残ってくれと言われている」
鈴木氏の話は今年1月に、就任後わずか1年半で辞任した戸井和久イトーヨーカ堂社長のことに及んだ。
「ヨーカ堂の社長が辞めたときのことだってね、『辞表を叩きつけた』だとかなんとか……。なんでそういう嘘を書くのかね(編集部註:本誌1月30日号の記事「鈴木敏文会長に叱られてイトーヨーカ堂社長が『逆ギレ辞表』を叩きつけるまで」)。
嘘は嫌なのよ。本当のことを書かれるのならいいけれども。雑誌を売るためにね。ご存知だと思うけど僕はトーハンの役員もやっているんだよ。自分でも編集の仕事をしたけれどね、ああいう売らんがためのことを平気で書かれたらね。大変迷惑だよね」
言うまでもなく本誌は、慎重な取材に基づいた記事を掲載している。イトーヨーカ堂の業績を上向かせることができなかった戸井氏のことを、本誌が「生え抜きのエースだった」と持ち上げたり、鈴木会長に批判的な内部の声を紹介したことが、鈴木氏の怒りを誘ったのかもしれない。
—(鈴木氏の)お話を偽りなく記事にしたいので、インタビューに応じてもらえませんか?
「いや、いま申し上げた通りだから、それで充分だと思うんですよ。僕は嘘が嫌いだし。それからなにか謀略的なこと、そういうことは僕の人生には、そういう『ページ』がないの」
—しかし、どうして辞めてしまわれるのか? 辞める理由に納得していない人も多いと思います。
「なぜって、要するにね、実際には僕がしていないことをしていると、そういうことを社内で言ったりするのもいるし。そういうことは、僕は絶対嫌なの。そんなことまでしてね、仕事をしたくない。
ただ、いま困っていることはたくさんあるの。FC(フランチャイズ・チェーン)のオーナーの皆さん方からね、なんでもいいから残ってくれとか。社員からもものすごい、やはりそういうあれ(声)があるんでね。それがただ困っているだけでね。それ以外は、自分では今は非常にすっきりした気持ち。そういうことですから」
当初はやや硬めだった表情も、自身の引き際に関しての話題になると和らぎ、穏やかなものになっていく。
部下に厳しすぎたがゆえに
—(7日の)会見では辞めることは「今日決めた」とおっしゃっていましたが、そんなに潔く辞められるものですか?
「そうそう、そうだよ。『あなたを支持します』とかなんとか言っていてね、駆け引きでやっているのもいるし。そういうのは嫌いなのよ」
—社内で、表では鈴木会長にいい顔をしているが、裏では別のことをしている人間がいたということですか。
「そうそう。そういうことは絶対にね、許さない。自分の持って生まれた性格だから。本当のこと以外は、嘘は絶対に許せない性格だから。すいません。それじゃあ。今後は自宅で取材は受けないことにしますから」
そう語りながら、門扉を閉めて、玄関の中に去って行った。終始「嘘は嫌い」とくり返しているように、率直で飾らない言葉で語った鈴木氏。「絶対に許さない」と語る声には一際力がこもっていた。
このような率直な物言いは鈴木氏の飾らない性格の表れであるが、社内の会議や朝礼ではときに激しい叱責にもなり、現場の社員たちは延々と続くお説教に辟易することもあったという。
「とりわけ定期的に開かれるイトーヨーカ堂の業務改革会議のときには、不満をぶちまける鈴木氏の独壇場になった」(イトーヨーカ堂の社員)
本誌は、今年1月に行われた業革会議の速記録を入手した。一部引用してみよう。
*
鈴木会長 全部売れない時代の中で、抜け出せば売れるんです。やればできる。売り上げが落ちることがおかしい。ヨーカドーは、落ちっぱなしじゃないか。どういうことか。言っていることを全然実行していない。
商品部に僕は(こういう商品を開発しろと)言ったことも指示したこともない。そんなこと僕の仕事ではない。君たち自身がどう実行するか。(系列店の)セブンイレブンSSも進歩がない。いまだに過去のデパートのやり方にとらわれている。でもヨーカ堂はもっとひどい。(中略)担当商圏のことを本当にわかっているのか? 机で数字をいじっているだけじゃないのか?
婦人服担当 申し訳ありません。過去のDB(データベース・マーケティング)のやり方を全部否定し、やっていきます。
鈴木会長 根拠がない同士で「これだけやったらどうだ?」って言いあっているだけ。全部失敗、やったことが。成功しているようなことを言っているが、数字をみると全部失敗、そうだろう?
*
売り上げ改善のための叱咤激励といえばそれまでだが、このような激しいダメ出しを社員に出し続ける一方で、業績を上げたとは言い難い息子の康弘氏が引き立てられることに不満を抱く社員も多かったという。セブンイレブン社員の声。
「康弘氏が担当しているインターネット事業は赤字続きです。3年ほど前、康弘氏の鶴の一声で埼玉県の久喜に大きな物流倉庫を構えたのですが、成長の見通しが甘すぎたため、注文もなくガラガラの状態です。
康弘氏が社長を務めていたセブン・ネットショッピングは赤字続きでしたが、倉庫の建設費や維持費が足を引っ張ったこともあって'14年にセブン&アイ・ネットメディアに吸収されてしまった。
傍から見たら赤字を垂れ流し続ける息子の事業を親父が引き取った、というふうにしか見えませんよ。社内ではこの倉庫にかかった数十億のカネは『子ども手当』と呼ばれています」
鈴木会長は稀代のカリスマ経営者として、日本の小売業界を引っ張ってきた。そのビジネスマンとしての才覚と先見の明は、誰もが認めるところである。
それほどの経営者であっても、自らの息子には厳しくなりきれない—これは人間の性なのかもしれない。例えば、以下のような不満の声は、鈴木会長の耳にまで届いていたのだろうか。かつて康弘氏の下で働いた経験のある社員が語る。
「康弘氏は会議の席ではいつも偉そうにしていて、部下の報告が気に入らないと机を蹴飛ばすようなこともある。それに自慢話が多い。ソフトバンクに在籍していたので『俺は孫(正義)さんとツーカーの仲だよ』と吹聴したり、米国出張から帰ってくると『グーグルのラリー(社長)とも友達だから』と言ったりする。それほどの人脈があるなら、うちのネット事業をどうにかしてくれよというのが現場の本音でしたね」
井阪社長の言い分
実績のない康弘氏がトントン拍子で出世していくわけだから、いくら鈴木会長が「息子に跡目を継がせる気はない」と明言しても、周りは疑心暗鬼になる。
やがて社内に不穏な空気が流れ、鈴木会長が「許せない」と語った面従腹背の勢力も動き出すことになった。
鈴木会長は退任会見で、井阪驤黹Zブンイレブン社長が「ケンカ腰で食ってかかってきた」と語った。これまで自分の子分だと思っていた井阪氏に反抗され、創業家の伊藤家も含めて彼を担ぐ勢力が人事案を否決してしまったのだから、「裏切られた」という思いはひとしおだろう。
都内にある井阪氏の自宅前で今回の騒動について聞いた(今月19日の取締役会で、セブン&アイ社長に就任した)。
「絶対にもう、あんなこと(取締役会という密室で社長人事を決めること)はよくない。合意形成をちゃんとやりながら議論し続けるのが組織だと思います。
密室の会話については話すつもりはありません。絶対に出さない。(鈴木会長が会見で指摘したような『セブンイレブンの功績は、すべて自分のおかげだ』という尊大な発言について)私はもちろんしていません。
今後も鈴木会長と話し合う予定はありません。ただ役員室で並んで飯を食うだけです。気まずいかって? いやそんなことないですよ。真剣に(商品の)味見をしているんですから(笑)」
これからセブン&アイは集団指導体制に移行することになるだろう。40年以上にわたって流通業界のカリスマとして君臨してきた鈴木氏の胸に去来する思いは、「あいつだけは許せない」という怒りか、はたまた恬淡とした悟りの境地だろうか—。
「週刊現代」2016年4月30日号より
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48500
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