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柳井氏「市場はシビア」
ユニクロ値上げ、失敗認める
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が日本経済新聞の取材に応じ、カジュアル衣料品店「ユニクロ」で2015年まで2年連続で実施した値上げについて「通用しなかった」と語った。戦略ミスと認め、即座に値下げを実施。事業拡大とともに大企業病に陥っていることへの危機感もあらわにした。国内衣料品最大手の価格戦略転換は、物価上昇による成長を期待する国内景気にも影響を与えそうだ。
「値上げした商品が評価されなかった。市場は非常にシビアで、そこで値上げしてしまったことがよくなかった。僕らが考えているよりも消費者の状況はもっと悪い」
ユニクロは為替変動などを背景に14年に5%、15年に10%の値上げを実施した。付加価値分を適正に価格に反映するという考え方は大切。値上げを我慢してしまうのは小売業のわがまま。下請け会社などにしわ寄せがでるのできちんと値上げをする判断は必要だ――。値上げの背景にあったのが、こうした考えだ。
しかし、15年9月〜16年2月期の国内既存店客数は6.3%減った。戻らない客足を受け、定番品など一部商品を300〜1000円程度値下げした。商品タグ変更が追いつかないなかでも、スピードが重要と実施に踏み切った。
「今は価格も、品質も、ファッションも全部でリーダーシップがないと売れない。ユニクロはどのくらいの価格の商品を売る店なのか、ぼやけていた」
柳井会長はリーダーシップとの言葉を使い、消費者の目が厳しいなか、商品の質に見合った価格が重要であると語る。値上げに見合う付加価値を提供できていなかったとの悔しさがにじむ。
「かつては1990円、2990円というわかりやすいプライスでやってきた。値上げで2490円など中途半端な価格が増えたこともよくなかった。1990円、2990円など単純明快な価格に戻す」
「今までの週末限定をせず、値引きなしで売って粗利益率を保つ。(セールは)ゴールデンウイークや入社式、年末など売れるシーズンに限定する」
これまで4日間程度実施していた週末限定のセールを大幅に抑制することで、値下げの原資を確保する。いつ来店しても安いという価格を実現し、ユニクロの成長力の源泉である割安感を改めて重視していく。
「(15年9月〜16年2月期の)今上期は成長でなく、膨張だった。みんなが自分の部署のことだけをみて『部署最適』を求めて、経営者感覚を持てず大きな変化についていけなかった」
「その芽は14年もあったが、たまたま寒かったので売り上げが増えた。14年ができすぎで同じ感覚でやった(暖冬だった)15年は粗利の低下と経費の増加につながった」
ファストリの15年9月〜16年2月期は純利益が470億円と前年同期比55%落ち込んだ。16年8月期通期は2年ぶりの最終減益となる見通し。柳井会長は相当前から社内に停滞感があったとし、トップの自分がそれを引き締めることができなかったと語る。
「組織を大きく変える」
ユニクロの社内組織はこれまで、企画や販売などの部門にトップ、中間管理職、部下の三角形の組織だった。これを5〜6人程度の小さなチームを多数つくり、プロジェクトごとに経費管理から人材育成まで責任を負う組織へと改める。重視する「経営者感覚」を社員が持てる環境を整える。
「ブランドが違っても、仕事への基本的な態度や価値観は変わらない。買収した企業についても現地経営者に任せず、全部自分たちでやるようにする」
今後の成長源である海外市場についても、M&A(合併・買収)後の統合方針を改める。12年末に買収し、赤字が続く米高級ジーンズ「Jブランド」のテコ入れへ、すでにファストリから経営陣を送り込んでいることを明らかにした。
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「経済の好循環」暗雲
生活財や外食などで、ここにきて消費者の低価格への関心が高まっているとの声は多い。
吉野家は6日、4年ぶりに豚丼の販売を再開した。牛丼並盛りの380円に対し、価格は330円。吉野家は材料の高騰を理由に2014年末に実施した値上げ以降、客足の回復が鈍い。節約志向に沿った商品を投入し、反転を狙う。
価格引き下げそのものは、消費者にとって歓迎すべきことだろう。ただ、値上げに代表されるデフレ脱却によって企業業績が改善し、賃金が増え、消費が伸びるという「経済の好循環」には暗雲が垂れ込めることになる。
すでに妥結した大手企業の今春の労使交渉では、3年連続のベースアップ(ベア)実施となるものの、15年ほどの勢いはない。国内の消費環境は「決してよくなく、むしろわるい」(ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長)なかで、価格戦略の重要性がより高まっている。
[日経新聞4月13日朝刊P.3]
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