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人工知能「アルファ碁(AlphaGo)」と李セドル九段の対局 (Photo by Kim Min-Hee-Pool/Getty Images)
人工知能の勝利で「喪失感」 アルファ碁関係者の告白
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160320-00011597-forbes-bus_all
Forbes JAPAN 3月20日(日)10時1分配信
グーグル傘下のグーグル・ディープマインドが開発した囲碁ソフト「アルファ碁」が、世界最強棋士の一人である李セドル九段との5連戦の最終局を制した。
第4局ではアルファ碁が決定的なミスを犯し、李九段が勝利したが全体を通してアルファ碁が李九段を圧倒した。人工知能はこれまでにチェスの世界王者を破っているが、頭脳ゲームでは最後の砦と言われた囲碁でも人間を打ち負かしたことになる。
「長年の夢を実現できてとても興奮している。今後は、アルファ碁で培った技術をリアルタイム機械通訳、スマートフォンのアシスタント機能、ヘルスケアなどの分野にも活用していきたい」とディープマインドの共同創業者であるデミス・ハサビスは記者会見で述べた。
今回の勝利は人工知能の発展において歴史的な快挙だ。しかし、ディープマインドの開発者たちにとっては通過点に過ぎないようだ。今回の対局の真の狙いは、勝負に勝つことよりもトップ棋士と対戦することでプログラムの弱点を見つけ、性能をさらに向上させることにあったという。
1997年にIBMのスーパーコンピュータ「ディープブルー」が当時のチェス世界王者ガルリ・カスパロフを破った時には、「ブルートフォース」(総当たり)と呼ばれる手法が使われた。これは、コンピュータが瞬時に可能な手を全て計算し、最適な選択肢を選ぶというものだが、囲碁はチェスとは比べ物にならないほど複雑なため同じ手法は使えない。
関係者がMediumで「複雑な心境」を吐露
「勝つためには人間と同じような直感を備える必要があった」とディープマインドでソフトウェア・エンジニアを務めるルーカス・ベーカーは話す。自身も囲碁のアアマチュア棋士だというベーカーは、Mediumに投稿したブログの中でアルファ碁の勝利を喜びつつも、人類が生み出したゲームの中でもっとも古くて知的な囲碁で人工知能が勝ったことに喪失感を覚えると、複雑な心境を吐露している。
「我々は、人間の頭脳を鍛えるようにアルファ碁に棋譜を学習させ、試行錯誤を繰り返えさせた結果、自ら最適な戦略を考えて名人を倒せるレベルに到達した」とベーカーは話す。
アルファ碁のシステムは、人間の脳で無数のニューロンがシグナル伝達を行うように、数百万のノードからなる 12層構成のニューラルネットワークが情報を処理している。
この手法により、他のコンピュータ囲碁プログラムとの対戦では99.8%の勝率をおさめ、2015年後半には欧州チャンピオンと対戦し、5勝0敗で完勝した。ネイチャー誌に掲載された記事によると、人工知能が囲碁のプロ棋士を破るのは10年先のことだと考えられていたという。
李セドル九段との対戦までの数か月間で、アルファ碁はニューラルネットワーク間同士で何百万回も対局を繰り返し、勝者を予測する「バリューネットワーク」と、次の手を選択する「ポリシーネットワーク」を強化して世界トップレベルのプロ棋士が繰り出す手を直観的に予測することができるようになったという。
このプロセスは強化学習と呼ばれ、グーグルは同じメソッドを使って検索やデジタルアシスタント「Google Now」で使用するアルゴリズムの向上に役立てたいと考えている。
「ゲームは人工知能のアルゴリズムの開発やテストにうってつけだが、我々の究極のゴールは培った技術を気候モデリングや疾病分析など、現実世界の問題解決に役立てることだ」とハサビスは述べている。
Parmy Olson
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