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記事入力 : 2016/04/22 14:00
韓国独自の技術が見当たらない「韓国最高層」ビル
【特集】色あせる「メード・イン・コリア」神話
ソウル市松坡区新川洞の「蚕室ロッテワールドタワー」は先月、最上部の尖塔構造部分の工事が終了し、地上123階、高さ555メートルの韓国最高層、世界5位の巨大高層ビルの外観が姿を現した。しかし、そこには「知られたくない真実」がある。
75万トンの建物の重さに耐えるための基礎設計は英アルップ社、その基礎の上に19万5,000平方メートルのコンクリート、4万トンの鉄骨を組み上げる建物設計は米KPFとレラ社、風速80メートルの強風に耐えるための風洞設計はカナダのRWDI(社、合計2万個のガラス壁を取り付ける外壁工事は日本のリクシルと米CDCがそれぞれ担当した。「韓国の建築技術の集大成」かと思われたロッテワールドタワーは実際には外国企業の手で建てられたものだ。
建設業界関係者は「事実上、コンクリートと鉄筋だけを我々の手で組み上げた格好だ。韓国の建設会社が海外に建てた数多くの高層ビルも実情は同じだ」と明かした。
ロッテワールドタワーは、独自技術なしで見た目の成長にばかり執着してきた韓国産業の限界を象徴している。
韓国は1993年に造船受注世界1位、94年に世界初の256メガバイトDRAM開発、95年に世界5大自動車生産国入りなど「製造業大国」の陣列に加わった。しかし、その虚像が建設、造船、スマートフォン、液晶ディスプレー、鉄鋼、自動車など主力産業の至る所で露見している。20年間の「製造業神話」は崩れつつある。
中国の液晶パネル業者、京東方科技集団(BOE)は昨年12月、安徽省合肥市に第10.5世代のパネル工場を着工した。現在第8世代が主力の韓国を2段階乗り越え、かつて韓国製テレビが日本のソニーを追い越すのに決定的な役割を果たした韓国の液晶ディスプレー産業に追い付いた格好だ。通信設備事業でも中国に圧倒され、1996年にCDMA方式を世界で初めて商用化した名誉は色あせている。
韓国企業はこれまで独自技術なく、大規模投資で「より薄く、より軽い」製品をライバル国よりも「より安く」生産することに集中し、成長してきた。しかし、韓国主導の「量産技術革新」は限界に直面している。サムスン電子は最近、回路線幅18ナノメートル(ナノは10億分の1)のDRAM開発に成功したが、10ナノメートル未満の超微細製造プロセスは不可能だとの見方が支配的だ。そのため、これまでとは全く異なる概念の半導体が求められている。
「製造業の没落」は、20年以上にわたり世界トップに君臨してきた造船業でも現実化している。
現代重工業、大宇造船海洋、サムスン重工業の造船3社は昨年だけで石油掘削装置などの海洋プラント部門で約4兆5000億ウォン(約4280億円)の営業損失を出した。「なせば成る」精神で走り抜けてきたが、複雑な海洋プラントに必要な設計能力が決定的に不足していた。基本設計は海外に委託し、それを土台に作成した設計図は発注元から100回以上も突き返された。
結局、建造費用が雪だるま式に膨らみ、建造期間も延びた。造船業界役員OBは「韓国のエンジニアは海外のエンジニアリング会社が作成した基本設計をしっかり理解できていない状態で大雑把に受注価格を算出した」と話す。
製造技術の競争力が限界に達し、製造業の空洞化もますます深刻化している。独自技術不在で製造業を営む国ならばいくらでもあるからだ。
サムスン電子のスマートフォン事業はベトナムに生産拠点を移転。世界5位の自動車メーカー、現代自動車は過去18年間、韓国国内に工場を新設していない。
このため、世界最高に迫る青年失業率(11.8%)は改善の兆しを見せず、韓国の勤労者の労働時間は依然として、経済協力開発機構(OECD)でトップ圏だ。
ソウル大の李正東(イ・ジョンドン)教授(産業工学)は「これまで韓国の産業は他国を速やかに見習う『ファスト・フォロワー』で成功を収めてきたが、それに慣れ親しんでしまい、時代錯誤の蓄積で、白紙の状態から新たなものを誕生させる能力を育てられなかった。韓国経済の新たな飛躍に向けたパラダイムシフトが求められている」と指摘した。
李性勲(イ・ソンフン)記者 , 写真=キム・ヨンジョン客員記者 , グラフィック=キム・ソンギュ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042201041.html
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記事入力 : 2016/04/22 14:01
韓国最長の橋も外国技術頼み、独自技術不在で海外に従属
【特集】色あせる「メード・イン・コリア」神話
今月14日、京畿道安養市東安区にある安養コンバインドサイクル発電所を訪れると、直径約10メートルの巨大なガスタービンがごう音を立てて回っていた。1047度の超高温ガスで毎分3600回転し、発電を行う発電所の中枢部だ。ガスタービンには「アルストム製」と書かれていた。米ゼネラル・エレクトリック(GE)に合併されたフランスの重工業設備メーカーの社名だ。
GSパワーのキム・ウンファン専務は「高温でも溶解したり変形したりしない最先端の素材技術、わずか数ミリの誤差も許さない製造技術がなければできない作品だ。他の設備は大部分が国産だが、ガスタービンだけはまだ国産化できない」と話した。
現在韓国で稼働している30カ所余りの中型・大型のコンバインドサイクル発電所で使われるガスタービンには国産品は皆無だ。いずれもGEや独シーメンス、日本の三菱日立パワーシステムズなど海外メーカーが製造したものだ。業界関係者は「韓国企業にはまだ、高温・高圧に耐え、正確に稼働する大容量タービンを製造する素材技術と基礎設計の経験がない」と指摘した。
■韓国最長の橋も外国技術頼み
仁川市の松島と永宗島を結ぶ長さ21.28キロメートルの仁川大橋は韓国最長、世界でも6番目の長さを誇る。2009年に完成した当時には、「韓国の建設業界の底力を世界に示した快挙」という賛辞があふれた。しかし、実態は異なる。工事こそ韓国企業が行ったが、重要技術はほとんど海外に依存したからだ。
設計段階からして外国企業が担当した。仁川大橋のような大型の橋りょうでは、風、波、自動車の通行量、地震など橋にかかるさまざまな力を分析し、絶対に崩れないような構造設計を行うことが重要だ。設計は日本の長大が行った。1968年設立で、世界の20以上の大型橋りょうを設計した経験を持つ業者だ。土木設計専門家は「長大の技術者が仁川大橋だけでなく、永宗島大橋の構造設計も担当した。その技術者個人の経験と技術は、韓国の橋りょう設計業秋が束になってもかなわないと言っても過言ではない」と指摘した。
仁川大橋は主塔から延びるケーブルが橋の上板を支える斜張橋だ。そのケーブルを製造したのも新日本製鉄(現新日鉄住金)だ。ケーブルの設置はフランスのフレシネという企業が担当した。ソウル大のコ・ヒョンム教授(土木構造)は「韓国にはそうした経験を持つ企業がない。結局はいくら高くても外国企業の言い値を払うしかない」と話した。
■独自技術不在で海外に従属
独自技術の不在は技術的な従属につながる。大型タービンや海を渡る橋などの維持、補修にも巨額の費用がかかるが、そのたびに最初に技術を提供した外国企業に依存しなければならない。例えば、ガスタービン1個には自動車1台の価格の相当する動翼(ブレード)が200−300個必要だが、その交換費用も外国企業に支払われる。韓国の発電業者が支払うガスタービンの維持費用は年間2000億ウォン(約194億円)を超える。
ソウル大のカン・シンヒョン教授(機械工学)は「タービンの価格よりも維持費用の方がはるかにかかる。ガスタービン1台を売れば、数十年稼げるというのが先進国の企業の競争力だ」と指摘した。
チョン・チョルファン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042201047.html
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記事入力 : 2016/04/22 14:02
「1位の外国企業まねてばかりの韓国企業オーナーたち」
【特集】色あせる「メード・イン・コリア」神話
「韓国の産業界は他人の技術を追いかけて先頭まで来た。しかし、これ以上突き進んでいく実力や推進力は皆無の状態だ」
韓国工学界の第一人者、ソウル大学工学部の李建雨(イ・ゴヌ)部長(61)=写真=は先日の本紙インタビューで、「このような状態が続けば、サムスンや現代自動車といった韓国経済を支える企業も、ノキアのように一朝一夕にして崩壊してしまうかもしれない」と言った。李工学部長は目を赤くして「最近の韓国経済の現実を思い、韓国の学生たちの将来を考えると眠れない」と言った。
そして、李工学部長は「韓国産業界に根深く浸透している『模倣・改良精神』が韓国の行く手を阻んでいる。企業オーナーたちに会うと『私たちの目標は2位だ』と話す。『1位の企業がやることを見て、その後を追いかけさえすれば安全だ』と考えているからだ。大企業の新事業について調べてみると、グローバル企業とは比べものにならないほど安全志向だ」と話した。韓国企業は外国企業を一生懸命に追いかけて1位になったが、まだ過去の成功方程式から抜けられないということだ。
李工学部長はまた、「財務の健全性ばかり維持しようという経営では将来がない。韓国の業界が直面している危機は、高付加価値の核心技術、すなわち創造的な概念の設計能力がないことだ。この能力は金を払ってすぐ買えるものではなく、長年の試行錯誤を経て経験と知識を蓄積するものだが、韓国企業は依然として他人のまねをするベンチマーキングを最高のやり方だと思っている」と言い切った。
解決策を問うと、「ツートラック(two track)戦略」という答えが返ってきた。これまで通り、既に成功した技術や製品に迅速に追いつく「ファスト・フォロワー(Fast Follower=高速追撃)」戦略は維持するが、経験の蓄積が必要な将来の分野では今からでも常に挑戦し、また失敗の経験を積んでいかなければならないというのだ。
李工学部長は「オープンでクリエーティブなベンチャー企業が韓国の業界の変化をリードすべきだ。(そのためには)企業・政府・学校など、すべての集団が力を合わせてクリエーティブな蓄積を目指す社会システムと文化を構築しなければならない」と述べた。
朴淳燦(パク・スンチャン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042201057.html
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