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ファーストリテイリング会長兼社長 柳井正 やない・ただし/1949年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。ジャスコ(現イオン)を経て父が創業した小郡商事(現ファーストリテイリング)へ。84年社長。フリースやヒートテックで旋風を巻き起こす。2002年にいったん社長を退くも05年に復帰。会長と兼務(撮影/大嶋千尋)
「それをしなければ生き残れない」ユニクロ柳井社長が語る経営戦略〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160414-00000000-sasahi-bus_all
AERA 2016年4月11日号より抜粋
「名経営者」と言われる人たちには独自の経営哲学がある。ユニクロでおなじみ、ファーストリテイリングの柳井正社長の場合は、独自のグローバル戦略があった。
ずっと本気で「世界一になる」と言い続けてきた。
25年前、社名を「小郡(おごおり)商事」から「ファーストリテイリング」に変え、これから全国展開という段階で、「GAPを超える会社になる」と宣言。周囲の失笑を買ったが、本人は真顔だった。
それがいま。時価総額で目標だったGAPを抜き、2015年8月期の売上高は1兆6千億円。ZARAを展開するインディテックス(2兆4千億円=15年)、H&M(2兆1千億円=14年)、GAP(1兆9千億円=15年)に次ぐ世界4位につけ、「アパレル世界一」を視野に捕らえた。20年には売上高を5兆円にするという。
成長の原動力となったのが、独自のグローバル戦略だ。
ユニクロ海外進出の第一歩として01年にイギリス・ロンドンに出店して以来、17カ国・地域に進出。15 年11月時点で海外店舗は864となり国内844店舗を上回った。グループ全体の売上高に占める海外事業の割合は35%。日本のアパレルでこの比率はダントツだ。それでも柳井は言う。
「グローバル化は全然足りていません。我々の企業だけではなく、日本の企業、日本人全体の問題ですけど、どこかでグローバル化を避けて通れると思っているんじゃないでしょうか」
柳井にとってグローバル化とは、「必然であり、それをしなければ生き残れないもの」。そこまで強い危機感を持つのは、国内市場の縮小を目の当たりにしてきたからだ。
同社が急成長したこの四半世紀は、国内のアパレル市場の規模がピーク時の15兆円から3分の2の10兆円に縮小した時期と重なる。ユニクロの登場で衣料品の価格が下がった側面もあるが、人口減少で、需要そのものの縮小は避けられない。
もう一つ、柳井が強く意識するのは、LCC(格安航空会社)やスマートフォンの普及による「国境と情報のボーダーレス化」だ。それが消費者の意識や行動にもたらす変化を、身をもって感じてきた。著書『経営者になるためのノート』で指摘する。
「自分たちが一年中、自分たちの商品やサービスのことばかり考えている間に、お客様は世界中のいろいろな商品やサービスを研究され、体験されています。今の世の中、本当に基準が高くないといつ振り落とされるかわからない時代になっています」
柳井が指摘する事象は決して目新しくはない。しかし、その言葉の端々ににじむのは、「あなたは現実を『知っている』のではなく、『知っているつもり』なだけではないのか」という問いかけだ。(アエラ編集部)
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