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死亡事故量産のタカタ、経営破綻が現実味高まる…居座る創業家社長、リコール費用1兆円か
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14507.html
2016.04.01 文=編集部 Business Journal
自動車部品大手タカタ製エアバッグが異常破裂した欠陥問題をめぐり、トヨタ自動車や本田技研工業(ホンダ)、米ゼネラル・モーターズ(GM)など、日米欧の自動車メーカー10社でつくる独立委員会は2月23日、次のような調査結果を公表した。
(1)エアバッグを膨らませるガス発生剤、硝酸アンモニウムに乾燥剤が使われていなかった。
(2)薬品が高温度、高湿度の環境に長期間さらされていた。
(3)エアバッグの製造時に湿気の混入を防ぐ作業が十分ではなかった。
10社の依頼を受けて米航空宇宙・防衛企業のオービタルATKが調査を行った結果、以上3つの要因が複合的に絡まったことが事故の原因と結論づけた。
2014年前半までに判明した欠陥は、タカタの製造ミスが原因とされていた。だが、品質管理は万全といっていたはずのエアバッグ部品(インフレーター)でも欠陥が報告され、14年後半からリコールが拡大した。インフレーターはエアバッグを膨らませるのに使うガス発生装置だ。
タカタ製エアバッグでは、作動時にインフレーターが破裂して金属片が飛び散る欠陥によって、少なくとも全世界で10人が死亡した。
これまでも、湿気を含むと形状が大きくなり爆発力が増すと指摘される硝酸アンモニウムを使用していたことが原因と見なされていたが、今回の報告書はそれを裏付ける結果となった。
■米当局が追加のリコールを検討
調査結果を受けて、タカタは自動車メーカー各社とリコール(回収・無償修理)にかかった費用の負担割合の協議を本格化させる。今後は責任と負担の割合が焦点となる。
世界中のリコール対象台数は国内メーカー7社だけで5000万台近くに上っている。1台当たり1万円から数万円とされるエアバッグの交換費用は自動車メーカー各社が立て替えており、それぞれ「調査結果が出てから具体的な交渉をしたい」としてきた。
だが、リコールはこれだけで収まりそうにない。ロイター通信は2月22日、米当局が最大9000万個のエアバッグを追加でリコールする必要があるかどうか調べていると報じた。
全量について追加リコールを命じた場合、米国でのリコール対象は最大で1億2000万個に達し、これまで対象となった2900万個の4倍に膨らむ。
タカタは15年11月に米運輸当局から最大2億ドルの制裁金が科せられている。タカタは自動車メーカー各社に支払いの軽減を求める考えだ。タカタは巨額なリコール費用の負担には耐えられないとみられており、企業としての存続をめぐる議論も絡んでくるため、交渉は難航が予想される。
■リコール費用でタカタは債務超過に転落か
タカタの16年3月期連結決算(日本会計基準)の売上高は前期比12%増の7200億円、純利益は50億円の黒字(15年3月期は295億円の赤字)の見込み。当初は200億円の利益を想定していたが4分の1になる。米当局に制裁金を支払ったが、前期に計上したリコール費用の新たな計上を見送ったことで、見かけ上は最終黒字に転換する。
タカタがこれまでに対策費用として計上しているのは1000万台分だけ。5000万台以上のエアバッグの交換費用は、自動車メーカーが一時的に費用を立て替えている。調査結果を踏まえ、今後各メーカーからの請求が始まる。関連費用は5000億円を超えると推計され、1兆円を超すとの見方もある。米当局が追加のリコールを命じれば、費用はさらに増大する。米国では、複数の集団訴訟が提起されており、損害賠償は巨額なものになるだろう。
15年12月末時点のタカタの自己資本は1438億円。タカタ単独での支払いは困難だ。このままだと債務超過に転落することは避けられそうもない。リコールにかかった費用の負担割合に関する協議は、タカタの存続問題と切り離すことはできないだけに、やっかいだ。
■自動車メーカーに債権放棄を迫るシナリオ
タカタは企業法務に詳しい弁護士らでつくる第三者委員会を設置し、事業再建に向けた計画を策定する。そこでは第三者委員会のお墨付を得て、自動車メーカー各社に債権の減免(借金の棒引き)を求めるウルトラC案が浮上している。裁判外紛争解決手続き(事業再生ADR)が有力だという。
タカタの株式の6割を創業家の高田一族が保有しており、高田重久会長兼社長は3代目だ。会社更生法を適用すれば経営陣は総退陣しなければならないが、事業再生ADRなら高田氏は続投できる。
第三者委員会は各社に対して、リコール費用負担の減免を求めるというタカタ側の意向を伝えたようだ。しかし、自動車メーカー各社がそんな虫のいい案をすんなりのむとは考えにくい。それを見越した次の手段が法的措置という見方だ。事業再生ADRか会社更生法か――。そのせめぎ合いが繰り広げられることになる。一方で、タカタはメーカーなので民事再生法はなじまない、との指摘も専門家から出ている。
■ホンダ社長は「タカタ支援は考えていない」と言明
自動車業界が注目しているのはホンダの対応である。ホンダは、タカタ製のエアバッグのリコールが累計で3000万台に達する見込みで、リコール台数は他社に比べ突出して多い。
車載用マイコン大手のルネサスエレクトロニクスの工場が東日本大震災で深刻な被害を受けた際にはトヨタ自動車などが共同出資して支援した前例はある。だが今回は自然災害ではなくタカタ固有の経営問題である。自動車メーカー各社はホンダにゲタを預けた格好になっている。
ホンダの八郷隆弘社長は2月24日の記者会見で「独自でタカタの経営支援は考えていない」と言明し、あらためて慎重な姿勢を示した。「単独ではやらない」という言い回しがポイントである。さらに八郷社長は「リコールした部品の交換比率の向上と真の原因究明を一生懸命やる」と話した。
タカタ製エアバッグに関連するリコールはホンダの業績を直撃した。15年4〜12月期の連結営業利益(国際会計基準)は、前年同期比3%減の5672億円だった。4〜9月期までは8%増を確保していたが10〜12月期にはタカタ製エアバッグのリコール費用を大幅に積み増した結果、減益になった。リコール費用を含む品質関連費用は16年3月期に過去最大の3200億円に達する見通しだ。
ホンダは3200億円の内訳は明らかにしていないが、タカタ関連のリコール費用が2000億円を超えると見られている。ホンダは約半数の車にタカタ製のエアバッグを搭載しており、世界の自動車メーカーの中でリコール対象車が最も多いという事情がある。
ホンダの16年3月期の純利益は、前期比3%増の5250億円。タカタのエアバッグ問題がなければ最高益(これまでは14年3月期の6247億円)を更新できたかもしれない。
ホンダにとってタカタ問題は、喉に刺さった骨である。これ以上、泥沼に引きずり込まれたくないとの思いが強いはずだ。だから八郷社長は「単独でタカタ支援は考えていない」と予防線を張ったのだ。
大手自動車メーカーは厳しい判断を迫られることになる。会社更生法に追い込めば、「タカタを潰した真犯人」と名指し批判されるだろう。事業再生ADRを受け入れれば、「弱腰」などと株主から批判を浴びるだろう。米当局の反応も気になるところだ。どちらに転んでもタカタは悩ましい問題なのだ。
当然のことだが、タカタの株価は下がり続けている。2月12日に435円と上場来安値を更新した。昨年末から40%以上値を下げた。3月に入ってからは500円台で推移している。
タカタ製エアバッグ最大のユーザーであるホンダの八郷社長が支援に後ろ向きな発言をしたことから明るい材料は皆目見当たらず、株価反転の兆しはない。
(文=編集部)
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