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消費税10%再延期へ 社会保障の財源見直し不可避 国債格下げのリスクも
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160327-00000003-fsi-bus_all
SankeiBiz 3月28日(月)8時15分配信
消費税率10%への再増税延期で、回復の足取りが鈍い個人消費の一段の落ち込みは回避される。その一方で、再増税による税収を財源に当て込んでいた子育てや介護支援など充実策は見直しを迫られる。同時に2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する政府目標達成にも黄信号がともり、国債の信用力が低下して格下げされるリスクも抱え込んだ。
消費税率が8%に上がった14年4月以降、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費は低迷を続けている。消費税増税に伴う負担増で家計が節約志向を強めたためだ。15年10〜12月期の実質GDPは、個人消費の低迷が響いて前期比年率マイナス1.1%と2四半期ぶりのマイナス成長に転落。年明け以降の中国経済の減速や原油安に伴う市場の混乱が企業や家計の景況感を冷やす中、市場関係者の間では5月18日に発表される16年1〜3月期のGDP速報値もマイナス成長になるとの見方が広がり始めている。GDPが2四半期連続でマイナスになると景気は後退局面に入る。
そうした中で、世帯当たり年間5万円弱の負担増につながる8%から10%への消費税率引き上げが延期されれば、低迷する個人消費のさらなる落ち込みが防げる利点があり、景気にとってはプラス材料となる。日銀は引き上げでGDPを0.7%押し下げると試算していた。
一方、増税を見送れば飲食料品などに軽減税率を導入しても年5兆円弱と見込まれた税収増を当てにできなくなり、高齢化による社会保障費の膨張が続く中で財政運営は厳しさを増す。
政府は10%への増税による税収を使い、17年度から低所得の年金受給者に月5000円を給付し、介護保険料の軽減措置も拡充する予定だった。17年度末までに整備する保育の受け皿の目標も50万人分に引き上げたが、増税を延期すれば別の財源を見つけるか、実施の先延ばしを迫られる。
増税を延期すれば、20年度に、政策に必要な経費を税収などでどれだけ賄えているかを示す基礎的財政収支を黒字化する政府目標の達成にも不透明感が強まる。現在でも日本の国と地方の借金は1000兆円を超える中、増税先送りにより借金が一段と膨らむのは避けられない。政府の財政健全化に向けた取り組みに対する懸念が強まれば国債の信認の低下で格下げされる恐れもある。
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