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コラム:日米欧中銀、市場との対話に潜む罠=永井靖敏氏(ロイター)
http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/760.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 3 月 23 日 19:13:00: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

コラム:日米欧中銀、市場との対話に潜む罠=永井靖敏氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yasutoshi-nagai-idJPKCN0WP0FA
2016年 03月 23日 15:54 JST


永井靖敏大和証券 チーフエコノミスト
 3月23日、大和証券・チーフエコノミストの永井靖敏氏は、3月に開催された日米欧の金融政策決定会合が市場に与えた影響から、各中銀の特徴とリスクが浮き彫りになったと指摘。提供写真(2016年 ロイター)


[東京 23日] - 3月に開催された日米欧中央銀行の金融政策決定会合が市場に与えた影響から、各中銀の特徴が浮き彫りになっている。

欧州中銀(ECB)は、期待以上の行動をしたものの、ドラギ総裁が記者会見で追加利下げに慎重な見方を示したことで、影響を打ち消してしまったと批判されている。日銀は、ほぼコンセンサス通り現状維持の決定を行ったが、サプライズを期待した一部の市場参加者からの失望を誘った。米連邦準備理事会(FRB)は、景況感については強気の姿勢を維持しながらも、利上げ見通し(適正値)を市場に近づけたことで、市場に配慮したと評価されている。

各中銀の対応は、市場との対話に対する考え方に由来しているようだ。ECBの金融政策は、伝統的に有言実行型だ。2012年7月の「ドラギマジック」で、ユーロ危機の鎮静化につながった記憶から、「大言壮語型」という印象を持つ人も少なくないが、「何でもする」とした当時の発言は、「ユーロを守るために責務の範囲内で何でもする用意がある」という当たり前の発言だった。

ECBの場合、政策運営を発動する前に、各国間の調整が求められる。ドラギ総裁の発言後にECBの内部から強い反対意見が出てくると、ユーロ危機の再来につながる恐れもある。ドラギ総裁の発言は、出来ることと出来ないことを明確にすることで、ECBメンバーの意思の統一性を示す狙いがあったと思われる。

<日銀はサプライズ政策の問題点が表面化>

一方、日銀は黒田総裁就任以降、「サプライズ重視型」の政策を実施した。一時的にせよ市場にプラスの影響を与えることで、好循環発生のきっかけになること、サプライズを繰り返すことで、さらなる緩和期待が醸成され、これが市場や実体経済にもプラスの影響を与えることを期待している模様だ。

日銀は、安倍政権から強い後押しを受けて、積極的な金融緩和を行っている。損失発生リスクのある資産を購入することや、損失発生が避けられないマイナス金利の国債を購入することは、日銀の「責務の範囲」を逸脱している可能性はあるが、政府は容認している。使えるものは何でも使うべきという発想なら、サプライズ効果を用いることも正当化できる。

ただし、ここにきて「サプライズ重視型」の政策運営の問題点が、浮き彫りになりつつある。具体的には、市場の期待がエスカレートしたり、政策運営の予見可能性が低下したりすることなどであり、前者については、一部で浮上した3月の追加緩和観測にもつながった。市場は利下げを中心軸とした追加緩和が実施されると予想しており、日銀が今後、「サプライズを伴わない」利下げを行っても、失望を誘う恐れがある。

問題表面化の背景には、結果として長期戦に移行したことがある。短期決戦なら、期待のエスカレートの問題は生じない。例えば、金融危機対応なら、市場の期待以上の行動が正当化される。物価安定目標達成に向けた取り組みも、当初「2年程度を目途」にした「短期決戦型」だった。日銀は依然として早期実現を目指しているが、時間とともに「サプライズ重視型」の問題が拡大しているようだ。

また、後者の予見可能性の低下については、市場の不安定化につながる点に加え、政策効果や議論が曖昧になるという問題もある。すでにエスカレートした緩和予想による効果を利用した政策運営を行っているため、実際に行った政策効果の抽出・分析を行えない状態にある。

さらに、日銀の政策に対する「予想」と「あるべき論」の議論の垣根が曖昧になるという問題も派生する。日銀の独立性が確保されていれば大きな問題ではないが、黒田総裁就任後、政府と日銀は一体となって物価安定目標の早期実現に向けた取り組みを行う方針を示した。このため、市場からのメッセージを真摯に受け止めて行動すべきという政府からの要請に逆らえなくなる恐れがある。予見可能性低下は、「日銀の金融政策は予想しにくい」というエコノミストの「愚痴」以上の大きな問題だ。

<米FRBは市場への過大な配慮がリスクに>

米国について、日欧と金融政策の方向性が異なることから、同じ土俵で議論することはできないが、「市場配慮型」だ。予想外のタイミングでの利上げは、市場の波乱につながる恐れがある。実際にインフレが加速すれば別だが、物価上昇の「合理的な確信」しかない状況下で、市場の予想を上回るペースでの利上げに慎重になる政策運営は「現実的」と評価できる。

ただし、市場の判断が正しいとは必ずしも言えない。世界的な金利低下圧力が米国に波及し、結果として、市場の利上げ織り込み度合いが低下している可能性もあるためだ。05年3月にバーナンキFRB理事(当時)が指摘した世界的な過剰貯蓄が、米金利の低下をもたらしているかもしれない。

金利低下が、世界的な物価押し下げ圧力が波及した結果なら正しい判断だが、2月のコア消費者物価は前年比プラス2.3%まで上昇している。FRBが、声明文で景気の認識を上方修正したように、米国内の経済状況だけに注目すると、利上げ回数を、昨年12月時点の4回から2回に下方修正する理由は見当たらない。

声明文で、世界経済と金融動向のリスクを指摘したが、これまでFRBは基本的に国内経済・物価動向に焦点を絞った政策運営をしてきた。物価の押し上げについては、日欧の中銀が実施した非伝統的な政策の効果が証明されていない半面、物価の押し下げに対しては、利上げという伝統的な手段が確保されている。物価コントロールに対する政策運営手段の非対称性がインフレ下方リスクへの警戒感を強め、これが自らの判断に基づく政策運営の障壁になっている可能性がある。市場への過大な配慮が、今後の政策運営方針の急変につながるリスクを、念頭に置く必要があるだろう。

日米欧の金融政策に対する評価は、後に修正される可能性もありそうだ。

*永井靖敏氏は、大和証券金融市場調査部のチーフエコノミスト。山一証券経済研究所、日本経済研究センター、大和総研、財務省で経済、市場動向を分析。1986年東京大学教養学部卒。2012年10月より現職。

 

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コメント
 
1. 2016年3月23日 20:31:45 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[384]
世界の株式市場、ほぼ半分が強気相場入りへ−米利上げ観測後退で
Srinivasan Sivabalan
2016年3月23日 19:31 JST

世界の主要株式指数63のうち、合計時価総額が計28兆5000億ドル(約3210兆円)に上る28指数が強気相場入りした。さらに、時価総額が合わせて4.3兆ドルの10指数もこれに加わろうとしている。
  世界の株式相場は1月に同月としては7年ぶりの大幅な下落に見舞われた。だが原油価格の回復、ハト派姿勢を保つ世界の主要中央銀行、米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ見通し後退を追い風に相場が反発。MSCIオールカントリー世界指数は2月11日の安値から12%上昇した。

  ただ、一部の運用担当者は企業業績への期待が低いことを理由に、相場の強さを疑問視している。世界全体で企業の利益予想は3月にやや上向いたものの、2007年につけた過去最高と比べると依然15%低い。
原題:Half of World’s Stocks Embrace Bull Market on Fed-Inspired Rally(1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-03-23/O4HKQB6KLVR901



Business | 2016年 03月 23日 18:32 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
黒田日銀はデフレ脱却成功、マイナス金利は効果ない=ポーゼン氏

[東京 23日 ロイター] - アダム・ポーゼン米ピーターソン国際経済研究所所長(元イングランド銀行金融政策委員)は23日、都内で講演し、日銀は黒田東彦総裁による大規模な金融緩和でデフレ脱却に成功したが、マイナス金利政策は日本のように規模の大きな経済では効果がないと指摘した。

また、「日本経済はさほど悪くないのに、日銀はあわててマイナス金利を導入した」との印象を述べた。

消費税率引き上げをめぐり「2014年の増税で日本では増税による緊縮度合いが大きいのは明らか」と指摘。一方、財政再建を進めなければ「ある日突然、社会保障や国防費を削減せざるを得ないことになる」とも述べ、理想的には「毎月0.1%ずつの増税が望ましい」と提言した。

(竹本能文)
http://jp.reuters.com/article/adam-posen-peterson-idJPKCN0WP0XX



財務省、物価連動債の減額案を提示=国債市場特別参加者会合

[東京 23日 ロイター] - 財務省は、23日の国債市場特別参加者会合で、物価連動国債の減額案を提示した。今年4月の発行額を従来の5000億円から4000億円に減額すると同時に、4月から6月の間に計400億円の買入消却を実施することで大筋了承した。

同省幹部が会合後、記者団に明らかにした。

物価連動債の発行額を見直すのは需給環境の改善が狙い。原油安で市場のインフレ期待が低下し、マイナス金利政策の導入後も市況は改善しておらず、出席者から「需給の不均衡が生じ、流動性プレミアムが拡大している」との声が出た。

これを踏まえ、財務省は4月の発行額を4000億円に見直し、新たに買入消却を拡充する案も提示。「バイバックはもう少し増やしていいとの声も一部にあったが、いずれも賛成する声が多かった」(同省幹部)という。

財務省は、24日に予定している国債投資家懇談会での議論も踏まえ、月内にも対応策を正式決定する方針だ。
http://jp.reuters.com/article/finance-ministry-debt-idJPKCN0WP0V7


企業収益や雇用市場は改善、日本経済は回復基調=石原経済再生相
[東京 23日 ロイター] - 石原伸晃経済再生相は23日、月例経済報告関係閣僚会議の後に会見し、企業収益や雇用市場は改善しており日本経済は回復基調にあるとし、ファンダメンタルズの底堅さに変化はないとの認識を示した。

政府は同日公表した3月の月例経済報告で、先月比の景気認識を5カ月ぶりに下方修正。個別項目でも個人消費や企業収益、業況判断を下方修正した。

石原経済再生相はまた、来年4月に予定されている消費税の再引き上げについては、安倍晋三首相が適宜適切に判断すると述べた。
http://jp.reuters.com/article/ishihara-monthly-econ-report-idJPKCN0WP0XG


第350回 スティグリッツ教授の来日(2/3)

2016/03/23 (水) 11:09
いずれにせよ、スティグリッツ教授の提言は正しい。
外圧大好きな日本政府は、アメリカのノーベル経済学者様が
「日本は金融政策などを行っているが、財政政策がこれから必要だ」
と語っているわけだから、ここはひとつ、素直に従ってみてはどうか?
それはともかく、極めて情けない話だが、スティグリッツ教授の来日と提言で、日本国内で何となく「財政政策やむなし」の空気が醸成されていっている。
 というよりも、
「消費税凍結や財政政策が正しいのか!(※正しい)」
と、外国の権威に提言されたマスコミが、混乱しているように思えるのだ。 
筆者が各紙を読み比べた限り、最も混乱していたのが中日新聞だ。消費税増税に反対を続けていた中日新聞が、なぜかスティグリッツ教授の「財政出動するべき」という提言に対し、
「経済分析会合 いいとこ取りはやめよ」
「消費税増税延期や補正予算編成の方便だけに利用することは許されない」
ど、ヒステリックな社説を書いて噛みついていた。何をやりたいのだろう、この新聞は。スティグリッツ教授が、消費税増税は日本経済のデフレを深刻化させるという自説を補強してくれたにも関わらず、批判してどうするのか。
それはともかく、スティグリッツ教授の提言の全ては、以下で読むことができる。

【第1回 国際金融経済分析会合 議事次第】
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusaikinyu/dai1/gijisidai.html

 上記、一次ソースに基づき、スティグリッツ提言の概要を整理してみよう。スティグリッツ教授の現状認識は、筆者とほぼ同じであるため省略し、主に日本に対する提言に絞る。


●世界経済の中心的課題:総需要の不足。
●金融政策:
 金融施策は、概ねその役割を全うした。
 深刻な停滞時において、金融政策が極めて有効だったことはこれまでにない。唯一の効果的な手段は財政政策。
 本当の問題はゼロ金利制約ではない。金利を少し下げること(例えマイナスの領域に入ったとしても)は機能しない。
 マイナス金利の試みは景気を大きくは刺激せず、悪い副作用をもたらす可能性も。
 量的緩和は不平等を拡大した。
●財政政策:
 当然の手段。
 2008年から09年の財政拡大は効果があった。(※日本では麻生政権)
 危機時に(政府の)支出を最適化する時間はなかった。たとえ不完全な歳出であっても、大量の資源を活用せずにいることや不況に比べれば望ましい。
 グローバリゼーションにより政策効果は損なわれている、便益は他国に流出し、費用は自国に発生。
※上記はマンデルフレミングモデルの話ではなく、例えば外国に自国の公共事業を受注されてしまうケースなどを意味すると思われる。
●対処法
 緊急の問題:世界の需要を取り戻す。
 炭素に高価格を設定
経常収支の黒字を、インフラを含めた投資に活用。
政府支出の増加。
 平等性を高める施策:賃金上昇と労働者保護を高める施策。
 グローバルな基軸通貨制度を構築。
 国内需要は民間よりも大きい:環境や人間、(知識ギャップを埋める)テクノロジー、インフラ、住みよい街にするための投資も(需要に)含まれる。
  ・国内需要の大半は公的ファイナンスで調達されるべきもの。 
  ・健康や教育はその中でも重要なサービス部門。
 緊縮財政をやめる。
 環境税の引き上げや金融取引税の導入。
 法人税減税は投資拡大に寄与しない。大抵の投資は借り入れが原資で、支払利子は所得控除となるため。減税はネットの資本コストを上昇させ、投資意欲を減退させる。
 むしろ、国内で投資や雇用創出に積極的でない企業に法人税を引き上げる方が、投資拡大を促す。
 必要なのはインフラとテクノロジーに対する積極的な投資。
●構造改革
 適切な需要なしには、サプライサイドの改革は失業を増加させるだけで、経済成長には寄与しない。 
 低生産性部門からゼロ生産性、つまりは人々を失業に追いやるだけ。
 供給は、それ自体の需要を作り出さない。
 実際にサプライサイドの改革は需要を弱め、GDPを低下させる。
 適切に設計された需要刺激策は、供給や生産性を増加させ、現在および潜在的なGDP成長率を引き上げることができる。
http://klug-fx.jp/mitsuhashi/2016/03/23/025482.php


Business | 2016年 03月 23日 18:50 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス

 焦点:ドル円戻り基調、米追加利上げ観測 リスクオン見方は少数
[東京 23日 ロイター] - ドル/円JPY=EBSが戻り基調となっている。米連邦準備理事会(FRB)高官によるタカ派的な発言が相次ぎ、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に後退した早期追加利上げ観測の揺り戻しが意識されている。ただ、これを口実にドル売り/円買いポジションの巻き戻しが出ているとの見方も根強い。

先行きリスクオンに傾斜すると楽観視する声は少なく、世界経済の動向をにらみながら神経質な展開が続きそうだ。

「ドル/円の下値は、徐々に固まってきている印象がある。ただ、上値追いに自信が持てるわけでもない」と、国内金融機関の為替ディーラーは指摘する。

前週のドル/円は、ドル売りの流れが強まり、一時110.67円をつけて年初来安値を更新した。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果について、ハト派色が強いとの受け止めが出たためだ。

それが今週は、値を持ち直してきている。株価や原油価格といったリスク資産が落ち着き、FRB高官からタカ派的な発言が相次いだことで、地合いの改善につながっていると見られている。

米追加利上げについて「早ければ4月末に予定されるFOMCで、実施される可能性もある」(米アトランタ地区連銀のロックハート総裁)と、市場の織り込みより早い追加利上げの可能性をにじませたほか、ハト派と見られていた高官からタカ派寄りな発言も出て、市場には戸惑いが広がった。

<早期利上げに懐疑的な市場>

バークレイズ銀行・為替ストラテジスト、門田真一郎氏は、FRB高官らの発言について「市場は(FOMC後に)相当、ハト派に傾いた面があったため、バランスを取ろうとしているのではないか」と見ている。

前回のFOMCでは、景気は堅調との見方を示しながら、メンバーによる政策金利見通しを引き下げた。ただ、金利見通しの引き下げは、中国経済の減速などグローバルなリスクやドル高を気にしたためで、地区連銀総裁らの発言でも「経済見通しに大きな変化はない」(バークレイズ銀の門田氏)との指摘だ。

ドル/円はひとまず反発で反応したが、足元の市場では早期追加利上げに対し、なお懐疑的な見方が有力だ。

112円台まで値を戻したが「ドル買いの勢いは、まだ感じられない」(別の国内金融機関)という。米国などではイースターの連休を控えており、海外投機筋がこれまで積み上げたドルショートや円ロングを手仕舞う動きがあるという。

米商品先物取引委員会(CFTC)がまとめたIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(3月15日までの1週間)では、円買い越しが減少したが、その後に強まったドル売り/円買いの中で再び膨らんだと見られる。

一時的に反発基調が強まる可能性はあるものの「113円や114円に近づけば、戻り売りも強まる。素直に115円に向かうとは考えにくい」(同)という。

<4月利上げの思惑が急なら相場波乱のおそれ>

もっとも、先行きの金融市場の安定や米国のインフレ回復が見込める場合には、4月利上げの目も、ゼロではないとの見方もある。

三井住友信託銀行のマーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏は、よほど強い理由がなければ4月利上げは難しいと指摘しながら「株価・原油価格が上昇し、中国の経済データが強く、FRBが物価の目安とするコアPCE価格指数が前年同月比2%に上昇するような環境が整うなら、FRBは利上げする可能性は高まる」と見ている。

足元で、米原油先物CLc1は昨年12月前半と同水準の1バレル40ドル台に持ち直しており、米ダウ.DJIは1万7500ドルを超えて年初の水準付近に回復。中国の上海総合株価指数.SSECも節目となる3000ポイント付近まで回復した。米コアPCE価格指数は1月で1.7%となっている。

FOMCメンバーの金利予想に基づく利上げ回数の見通しは、今年は2回。ただ、年後半には米大統領選挙を控えており、近づくにつれ政治への配慮から利上げは難しくなると見られている。6月までに利上げできない場合、年内1回どころか、1回もできないとの見方に市場の思惑が大きく後退するおそれもある。

6月には英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を控えており、市場の波乱も想定される。これまでのところ、市場は4月の米追加利上げを織り込んでいないが「チャンスがあるうちに利上げをしたいというのは、FRBの偽らざる本心だろう」(別の国内金融機関)と見られている。

ただ「タカ派的な発言でどんどんドル高が進みリスク回避になれば、結局、利上げの可能性が低下してしまい、ドル高が進みにくくなるというループに陥っている部分がある」(バークレイズ銀の門田氏)との指摘も出ている。

(平田紀之 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/dollar-yen-outlook-idJPKCN0WP0YT



World | 2016年 03月 23日 18:26 JST 関連トピックス: トップニュース
OPEC・ロシアの増産凍結、おそらく「無意味」=IEA

[シンガポール 23日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)の幹部は23日、石油輸出国機構(OPEC)の一部加盟国とロシアが計画している増産凍結について、実際に増産余力があるのはサウジアラビアのみで、増産凍結はおそらく「無意味」だろうとの認識を示した。

カタールは、増産凍結を協議する会合を4月17日にドーハで開催すると表明。OPEC加盟全13カ国と非加盟の主要産油国に参加を呼び掛けている。

IEAの石油産業・市場部門責任者、ニール・アトキンソン氏は業界の会合で「(会議に参加する)産油国で、増産余力があるのはサウジだけだ」と指摘。「したがって、おそらく生産凍結は、どちらかといえば無意味だろう。原油価格が安定するという信頼感を醸成するためのジェスチャーの意味合いが強い」と述べた。

増産余力の大きいイランとリビアは、同会合への参加を見送る意向を示しており、OPEC加盟の両国が不参加となれば、増産凍結の効果は限られるとみられている。
http://jp.reuters.com/article/global-oil-iea-idJPKCN0WP0XR



[FISCO]米国株見通し:テロへの過度な警戒は後退か、原油価格のリバウンドを好感


配信日時 2016年3月23日(水)20:08:35 掲載日時 2016年3月23日(水)20:18:35
『米株式市場』


22日のNY市場はまちまち。ベルギーで発生した連続テロ事件を受けた投資家心理の悪化で、売りが先行。その後は医薬品やハイテク銘柄を中心に買いが広がり、徐々に下げ幅を縮小、午後になって一時上昇に転じる場面もあったが、テロを受けた航空・旅行関連株の下落で上値の重い展開となった。ダウ平均は41.30ドル安の17582.57、ナスダックは12.79ポイント高の4821.66。


グローベックスの米株先物は小幅ながらプラス圏で推移している。また、欧州市場も全般上昇しており、連続爆破テロによる地政学リスクへの過度な警戒は避けられそうである。しかし、楽観視する流れにはなり難いと考えられ、NYダウは昨年末の戻り高値水準でのこう着感の強い相場展開になりそうだ。経済指標では新築住宅販売件数(2月)が予定されているほか、イベントとしてはニューヨーク国際自動車ショーのプレスデーとなり、自動車メーカーのほか、グーグルなど自動運転にも市場の関心が集まりそうだ。その他、原油先物相場のリバウンド基調が
強まってきており、政府系ファンドによる売りへの警戒が薄れる格好になろう。

ロンドン市場 ドル買い一服 材料に欠ける

米国経済指標【MBA住宅ローン申請指数】
配信日時 2016年3月23日(水)20:00:00 掲載日時 2016年3月23日(水)20:10:00
*MBA住宅ローン申請指数(18日までの週)20:00
結果 -3.3%
予想 N/A 前回 -3.3%(前週比)

[FISCO]欧州為替:ドル底堅い、テロ後の買い継続
配信日時 2016年3月23日(水)19:57:58 掲載日時 2016年3月23日(水)20:07:58
22日に発生したベルギー・ブリュッセルの空港での爆発事件を受け、欧州通貨は売られドルに買いが入りやすい地合いが続いている。ドル・円は夕方に112円半ばを上抜け、一時112円77銭まで上昇。欧米株高が続けばドルは一段高となろう。


欧州市場では、ドル・円は112円37銭から112円77銭、ユーロ・ドルは1.1182ドルから1.1198ドル、ユーロ・円は125円72銭から126円19銭で取引されている。


欧州株 銀行や石油株の一角が重し


配信日時 2016年3月23日(水)19:45:00 掲載日時 2016年3月23日(水)19:55:00
東京時間19:41現在
英FTSE100  6202.40(+9.66 +0.16%)
独DAX  10097.98(+107.98 +1.09%)
仏CAC40  4456.51(+24.54 +0.55%)
スイスSMI  7920.76(+67.69 +0.86%)
※仏CAC40、スイスSMIは15分遅れ

【銀行株】
東京時間19:41現在
HSBC       446.80(-1.10 -0.24%)
RBS        232.10(-1.30 -0.55%)
バークレイズ   159.05(+1.85 +1.15%)
Sチャータード  493.30(-1.40 -0.29%)
ロイズTSB     69.12(-0.24 -0.34%)
ドイツ銀行      16.58(-0.13 -0.77%)
コメルツバンク   8.09(+0.01 +0.10%)
BNPパリバ     45.04(-0.08 -0.17%)
ソシエテ ジェネラル  35.07(-0.11 -0.31%)
クレディ・アグリコル   10.01(-0.06 -0.59%)
UBS            16.22(-0.15 -0.92%)
クレディ・スイス     14.65(+0.33 +2.27%)

【石油株】
東京時間19:41現在
BP           359.75(-1.00 -0.28%)
Rダッチ/シェル 1698.50(-3.50 -0.21%)
タローオイル    218.70(-5.30 -2.38%)
ケアン・エナジー  207.20(-0.80 -0.39%)
トタル            41.52(+0.14 +0.33%)
http://klug-fx.jp/fxnews


中国株の信用取引融資残高、昨年11月以来の大幅増−当局が規制を緩和
Bloomberg News
2016年3月23日 17:56 JST
信用取引融資の再開と金利引き下げの発表受けて株価上昇
レバレッジ奨励を狙ったものではないと中国証券報は指摘

中国で昨年の株式ブームをもたらし、その後の株価急落を招いた信用取引融資の残高が昨年11月以来の大幅増となった。当局による規制緩和が背景だ。
  ブルームバーグの集計データによれば、上海と深?の証券取引所の信用取引融資残高は21日、2.2%増の8633億元(約14兆9500億円)となった。増加率は昨年11月9日以来の大きさ。21日の中国株式市場で、上海総合指数は2カ月ぶりに3000の大台を回復。証券会社に信用取引の資金を提供する中国証券金融が証券各社への期間短めの融資を再開し、金利も引き下げると発表した。
  先週は信用取引融資をめぐる規制が緩和されるとの観測が売買高の回復につながり、小型株から成る創業板(チャイネクスト)指数は週間ベースで過去最大の上昇を記録した。

  中国証券金融は18日、証券各社への融資を再開すると発表。期間は7−182日で、金利は最低3%に引き下げると説明した。
  中国証券報は23日付の1面で、今回の措置について、当局が株式市場のレバレッジを奨励していると解釈されるべきではないと指摘。情報源は明示していない。同紙は金利引き下げは需給の変動や短期金利のトレンドに基づく通常の調整だとしている。  
原題:China’s Margin Finance Gains Most Since November as Curbs Eased(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-03-23/O4HE556K50XT01

タイ中銀、政策金利を7会合連続据え置き−政府刺激策の効果見極め
Suttinee Yuvejwattana
2016年3月23日 17:09 JST

タイ中央銀行は23日、政策金利を7会合連続で据え置いた。政府が講じた景気刺激策の効果が近く表れ始めると判断した。
  タイ中銀は政策決定会合で1日物レポ金利を1.5%に据え置くことを全会一致で決めたと発表。ブルームバーグ・ニュースが調査したエコノミスト20人のうち19人が据え置きを予想し、1人が0.25ポイントの利下げを見込んでいた。
  軍主導のプラユット政権はここ数カ月、農村地域の消費押し上げを図った景気刺激策を講じてきており、22日には住宅市場支援のための700億バーツ(約2240億円)の追加歳出を承認した。
原題:Thailand Holds Rate a 7th Time as Government Bets on Stimulus(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-03-23/O4HF4B6JIJUO01


イスラム国、支配地域で勢力後退 財政もひっ迫

By NOUR MALAS
2016 年 3 月 23 日 18:09 JST

 過激派組織「イスラム国」(IS)は22日にブリュッセルで起きた連続テロ事件の犯行声明を出し、まだ海外で大規模な作戦を実行する力があることを誇示した。だが、西側諸国の当局者によると、ここ数カ月、シリアとイラクで相次いで軍事的敗北を喫し、支配地域を失っている上、財政も逼迫(ひっぱく)しているようだ。

 ISは、新たな戦闘員や外国人戦闘員、物資を外部から受け入れるための、シリアとトルコ国境沿いにあるアクセス地点を一部失っている。しかし60マイル(約97キロメートル)に及ぶ重要な国境沿いの地域は今も支配下に置いている。

 調査会社IHSのシニアアナリスト、コラム・ストラック氏は「戦闘の形勢はISに不利になりつつある」と指摘した。IHSは先週、ISは2015年初め時点でシリアとイラクで支配していた地域の22%を失っているとの見方を示した。

 ISが最後に戦場で大きな勝利を収めたのは15年5月。イラク・アンバル州の州都ラマディとシリアの古都パルミラを制圧した時だった。

 それから7カ月後の12月下旬にイラク軍がラマディを奪還。11月にはイラクのクルド人部隊がシンジャルを奪還した。これらはISと戦っているイラクと米国主導の有志連合の両方にとって象徴的な勝利となった。

 この数週間、シリア政府軍はロシア軍による空爆の支援を得てパルミラ奪還に向けて少しずつ前進しているが、ISは激しく反撃している。

 ISの戦闘員はシリア各地で追い詰められており、ISが首都と称するシリア北部のラッカには米国が支援するシリアのクルド人部隊と反政府勢力の合同部隊が向かっている。

 合同部隊は2月、シリア北東部のアルシャダディを制圧し、ラッカとISのもう1つの主要拠点であるイラク北部モスルに続く補給路を遮断した。

 米軍はモスル奪還に向けて現地部隊を組織する一方で、この1年、直接、または現地パートナーを通じて、ISの最高幹部らを標的にしてきた。最高幹部らを排除することで、最終的に組織を壊滅するためだ。だがISは今のところしぶとく抵抗しているという。

 シリアとイラクのISの支配下で暮らしている住民の話からは、ISの財政が逼迫している様子がうかがえる。例えば、戦闘員の報酬が減ったことや、住民への締めつけがさらに厳しくなったことなどだ。

 モスルのある住民は「ISは昨年後半からパニック状態になったような様子を見せ始め、金もうけの手段を一生懸命考え出そうとしていた」と語った。その1つは、イラクディナールと米ドルの為替レートを不正操作することだった。

 有志連合の空爆は、ISの大きな収入源である石油関連施設を標的としている。世界的な原油価格の下落もISに財政的な打撃を与えている。

 だが、有志連合はイラクとシリアでISの壊滅を目指す中で大きな問題に直面している。有志連合の調整を担当する米大統領特使のブレット・マクガーク氏はISの支配地域について、世界各地のテロ攻撃を指揮するセンターになっていると指摘している。 

 同氏は2月10日に米下院で証言し、このところの軍事行動の成功はISから莫大(ばくだい)な資源を奪っていると述べた。しかし、ISは「100カ国以上から集まった数千人の外国人戦闘員など、依然として恐るべき勢力を維持している」とした上で、「特に外国人戦闘員のネットワークは米国とそのパートナーの大きな懸念事項だ」と語った。

関連記事

ベルギー連続テロ、ISの欧米首都攻撃戦略を浮き彫り
【社説】対シリアの失敗が生んだブリュッセルのテロ
「イスラム国」戦闘員がイラクとシリアで減少=ホワイトハウス
シリア情勢特集
「イスラム国」 特集 (最終更新:2015年10月1日)
http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052970203483604580119333088721038


 

ECBの'新バズーカ'と日本の金融政策の見通し

大槻 奈那「金融テーマ解説」
チーフ・アナリスト 大槻奈那が、毎回、旬な金融市場のトピックについて解説します。市場の流れをいち早く把握し、味方につけたいあなたに、金融の「今」をお伝えします。
プロフィール
2016年03月14日


3月10日、ECB(欧州中央銀行)が事前予想を上回る金融緩和を決めた。欧州メディアは、これを'バズーカ'と呼び、これを受けた翌日の世界の株式市場は、金融株を中心にそろって上昇した。
今週は日米の金融政策決定会合も予定されている(日本は14-15日、米国は現地時間15-16日)。双方ともに動きなしとの市場コンセンサスが固まりつつあるが、低インフレの日本については、今後数回の会合での追加緩和は必至だろう。
近時は他の地域で導入済みの金融政策を修正しながら導入する例が目立つ。特に日本とユーロ圏では、低インフレ、銀行中心の間接金融システム、量的緩和のための購入資産不足などの共通点もあり、近い金融政策が取られやすいとみられる。このため以下では、ECBの先週の決定を概観し、今後日本でとられやすい金融政策とその実体経済と金融機関への効果を検討する。
ECBの新たな追加緩和策の概要:「量」+「質」+「金利」三拍子そろって市場予想以上
今回のECBの追加緩和のポイントは、1)資産購入額を、毎月600億ユーロから800億ユーロに増額(=量)、2)買い入れ対象資産に、事業法人の発行する社債を新たに追加(=質)、3)主な政策金利を揃って引き下げた上、長期資金供給オペ(TLTRO2)については、積極的に貸出を行う銀行に対してマイナス金利で資金を提供するとした(=金利)(図表1)。世界中の金融関係者の予想を下回った前回の発表からは一転、市場予想を上回る内容となった。

これだけ広範な緩和策を取った背景には、ECBの抱える3つの課題があったと思われる。第一に、前回15/12月の決定会合のような市場の失望を回避すること。このため、資産購入額は市場期待の毎月700〜750億ユーロを上回るものが提示された。ところが、資産購入額を市場予想以上に拡大した場合、現在の買い入れ基準を満たす一部の国債(ドイツなど)が今年の年末までに枯渇しかねなかった。そこで、先行する日銀に続き、ついに純民間企業の社債購入に踏み切ったと思われる。もっとも、社債購入はあくまで補完的で、月額数十億ユーロ程度と、国債に比べて小規模となるとみられている。
ECBの2つ目の課題は、民間貸出の伸びに勢いがないこと。マイナス金利導入後、じわじわと増加はしているものの、依然として、伸び率は1%〜2%と振るわない。特に事業法人向けは、改善傾向にはあるものの、前年比横ばい近傍をさまよっている(図表2)。ユーロ圏では貸出の伸びがGDP成長率と連動しており、特にリーマン・ショック以降は、銀行のリスク回避的な姿勢から、貸出がGDPの成長を下回っている(図表3)。成長しないと貸出が伸びない、貸出が伸びないと企業も成長できない、というデッドロックに陥っているとみられる。

このような状況を受け、今回ECBは、民間銀行に対する長期資金供給オペ(TLTRO2)の条件を大幅に緩和し、住宅ローンを除く貸出の増加幅に応じて、市中銀行に対してマイナス40bp(=中銀預金金利)という低金利で資金を提供することとした。つまり、市中銀行が、この枠組みを使って資金を調達した場合、満期には元本より少ない金額を返済すればいいことになり、銀行の利益を実質的に嵩上げするとみられる。
従来は「リファイナンス金利」(今回、年率5bpから0bpに引き下げ)が適用されていたため、市場金利(Libor)がマイナスとなっている現状では、優良行にとってのメリットは少なかった。しかも、今回は、借り入れた資金を2年後には返済することも可能というオプションまで付与された。
ユーロ圏の銀行では、日本と異なり、預貸率(貸出残高÷預金残高)が100%を超えていることから、預金以外の資金を調達しないと貸出が自由に増やせない。このため、マイナス40bpでのECBからの資金供給の効用は大きいとみられる。

ECBの第3の課題は、低金利や与信費用増などによる金融機関の収益悪化懸念である。上記のTLTRO2のマイナス金利適用は、これに対しても一定の効果をもたらしうる。更なるマイナス金利幅の拡大は銀行システムへの懸念を増幅させないためにも銀行に対する'スィートナー(甘味料)'が必要だったとみられる。
今後の日銀の政策へのインプリケーション
今回ECBは、日銀等他国が既に採用している施策のいくつかを一層強化して導入した。例えば、社債の購入は、日銀が既に2013年に導入していたものである。長期資金供給オペ(TLTRO2)に貸出増加部分のインセンティブを付けるという手法も、英国で2012年に導入され、日銀が翌年「貸出増加支援基金」として開始した流れを受けている。しかも日銀では市中銀行への貸出金利は0.1%に据え置かれているが、ECBは、貸出を増加した銀行にはマイナス金利で資金を提供することとして市場を驚かせた。
逆に日本の1月29日発表のマイナス金利は、欧州各国の先例にならったものである。マイナス金利適用に階層を設けるという手法も、北欧やスイスで先行例がある。
このように互いの金融政策に'共鳴'し合うという流れは今後も続くだろう。低インフレ等の共通の悩みを抱える上、既に他の地域で導入されている施策であれば、市場もその政策を理解している分混乱を避けやすいことが背景にあると思われる。
日銀の次の施策とその効果
これらを踏まえ、日本の当面の金融政策について考えてみたい。前述の通り、今週14-15日の会合で更に大胆な施策を取るとは考えにくいものの、現在の物価上昇率低迷を考えると、近いうちになんらかの追加緩和を打ち出さざるを得ないだろう。
だとすると、日銀の次の一手としてはどのような手段が有力だろうか。世界的に例を見ない全く新しい手法が出てくる可能性もあるものの、やはり、市場の反応が読みやすい他地域の施策から検討する可能性が高いと思われる。
具体的には、1)資産購入額の更なる積み増し、2)購入資産に地方債を追加、3) 貸出支援基金へのマイナス金利適用(日銀から市中銀行にマイナスで資金を提供)、4)日銀当座預金のマイナス金利の幅拡大などがありうると思われる。これらの施策の効果の度合いは以下の通りと予想する。

1)の資産拡大を行うとすれば、購入可能額を増やすためにも、2)の地方債を対象に加える可能性が高いだろう。ECBも昨年12月から地方債を購入対象に加えたことや、政府の地方創生の方針とも合致するため、やはり政策候補の一つと思われる。しかし、日本の地方債市場は59兆円(16/1月末)と、国債を中心とする債券市場全体1,100兆円のわずか5.4%となっており、市場の流動性も低い。しかも、もし地方債の購入に踏み切った場合、ますます国債購入が限界に近いという印象を市場に与えかねない点が弱みである。
しかし、効果の面では、1)よりも、3)の貸出支援基金の金利引き下げの方が高いと思われる。日本の貸出支援基金の使用残高は2月末時点で31兆円と、貸出全体(約500兆円)の6%に過ぎない。長期安定資金であり、預金保険料の支払いも不要ではあるなどのメリットはあるものの、預金が過度に集まっている中では活用には限界がある。しかし、マイナス金利で調達できることになれば、確実に銀行の貸出のモチベーションにつながるだろう。但し、邦銀の財務状況は良好であり、欧州ほどには銀行の収益を支える必要はないことから依然実施は不透明である。
4)のマイナス金利幅の拡大は、金融機関の収益に対する悪影響が大きいため、かなり難しいと思われる。ECBも日銀も、マイナス金利政策の銀行収益への配慮に言及している。加えて、日本の銀行の貸出金利は、他国と比べて政策金利の割に低すぎる(図表6)。前掲図表4の通り、預金が余っているため銀行間の競争が激しくなり過ぎていることが背景である。このため日銀は、マイナス金利幅の更なる拡大については、副作用も含めた影響を見定めつつ、やや時間をかけて検討する可能性が高いと思われる。

今後何らかの追加緩和があれば、実体経済には多かれ少なかれプラスとなるだろう。しかし、金融政策はメニューが増えてきた分複雑になってきているため、それぞれの施策の本当の効果を個別に見定める作業が必要である。特に銀行に対してはプラスとマイナスが混在することから、慎重に吟味する必要があるだろう。
(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。
https://info.monex.co.jp/report/financial-market/index.html 


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