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あなたの月給は最低賃金を下回っていませんか(写真:xiangtao/PIXTA)
月給が「最低賃金」を下回ったら、どうする? 知らないと損する就活生のための労働法<1>
http://toyokeizai.net/articles/-/114615
2016年04月25日 翠 洋 :社会保険労務士 東洋経済
就活対策をしていても、労働法規については意外と知らないという就活生も多いのではないでしょうか?そこで今回から就活生が知っておいたほうがよい、労働法規について解説していきたいと思います。
実は、私も大学生の頃は労働法規についての知識が全くありませんでした。最初訪問したメーカーで足止めされ、躊躇しているうちに内定を1社逃し、その後は箸にも棒にもかからず、大学の就職課からも呆れられ、留年を覚悟する段階まで追い詰められました。
そんな折に、高校時代に聴いていたラジオ局の募集を見つけ応募したところ、面接官が偶然にも、かつて私が投稿していた番組のディレクターで、私のことを覚えていました。こんなご縁はないと思いましたので、内定をもらうと迷わず入社を決めました。
就活生はまず内定を勝ち取ることが先決で、労働法規等の知識は二の次かもしれません。労働条件について意識するのは通常、複数の内定をもらってどちらにしようか選択するときからです。また、採用企業側からすれば「労働条件」ばかりを気にする学生の印象は良くないかもしれません。
しかし、知識があるとないとでは大違い。いざというときの対応が変わってきます。ブラック企業が社会問題となる中、企業側もコンプライアンス重視の姿勢を打ち出しています。一般常識対策としても、労働法規の基礎は押さえておいて損はありません。
■労働法は会社側の権利濫用を許さない
例えば時給800円で働くという契約をしたらどうなるでしょうか? 私法の根幹である民法では「契約自由の原則」があります。契約の自由ということは、どんな内容の契約をするかは自由ですが、一旦契約をすれば両者ともその内容に拘束されることになります。
民法623条では「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる」と定められています。
民法でも公序良俗に反する場合、権利濫用がある場合、未成年者との契約の場合等の例外を置いていますが、原則どのような内容の契約を締結するかは当事者同士に委ねられています。
しかし、それを労働契約にそのまま当てはめてしまうと、会社と労働者の力関係が対等でないことから、劣悪な労働条件での雇用が可能になってしまいます。そのため、労働法は労働者保護の立場から、民法の「契約自由の原則」に修正を加えています。
法的に言えば、民法は一般法、労働法は特別法で、一般法と特別法が抵触する場合は特別法が優先されます。ただ、労働法という名前は総称で、「労働基準法」「労働組合法」「労働契約法」「男女雇用機会均等法」「労働者派遣法」「雇用保険法」「最低賃金法」など様々な労働法が存在しています。
労働三法というと「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」を指しますが、「労働組合法」「労働関係調整法」は労働組合と使用者の関係を規律する集団的労働関係法であるため、近年は個別的労働関係法として「労働契約法」(2008年3月1日施行)等の重要性が高まっています。
■最低賃金を下回る契約は無効
さて、先ほどの時給800円で働くという契約について考えてみましょう。この契約が有効かどうかは、どの地域で働くかによって変わってきます。居住地ではなく、実際の勤務地がどこかということになります。「地域別最低賃金」は都道府県ごとに定められ、毎年10月頃に改訂されます。
現在、東京都の907円を筆頭に、神奈川県905円、大阪府850円、埼玉県と愛知県820円、千葉県817円、京都府807円となっています。最低賃金額が800円以下の都道府県で働く場合は、時給800円は有効ですが、もし801円以上の場合はその部分が無効となり、最低賃金と同様の契約をしたことになります。
最低賃金法4条2項では「最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、最低賃金と同様の定めをしたものとみなす」と規定されています。
契約自体が無効になるわけではなく、最低賃金に達していない額だけが無効となり、法令で定められている額が適用されるということに注意が必要です。
また、一般的な企業が採用している月給制の場合はどのように計算すればよいのでしょうか?計算式としては、<月給÷1カ月平均所定労働時間>が、その事業所のある都道府県の最低賃金以上である必要があります。
例えばA社の年間所定労働日数が255日で、所定労働時間が8時間とすると、1カ月平均所定労働時間=(年間所定労働日数255日×8時間)÷12カ月=170時間となります。
月給には基本給、職務手当などの手当は含まれますが、通勤手当、残業手当などは含まれません。もしA社の月給が15万円とすると、15万円÷170時間=882.35円となり、東京都と神奈川県では最低賃金を満たしていないことになります。
■労働法違反の企業は処罰される
なお、業種によって「特定最低賃金」が定められている場合は、その額が「地域別最低賃金」より高い場合に限りそちらが適用されます。
勤務条件や待遇などは民間企業であっても労働法によって規定されています。企業が社員に対して「入社したばかりだから」「成果をあげていないから」などの理由で、労働法の規定を逸脱するような行動をすることは許されませんし、逸脱すれば企業が処罰されます。労働者は労働法で保護されているのです。
では最後に腕試し、○×問題で復習してみましょう!
【質問】
1. 最低賃金額は、時間又は日によって定められている。
2. 最低賃金違反に罰則は定められていない。
答えは文末にあります。
次回はいわゆる「ブラック企業」と、その対極にある「ユースエール認定企業(若者の採用や育成に積極的で雇用管理が優良な企業)」について取り上げます。
【答】
1も2も×です。1は「時間」によってのみ定められています。2は「50万円以下の罰金に処する」と定められています。
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