http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/382.html
Tweet |
脱デフレ、長期戦に 日銀異次元緩和4年目へ
マイナス金利、効果に時間
日銀の量的・質的金融緩和(異次元緩和)が4日で4年目に入り、デフレとの闘いは長期戦となってきた。企業の利益は2015年度に過去最高になったもようだが、景気の先行きへの不安から設備投資や賃上げにつながっていない。アベノミクスの好循環の起点である円安・株高基調も揺らぐ。日銀が導入に踏み切ったマイナス金利政策の効果も未知数だ。
日銀は出口の見えない政策運営を強いられている(3月、記者会見する黒田総裁)
「必要な場合には量・質・金利の3つの次元で、追加的な金融緩和措置を講じる」。日銀の黒田東彦総裁は3月15日の記者会見で、デフレ脱却のためには追加策をいとわない覚悟を表明した。
量的・質的金融緩和の導入から4日でちょうど3年。当初2年で実現すると約束した物価2%上昇はいまだ達成できず、出口の見えない政策運営を強いられている。
導入当初は円安・株高が進み、生鮮食品を除いた消費者物価指数(CPI)の上昇率も1%台半ばまで高まった。だが最近の物価上昇率はゼロ近くにとどまり、企業も家計も物価はあまり上がらないと感じ始めている。
海外が誤算
誤算の大きな原因は海外経済だ。原油安で物価が上がりにくいだけでなく、中国経済の減速で世界経済が成長のエンジンを失うとの懸念が広がっている。金融政策の正常化を進めるはずだった米国も利上げペースを緩めざるを得ない状況だ。
この結果「異次元緩和の最大の波及経路」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二氏)だった円安にブレーキがかかり、日本企業の先行きへの警戒が強まっている。日銀が1日発表した企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感が異次元緩和の導入直後の水準に逆戻りしてしまった。
景況感の悪化は非製造業や中小企業にも及ぶ。国内需要も落ち込んでいる可能性があり「堅調とみてきた国内経済も危うい」(日銀幹部)との危機感が強まっている。
「経営環境の潮目が変わった」(トヨタ自動車の豊田章男社長)。企業は設備投資や賃上げに及び腰で、景気の好循環には黄信号がともった。
「欧州中央銀行(ECB)はマイナス0.4%だ」。黒田総裁は政策金利がマイナス0.1%の日銀にはまだ金利の下げ余地があると強調する。デフレとの闘いが長期戦になるのを見据え、緩和限界論を振り払おうとしている。
副作用の影
マイナス金利政策で10年物国債の利回りがマイナスに転じるなど金利は大きく下がった。企業への貸出金利や住宅ローン金利もじりじり低下しており、日銀は「時間はかかっても緩和効果は必ず出てくる」(別の幹部)と強気を崩していない。
もっとも貯蓄の多い高齢者や金融機関に不人気なマイナス金利政策をどこまで進めるかは微妙だ。海外経済の低迷が長引けば、17年度前半ごろとみている日銀の物価2%目標の達成の先延ばしは避けられない。不動産価格の上昇や国債バブルなど金融緩和の副作用が懸念されるなか、日銀だけに頼らない成長力の強化が課題になる。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------
【30点】物価上昇に効果なかった
早川英男・富士通総研エグゼクティブ・フェロー(元日銀理事) 過去3年の日銀の政策は30点だ。過度な円高を是正する転機になったが、物価を継続的に押し上げる効果はなかった。効果の得られない実験を続ける意味はない。量的・質的緩和はここまで続けるべきではなかった。
一方、マイナス金利政策では効果と副作用を点検していく必要がある。ただサプライズを伴う導入の仕方が悪かった。預金を多く持つ高齢者層の不安や金融機関が日銀に持つ不信感を増大させた。
日銀が物価目標を達成するには民間企業が賃上げに積極的になることが必須。安倍政権のように労使交渉に介入し、賃上げを要請するのが有効だ。民間企業が今後どう応えるかが、日銀の物価目標達成のカギを握る。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------
【85点】円安促しGDP引き上げ
嶋中雄二・三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所所長 この3年間を総合的に評価すれば85点だ。日銀が供給するお金の総額にあたるマネタリーベースの量を大幅に増やし、為替相場を大きく円安に動かした。円安は輸出増や訪日外国人の増加などを通じ、名目国内総生産(GDP)を引き上げた。
量的・質的金融緩和の開始から1年強で生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比は1.5%前後まで上昇するなど、当初は期待以上の効果を上げた。ただその後は原油急落の逆風が吹いた。これがなければ2%の物価目標も達成できたはずだ。
一方、日銀が新たに導入したマイナス金利政策は銀行収益圧迫への懸念から株安をもたらしてしまった。今の時点でマイナス金利の幅をさらに広げるのは得策でない。
[日経新聞4月4日朝刊P.3]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民107掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。