http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/806.html
Tweet |
タクシー運転手の悲惨な実態…事故や乗客の未払い分を自腹、酒酔い客のトンデモ行動&暴言
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14389.html
2016.03.25 文=稲垣浩生/ライター兼タクシードライバー Business Journal
3月24日付当サイト記事『タクシー運転手の悲惨な実態…1日20時間労働、必死に月50万売り上げても月給25万』(http://biz-journal.jp/2016/03/post_14378.html)で、タクシードライバーの賃金形態や労働の実態についてお伝えした。今回は、さらに業界の内情に迫るとともに、乗客とのやり取りについてもお伝えしたい。
まず、タクシードライバーにとって最も怖いのが「事故」だ。軽い単独事故であれば、会社に報告しないで自腹で修理してしまう運転手も少なくない。会社に報告すれば、帰庫時に報告書を書かなければならない上、管理者にキツく怒られた挙げ句、無事故手当がもらえないため、収入が減ってしまうからだ。
相手のある物損事故の場合、修理費に応じてペナルティを課されることも少なくない。軽い衝突などで相手が病院に行った場合、こちらの車が傷ついていない程度の接触でも、5万円前後の支払いを覚悟しなければならない。
そして、車を大破させた場合は相当額を取られる。居眠り運転など、ドライバーの過失が大きければ、1〜2カ月の給料が吹っ飛んでしまうこともある。実際は分割されて月々の給料から天引きされるかたちになるが、きちんと保険で賄ってくれる会社もある。
乗客にけがでもあれば、もっと大変なことになるが、タクシー会社に就職する場合、前回記事で言及した売り上げと歩合率の関係に加え、事故に関することは必ず聞いておこう。なお、当たり前だが、交通違反の罰金もドライバーが自腹で払うこととなる。
■「これ以上は払わない!」と言われ、泣く泣く自腹を切ることも
タクシーの料金メーターは時間によっても上がる仕組みになっているが(時速10キロ以下の場合、時間メーターが作動する)、たまにそれを知らない乗客がいる。
ある日の夕刻。渋滞にはまり、普通なら20分で着くところを40分もかかってしまった。料金は3000円前後のはずだったが、メーターは4000円を超えている。
私は最初に経路の確認をしており、経路を指示したのも乗客自身だ。渋滞中に「迂回しますか?」と聞いても「いいよ、このままで!」とイライラ口調だった。迂回路などない直線ルートのため、こちらも我慢せざるを得なかったが。
目的地に着くと、案の定「いつもより1000円以上も高い!」とクレームをつけられた。「すいません、渋滞していたもので……」と言っても、「これしかない!」と3000円を置いて「これ以上は払わない!」の一点張りだ。
正直、こちらに落ち度はないのだが、乗客は「3000円しかないからね!」と吐き捨て、降りてしまった。「おいコラ、待て!」とやってもよかったが、会社の看板を背負っている以上、そんな口は聞けない。貴重な営業時間をロスすることになる上、無駄なストレスも生じてしまう……。
そうあきらめて自腹を切ったが、このように、時には話の通じない乗客を相手にしなければならないのが、タクシードライバーという仕事だ。
もっと困るのが酔客だ。深夜の割増時間帯などは、一刻も早く次の乗客を見つけたい。しかし、酔客は一度寝たらなかなか起きないため、起こすだけで30分以上かかることもある。交番で助けを求めようにも、夜間は警察官が不在のケースも多い。
こうした場合、ドライバーは乗客の体に触れることができない。「財布がなくなった!」など、つまらないトラブルの要因になるからだ。相手が女性の場合は、なおさらである。
では、そんな時はどうするか。「窓を全開にして走る」「タクシーの天井をドンドンと叩いて響かせる」などが有効な手段だが、それでも起きない強者もいる。さすがに「水をぶっかけて、そのへんに投げ捨ててやりたくなる」のが偽らざる心情だ。
しかし、嘔吐する乗客よりはまだましだ。嘔吐が困るのは、その後の仕事に差し支えるからだが、そんな時も、乗客に清掃料金などを請求するのはご法度とされている。「危ないな……」と感じたら乗せないに限るが、ナンバーを控えられて乗車拒否の通報をされないとも限らない。このあたりを要領よく立ち回る能力も、タクシードライバーには必須だ。
■「もう金がねぇから、5000円で行けや」
暇な給料日前の火曜深夜のこと。駅に向かう道すがら、千鳥足の2人組を拾った。どうやら接待のようで、片方の乗客は接待相手を褒めまくっていたが、途中で相手が降りると態度が一変。
「あのバカ野郎、全部こっちに払わせやがって。おい運ちゃん、もう金がねぇから5000円で行けや」
「運ちゃん」という物言いにカチンときたが、我慢してこう返した。
「すいません、5000円ではとても無理です」(通常なら7000円ほどかかるルートだ)
「なら、なんで走らせてんだ、コラ!」
「それでは、止めましょう。正規の料金を払っていただけない方は、お客様ではありません。下車強要にもあたりませんので、ここで降りてください」
――普段であればこう返すが、この日はものすごく暇で空車のタクシーがあふれている。それを見越して強気に出てきた乗客に対して、どう返答しようかと考えた。ちなみに、5000円なら、その日の売り上げノルマもクリアすることができる。
仕方なく、不足分は自腹を切る覚悟をした。(ちなみに、値引きを行った運転手は罰金刑の対象となる場合があり、会社は営業停止処分となる場合もある)
しかし、乗客の機嫌は収まらない。運が悪いことに、この日の車にはドライブレコーダーもついておらず、もしこの乗客が苦情を入れた場合、証拠不十分のためにドライバーの言い分は聞いてもらえないだろう。
「わかりましたよ、行きますよ!」とイラ立ちながら言うと「てめぇ、何キレてんだ、この野郎!」。
……もはや、何を言っても始まらない。私は無言で車を走らせた。
以上、タクシードライバーのつらい実態をお伝えしたが、それでも私はこの仕事を辞めようとは思わない。いい会社で、いい仲間と仕事ができているからだ。
(文=稲垣浩生/ライター兼タクシードライバー)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民106掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。