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[ポジション]「米株高=円安」崩れた法則
海外マネー、円売りに向かわず 緩和期待、日欧から米へ
円相場が経験則と異なる動きをみせている。従来は米国株高など「リスクオン」の局面ではドルのほか、新興国株や商品などが買われる一方、安全資産とされる円は売られるケースが多かった。ところが最近は米株高でリスク資産が広く買われているにもかかわらず、海外投機筋の円売りは鳴りを潜めており、相場の潮目は変わったとの声が増えている。
「海外投機筋からの円売り注文はめっきり入らなくなりました」。外国為替ディーラーの間でこうした声が増えている。米国株や経済指標、要人発言……。どんな材料があっても投機筋からのまとまった円売り・ドル買い注文がこないという。
特にこの1カ月はその傾向が強まっており、4日も前週末の米株上昇にもかかわらず、円は一時1ドル=111円台前半と1円近く円高・ドル安が進んだ。シカゴ市場の投機筋の円売り残高をみると、約3万枚(約3800億円)と昨年の平均の3分の1にとどまる。
目新しいのは円相場が海外の金融市場と連動しなくなってきた点だ。従来は米株高など「リスクオン」の雰囲気が強まれば、円が売られ、反対に金融市場が不安に包まれれば円が買われていた。ところが、最近は米国株が上昇しても円売りがいっこうに出てこない。米低格付け債や新興国債券などは買われており、円相場だけが特異な動きをしている。
金融市場の“緩和”期待の受け皿が日欧から米国に移ったことが底流にある。欧州中央銀行(ECB)はマイナス金利政策の限界を示唆し、日銀のマイナス金利も国民や金融機関の評判が高くない。「物価が上がらなければ追加緩和」という観測が薄れ、「円を売っても大幅に利益を上げられるという期待が薄れてしまった」(JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏)。
“緩和”期待は利上げを探る米連邦準備理事会(FRB)の方にむしろ向かっている。FRBは3月に今年の利上げ見通しを4回から2回に引き下げた。新興国景気の減速や金融市場の動揺で、利上げのペースが遅れている。市場ではFRBは利上げを急がないという認識がほぼ共有され、今年は1回にとどまるとの予想が多い。市場が不安定なら来年にずれ込むとの声もある。
昨年までは「先進国で唯一の利上げ通貨」としてドルが買われてきたが、その反動が強まっている。かたや日銀の追加緩和は難しいとの見方が広がる。日米の金融政策への期待は昨年までと逆転したかたちで、投機筋が円売りに妙味を感じなくなっている。
このため米国株高で投資家心理が改善しても、円売りが誘発されなくなった。円相場の先行きを予想する通貨オプション市場でも、円安が進むことを見込んだ取引は細っている。
日本株はそのあおりを受け、世界的な株高の波に乗り切れていない。海外投資家は3月第4週まで12週連続で日本株を売り越した。4日の日経平均株価は5日続落し、1万6123円と1カ月ぶりの安値を付けた。
ただ、米国の今年の利上げ回数に関する市場予想が1回に減少し、利上げペースが緩やかになるとの“緩和”期待も限界に近づきつつある。米市場に広がる楽観論には危うさも伴い、海外発でもう一段の円高・日本株安が進むリスクもちらついている。
(後藤達也)
[日経新聞4月5日朝刊P.17]
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