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マンション購入で「最悪の失望」?投資目的で儲けマイナス、毎年価値減少でもコスト発生
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14359.html
2016.03.23 文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト Business Journal
日本の一部エリアの不動産バブルが続いている。バブル化しているのは東京の都心と城南、湾岸エリア、川崎市の武蔵小杉駅前、京都市の御所周辺など、かなり地域が限定されている。おそらく、日本の国土の1%に満たないエリアだ。だから筆者は「局地バブル」と呼んでいる。
一方、福岡や名古屋の一部地域を除いて、日本の不動産価格は下落し続けている。人口減少が顕著な地域では、それこそ無価値化しているといってよい。日本では人口が減り始めたといっても、まだ1億2000万人以上が住んでおり、最盛期から1割も減っていない。にもかかわらず、日本国土の98%で住宅を中心とした不動産は値下がりが続いているのだ。
その原因のひとつは、間違いなく住宅のつくり過ぎである。都市部、郊外、地方を問わず、日本全体で新築住宅をつくり過ぎたことで、完全に余っている。
ところが、東京や京都の一部ではなぜ局地的なマンションバブルが起きているのか。
それらは、いずれも本来の「住む」という目的のため以外の需要が発生しているからだ。まず、京都の御所エリアでここ数年見られた激しいマンション価格の上昇は、そのかなりの部分がセカンドハウス需要だと思われる。筆者のところにも、「京都でマンションを買いたいのですが」という相談が寄せられるが、8割以上がセカンドハウス用だ。
2015年の初めに完売した「プラウド京都麩屋町御池」という43戸の高級マンションがあった。いわゆる「御所バブル」の中心地にできたマンションである。短期間で完売した後に売主企業が発表した購入者の居住地は、「京都府 26.7%、東京都 23.3%、大阪府 14.0% 」というものだった。つまり、地元からの購入が4分の1程度。セカンドハウス需要が大半だということだ。
前述した東京の都心を中心としたエリアでは14年の終わりから15年いっぱい、バブル価格となった新築マンションが飛ぶように売れた。その売れ行きは、あの平成バブルの熱狂を思い出させる。しかし、こちらも「住む」ための需要は半分程度かと推測する。残り半分は、京都のようなセカンドハウスではなく投資と投機。
賃貸で運用してインカムゲインを狙う投資目的と、短期での値上がりを狙う投機。この2つの需要で買われたのである。新築マンションを、まるで株や債券のような感覚で購入する人々がいるのだ。
■純粋な金融資産とは異なる特性
確かに、賃貸で運用すれば債券の金利のように利回りを得られる。短期に値上がりすれば、株や投資信託のように儲かるかもしれない。しかし、マンションには純粋な金融資産とは決定的に異なる特性が2つある。
まず、マンションは保有することにコストがかかる。賃借人が付いて賃料が得られなかったとしても、管理費や修繕積立金その他の費用を払わなければならない。固定資産税や都市計画税もある。これらの費用は、ざっくりと物件価格の1%程度が目安だ。
付け加えれば、東京都心では賃貸住宅の空室率が20%を超えているエリアは珍しくない。利回りを得られるどころか、借り手が見つからなければ約1%のマイナス金利状態になる。保有することでかかるコストは、金銭面だけではない。マンションの区分所有者は自動的に管理組合の一員となる。管理組合の理事や理事長は、たいていの場合は輪番制だ。何年かに一度回ってくる。拒否できる場合もあるが、自らの資産を健全な状態に保つために、こういう義務は果たすべきだろう。
2番目の特徴は、建物は時とともに劣化していくという点だ。最近の新築マンションは性能が向上している、といわれている。しかし、半永久的に住めるわけではない。また、日本に築60年を超えるマンションは存在しない。建て替えられているのは、ほとんどが築40年クラスのマンションだ。
仮に50年使えるとすると、毎年建物の2%の価値が減じていくことになる。50年後に取り壊して土地を売却し、区分所有者に分配するとしよう。今の法制度では全区分所有者の5分の4が賛成しなければならない。これはあまり現実的ではないし、実現したケースを知らない。
マンションは金融資産と似ているようで、実はかなり異なるものだ。よく不動産投資は「ミドルリスク、ミドルリターン」だといわれる。実際、その通り。元金保証の金融商品は利回りが1%を切っているものがほとんどだが、都心の新築マンションは計算上3%程度の利回りになることが多い。しかし、それは借り手が付いてこそ得られる利回り。確定ではない。
■「値下がり」リスク
そして、マンションには「値下がり」というリスクもある。このバブルが弾ければ、値上がりしたマンションの資産価値は確実に下がる。株のように「最悪は紙くず」になることはないが、半分以下になったケースはざらにある。さらに、最近では「欠陥建築」というリスクもクローズアップされている。
さまざまなリスクを考えなければいけないのに、金融商品感覚でマンションを購入した人々は、そのうち「こんなはずじゃなかった」と思い始めるかもしれない。特に、あまり日本の事情を深く考えずにブームに乗った外国人たちは、バブル崩壊とともに失望を深めるだろう。
今は局地バブルという大きな流れが変わる潮目ではなかろうか。
(文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト)
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