Business | 2016年 04月 8日 09:23 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 経常黒字、2月としては08年以来の2兆円台 市場予想も上回る[東京 8日 ロイター] - 海外とのモノやサービス、投資などの取引状況を示す2月の経常収支は2兆4349億円の黒字となった。前年同月に比べて9476億円増え、ロイターが民間調査機関に行った事前調査の予測中央値(2兆0060億円程度の黒字)も上回った。2014年7月から20カ月連続で黒字となり、2月としては08年以来の2兆円台を確保した。 財務省が8日発表した。世界的な原油安や訪日外国人の増加で黒字の基調が続いており、潜在的な円高圧力になりそうだ。 原油価格の下落で輸入額が減少する一方、海外から受け取る特許使用料や配当収入は高い水準を維持した。貿易・サービス収支は5846億円、第1次所得収支は2兆0451億円と、ともに黒字だった。 http://jp.reuters.com/article/feb-current-balance-idJPKCN0X500S Business | 2016年 04月 8日 16:31 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス インタビュー:日本株は圧縮継続=あいおいニッセイ同和損保 [東京 8日 ロイター] - あいおいニッセイ同和損保は8日、2016年度の資産運用計画について、円金利資産を運用の軸に据えるとともに、日本株は圧縮する方針を継続することを明らかにした。日銀のマイナス金利導入への対応は、日本国債の投資年限を伸ばすことや、社債などクレジット領域を併せて運用していく考え。 円金利が低いので、一定程度は外債投資を考え分散していく方向だ。ただ、ポートフォリオの構成比を大きく変えるような運用ではないとしている。また、日本株の先行きに不透明感が強まっているため、早めに売却したいとの考えを示した。 同社運用企画部長の藤原尚樹氏がロイターのインタビューに答えた。 <マイナス金利の資産は買わない> 総資産のうち5割強ほどが円金利資産で、3割弱程度が日本株の比率を2016年度も大きく動かすつもりはなく、「円負債に見合う円金利資産を運用の軸に据える方向に変化はない」と藤原氏は話す。ただ、日本国債は中心的な投資対象だが、日銀のマイナス金利導入により、円債金利がさらに下がったことへの対応が必要としており、藤原氏は「長期保有を前提にした投資をしているので、マイナス金利の資産を買うということはやらない。利回りが取れるものを拾っていきたい。日本国債の投資年限を少し伸ばすことや、社債などクレジット領域を併せて運用していく考えにある」という。 <外債投資はヘッジコスト上昇、逆ザヤではない> 外債投資について、藤原氏は「円金利が低いので、一定程度は外債投資を考え分散していきたい。ただ、ポートフォリオの構成比を大きく変えるような運用ではない。償還があるため、再投資していく考えにあり、平準買いで臨む方向にある」と話した。状況を見る必要があるが、過去の投資と比べると、ヘッジコストは上がってはいるが、逆ザヤではないという。 外債の投資対象は「基本的に米国債、ユーロ債、ポンド債など先進国の国債になる。欧米債投資にあたってヘッジコストの比較を行っていく」(藤原氏)としている。 外為市場で円高が進行していることに関しては、藤原氏は「厳しい状況だ。外モノの金利収入が円ベースでは減っていくことになるため、収支的にはマイナス影響がある」という。 <日本株の先行き、不透明感強まっている> 日本株に関して、藤原氏は「中期計画で取り組んでいるので、削減を続ける方針に変わりがない。売却のタイミングについては、株式市場の先行きに不透明感が強まっていることから、前倒しに早めに売却していきたい」と話した。また、藤原氏は「足元のリスクオフや円高で日経平均株価は過度に下がった面があるのではないか」とみている。 日米の金融政策に関して、藤原氏は「日銀の政策判断は足元の相場が為替中心に大きく動いているため、かなり難しい判断が迫られるだろう。米利上げに関しても世界経済の現状を踏まえると、慎重に判断されるのではないか」との考えを示した。 (伊藤武文、竿代真一 編集:内田慎一) http://jp.reuters.com/article/interview-aioinissei-idJPKCN0X50BY?sp=true Column | 2016年 04月 8日 13:19 JST 関連トピックス: トップニュース コラム:ヘリコプターマネー、ECBの選択肢となるか James Saft [7日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は穏やかな口調ながらも財政支出と構造改革の必要を訴える一方で、消費促進や物価押し上げのために国民に直接資金を配る「ヘリコプターマネー」の手法を取るべきだとの見方は否定している。 いずれも検討に値する選択肢であるだけに、こうした正反対の姿勢は注目すべきだ。 ECBの中で何が起きているのかはもちろん分からないが、より伝統的な政策手段に対する彼らの自信が薄らいでいるのは確かなように思われる。 ECBは7日、追加緩和を決めた3月10日の理事会の議事要旨を公表した。そこでは中銀預金金利のさらなる引き下げと資産買い入れ増額の双方について、内部の意見対立があらわになった。特にマイナス金利が銀行のビジネスモデルに及ぼす悪影響には懸念が表明された。 キャピタル・エコノミスクのエコノミスト、ジョナサン・ロインズ氏は調査ノートに「議事要旨でECBの政策手段が枯渇し始めているとの懸念が強まるかもしれない。従って、最終的にはヘリコプターマネーなどのより過激な措置が打ち出される可能性は否定しない」と記した。 ただ7日には2人のECB当局者が、ヘリコプターマネー政策が実施されるとの思惑を打ち消した。 プラート専務理事は現金の直接配布はECBの議題になっていないと発言し、コンスタンシオ副総裁はもっと率直にヘリコプターマネー戦術に触れて「検討課題ではないし、いかなる形の議論もされていない」と述べた。 ECBが積極的に現金の直接配布を検討していないことは本当かもしれない。それでもドラギ総裁が先月、そうした手法を「実に興味深い」と位置付けた点からすると、単なる「与太話」というよりは現実的な選択肢の側面が強まっているようにも見える。 ECBはこれまでの緩和策を実施したことで、何もしなかった場合よりも物価上昇率をおよそ0.5%ポイント押し上げたと評価している。それでも3月のユーロ圏の消費者物価指数は前年比で0.1%下落したという現実を考えなければならない。 現金の直接配布には、金利に基づく金融政策や資産買い入れでは効果を及ぼせないようなところに影響を与えられるので、それなりの妙味を持つ。配られた現金は、資産価格を押し上げる投機バブルに使われるよりも消費に回される割合も多いだろう。同時に、「ただ」の現金はマイナス金利と違って、銀行システムも銀行の収益力も損なわない。 政治面と実務面でヘリコプターマネーには難しい問題があるとはいえ、ECBが大好きな財政刺激拡大と構造改革に比べればやりやすいかもしれない。 労働市場と生産市場をより効率的にしていく取り組みは長期的なプロジェクトだが、いつもECBがもっと歳出を増やして景気を刺激してほしいと要求することで軌道修正を余儀なくされる。 議事要旨では「理事会メンバーは、(欧州連合の)安定成長協定を順守する必要性とともに、協定にうたわれている柔軟性に関する項目を活用すべきだと強調した。財政政策のうちの成長押し上げ効果がより大きい要素が景気回復を支える可能性がある」と記された。 これは、ECBが従来と変わらず弱音を吐いている姿を表しているだけだ。理事会メンバーのビスコ・イタリア中銀総裁は、ECBは「時間を稼ぐ」ことはできでも、財政の後押しなく独自の政策のみで持続的な経済成長を生み出す役割は果たせないと述べている。 改革と財政資金の両方を懇願することは、結果に結びついていないかもしれないものの、公正な態度と言える。ユーロ圏における政策の世界では、税制と財政が中心からすっぽりと抜け落ちているため、金融政策が過度に重視されてしまうことはほとんど避けがたい。 そうした金融政策を続けながら、財政政策の面ではほとんど意味がない労働市場改革をやってみればどうなるか。ユーロ圏が抱える問題は解決に長い時間がかかるし、デフレは自己増殖的に進んでしまう。すると耳を澄ませば、ヘリコプターの爆音が聞こえてきてもおかしくない。 *筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。 http://jp.reuters.com/article/markets-saft-idJPKCN0X509O Column | 2016年 04月 8日 15:51 JST 関連トピックス: トップニュース コラム:忍び寄る中国発「鉄鋼貿易戦争」の影
James Saft [5日 ロイター] - これまでの2016年の象徴、そして今後を占う兆候となる出来事として、今のところ一番相応しいのは、中国が欧州及び一部のアジア諸国からの鉄鋼輸入に対して懲罰的関税を課したことかもしれない。 中国は先週、欧州連合(EU)、日本、韓国の鉄鋼メーカーに対し、14─46%の「反ダンピング」関税を新たに適用すると発表。不公正な貿易により「相当の損害」を被っていると主張している。 この措置には、今年、EUと米国によってさまざまな種類の中国産鉄鋼製品に対して課された関税に対する報復という意味合いが含まれている。 中国は新たな関税のうち最も高い税率を、イギリスでタタ・スチール(TISC.NS)が製造する特殊鋼のために用意している。だがタタ自身も、ある種のパニックに近いものを引き起こしている。イギリスにおける事業を実質的に放棄する意向を発表し、数万人の雇用を支える製造チェーンを脅かしているからだ。 ここで見られる錯綜した流れは、複雑で、おおむね不吉である。経済的な、そして特に政治的なプレッシャーが高まるなか、中国、欧州、米国といったプレイヤーの間で、あえて貿易紛争のリスクを冒そうという気分が高まっているように見えるからだ。 貿易や、実はグローバリゼーションに対する世界的な風潮は、明らかに大きな変化を迎えており、関連する雇用や産業だけでなく、経済成長や資産価値にとっても多くのリスクを生んでいる。 「これが貿易紛争ではないなら、いったい何だと言うのだ」と業界団体UKスチールのディレクター、ガレス・ステイス氏は英デイリーテレグラフ紙に語った。「中国からの輸入品の洪水によって、世界中が文字通り溺れている。もちろん、欧州産の鉄鋼が中国に殺到しているなどという事態は見られない」 中国が競合国から広く批判されているのは、自国の鉄鋼製品を国内市場よりも低価格で輸出する、いわゆるダンピング行為のせいだ。 中国は巨大な鉄鋼産業を築き上げ、現在ではグローバル市場において50%近いシェアを握っている。幹線道路や工場の建設といった鉄鋼大量消費型のプロジェクトへの固定投資よりも、国内の個人消費を育てていく戦略をとりつつ、それが鉄鋼部門に全面的な悪影響を与えるのを回避しようとしている。 これは要するに、成長鈍化と、鉄鋼のような準コモディティ製品に対する需要減少が、中国の雇用を脅かしているという意味だ。 <トランプ台頭の影響> 中国が貿易協定をあまり遵守しないという悪評を得ているのは無理からぬところだが、米国内での貿易をめぐる論調が大きく変化していることに中国が脅威を感じているとしても不思議はない。 米国が中国製の鉄鋼製品に対し、1月にEUが踏み切ったよりもはるかに高い関税を先月課したことは、この問題について大統領選の候補者たちから発せられるノイズを考えれば、特に意外ではない。 共和党の候補として指名される可能性が最も高い不動産王ドナルド・トランプ氏は、党の筋書きを無視して、中国に対する報復的な関税をちらつかせ、この戦術によって、毎週末に好天をもたらすこと以外なら何でも実現すると約束している。 とはいえ、彼が描いた戦略では大統領選に勝利することもできないし、成長率や低所得労働者の雇用の改善にも成功しないだろう。 だが、問題はトランプ氏だけではない。 民主党の指名を獲得する可能性の高いヒラリー・クリントン前国務長官も、トランプ氏の躍進や党内ライバルであるバーニー・サンダース上院議員からの貿易協定批判に押されて、貿易に関する自身の論調を変化させているのだ。 英国ではタタが事業売却の希望を表明したものの、売却先も決まっておらず、現在有効な協定のもとで収益性のある事業運営をする方法も明確ではない。 英国の保守党政権は、より高率の関税をかけることができるようEUにルール変更を求める要求に同調しなかったことで、国内から厳しい批判を浴びている。 保守党のなかでも、少なくともキャメロン首相に代表される勢力は、6月に予定されている国民投票で、EU残留に賛成するよう呼びかけている。 イギリスの産業には構造的なものから周期的なものに至るまでたくさんの弱点があり、そのなかではEUに加盟しているという点はそれほど重要ではないとはいえ、かつての誇り高きイギリスの産業が今や見る影もなくなっているという要素を考えれば、タタ撤退と英政権のEU寄り姿勢という状況は、反EU感情の高まりに容易につながっていくだろう。 要するに、グローバルな貿易システムが不公正であると言いたがる人のリストは、どんどん長く、有力になっているということだ。その結果を予想するのはきわめて難しい。 だが、政治的な良し悪しはともかく、経済的なリスクについてはかなり説明しやすい。 世界銀行のデータによれば、世界の平均的な関税率は、1990年代初頭の40%という高さから、2010年には約6%まで低下してきた。偶然であるとしても、これは世界的なインフレ率が1990年代には30%もあったのが、今日では約3.3%まで下がっているのと軌を一にしている。また、貿易の拡大と貿易障壁の低下に合わせて、金融資産の価値は上昇し、もちろん所得格差も広がってきた。 自由貿易の後退は、こうした傾向をすべて逆転させるものと予想され、同時に経済成長に大きな打撃を与えることになろう。 *筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン) http://jp.reuters.com/article/column-saft-steel-trade-war-idJPKCN0X50FZ
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