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年金運用の内訳
国の年金運用で5兆円損失、「失敗だ!」批判は間違いである…年金危機説のウソ
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14779.html
2016.04.20 文=大江英樹/オフィス・リベルタス代表 Business Journal
■こんなに損を出すなんて!
先日、公的年金の資産を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の2015年度の損失が約4兆7000億円に上るとの数字を、民進党が党独自の試算として公表しました。この報道を見て、「年金運用は失敗した」「消えた年金の二の舞だ」といった具合に騒いでいる人たちがいますが、はっきりいってこれはかなり的外れなコメントです。
15年度の年金運用について実際の結果はまだ出ていませんが、損失が出ていることは恐らくそのとおりでしょう。民進党の試算が正しいかどうかはわかりませんが、市場の状況から見て5兆円近い損失が出ていたとしても不思議ではありません。
ところが、前年の14年度はどうだったかといえば、約15兆円の利益が出ています。年金の運用というのは非常に長期にわたるものですし、運用対象も国内外の株式や債券に分散投資をしているわけですから、当然資産全体は増えたり減ったりします。これは運用途中における評価益であり、評価損ということです。利益が出ているからといって「成功した!」と喜ぶこともありませんし、損失が出ているから「失敗した!」と決めつけることもないのです。
■公的年金はどうやって運用されているのか?
現在、公的年金の積立金残高は昨年末現在で、139兆8,249億円あります。その運用の内訳ですが、図のようになっています。
運用比率が最も高いのは国内債券で約37%、次いで国内株式と外国株式が約23%ずつ、外国債券が約13%程度という構成になっています。最近、運用改革ということで内外の株式比率を高めてきている中で年初からの株価の下げが影響して、現時点では評価損になっているということでしょう。
GPIFの運用は、その時々の相場観で機敏に株の売買をやっているというよりも、運用方針を決めて一定の割合の資産比率を決めたら、その割合を維持するという方向で運用されています。ですから、国内株式が大きく上がるとその分を売却して比率が減少した他の資産を買い付ける、といったいわゆる“リバランス”を定期的にやっています。なんら恣意的に運用しているわけではありません。
06年に国内株式が大幅に上昇した時に、民放の某ニュースキャスターが「こんなに株式が上向いている時に株式を売るなんて、国の年金はどうかしてますよねえ」とコメントしていました。その同じキャスターは08年のリーマンショック後にGPIFが株式を買い増しした時、「こんなに株が下がっているのに危険な株に投資するなんて、私たちの年金は大丈夫でしょうか?」とコメントしました。なんのことはない、これはGPIFが機械的にリバランスしているだけなのです。
マスコミは株が下がって評価損が出ている時は大々的に報道するのに、上がって評価益が出ている時は一切報道しません。「下がって大変だ、大変だ!」というニュアンスのほうがニュースになりやすいからなのでしょう。
■年金はそれほど不安定なわけではない
みなさんは、先ほど説明した公的年金の積立金残高約140兆円は一体何に使うお金だと思っていますか?
「そりゃ年金の支払いに使うにきまってるじゃないか」
こう考えた方が多いと思います。しかし、実際は少し違います。企業年金は確かに積立金を運用してその資産から将来、年金を支給します。ところが公的年金というのは賦課方式といって、毎年の年金保険料の払い込みを毎年の年金の支給原資に充てているのです。つまり単年度決済です。年によってはプラスの時もあればマイナスの時もある。プラスになれば、この年金積立金特別会計140兆円に繰り入れますし、もしマイナスの年があれば、この積立金から取り崩します。
つまり今ある140兆円はどこからか降ってわいたものではなく、今まで払う人のほうがもらう人より多かったので、「余ったお金」を積み立てて運用した結果がこの140兆円になっているのです。今後は少子高齢化で毎年マイナスの傾向が続くと予想されますので、恐らくはこの積立金を取り崩すことが増えると思います。
しかし、年金の原資はこの積立金ではなく、これはあくまでも貯金です。少子高齢化対策としては保険料を上げたり、支給額を下げたり、支給開始時期を遅らせたりと、色々なことをすでに講じています。
いろいろ問題はあるものの、私は日本の公的年金の運用自体は非常に健全だと思っています。年金は制度自体が万全であるとは思いませんが、少なくとも運用に関しては問題があるとは思えません。
しかし、公的年金が健全だと具合の悪い人たちがいます。年金不安を煽らないと自分達の金融商品を買ってもらえなくなる金融機関であり、その金融機関から大量の広告をもらっているマスコミです。ここで紹介している数字はGPIFのホームページにアクセスすれば、誰でも見ることができます。自分自身の目で公的年金運用の実態を確認してご覧になることを、ぜひオススメしたいと思います。
(文=大江英樹/オフィス・リベルタス代表)
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