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アベノミクスの「頭打ち」を示す二つの証拠〜その限界は5月にはっきりする!?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48304
2016年03月30日(水) 磯山 友幸「経済ニュースの裏側」 現代ビジネス
■訪日外国人に変調の兆し…
桜花爛漫、桜の名所は多くの観光客で賑わっている。今年も目立つのは外国人旅行者の姿だ。ここ数年、日本の桜は日本人やアジア人だけでなく欧米人の間でも人気を集め、日本旅行ブームに拍車をかけている。
中華圏の旧正月休みだった2月に日本を訪れた訪日外客数は、日本政府観光局(JNTO)の推計によると189万1000人。昨年2月は138万7000人だったので、率にして36.4%増加、50万人以上も増えた。2 月としては過去最高の人数を記録した。
もっとも多かったのが中国からの訪日客で、49万8900人と昨年より38.9%増えた。次いで、香港が 38.8%増、台湾が25.7%増と中華圏から訪れた人の伸びが目立った。また、フランスやオーストラリアなどからの訪日客も2割前後増えた。主要20ヵ国・地域中19で、2月としての新記録を塗り変えた。
また、韓国からの訪日客も急回復している。もともと人数ベースでは韓国からが最も多かったが、日韓関係の冷え込みや韓国経済の悪化によって冷え込んでいた。2月の訪日客数は49万800人と首位の中国に肉薄している。韓国からの来客数の回復も、訪日外国人数を押し上げている。
訪日外国人はアベノミクスによる円安の効果で日本旅行ブームに火がついたことから急増。安倍晋三内閣が本格始動する前の2012年には年間835万人だった訪日客数は、2015年には1973万人にまで増加した。政府は3000万人を目指して外国人観光客の誘致活動などに力を入れている。
外国人訪日客の増加は経済的にも大きなプラス要因になっている。アベノミクスの効果に疑問符を付ける向きが増えているが、そんな中で外国人観光客の増加による日本国内での消費下支え効果は、無視できない規模になっている。デパートだけでなく、アウトレットやドラッグストアなどでの「爆買い」は大きな話題になった。
観光地に落ちるおカネを考えると、外国人の国内消費を抜きに日本経済は語れないところまで来ている。政府も消費税の免税範囲を化粧品や医薬品、食品類にまで拡大するなど、外国人旅行者の消費拡大を後押ししている。
例えば、デパートでの売り上げも外国人抜きには考えられなくなった。日本百貨店協会の統計によると、2月に全国84店舗で免税手続きを行って買われた顧客の数は25万人と過去最高だった。
免税売上高も183億6000万円と前年同月に比べて18.7%増えた。2月の全国の百貨店の総売上高は4446億円で、店舗数を調整した後の増減率は前年同月に比べて0.2%の増加に留まった。単純に免税売り上げの分を差し引いて計算すれと、マイナスである。つまり、外国人消費によって日本の国内消費が下支えされているのである。
こうした訪日客や外国人消費の伸びはいつまで続くのだろうか。ひとつの試金石になるのが、桜のシーズンであるこの4月の訪日客数である。昨年までは春節の時期の人数を上回るパターンが続いてきた。さらにその数字を7月の夏休みシーズンでさらに上回るというのが決まった流れになっていたのだ。
ところが、ここへ来て変調の兆しが見えている。実は、今年の2月の訪日客数は2月としては過去最多を更新したものの、1ヵ月間としては昨年7月の191万8000人を上回ることができなかったのだ。
■「頭打ち」?
今年4月の訪日外客数が、その昨年7月の数字を下回ったり、ましてや2月の189万1000人に届かなかった場合、これまで伸び続けてきた訪日外客数の「頭打ち」が鮮明になる。
百貨店の免税売上高にも「頭打ち」の懸念が見え始めている。2月の183億6000万円は、過去最高だった昨年4月の197億5000万円には届かなかったのである。
2013年以降、春節で大きく売り上げを伸ばし、さらに桜の季節で増収に拍車をかけてきたが、そのパターンが崩れたのだ。今年4月の免税売上高が1年前の記録を更新できるのかどうかが焦点になってきた。
もうひとつ、デパートの免税売り上げの増加が頭打ちになってきた要因がある。免税手続き1件当たりの単価が落ちているのだ。ピークだったのは2014年12月で、1件当たり8万9000円を記録したが、その後、下落傾向が鮮明になり、今年1月には7万円となった。
単価が安い化粧品や食料品などが免税対象となったことで、平均単価が下がった面もあるが、高級ブランド品が「爆買い」されていた1年前とはだいぶ様子が変わってきたのだ。この単価が3月、4月と低下傾向になるのか、それとも逆に単価下落に歯止めがかかるのか、注目される。
爆買い効果が剥げてきた“証拠”がもうひとつある。百貨店の「美術・宝飾・貴金属」部門の売り上げの伸びが大きく鈍化しているのだ。
アベノミクスの開始以降、毎月2ケタの伸びが続き、消費税増税の反動減以降も早期に立ち直っていた。円建てで割安な高級商品を中国人などが買う姿が見られたが、ここへきてめっきり減っているのだ。1月には「美術・宝飾・貴金属」部門の売上高が前年同月比3.3%減と、久方ぶりのマイナスになった。
中国の景気減速や株価の下落で高額品を買っていた富裕層の購買意欲が低下した影響がジワリと出ている模様だ。また、日本でも株価が大幅に下落し、アベノミクス開始以降見られた「資産効果」に陰りが見えている。株式を保有する富裕層などが、株価の上昇で利益を上げ、消費を拡大しているとみられてきたが、それが消えてきたのである。
■マイナスのダブルパンチ
4月の訪日外客数の統計や、4月の百貨店売上高の数字が発表されるのは5月後半だ。ここで訪日外国人数の伸びが止まり、外国人消費が頭打ちになっていることが明らかになれば、「アベノミクスの限界」が一段と鮮明になることになる。
3月末の日経平均株価も昨年3月末の1万9000円台に比べて大きく下落することになりそうで、そうなれば、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用する130兆円の国民の年金資産が大きく目減りすることになる。2015年度の運用成績も5月末に発表される。現状のままだと数兆円規模のマイナスになりそうな見込みだ。
場合によっては、こうした「悪い数字」が一斉に5月後半に発表されることになりかねない。7月の参議院選挙でアベノミクスの成功を訴えたい安倍内閣にとっては最悪の展開だ。
5月末には伊勢志摩サミットも控えている。安倍首相はサミットの前後に消費増税の再延期と、大型の経済対策を打ち出すという見方が広がっているが、5月末の数字が芳しくないとすれば、サミットに合わせた経済対策は待った無しになるだろう。
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