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3月IPOの主役は保有する花王株式の含み益の大きさに着目した投資家の買い物を集めた(撮影:今井康一)
3月IPO、急騰劇演じたあの伏兵株のどこに投資家は着目したのか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160322-00110618-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 3月22日(火)21時11分配信
先週(3月第3週)は近年まれに見るIPO(新規株式公開)強化週間みたいな週になった(たくさん上場したというだけだが……)。新規上場は12社もあり、そのうち半分の6社が18日に同時上場。同日6社上場は9年ぶりだそうだ。
そして、なにがなんだかよくわからんまま、IPO強化週間を通過した。テレビのクイズ番組的に「12社の社名、全部答えよ」と聞かれたら、間違いなく答えられないことには自信がある。
あたり前の話だが、日程が重なれば、メインの参加者である個人投資家の短期マネーは分散する。いくらIPO直後でボラティリティ(価格変動率)が高く、流動性も高いとはいえ、12社全部を同時にデイトレードできるわけもなく、単純に投資家の関心も資金も散らばってしまうからだ。
その結果、公開価格に対する初値の上昇率は平常時よりも抑えられ、セカンダリーでの“直近IPOだからという理由だけで人気がある時間”は短縮されてしまう。基本的に、IPO繁忙期に上場することの株価面からのメリットはないのではないだろうか。
そんな12社の初値騰落率とセカンダリー(初値から先週末18日終値までの)騰落率を一覧にした。順番は、セカンダリー騰落率の高い順に並べた。
公開価格に対して初値が何パーセント上がったか(下がったか)は、公開規模(=公開価格×株数)に依存する部分が大きい。それよりも投資家の関心は「初値が付いてから上がるのどれ?」に集中する。その観点でダントツだったのが、ダークホースともいうべき昭栄薬品 <3537> という創立78年の老舗化学品商社だった。
■ 「花王敏感株」として買われた昭栄薬品
“社名が命”というキャッチフレーズがあるともないとも言われるIPO(に限らず最近の上場ベンチャー企業に総じて当てはまるが……)において、フェニックスバイオ <6190、バイオベンチャーではなくCRO:医薬品開発受託機関> 、グローバルグループ <6189、保育園を運営> 、アイドママーケティングコミュニケーション <9466、主に食品スーパーの折り込みチラシをクリエイティブ提案> を抑えて羨望の的になったのが昭栄薬品(こちらも製薬会社ではなく化学品商社)だったのである。
昭栄薬品には、セカンダリーで急騰するだけの手掛かりがあった。初値は公開価格を48%上回る2001円で寄り付いたが、この値段でも十分にディープバリュー株(超割安株)であることに気付いていた少数の投資家がいたことが発端である。
公開価格ベースの上場時の時価総額は15.5億円だったのに対し、純資産は前期末時点で49.4億円。つまり、公開価格のPBRは0.31倍である。それだけでは商社という業種からしても特に買い材料とはならないが、同社が異様に多くの株式を保有している事実が最大の手掛かりになった(右表)。
同社の主要取引先は花王 <4452> で、その取引は60年以上に及ぶという。その過程で、株式持ち合いの関係ができたのだろう。花王の株だけで、保有時価は41億円あまりに及ぶ。取得時期はわからないが、花王株は現在6000円弱だ。30年前の1985年の株価を調べると安値で496円(分割等考慮)を付けた経緯がある。花王株上昇による恩恵が資産を大膨張させた会社といえそうだ。
そのほかに保有する上場会社の株も合わせると時価ベースで50億円程度に達する。それとの見合いで上場時の時価総額15.5億円は安すぎるだろ、というファンダメンタルズアプローチが働いたことが想像される。ちなみに、前期における「その他有価証券評価差額金」(保有投資有価証券の時価上昇による評価差額金)は13.6億円も増加した。国内屈指の「花王敏感株」といえそうだ。
なかなか鋭い着眼点でIPO強化週間のスターになった昭栄薬品。週初22日も一時18%高の4385円まで連騰する場面があった。この時点で時価総額は50億円突破。前期実績ベースだが表記上、PBRは1倍を超えた。バブル探しが大好きな投機マネーだが、いったんはここでブレーキをかけた感じだろうか。
予想PERは6倍弱。予想一株利益(EPS)が689円で、公開価格1350円ベースの予想PERは1.9倍台だった。昨年12月、閉鎖した大阪工場の土地の譲渡契約がまとまったのが理由だ。土地売却益を7.66億円も特別利益計上したことで、今2016年3月期の最終利益予想が7.91億円となっている点にも触れておきたい。
■ 株価が上昇している会社はすごそうに見える
「ビットコインやる! フィンテックやる! 民泊やる!」みたいな宣言をリリース1枚で開示するだけで、株価の急騰する事例が多い最近の日本株市場。少し前まで「○○の開発に成功した」と発表したら急騰するという感じだったと記憶しているが、いつからこんなことになったのだろうか……。
とはいえ、株価が上がると、何かすごい会社に見えてくるのが株のマジック的な側面である。IPOだってそうだろう。まだ上場したばかりで情報が少ない中、その上場会社がどういう事業をしているのか、どういう経営者なのか、成長戦略はどうなっているかを吟味していないにもかかわらず株価が上がっていると、何だかすごい将来性のある会社に見えてくるというマジックに翻弄されてしまう。
「種明かしが起きたときの反動は想像するだけでおそろしいな〜」とかのんきに思っているうちに、そんな企業の株価はさらに上がる……の繰り返しだ。
(おしまい)
※株式コメンテーター・岡村友哉
株式市場の日々の動向を経済番組で解説。大手証券会社を経て、投資情報会社フィスコへ。その後独立し、現在に至る。フィスコではIPO・新興株市場担当として、IPO企業約400社のレポートを作成し、「初値予想」を投資家向けに提供していた。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
岡村 友哉
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