http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/401.html
Tweet |
マイナス金利下の資金調達
(上)「ゼロ%の岩盤」厚く 広がり欠く低利調達の恩恵
日銀によるマイナス金利政策の導入を受け、企業がより有利な資金調達を模索している。調達金利は低下傾向にあるものの、「ゼロ%の岩盤」は厚く、マイナス金利で調達できた例はほとんどない。長めの金利も低下するなかで、より長期の資金にシフトする動きが出ている半面、設備投資の拡大などにつながるかどうかは未知数だ。
「融資の基準金利がマイナスになった場合でも変動金利がゼロ未満にならない条件にさせてください」。取引銀行から相次いでこんな要請が舞い込み、三井不動産の財務担当者は「対応に苦慮している」という。銀行にとっての調達金利にあたる預金金利をマイナスにするのは非現実的なので企業に融資する金利もマイナスにはできない、というのが銀行側のロジックだ。
資金需要が多いノンバンクをはじめ幅広い企業が、銀行から同様の要請を受けているようだ。三井不は結局、銀行の融資基準の落ち着きどころが見えてくるまでは変動金利の融資は借り換えないで、短期社債のコマーシャルペーパー(CP)の発行でつなぐことにした。
マイナス金利政策の導入後、CPの金利は急低下(価格は上昇)し、3月28日に三井住友ファイナンス&リースが初めてマイナス金利で発行した。だが、マイナス発行はこの1件だけで現時点ではむしろ例外。アサヒグループホールディングスやNTTファイナンスなどの優良企業のCPでも発行金利はゼロ%が下限となっている。
背景には日銀の金融政策がある。日銀は量的緩和の一環としてCPの買い入れオペ(公開市場操作)を実施している。マイナス金利政策の影響で日銀がCPを買い入れる際も金利もマイナス圏に落ち込み、この見合いで企業はCPのマイナス発行が可能になった。
ただ、日銀のCP買い入れ額には上限があり、にわかにすべてのCPの発行金利をマイナスにするほどの影響力はない。また、日銀は3月28日のオペでは突如、買い入れ金利に下限を設定した。同金利が急低下したことに対応したものだが、この措置を受けてCP市場では「金利はどんどん下がる」という見方は後退し、マイナス金利で発行できる雰囲気ではなくなったという。
銀行勢の動向もCP金利をマイナス圏まで下がりにくくしている。CPの売買では存在感の大きい銀行勢だが、「不用意に買い進んでマイナス金利をつけてしまうと、融資条件に跳ね返りかねない」(短資会社)として、思い切った取引は手控えているとされる。
「マイナス金利になっても借り入れ条件は改善されないね」。ある上場バイオベンチャーの幹部は嘆く。研究開発や設備投資向けに資金需要は旺盛で、有利な融資なら喉から手が出るほど欲しい。しかし、直近決算が先行投資の負担で赤字だったのを理由に、取引銀行は融資条件の緩和に及び腰だ。
実際、中小企業向けの融資条件の基準となることが多い短期プライムレートはマイナス金利導入後も低下していない。「マイナス金利」の恩恵が中小まで含めた日本企業全体に広がる道筋はまだみえてこない。
[日経新聞4月8日朝刊P.15]
- マイナス金利下の資金調達(下)融資・社債、長期化急速に 国内投資への波及は不透明 あっしら 2016/4/11 03:22:45
(0)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民107掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。