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待機児童地獄・東京、幼稚園の年間費用50万で山口の6倍…1施設園児数は島根の7倍
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14336.html
2016.03.21 文=鷲尾香一/ジャーナリスト Business Journal
子供を幼稚園に通わせるなら島根県、山形県、愛媛県、秋田県、幼稚園に勤務するなら東京都、神奈川県――。
非常に不謹慎な話だが、全日本私立幼稚園連合会が発表した「平成27年(2015年)度 私立幼稚園 経営実態調査報告」を分析したら、そんな結果が出てきた。
東京をはじめとする首都圏の待機児童問題が深刻化するなか、2月、 「不倫してもいいし賄賂受け取るのもどうでもいいから保育園増やせよ。オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ」「保育園作れよ」などと書かれた匿名ブログが国会でも取り上げられるなど話題を呼んだ。これを受けて保育制度の充実を推進しようとする動きも高まるなか、同調査結果をみると、幼稚園という教育機関を通じて見た少子化の実態は、政府が行う少子化動向の調査とは違った側面が垣間見える。
少子化の直接の影響を受けるのは、幼稚園という産業だろう。同調査によると、15年度の全国平均園児数(1幼稚園当たりの園児数)は156.2人で、定員充足率は74.7%と過去10年間で最低を更新した。
学年別でも3歳児平均数48.8人、4歳児平均数53.2人、5歳児平均数54.2人とすべての歳児で最低を更新している。結果的に、平均学級数(1幼稚園当たりの学級数)も6.3学級となり、同様に最低を更新した。想像以上に少子化は進んでいる。
では、各都道府県の幼稚園の実態を見てみよう。文部科学省の学校基本調査・速報値(15年5月1日現在)では以下のようになっている。
<幼稚園数の多い都道府県>
東京都:840
神奈川県:665
埼玉県:563
<幼稚園数の少ない都道府県>
徳島県:12
島根県:15
鳥取県:27
幼稚園数が少ない県は、いずれも人口減少県の上位にくる県で、加えて、高齢化が進んでいる県でもある。それにしても、幼稚園数の多い1位の東京都と少ない最下位の徳島県とでは70倍の格差がある。では、1幼稚園当たりの平均園児数ではどうか。
<園児数の多い都道府県>
大阪府:217.2人
愛知県:198.1人
神奈川県:197.0人
(東京都:182.0人)
<園児数の少ない都道府県>
島根県:28.1人
青森県:63.7人
山梨県:76.0人
同じ幼稚園といっても、島根県では1幼稚園当たり28人しか園児がいないのに対して、大阪府では200人を超える園児がいる。特に島根県は幼稚園数が15で、園児数が28人と子供の少なさが際立っている。ちなみに、もっとも幼稚園数が少ない徳島県では、園児数は106.8人となっており、全国でも中規模クラスの園児数だ。こうして比較すると、大都市圏の都府県に人口が集中し、それとともに子供が集中していることがわかる。
■定員充足率と教員1人当たりの園児数
次に、連合会の調査結果を使って、少し違う視点から見てみよう。せっかく子供を幼稚園に預けるのなら、教員の目が行き届いているところが良いと思うのは親心。そこで、定員充足率と教員1人当たりの園児数を見てみよう。
<充足率の高い都道府県>
滋賀県:92.8%
東京都:87.5%
神奈川県:85.3%
<充足率の低い都道府県>
島根県:42.1%
高知県:46.8%
徳島県:53.9%
<教員1人当たりの園児数の多い都道府県>
千葉県:14.6人
埼玉県:14.1人
神奈川県:14.0人
<教員1人当たりの園児数が少ない都道府県>
島根県:7.2人
山形県:8.6人
青森県:8.7人
長野県:8.7人
教員1人当たりの園児数では、もっとも少ない島根県の倍の園児を千葉県、埼玉県、神奈川県の教員は見ていることになる。当然のことながら、園児一人ひとりに対する目の行き届き方が違ってくるのではないか。こうして見ると、山陰地方、四国地方と東北地方の幼稚園が教員1人当たりの受け持ちが少なく、目が行き届いた教育を受けられそうだ。
ただ、気になるのは費用の問題。そこで、入園料、1年当たりの納付金を見てみる。実は少子化のなかにありながら、園児1人当たりの年間納付金は増加している。全国平均は35万9274円と前年度比3039円増(0.9%増)となっている。
<入園料の高い都道府県>
東京都:10万9725円
神奈川県:10万6686円
埼玉県:6万7222円
<入園料の安い都道府県>
山口県:1万6836円
鳥取県:1万9857円
秋田県:2万2125円
入学金と同様の一時的な出費となる入園料がもっとも高い東京都と、もっとも安い山口県では6.5倍の格差がある。当然のことだが、この入園料の高さは1年間の納付金にも関係してくる。
<納付金の高い都道府県>
東京都:50万7421円
神奈川県:47万2811円
岐阜県:38万8536円
<納付金の安い都道府県>
愛媛県:26万2137円
秋田県:27万6744円
岡山県:28万5929円
こうなると、もはや東京都や神奈川県は別格だ。私立の小学校や中学校並みの費用が掛かる。やはり、幼稚園に通わせるなら、東京都や神奈川県は避けたいもの。結局、子供は地方の自然豊かななかで育てたほうが良いということだろうか。
■教員の月額給与と年俸の平均金額
さて、それでは教員として幼稚園に勤めるなら、どこがよいのか。幼稚園の教員の月額給与と年収の平均金額は、月額給与17万3863円、年収255万7114円となっている。
<月給・年収の高い地区>
東京地区:19万4258円、288万8852円
神奈川地区:19万1285円、283万4425円
大阪地区:18万8149円、275万6049円
<月給・年収の低い地区>
東北地区:15万5569円、222万0934円
四国地区:15万7939円、224万8441円
北海道地区:16万0977円、239万3343円
ご覧の通り、入園料・納付金の高い地区の給与が高いという当たり前の結果となっているが、地方の物価が安く、生活がしやすいという点を考慮すると、可処分所得に大きな差が生まれるほど給与格差があるとはいえない。むしろ、教員1人当たりの園児数などを考えた場合、教員として園児と向き合っていく上では、地方の幼稚園に勤務するほうがよいのかもしれない。
■厳しい幼稚園経営
ただ、少子化の進展のなかで、幼稚園経営が厳しい状況になっていることも確かだ。幼稚園経営の健全性を見る上では、収支差額比率がプラス(黒字)になっているかを見るのだが、全国平均では学校法人以外では+6.8%、学校法人では+5.0%となっている。しかし、園児が100人以下の小規模幼稚園では、学校法人以外で−4.1%、学校法人で−3.5%と赤字経営となっている。
<学校法人で園児が100人以下の幼稚園の経営状態>
北海道地区:−6.3%
東北地区:+0.4%
関東地区:+0.3%
うち東京地区:−1.5%
神奈川地区:−21.6%
東海・北陸地区:+0.1%
近畿地区:−9.5%
うち大阪地区:−8.3%
中国地区:+6.0%
四国地区:−5.0%
九州地区:+4.2%
小売業で大型スーパーが町の商店街を崩壊させたように、幼稚園も大規模幼稚園が存在感を示し、小規模幼稚園を淘汰しようとしている。特に、園児の多い都市部で小規模幼稚園は苦戦している。ちなみに、近畿地区では園児101人から200人の規模の幼稚園も−2.6%と赤字経営になっている。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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