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植物由来の軽量素材、製造コスト10分の1に
日本製紙・京大が技術、車部品などに利用期待
日本製紙や京都大学は、植物由来素材のセルロースナノファイバー(CNF)を従来の10分の1程度のコストで量産できる技術を開発した。原料の木材パルプに特殊な化学処理を施すなどして生産効率を高める。日本製紙は2020年度をメドに商業生産を始める。軽くて強いCNFは自動車部品など多様な分野での利用が期待されている。生産コストが大きく下がれば、普及に弾みがつきそうだ。
CNFは紙の原料であるパルプを細かく解きほぐして微細化した材料。鋼鉄の5倍の強度を持ちながら、重さは5分の1とされる。樹脂に混ぜ合わせて自動車部品などに使えば軽量化につながるため、製紙各社が開発・生産に力を入れている。
京大の矢野浩之教授らが開発した新製法は、パルプをシート状態にした後に、特殊な化学処理を施す。このシートを細かくして樹脂と混ぜ合わせると、その過程でパルプ繊維がナノ(ナノは10億分の1)レベルに微細化して樹脂の中に入り込んで製品になる。
現在の製法では原料のパルプをいったんナノレベルに加工してCNFを作る。生産コストは1キログラムあたり5000円程度だ。さらに、自動車部品に使う際には混ぜ合わせる樹脂との相性を良くするために追加で化学処理を施す必要がある。最終的なコストは1キログラムで1万円程度になっている。
新製法では樹脂のコストを除いた状態で1000円程度で量産できると見る。30年度には300円まで引き下げる目標も掲げる。自動車部品に使われる炭素繊維は3000円程度とされており、これまではコスト面で不利だった。
京大が試験装置を学内に設置し、2年かけて商業化に向けた技術を確立する。その後、日本製紙などに技術を移して本格生産する。研究グループには日本製紙のほか、王子ホールディングスと製紙用薬品会社の星光PMCも加わっている。
新製法では、CNFの耐熱性を従来のセ氏200度から230〜240度に高めることもできるという。高い温度で加工する必要があるナイロンといった高機能プラスチックに混ぜることが可能になり、自動車分野で利用がしやすくなる。建築資材などの利用も想定している。
セルロースナノファイバー(CNF)とは
▼セルロースナノファイバー(CNF) 木材パルプなどに含まれる植物繊維をナノ(ナノは10億分の1)レベルまで微細化した新素材。幅は短いもので3〜4ナノメートル。樹脂と混ぜるほか、フィルムに加工したり、工業フィルターに応用したりできる。日本の国土面積の3分の2は森林が占めており、原料も容易に手に入る。「ポスト炭素繊維」として自動車部品や建築資材などへの利用が期待されている。経済産業省はCNF関連市場を2030年に1兆円規模に育てる目標を掲げる。
[日経新聞3月19日朝刊P.15]
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