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上海の家電売り場(C)日刊ゲンダイ
日本を乗っ取った「中国家電」徹底解剖 <第1回>東芝の白物家電を手に入れた「美的集団」の正体
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/178787
2016年4月5日 日刊ゲンダイ
シャープ本体、そして、東芝の白物家電事業――。日本を代表する電機メーカーが中国・台湾企業に次々、買収される時代がついに現実となった。これはほんの序章にすぎない。世界市場を席巻し始めた中国メーカーの実態は? この先どこまで成長するのか。
3月30日、東芝の白物家電売却が世界シェア2位(台数ベース)の中国家電大手「美的(ミデア)集団」との間で最終合意に達した。売却金額はたったの537億円。日本の家電業界は「あまりに安い買い物だ」とア然だ。この美的という家電メーカーは、いったいどんな企業なのか。
「特色ある会社というイメージはありません。とにかく商品が多すぎるんです」
上海の会社員・沈紅さんは、美的についてこう語る。彼女が言うとおり、美的は商品こそ豊富なラインアップを誇るが、これといった技術がなく、「企業の顔となる商品を持たない」のが逆に特色だ。
もともとプラスチック製の瓶のフタを製造していたが、1980年に家電に本格参入すると、わずか20年で「1000億元企業(1元=当時約13円)」に成長した。発展のカギとなったのは、製品力ではなく営業力だ。売り上げを激しく競わせる企業風土は有名。2010年ごろの美的全盛期の記事からは〈社内では開発部よりも営業部の発言権が強い〉〈営業担当者の給料は相場の5倍〉など、「売ってナンボ」の社風が浮かび上がる。
しかし、“営業至上主義”の功罪か、その後、製品事故が相次ぎ、消費者からのクレームが殺到した。有害物質が混入しているとの疑いから「自殺鍋」と呼ばれた製品もあった。
高速発展と規模拡張に邁進した美的は10年をピークに、迷走を始める。上り一本調子が狂い始めた11年、一大リストラに着手。翌年には創業者の何享健氏に代わって、方洪波氏が董事長(会長)の座に就いた。
「課題は、長年染み付いた考え方やビジネスモデルの改革にある」
上海の大学教授がこう指摘するように、美的の体質改善は待ったなしだ。方洪波氏は最近、中国の経済紙(「第一財経日報」)に、「過去5年で工場用地の取得はゼロ。その分の資金は開発につぎ込んだ」と話している。美的はようやく研究開発に本腰を入れ始めた。そんな矢先の「東芝買収」だった。
中国国務院は昨年、今後の“ものづくり戦略”である「中国製造2025」を発表した。これによると「10年後に日本やドイツを追い越す」という。ただし、肝となるイノベーションが中国にはない。日系技術コンサルタントも「自社で設計図を引けない企業があまりに多い」と嘆くほど。そんな中国企業が「コア技術」を補うには「買収」しかないというわけだ。
昨年、海信(ハイセンス)がシャープのメキシコ工場を、創維(スカイワース)はドイツの老舗ブランドのカラーテレビ業務を買収。今年に入ると、海爾(ハイアール)がGEの家電業務を買収した。加速するボーダレスな家電買収劇は国策の反映でもある。
姫田小夏ジャーナリスト
東京都出身。中国ウォッチャー。1997年から上海で活動。現地で日本語情報誌を創刊し、日本企業の対中ビジネス動向について発信。2008年に同誌編集長を退任後、上海財経大学公共経済管理学院の修士課程修了。現在も上海を拠点に「中国の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、「アジア・ビズ・フォーラム」を主宰する他、複数の媒体で執筆している。著書に「中国で勝てる中小企業の人材戦略」(テン・ブックス)。
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