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「ヴァンネット HP」より
著名人推薦のオシャレな金融商品が破綻、一人7百万円の巨額損…だからあなたは騙される!
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14446.html
2016.03.29 文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表 Business Journal
一時期、ワインファンドという金融商品が話題となっていました。ワインに投資をしてお金を増やす、というと不思議な感じがしますが、仕組みはそれほど難しいものではありません。
味の良いワインは年月が経つほどに値上がりしていきます。生産されたボトルの数には限りがありますが、飲まれていくことで在庫は減っていく一方だからです。そこで、目利きがワインを買いつけ、カーヴ等で保管し高値で売却していくことで儲かる、というのがワインファンドの考えです。
とはいっても、買いつけや売却タイミング、値段に関する専門的知識、保管するカーヴの維持費用などは、個人レベルでは持ち得ないものです。そこで、多数の個人がお金を出資することでその「ワインを買って売る」仕組み、つまりワインファンドが成立します。各個人が出資した金額にもとづき儲けを分け合う仕組みで、もちろん手数料がかかりますが、すべて自分で行う必要はなくなります。
日本では、ヴァンネットというところがほとんど唯一のワインファンドの販売者でした。帝国データバンクによれば、過去25本のワイン投資ファンドが設定され、のべ1989名、金額にして77億4600万円の資金が集められたそうです。
ところが、このファンドの実態はひどいもので、集めたお金できちんとワインを買っていないうえ、配当しなければいけない利回りも架空で設定し、必要なお金は新たな出資者から集めたお金を自転車操業で回していたのです。当然、続けられるはずがありません。
そして2015年12月25日、つまり日本中のカップルがたくさんワインを空けた翌日に、ヴァンネットは関東財務局長から第二種金融商品取引業の登録取り消し命令という“一発レッドカード”を受けました。その後、実際のワイン在庫などがまったく帳簿と合致しないことなどが明らかとなり、3月7日、会社は破産手続きを開始しました。
今回は最近起きた投資トラブルを題材にして、「お金のトリセツ」的に投資の失敗を避けるヒントを考えてみたいと思います。
■事前に見分けることは困難
このように自転車操業状態による破綻は、ポンジ・スキームと呼ばれる典型的手法です。MRIインターナショナル(13年、MARS投資)、安愚楽牧場(11年)、エル・アンド・ジー(07年、円天)が同様の手法で破綻しました。MRIは破綻時に1300億円を集めていたといわれ、安愚楽牧場は累積6100億円以上を集めたとされています。
ポンジ・スキームの特徴は、最初のうちは高い実績が出ているように見せかけ、投資をした人には最終的にお金が戻ってこなくなる点にあります。実際には運用でお金が増えていないのに配当をし続けるので当然です。
しかし、本当に運用がなされているか、直接チェックすることはどんな投資商品でも困難です。ワインファンドの場合、実際にワインが収められているカーヴをヨーロッパまで出かけて見学してから買うということは困難です。
また、こうした商品のほとんどはきれいに表面を繕っているので、まっとうな投資商品との違いを外見的に見分けることは困難です。ホームページもお洒落で、雑誌や新聞などで大々的に広告を打ったり、立派なパンフレットやセミナーイベントなどを開催します。
このワインファンドも例外ではなく、「華麗なるフランスワインの夕べ」といったイベントを都内で開催したり、社会貢献活動の取り組みをPRしたり、大口投資家へのワインプレゼント企画や、「ボルドーシャトー巡りツアー」といった現地ツアーを開催するなど、「ちゃんとした会社です」と外面を装っていました。
結果として、ワインファンドの「美しい仕組み」を理解したつもりになっていた多数の人が被害に遭いました。帝国データバンクのリリースによれば、ひとり当たりの被害総額は700万円ほどであり、実際にはそれ以上の金額を投資していたということになります。一口1000万円のワインファンドもあったとされています。
■騙される隙は自分にある!
これから投資を考える人にアドバイスしておきたいのは、「自分は騙されない」と思ってはいけない、ということです。自分は騙されない側のひとりである、と思い込むことは、どのような立場であろうともダマされる隙をつくっているからです。
今回のワインファンドに騙された人も、ハイソなイベントや、投資本のベストセラーをいくつも持つ内藤忍氏をはじめとする著名人の推薦などをみて思考停止し、「これはいいものだ」と思ってしまったわけです。
思考停止や盲信は、投資において絶対に避けなければならないことのひとつです。あなたが考えることをストップすることは、相手に利することはあれどあなたが得をすることはないのです。もっと厳しくいえば、「疑い続ける」姿勢が必要です。
■「すべて信じない」「全額投資をしない」
もっとも、このワインファンドほどひどい資産管理状態にある金融商品というのはレアケースです。銀行や証券会社で買える公募の投資信託で、実際にはお金が空っぽになっているということはまずありません。複数の金融機関が介在し監督も厳しいため、クロスチェック体制が整っています。個別の株式、公募の投資信託、国債等の債券についても同様です。
ですから、最初のフィルタリングとしては「匿名組合」「私募」と名のつく金融商品は回避しておくほうが無難です。ワインファンドも匿名組合の方式でした。自分が実態をチェックしきれていないうえ、仕組み的にクロスチェック体制も甘いのであれば、販売業者が犯罪を犯す余地が否定できないからです。そういう仕組みを使わずとも資産運用は十分に行えます。
また、「全面的に信用できる」という考え方に立ってもいけません。東芝やオリンパスといった誰でも知っているような大企業でも、不正が露見すれば資産価値は大きく減少します。あらゆる投資対象について、全面的に信用するものではないと心がけてください。
さらに、どんなに信用できると思った商品であっても、「財産の全額を投資しない」ことを徹底してください。老後の資産を全額預けてしまい、致命的な被害を受けてしまうケースも多いです。
どんなに信用したとしても、全資産の4分の1以上をひとつの仕組みに投資してはいけません。仮に4分の1を上限とした場合、最悪の場合でも財産の4分の3は残る余地があります。簡単なルールですが、シンプルだからこそあなたの財産を守ってくれるのです。
■お人好しにならない
投資の本質は、他人を信用して資金を出すことで、その成果があれば自分の資産の増加に結びつくということです。そして、それは実際に可能です。
しかし、誰でも信じて疑いもしない「お人好し」は、投資の世界ではただお金を失うことになるでしょう。現代における「お金のトリセツ」としては、
「投資はする。しかし、ひとつのところを信じて全額投じるような愚かなことはしない」
がルールといえるでしょう。ぜひ守ってください。
(文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表)
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