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日本家電産業 昔日の覇者が転身中 未来は非家電に
人民網日本語版 2016年04月15日08:19
日本の家電産業が転身の時期を迎えている。東芝は白物家電事業を美的に売却し、シャープは台湾地区の鴻海に買収され、サンヨーはパナソニックとハイアールに分割された。2015年下半期以降、日本の家電メーカーは「厳寒期」に入り、かつての家電市場の覇者たちは事業を切り売りして企業の存続をはかるしかなくなり、日本社会に大きなため息をつかせている。時代のリーダー役から生存の危機まで、わずか数十年のことだ。日本家電メーカーはどのようにして苦境に陥ったのか。未来はどこにあるのか。「環球時報」が伝えた。
▽かつての繁栄はマイクロ電子技術の革新のたまもの
日本家電産業が1980年代に飛躍的な発展を遂げたことは、慶応大学の井村喜代子名誉教授からみれば、「日本のマイクロ電子技術がもたらした必然的な結果」だ。「当時、米国はマイクロ電子技術を主に軍需産業と宇宙開発に利用したが、日本は国民が生活で利用する電化製品と産業機械に利用して、国際市場を急速に獲得していった」という。
中国のテレビがまだ真空管を使用していた頃、日本ではトランジスタの使用が始まっており、集積回路(IC)の開発も行われ、テレビ、ラジオ、ビデオに応用されていった。その後、日本メーカーは大小の家電の開発と製造をすべてカバーするようになった。
電子部品の製造を手がける企業であれば、家電製品を組み立てることはほぼ可能だ。人々は一番初めに電子製品を開発したメーカーの製品を買いたがる。日本の人口は1億人で、国内市場には限界があり、海外に廉価な家電製品を提供するのが、日本メーカーの必然的な選択肢だった。当時、国際社会には電子部品で日本と競争できる企業は少なく、家電製品で日本メーカーと勝負できる企業はさらに少なかった。技術の優位性により、日本家電産業はアジア市場を席巻した。
▽衰退の原因は時代とのずれ
1990年代以降、中国と韓国で製造された家電製品が、低価格や日本製品と大差ない機能で台頭し、日本製品の優位は崩れた。こうして日本家電産業は下り坂にさしかかった。
国外での熾烈な競争が日本家電メーカーの衰退の重要な原因ではあるが、日本の専門家の多くは、「真の問題はやはり日本企業自身にある」との見方を示す。前出の井村教授は、「経営モデルと製品のバージョンアップが世界の流れと合わなくなり、日本の家電メーカーは経営危機に直面するようになった」との見方を示す。
日本の大企業のリーダーは第二次世界大戦後に成人した人が多く、やる気と奉仕の精神に満ちているが、改革革新の力や新しい物事を学習し吸収する力が不足している。彼らの多くが既存のモデルに従うことを好み、世界の流れを理解しよう、新しい物事を学習しようとする人は少ない。50代や60代の上層部でパソコンを使いこなせない人も大勢いる。
日本企業はこれまでずっと「終身雇用」と「年功序列」の雇用スタイルを採用し、1つの会社に退職するまでずっといて、賃金上昇は基本的に年齢に基づくというのが一般的だった。企業は社員の革新や積極性を重視せず、制限することさえあった。上司が部下を率いて業務を完了させるのであり、部下は指示に従うだけでよかった。リーダーの方針決定が正しければみんなが利益を受けるが、決定を誤ればみんなが困った羽目に陥った。
日進月歩の現代にあって、日本企業はこれまでのやり方にとどまり、革新が不足している。その結果は容易に想像できる。
▽未来は家電以外にある
日本企業の多くは生き残りをかけて事業の一部を売却し始めており、資力と勢力を優勢産業に集中させてこれを守り抜き、難関を乗り越えようとしている。家電事業を素早く切り離した後、日立、パナソニック、NECなどのメーカーはモデル転換を達成した。
日立は09年に危機に直面すると、事業を調整して社会インフラと情報技術(IT)の融合に活路を見いだした。日立ブランド・コミュニケーション本部の溝口健一郎宣伝部長は、「日立は発電、鉄道、通信の分野での製造に強みがあり、IT分野でも長年の蓄積がある。両者の融合により、たとえば同じ鉄道プロジェクトであっても、日立は車両と信号設備だけでなく、運営コントロールシステムも提供できる」と話す。両者の融合の道を歩み始めた日立は、英国で1兆円規模の鉄道プロジェクトを獲得している。
パナソニックはここ数年、自動車部品、住宅設備などへの投資を拡大している。東京にあるショールームをのぞくと、パナソニックがITの利用に一層の力を入れていることがわかる。室内のエアコン、加湿器、音響設備が1つのシステムを形成し、スマートホームがうち出されている。理美容家電など小型家電の開発も行い、洗濯機やテレビといった大型家電の空白を埋めている。
東芝の上層部は、「2016年以降、東芝は事業を半導体、発電、エレベーターの3分野に集中させる」と話す。家電と医療事業を切り離し、身軽になって新たな戦いに挑むという。
日立は融合の道を歩み始めた後の15年に、ここ数年で最高の利益を上げた。パナソニックは家電事業が日本と欧米で成功を収め、今後は発展のため、新たに開拓した自動車と電気機械システムなどの分野に力を入れるという。東芝はエレベーター事業とメモリチップ製造で利益を確保しており、長期的には電力分野の開拓で発展をはかるとみられる。
今後、家の中にある日本製電化製品はますます少なくなるとみられるが、パナソニックや東芝などの日本ブランドが消滅することはあり得ない。こうしたブランドは家電以外に新たな生存の空間や利益獲得の可能性を見いだしたのだ。(編集KS)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0415/c94476-9044784.html
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