http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/728.html
Tweet |
ルー財務長官(中央)は、麻生太郎財務大臣(右)を袖にしたのか(写真:ロイター/アフロ)
円高は米中密約で日本が犠牲になった結果だ 武者陵司が読むG20の「舞台裏」
http://toyokeizai.net/articles/-/114901
2016年04月22日 武者 陵司 :武者リサーチ 代表 東洋経済
2016年が始まってから4カ月、日本株は依然として不安定な動きから抜け出せていない。120円台で推移してきたドル・円レートも4月に入り110円を下回る水準まで円高が進んだ。この背景には何があるのか、武者リサーチの武者陵司代表(元ドイツ証券副会長兼チーフ・インベストメント・アドバイザー)に聞いた。
■米中が2月の上海G20直後に「密約」
ここ数カ月間の円高は、ファンダメンタル的に考えれば非常に不可解だ。経済が強い国の通貨が高くなり、弱い国の通貨が安くなるのが普通であり、日本より経済が好調な米国の通貨が安くなる理由はない。ところが、現実はドルが売られ、劣位にあるはずの円がどんどん買われている。理屈に合わない動きはすぐに是正されると思っていたが、この傾向が2〜3カ月も続いている。
だが、最近になってようやく事情がハッキリしてきた。先週末、米国ワシントンで20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれたが、15日の会見では、米国のジェイコブ・ルー財務長官が「最近は円高が進んでいるが、世界の為替市場は秩序だっている」とコメントした。これは今年2月に上海で行われたG20ではなかった発言で、日銀が模索している円売り介入に対する明確なノーサインだ。
おそらくこの背景には、米国と中国の間の密約がある。米国の考えでは、世界経済の安定にとっては、中国からの資金流出を止め、人民元の暴落を阻止することが不可欠となる。かりに人民元が暴落となれば、世界的な金融危機となることが明らかだからだ。ルー財務長官は2月のG20の閉幕後、北京を訪れて李克強首相と会談しているが、そこで中国に人民元の価値を守ることを約束させたのだろう。
人民元の価値をどんな手を使ってでも守るのが米国の考える秩序だ。だが、中国からすれば、人民元を安くし、輸出競争力を強くすることで国内の景気停滞にテコ入れをしたいという誘惑がある。中国にダメと言うならば、他国の自国通貨安政策にも同じように対すべきと、中国は米国に求めたはずだ。
その一番のターゲットとなるのが、中国の主要貿易国である日本だ。日本はここ数年にわたって続いた元高・円安で対中での競争力が劇的に回復し、貿易収支が改善した。日本では円が不当に高かったことの是正と考えている人も多いが、少なくともここ3年の動きとしては、急速に人民元が高くなり、中国の競争力が落ちたことは間違いない。
その円が日銀の介入によって弱くなることは、中国にとって絶好の元安誘導への口実を与えてしまう。だから、ルー財務長官はことさらに日銀による円売り介入を牽制したのだ。つまり、中国を抑え込むための生け贄になっているのが日本の円だということだ。
■内需拡大策が円高・株安阻止のカギに
今の日本における株安、景気悪化などの諸悪の根源は円高であって、現在の為替水準は行き過ぎだとは思う。だが、こうした背景がある中では、円高・株安の悪循環からはいかんとも抜け出しがたい。円高是正が期待できない以上、日本は内需を軸に経済を持ち直さざるを得ない状況に追いこまれている。
内需創造という観点で言うと、安倍首相は金融緩和、財政政策、構造改革の三本の矢で国内需要創造へとフォーカスしており、その方向性は間違っていない。安倍政権が外国投資家の納得できる内需拡大シナリオを構築できれば、円高・株安のサイクルを止めることにもつながるだろう。
現在、日本の株式取引の約7割を占めているのが外国投資家だが、彼らは日本株を買うときには同時に円を売る。なぜなら、日本株を買っても円安になれば利益が相殺されてしまうからだ。逆に、日本株から撤退するときには円を買い戻す。だから、株安は円高につながる。
したがって、外国投資家が日本株の売却を踏みとどまるような根拠を示すことができれば、株売りが止まり、円高も止まる。逆に外国投資家が納得するような自律的な経済拡大のシナリオを描けなければ、際限のない円高・株安の悪循環に陥るだろう。
■「第三の矢」に求められる方向性
手っ取り早くできる経済対策は財政出動だ。消費増税も延期されるべきだろう。加えて決定的に大事なのが、国民の保有する資産のシフトによる経済活性化だ。国民の金融資産は現金・預金・国債といった安全資産に眠っている。安全資産と言えば聞こえはよいが、これらはキャッシュフローを生み出さず、需要を何も生まない。
このいびつな構造に日本の経済活力が低い原因がある。タンスに寝ている資金を有効に使う手段はいろいろある。企業が賃金を上げるのも有効だし、配当を増やしたり、自社株買いをしたりするのもよい。企業が遊ばせている資金を有効に使えば、株主や家計の収入が増えて、結果として需要創造につながる。
さらに中長期的には、国民がおカネを使える環境を提供する必要がある。たとえば、保育所、託児所などを作ればお母さんが働けるようになり、託児所などにもおカネが入る。遊んでいる労働力、遊んでいる資本、満たされない欲求の3つを組み合わせれば自然に需要が生まれてくる。これらのマッチングが安倍政権の三本目の矢である構造改革でやらなければならないことだ。
(構成)渡辺 拓未
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民107掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。