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セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長(ロイター/アフロ)
セブン&アイ鈴木会長の横暴…際立つ好業績で交代理由ゼロのセブンイレブン社長解任を画策!
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14756.html
2016.04.18 文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント Business Journal
セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が、次の株主総会で辞任すると表明した。鈴木会長はセブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長を交代させる人事案を取締役会に諮ったが、否決されたことを受けて退任を決意した。
鈴木氏は記者会見で、役員会での井阪氏の発言が「(セブン-イレブンの運営を)いかにも1人でやってきたかというような発言だった」と憤りの言葉を述べた。今回の人事案が通らなかった理由については、「7年間最高益を続けた社長を辞めさせることは、世間の常識が許さないという一点のみ」と説明した。
だが、人事案が否決された理由はほかにも指摘されている。
たとえば、大株主である米ヘッジファンドのサード・ポイントは、鈴木氏が自身の次男を後継者にしようとしていることを懸念し、人事案が否決されるよう動いたとの情報がある。また、創業家の伊藤雅俊名誉会長や、幾人かの社外取締役が鈴木氏の暴走に歯止めをかけたとの見方もある。
最終的に引き金となった理由が何かは不明だが、さまざまな思惑が複雑に絡まった末の退任表明劇なのかもしれない。鈴木氏には、言いたくても言えないこともあるだろう。また、真実ではないことが報道されている可能性もある。
■セブン-イレブンの過去5年の実績
鈴木氏は「世間の常識が許さない」と語っていたが、井阪氏の交代は世間が認めないのだろうか。セブン-イレブンが公表しているデータなどを使って、数値面で判断してみたい。結果のすべてが井阪氏の功罪ではないが、最大の責任者であることは間違いない。
まずは、自営店売上高と加盟店売上高を合わせたチェーン全店売上高を見てみる。
セブン-イレブンの15年2月期のチェーン全店売上高は4兆82億円となった。11年は2兆9476億円、12年は3兆2805億円、13年は3兆5084億円、14年は3兆7812億円と右肩上がりで推移している。
セブン-イレブンと他店のチェーン全店売上高比較
競合のローソン、ファミリーマートと比較してみると、ローソンの15年2月期のチェーン全店売上高は1兆9327億円、ファミリーマートは1兆8601億円となっている。
ここでは、絶対額以上に増加率のほうが重要な指標となるだろう。11年2月期と比較した、セブン-イレブンの15年2月期の増加率は35.9%、ローソンは14.8%、ファミリーマートは29.1%となっている。セブン-イレブンの増加率が際立って高いことがわかる。この5年で減少したことはなく、一貫して上昇している。
本業の儲けを示す営業利益を見てみる。セブン-イレブンの15年2月期の営業利益は2233億円となった。11年は1691億円、12年は1831億円、13年は1867億円、14年は2127億円と右肩上がりで推移している。
セブン-イレブンと他店の営業利益比較
ローソンの15年2月期の営業利益は609億円、ファミリーマートは404億円となっている。11年2月期と比較した、セブン-イレブンの15年2月期の増加率は32.0%、ローソンは9.7%、ファミリーマートは5.7%となっている。営業利益もセブン-イレブンの増加率が際立って高く、この5年間上昇し続けている。
セブン-イレブンのチェーン全店売上高と営業利益の増加率は、非常に高いことがわかった。経営状況を判断するための指標はこの2つだけではないが、世間が判断する際の代表的な指標といって差し支えはないと確信している。
では、経営状況を鑑みて、社長を交代する必要があったのだろうか。一般論でいえば、特に批判されるべき点も見当たらない井阪氏を解任する合理的な理由はない。つまり、世間の常識で判断する限り、社長解任は無理のある話だったといえるだろう。世間の常識よりも独り善がりの論理を優先させたことで、鈴木氏は自らの首を絞めることになった。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
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