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コンビニの未来は…?
セブンの鈴木会長が辞任。コンビニが日本にもたらした功罪〈dot.〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160420-00000005-sasahi-bus_all
dot. 4月20日(水)11時35分配信
セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者がグループの経営から退くことになった。鈴木氏は、コンビニというビジネスモデルを確立した名経営者だが、最後は人事の混乱に対する責任を取る形となった。鈴木氏の辞任によって、日本における流通ビジネスは大きな転換点を迎える可能性が高い。
日本においてなぜコンビニがこれほど普及したのかについては、様々な見解があるが、日本の豊かさと市場の成熟度に大きく関係している。コンビニがもたらした功罪について理解するためには、歴史的・俯瞰的な視点が欠かせない。
●かつてセブンは他社と同様、大型スーパーとしての理想を追求していた
セブン・グループは今でこそコンビニを主力業態とする流通企業だが、イオンなど競合他社と同様、当初は大型スーパーを中心とした低価格路線を目指していた。
1960年代、日本でもいわゆる大型スーパーの業態が普及し始めたが、当時の日本はまだ貧しく、商品価格もメーカーが一方的に決める硬直的な市場であった。こうした状態に風穴を開け、大量調達によって安い商品を消費者に提供するというコンセプトを掲げて急成長したのが、イオン(旧ジャスコ)であり、ダイエー(現イオン)であり、セブン(旧イトーヨーカ堂)だった。当時、こうした試みは「流通革命」と呼ばれており、各社は米国を代表する大型スーパー「ウォルマート」のような業態を目指していた。
ウォルマートは圧倒的な購買力を生かし、大幅な安値で製品を調達。店内には驚くような安値商品が並ぶ。こうしたウォルマートのビジネスに対しては批判もあるが、圧倒的な安値で商品を提供することで、主に低所得者層の生活水準向上に寄与してきたのも事実である。日本でも同様の大型店舗を展開し、圧倒的な調達力を背景に、安い価格で消費者に商品を提供しようというのが流通各社の理想だったのである。
だが日本の場合、米国と同じような展開にはならなかった。
日本では大規模小売店舗立地法(いわゆる大店法)の規制があり、米国型の大型店舗の出店が難しかったのである。スーパー各社の中で、大型店舗による安値販売という理想に見切りを付け、コンビニという小型店舗による定価販売路線にいち早く切り替えたのがセブンであった。
●利便性と価格の高さはどちらが優先か?
コンビニは店舗の規模が小さく収益性が低い。こうした業態で十分な利益を上げるには、安値販売の理想は捨てなければならない。また、フランチャイズ制度を導入することで、店舗運営のリスクをフランチャイジーに負担してもらう仕組みも必要となる。こうして現在のコンビニの運営形態が形作られてきた。
定価販売は消費者にとって高い買い物となるが、事業者にとってはメリットが大きい。各社の中でセブンが突出した業績を維持することができたのは、大型スーパーに見切りを付け、コンビニに舵を切ったことが大きく寄与している。こうした路線転換の立役者が鈴木氏というわけである。
コンビニは日本の隅々まで店舗網を拡大し、生活になくてはならないインフラとなった。一方、日本では大型スーパーが十分に発達しなかったため、消費者はかなり高い買い物を強いられてきた。コンビニのフランチャイズオーナーが厳しい運営を強いられてきたのも事実である。
だが、どのような形態が理想的なのかという論争に決着が付く前に、国内市場は人口の減少が顕著となってしまった。コンビニという業態ですら、場所によっては存続が難しくなりつつある。流通業界には、時代に合った新しい業態が求められており、そのようなタイミングで鈴木氏が退任を迫られたというのは、歴史的に見れば、一種の必然ということなのかもしれない。(文・評論家 加谷 珪一)
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