http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/911.html
Tweet |
旧グランドプリンスホテル赤坂新館(「Wikipedia」より/Wiiii)
西武王国終焉…負の呪縛・創業家と赤プリと完全決別、跡地の新ホテルは1泊59万円
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14476.html
2016.03.30 文=編集部 Business Journal
西武鉄道を中核とする西武ホールディングス(HD)は創業家との関係を解消した。西武グループの元総帥、堤義明氏ら旧経営陣が2月、直接および間接保有する西武HD株すべてを手放す意向を表明したためだ。
西武HDをめぐっては、グループ再編前の西武鉄道が2004年12月に有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止となり、株主が株価下落や上場廃止に伴う損害賠償訴訟を提起した。これまでに西武HDは合計309億円(元本226億円+利子83億円)を支払った。株主に支払った元本分についての負担を旧経営陣に求めていた。
堤氏側が賠償額の弁済を申し出た。堤氏は西武HDを通じて「会社に生じた負担については私が負うべきだ」とコメントした。
賠償額は堤氏らが保有するNWコーポレーションの全株式を売却して捻出する。NWは、05年のグループ再編に伴い設立した持ち株会社で、西武HD株の発行済み株式の14.95%を保有する第2の株主。堤氏や従業員持ち株会などが出資し、堤氏個人はNW株式を約36%持っている。
堤氏らは、これらNW株式を248億円で西武HD側に代物弁済。堤氏は個人名義で保有している西武HD株式も7億円で売却し、持ち株はゼロになった。堤氏らが支払う額は255億円に上り、利子分の一部も負担するかたちになる。
これに伴い、西武HDが100%出資する連結子会社の西武鉄道とプリンスホテルがNWの株式を議決権比率で43.48%取得した。会社法308条の規定により、NWは西武HDに対する議決権がなくなった。
西武HDは14年4月に再上場。米サーベラスは保有株式を売却して投資分の回収に入った。マーケットでは、NWを拠点に創業者一族の堤氏が「お家再興」を目指すとみられていた。そのため今回、堤氏が保有する西武HD株を手放したことは大きな衝撃を与えた。
■255億円の特別利益を計上
西武HDは賠償費用の回収に伴い16年3月期決算で255億円の特別利益を計上する。純利益の見通しを前期比39.6%増の487億円と、従来予想(365億円)から122億円引き上げた。車両基地の整備計画の廃止に伴う特別損失が発生するが、それを吸収して過去最高を更新する見込みだ。
16年3月期の営業収益は前期比4.9%増の5054億円、営業利益は28.2%増の636億円と増収増益の見通し。訪日外国人の増加を背景にホテル事業の稼働率や単価が改善。ホテル部門の営業利益が増加する。
■赤プリ跡地の新ホテルは、最高1泊59万円
西武HDは旧赤坂プリンスホテル跡地に再開発する複合ビルに入る新ホテル「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」を7月27日に開業、傘下のプリンスホテルが運営する。
プリンスホテルは米高級ホテル大手、スターウッドホテル&リゾートワールドワイドと提携し、新しいホテルはスターウッドの最高級ブランド「ラグジュアリーコレクション」に加盟した。
プリンスギャラリーは複合ビルの上層部の30〜36階に入る。客室は250室あり、1室1泊当たりの定価は6万円からで、最上級の部屋は59万円。欧米やアジアから来日する富裕層の需要を見込む。宿泊客に占める外国人の比率は70%を目指すという。
西武HDの18年3月期は赤プリ跡地の再開発でできる複合施設「東京ガーデンテラス紀尾井町」が利益を押し上げるとみられる。地上36階建てのオフィス・ホテル棟、21階建ての住宅棟などで構成されており、オフィス部分にはヤフーなどが入居する予定だ。投資額は980億円で、18年3月期には複合施設で最大90億円の増益要因になるという。
オフィスが入った複合ビルのほうが、景気や天候に左右されるホテルより収益は安定する。赤プリのほか、品川プリンスホテル、東京プリンスホテルも複合施設に変える計画を立てている。
■サーベラス、西武HD株を一部売却
サーベラスは、3月16日に発行済み株式の6%強を売却したとみられる。この結果、出資比率は15%以下にまで下がっている。昨年5月から保有株を順次、売却してきた一環だ。
3月16日、西武HD株は一時8%近く安くなった。株式市場では、西武HD傘下のプロ野球・埼玉西武ライオンズの選手間で、公式戦をめぐり祝儀など現金の授受があったことが発覚し、企業イメージの低下懸念から売られたとの見方もあったが、真相はサーベラスが持ち株を売却したからだった。
現在、サーベラスが株式を保有している主要企業は西武HDだけとなっている。そのため、今後も保有株の売却を続けるとみられている。
■権力闘争の舞台だった赤プリ
旧赤坂プリンスホテルは「赤プリ」の愛称で親しまれてきた。
1955年、衆院議長も務めた西武グループの総帥、故堤康次郎氏が旧韓国王室邸を借り受けてオープンした。自民党最大派閥の清和政策研究会が長年、ここに拠点を置いていた。派閥創設者の故福田赳夫元首相が堤氏と親しかったためといわれている。割安な賃料で事務所の提供を受けたという。
62年に福田元首相が清和会を結成して以来、赤プリ内に事務所を設置。同会からは森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫(福田赳夫氏の長男)各氏が4代続いて首相に就任した。その後、野党に転落した自民党は政権を奪取し、清和会の安倍氏が首相に帰り咲いた。
田中角栄、福田赳夫両元首相による「角福戦争」など、派閥全盛時代に赤プリは数々の権力闘争の舞台となった。
福田赳夫氏が堤義明氏の媒酌人を務めた関係から、堤氏は清和会の資金パトロンだった。87年に竹下登、安倍晋太郎(安倍晋三首相の父)、宮沢喜一の3氏による中曽根康弘元首相の後継争いが起きた時には、堤氏は安倍氏の後ろ盾として活躍した。この頃が堤氏の全盛期だった。
堤氏そのものといっていいかもしれない赤プリの跡地にプリンスギャラリーを開設するのと時を同じくして、西武HDは堤家との関係を断った。
創業者の堤康次郎氏が末永く堤家が支配することを目指した「西武王国」の幕引きを、堤義明氏自身の手で行うことになったのは歴史の皮肉か。
(文=編集部)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民106掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。