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博多港に寄港した世界最大級のクルーズ船「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」。これほどの巨大客船を受け入れられる港は少ない
「外国人観光客倍増計画」は場当たり的発想だ ホテルは今でも全然足りない
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160417/dms1604170830004-n1.htm
2016.04.17 大前研一のニュース時評 夕刊フジ
政府は先月30日、「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」を開き、訪日外国人観光客数の目標を2020年に現在の2倍の4000万人、30年には3倍の6000万人に増やすことを決めた。数字を言うだけなら、政府もラクなものだ。こんな数字、可能なわけがない。
昨年の訪日外国人観光客数は1974万人だったが、それでもホテルは全然足りなかった。これが3000万人になったら、当然のことながら、“宿泊インフラ”はもうニッチもサッチもいかない。
内閣府によると、都市部にあるシティーホテルの15年の稼働率は全国平均で79・9%で、12年に比べて7・4ポイントも上昇した。訪日外国人の増加がホテルの客室稼働率を押し上げたわけだ。ビジネスホテルでも、まったく足りない状態だ。旅行者を有料で自宅などに泊める「民泊」の活用だけでは追いつかない。
国土交通省は深刻化するホテル不足を解消するため、ホテルの新築や建て替えをする際、同じ敷地面積でもこれまでより大きなホテルを建てられるよう、建物の容積率を緩和する方針を固めた。
だが、そうなると、ホテルを建てると言って容積率を緩和させ、一部をマンションや事務所ビルにして儲けようとする企業も現れるだろう。泥縄のような気がする。
また、観光庁も「通訳案内士」の国家資格がなくても外国人相手に有料観光案内ができるよう、法改正を検討する方針を示した。通訳案内士は、外国語を使って外国人観光客を旅行案内するための資格。全国で約1万9000人にとどまっており、外国人観光客増加に対応するため、規制緩和を求められていた。
しかし、これもしっかりした基準を作って価格も決めておかないと、あとで「法外な値段をとられた」などという騒ぎが生ずる可能性がある。これまた、場当たり的な発想だと思う。
現在、博多港などに4000人も乗った巨大規模の中国発着のクルーズ客船が入港しているが、その人数に対応するためにはバスも100台近く必要になる。三菱ふそうバスやジェイ・バスはバスの生産を増やしているが、まったく調達できない状況だ。
さらに深刻な問題もある。大阪湾岸道路(阪神高速湾岸線)の神戸港に架けられる橋げた下の海面からの高さが約66メートルに設定されたが、これは大型客船入港の妨げにならないよう神戸市などが要望したものだ。クルーズブームで、海面からの高さが60メートルを超える巨大外国客船が続々と登場している。世界最大客船「オアシス・オブ・ザ・シーズ」の公式の高さは65メートルだ。
ところが、日本は工業国家だったから、これまではコンテナ船(貨物船)を中心に喫水を15メートルにすることばかり考えていた。横浜ベイブリッジの高さは約55メートル、レインボーブリッジは約52メートルだ。つまり、これらの橋をくぐれない客船も増えていて、設備の整った大桟橋などに接岸できない。これは、クルーズなどになじみのなかった日本の意外な弱さといえる。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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