消えた80万バレル 過剰原油はどこへ? 原油市場の供給過剰はかなりの部分が統計ミスか? 写真は中国・浙江省でタンカーから陸揚げされる原油By GEORGI KANTCHEV 2016 年 3 月 18 日 12:15 JST 供給過剰に陥っている世界の原油市場に大きな謎がある。大量の原油が行方不明になっていることだ。 国際エネルギー機関(IEA)の昨年の原油需給データに、日量80万バレルの「行き先の分からない原油」が発生している。この原油が最終的にどこかに引き取られたのか、それとも初めから存在していなかったのかは、過剰供給圧力にさらされる原油市場にとって大きな問題だ。 石油アナリストの間では、不明分は中国に引き取られたと見る向きもあれば、データ収集の不備によるもので存在しないとする意見もある。この不明分が実際は存在しないとなれば、原油相場を10年ぶりの最低水準に押し下げている供給過剰は、現在考えられているよりもはるかに少ないことになり、原油相場は早期に反発に向かう可能性が出てくる。 これまでもIEAの統計には行き先不明の原油が存在したが、昨年はその数字が17年ぶりの高水準となった。エネルギー業界専門の米投資銀行チューダー・ピッカリング・ホルトのマネジングディレクター、デービッド・パーセル氏は、「行方不明の原油のために原油市場が想定されていた以上に引き締まっているならば、相場は早期に反発に転じるだろう」と述べる。 「行方不明の原油」は増加しており、原油相場の供給過剰は現在の推定よりも少ないかもしれない。図はOECD加盟国による備蓄や輸送中の原油を除いた、行き先の分からない原油(単位100万バレル:日量) IEAは、昨年の世界の原油供給は日量約9600万バレルで、そのなかの供給過剰分は平均190万バレルだったと推定している。このうち77万バレルは備蓄され、約30万バレルは海上ないしパイプライン輸送中で、行方不明となっているのは残りの約80万バレルだ。
昨年第4四半期には行方不明分は日量最大110万バレルと、同期の供給過剰の43%を占めたと推定されている。 IEAは世界中から原油生産と需要のデータを収集して毎月発表しており、同統計が原油市場を動かすことが少なくない。米エネルギー情報局(EIA)や石油輸出国機構(OPEC)も原油需給統計を発表しているが、細目を分類しておらず、行方不明分の数量は分からない。 英スタンダード・チャータード銀行の石油アナリストであるポール・ホースネル氏は、「行方不明分のほとんどは存在しないというのが最も妥当な説明だ」と述べる。IEAの広報担当者は、IEAのウェブサイトを引用して、行方不明分は、供給の過大評価、需要の過小評価、経済協力開発機構(OECD)加盟国外の各国の在庫変動によって説明できると述べた。 IEAの統計では備蓄に回される分はOECD加盟国だけの数字であるため、行方不明分の一部は中国など非OECD加盟国による備蓄の可能性がある。しかし、これに対しては異を唱えるアナリストもいる。というのも、行方不明分は供給過剰分の中で多くを占めており、それが非OECD諸国の備蓄だとすると、非OECD諸国がOECD加盟国よりはるかに急ピッチに備蓄している計算になるからだ。 原油データの収集の難しさを指摘するアナリストもいる。投資銀行DNBマーケッツは調査報告で、IEAの需要データは実際の消費量ではなくモデルから導き出されるため、しばしば大幅改定されると指摘し、現在、原油需要の半分以上は統計収集のシステムが十分整備されていない非OECD諸国からの数字だと述べる。同行は、「非OECD諸国の需要は実際にはIEAの報告を大幅に上回っているのではないか」と分析する。 ただ、米資産運用会社USバンク・ウエルス・マネジメントの上級投資ストラテジストであるロブ・ハワース氏は、世界の原油供給過剰が行方不明分をはるかに上回っていることを指摘し、「(不明分が存在しないのであれば)市場が多少引き締まる可能性はあるが、それでも供給過剰は大量だ」と話す。 関連記事 原油安、まだしばらく続く=ダラス連銀総裁 余った原油は鉄道のタンク車へ−米で新ビジネス 原油過剰供給の証左−溢れる荷揚げ待ちタンカー 産油国の苦境、長期化の見込み 原油安特集 http://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AH394_MISSIN_16U_20160315141206.jpg 中国:2月新築住宅、70都市中47都市で値上がり−大都市主導鮮明 (1) 2016/03/18 12:50 JST (ブルームバーグ):中国の2月の新築住宅価格は前月比上昇した都市数が2014年3月以来の多さとなり、不動産市場の持ち直しが加速した。銀行による与信拡大や政府の抑制策緩和を受けて、大都市での値上がりがけん引した。 18日の発表によると、国家統計局が継続的に調査している主要70都市のうち47都市で2月の新築住宅価格が前月比で上昇。1月は38都市で値上がりしていた。前月比で下落したのは15都市。1月は24都市で値下がりだった。2月の価格横ばいは8都市。 みずほセキュリティーズアジアのアナリスト、アラン・ジン氏(香港在勤)は、都市部の価格は大半で「安定」しているにすぎず、一部では下落が続いており、投資家は1級都市の「活気づいた」不動産販売と全体像を混同してはいけないと指摘。全国レベルでの住宅支援策は今後も続けるべきだと述べた。 都市別の新築住宅価格では、深?が前月比3.5%上昇と全70都市で最も伸びが目立った。前年同月比では57%の値上がり。上海は前月比2.4%上昇、前年同月比で21%上昇。北京は前月比2.1%上昇、前年同月比13%上昇。広州は前月比1.6%上昇、前年同月比で12%上昇だった。 原題:China February Home Prices Rise as Major Cities Power Ahead (1)(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O47PRE6S972A01.html 長期金利が過去最低更新、日銀買いオペ結果受け−20年債利回りも最低 2016/03/18 12:59 JST (ブルームバーグ):債券相場は上昇。新発10年物と20年物の国債利回りは過去最低水準を更新している。日本銀行の長期国債買い入れオペで需給逼迫(ひっぱく)が示されたことが手掛かりとなっている。 18日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の342回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.06%で開始。午後の取引開始後にはマイナス0.135%に下げ、8日に付けたこれまでの最低水準マイナス0.10%を更新した。新発20年物の156回債利回りは1.5bp低い0.415%で開始し、午後には一時0.29%と8日に付けた最低水準の0.305%を下回った。 パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「日銀オペの結果が非常に強かった。30年債、20年債などものがないという状況。投資家が買ってしまっている。プラスの金利の物は、少なくなっているので、買いが集中している。売れる人がいないので、簡単に市場に出てこない感じ」と話した。 長期国債先物市場で中心限月6月物は、前日比13銭高の151円40銭で取引を開始。日銀オペ通知後には一段高となり、午後に入ると78銭高の152円05銭まで上昇している。 日銀が実施した今月6回目となる長期国債買い入れオペ(総額1.26兆円)の結果によると、残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、10年超25年以下、25年超の全てで応札倍率が前回より低下した。足元で売り圧力が弱まっていることが示された。 メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「短中期債利回りの低下については、円高・株安を受けた日銀の追加緩和の思惑の高まりや日銀の買い入れオペを受けた買いが優勢だ。国債買い現先オペの通知を受けて、日銀がマイナスを維持したい意図を感じたのも、短中期債のサポートとなったようだ。10年債についてはイールドカーブ上で10年債が割安に見えることも影響しているかもしれない」と述べた。 17日の米国債相場は小幅続伸。米10年債利回りは前日比1bp低下の1.90%程度と、終値ベースで9日以来の低水準となった。前日発表の米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明を受けて、緩和的な金融政策が続くとの観測が支えとなった。一方、この日の東京株式相場は大幅下落。日経平均株価は前日終値に比べ300円を超す下落幅となる場面があった。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O469OP6JTSEK01.html ドル・円が一時111円割れ、日本株下落で−米利上げ鈍化予想重しに 2016/03/18 12:20 JST
(ブルームバーグ):18日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が前日の海外市場に続いて1ドル=111円台を割り込む場面が見られている。米国の利上げペース鈍化見通しがドルの上値を押さえる中、日本株の下落で円買い圧力がかかった。 午後0時15分現在のドル・円相場は111円25銭付近。朝方に付けた111円47銭から一時110円82銭まで水準を切り下げた。その後は値を戻し、111円台前半でもみ合う展開となっている。前日の海外市場では一時110円67銭と、2014年10月31日以来の水準までドル安・円高が進んだ。 大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストは、「ドル安は米国にとってメリットで米株は上昇しているが、日欧ではデメリットという中で、日経平均が下落しており、ドル・円は下値リスクが高まっている」と説明。110円台へのドル安・円高進行で、「当局の市場への警戒姿勢などが注目されているが、110円割れへの警戒はあると思われる。また、円高が進んだことで4月の日本銀行の追加緩和への思惑も高まるとみられ、こうした思惑も含め今後は110円の攻防になっていきそうだ」と話す。 この日の東京株式相場は、日経平均株価が4日続落。前日終値からの下げ幅は一時300円を超えた。 前日の海外市場で110円台後半にドル安・円高が進んだ後、急速に111円台を回復した局面で、市場では日銀がレートチェックをしているとの観測が広がった。 オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のニュージーランド部門シニア通貨ストラテジスト、サム・タック氏(オークランド在勤)は、レートチェックをめぐる思惑について、「裏付けがないと聞いている」とし、「ドルの下値からの上げは米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が好調だったことが背景にある」と指摘する。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O47NT76S972B01.html 日本株は4日続落、1年5カ月ぶり円高嫌気−輸出や保険中心売られる 2016/03/18 12:00 JST
(ブルームバーグ):18日午前の東京株式相場は4日続落。為替市場で約1年5カ月ぶりの水準までドル安・円高が進み、企業業績の先行き懸念から自動車やゴム製品、精密機器といった輸出株が売られた。野村証券がマイナス金利を勘案し、目標株価を下げた第一生命保険など保険株は東証1部33業種の下落率トップ、銀行株も安い。 TOPIXの午前終値は前日比16.61ポイント(1.2%)安の1342.36、日経平均株価は217円10銭(1.3%)安の1万6719円28銭。 パインブリッジ・インベストメンツの前野達志マネージングディレクターは、「今回のFRBの決断はグローバルの流動性という観点ではプラスだが、日本企業、日本株にとっては円高というマイナスの観点の方がより注目されてしまった」と話した。 17日の海外為替市場ではドルが続落し、2日間の下げは2009年以来で最大。米連邦公開市場委員会(FOMC)が前日に利上げ見通しを下方修正したことを引き続き材料視した。米10年債利回りは1週間ぶりの低水準で、ドル・円は一時1ドル=110円67銭と14年10月以来の円高水準に振れた。きょう午前の東京市場でも、110円80銭台と海外時間に付けた円高水準に接近した。金利先物市場が示す12月までの米利上げ確率は69%で、15日時点の80%から低下している。 パインブリッジの前野氏は、日本銀行と欧州中央銀行(ECB)は同じ立場に置かれていると指摘。マイナス金利の問題点も明らかになり、「追加緩和の限界が見えてきている。米国の金利は上がらない、日本の金利は下がらないということが円高に効いている」と言う。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の三浦誠一投資ストラテジストは、「1ドル=110円を超えて円高が進んだ場合、日経平均で1万6000円を意識せざるを得ない」とみている。 週末の日本株は小安く始まり、寄り付き直後にTOPIXがプラスとなるなど下げ渋る場面もあったが、その後は先物主導で下落幅を拡大、日経平均は一時300円以上安くなった。消費税増税の延期観測などが浮上しているものの、三浦氏は「サミットなどを控え円高トレンドを変えるような政策は出しにくい。景気対策を講じるにしても、円高局面では稼ぎ頭である輸出企業へのプラスのインパクトは疑問」と言う。 18日付の読売新聞朝刊は、景気の足踏み状態が続いた場合に首相が消費税増税を先送りする方向で検討を始めた、と報道。5月26−27日の伊勢志摩サミット前後に最終判断するという。 東証1部の業種別33指数は保険、輸送用機器、医薬品、ゴム製品、銀行、倉庫・運輸、精密、小売、その他金融など29業種が下落。野村証券では、マイナス金利を踏まえ第一生命など上場生保の業績予想を下方修正し、目標株価も下げた。前日の海外原油先物の連騰を受けた鉱業や石油・石炭製品のほか、電気・ガス、鉄鋼の4業種は上昇。東証1部の売買高は10億4484万株、売買代金は1兆964億円。値上がり銘柄数は399、値下がりは1452。 売買代金上位ではトヨタ自動車や小野薬品工業、富士重工業、村田製作所、マツダ、アステラス製薬、日東電工、セイコーエプソンが下げ、23日に予定されていた事業説明会を中止したことが嫌気された千代田化工建設も安い。半面、東芝は高く、商品市況高が追い風となった国際石油開発帝石、住友金属鉱山も堅調だった。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O47GDD6KLVSE01.html Business | 2016年 03月 18日 11:52 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス アングル:新興国の「隠れた原石」企業、十把一絡げに売られ割安に
[ロンドン 16日 ロイター] - インド、ブラジル、トルコなどの新興国にはコモディティ価格の下落によって恩恵を受ける業種も少なくないが、新興国市場全体の低迷につられて株価が下落し、割安感が生じている場合が多い。 新興国株は5年連続で先進国株に比べてアンダーパフォームしているため、投資家はこうした「隠れた原石」も十把一絡げに売ってしまう傾向が強いのかもしれない。 ここ数カ月、新興国市場株はエネルギー価格と足並みをそろえて動く傾向にある。石油価格が急落すれば売り込まれ、少し上がれば少し反発するといった具合だ。しかしMSCIの新興国株式指数.MSCIEFを構成する企業の株式時価総額で見ると、4分の3はコモディティ輸入国に属している。 投資家は良い企業も悪い企業と一緒に売ってしまう。EPFRグローバルのデータによると、3月9日までの1年間に新興国株式ファンドから差し引き75億ドルが流出した。 BNPパリバ・インベストメント・パートナーズの新興国市場ストラテジー統括、パトリック・マンジュ氏は「業績の良い企業であっても、資金流出やリスクオフの影響を免れない」と語る。 航空、自動車、白物家電などエネルギー安の恩恵が最も大きいセクターは30─40%の増益を記録しているにもかかわらず、株価動向はまだら模様といったところ。好業績を発表した直後には上昇するが、新興国市場全体が下がると上昇を維持できなくなる傾向がある。 <モディ改革への期待> こうした中でもインド株はモディ政権の改革への期待に支えられ、既に数年ぶりの高値で推移しているため、上昇余地が限られそうだ。 例えば大手航空会社ジェット・エアウェイズ(JET.NS)は四半期決算で過去最高益を発表した後に急上昇したが、1月につけた5年ぶり高値を下回る水準で推移している。 同様にスズキ傘下の自動車大手マルチ・スズキ(MRTI.NS)と二輪車のヒーロー・モトコープ(HROM.NS)はともに3割程度の増益を成し遂げたが、株価は2014、15年を通じて上昇していたため、上値が重い印象だ。 このため「逆張り」投資家はトルコやブラジルなど、より低調な市場に大きな掘り出し物があると見ている。 <連座制> アカディアン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、デービッド・パーディ氏は、資金が雪崩を打って流出した際に低落したブラジルの資源・化学セクターに割安感があるかもしれない、と指摘。「ファンダメンタル的にはより健全であるにもかかわらず、『連座制』のようになった産業群がある」とし、その例としてパルプや紙を挙げた。 これらの業種は資源セクターと同一視されるが、実際にはエネルギー使用量が多くコスト安の恩恵に預かっている。 同様に、化学企業も石油生産業者であるかのようにして売られるが、本当は製品をつくるのに安い原油を利用できる立場にある。 中南米最大の石油化学企業ブラスケム(BRKM5.SA)が2月に発表した四半期決算は、為替レートと原油安の恩恵により大幅な黒字となったが、株価は年初から約5%下落している。 トルコはブラジルほど悲惨な経済状況ではないが、安全保障上の懸念から投資家はインドほどオーバーウェートにしてこなかった。このため一部の銘柄は、好業績が株価上昇に反映されやすくなっている。 自動車のトファス(TOASO.IS)は2015年に45%の増益を記録し、株価は年初から約9%上昇。家電のアルセリック(ARCLK.IS)は44%の増益を上げて株価は同30%値上がりした。 一方、シャルルマーニュ・キャピタルのジュリアン・メイヨ最高投資責任者は、トルコリラが対ドルで昨年25%下がってコモディティの輸入価格を押し上げたため、原油安の恩恵がトルコ企業に浸透するにはしばらく時間が掛かるとの見方を示した。 (Claire Milhench記者) http://jp.reuters.com/article/epfr-idJPKCN0WK0A9 ウォール街のひどい四半期、ゴールドマンも免れないもよう 2016/03/18 06:48 JST
(ブルームバーグ):ウォール街の金融機関トップたちがトレーディング収入および助言や引き受け手数料収入の急減について警告を発する中で、これらの業務への依存が最も高いゴールドマン・サックス・グループは沈黙を守っている。もっとも、同社も不調に見舞われているのは確かで、分からないのはその度合いだ。 クレディ・スイス・グループのアナリストらは15日のリポートで、ゴールドマンの合併・買収(M&A)助言と証券引き受けからの今四半期収入は前年同期比32%減と予想した。事情に詳しい関係者によると、ゴールドマンの一部幹部は25%程度の減少を見込んでいる。だが、これは内部での一部の見積もりで、正式な算定ではないという。トレーディング収入は恐らく17%減になったとクレディ・スイスのアナリストらはみている。 JPモルガン・チェースやシティグループなどは、市場の波乱が業績に悪影響を与えているとすでに警告した。企業や投資家が年初に戦略を調整するため、1−3月(第1四半期)は例年ウォール街にとって最も好業績が見込まれる時期だが、今年は株価の乱高下と商品下落、低金利で企業は株式の募集や売り出しを遅らせ顧客はトレーディングを控えている。 ゴールドマンは通常、四半期半ばに業績見通しを発表することはない。 オートノマス・リサーチのアナリスト、ガイ・モスコウスキ氏はインタビューで「他社の発言と、市場を観察して分かったことから、方向を見て取るしかない」とした上で、「市場環境はこの通り、良くない」と述べた。 ゴールドマンの広報担当、マイケル・デュバリー氏はコメントを控えた。 ゴールドマンの第1四半期の投資銀手数料収入の予想はまちまち。ウェルズ・ファーゴのマット・バーネル氏は9日、16%減との予想を示した。 一方、クレディ・スイスのスーザン・ロス・カツケ氏は、年初からの新規株式公開(IPO)低迷などでゴールドマンの株式引き受け手数料収入が恐らく74%減ったと見積もる。 原題:Goldman Seen Succumbing, Too, as Wall Street Has Awful Quarter(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O46UGJ6K50XS01.html オデイ氏のヘッジファンド、3月前半だけでマイナス22%−関係者 2016/03/18 12:08 JST
(ブルームバーグ):クリスピン・オデイ氏の主力ヘッジファンドは3月1−14日の間に運用資産の価値が22%減少し、月間の運用成績は最悪水準になる方向だ。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。 非公開情報を理由に匿名で語った関係者によると、オデイ・ヨーロピアンの年初から3月14日までの運用成績はマイナス25.5%となった。一方、この間のMSCI欧州指数の下落率は3.7%。同ファンドの月間運用成績が最も悪かったのは、マイナス19.3%を記録した2015年4月。 オデイが中国経済に対する否定的な見方に基づく投資を行った結果、投資家に不安定なリターンがもたらされた。ヘッジファンドの顧客は通常、長期的に市場平均を上回るリターンを得られる見込みであることを見返りに高い手数料を支払っている。同ファンドの1月末時点の運用資産は11億ユーロ(約1380億円)。昨年の運用成績はマイナス12.8%だった。 オデイ・アセット・マネジメントの広報担当者はコメントを控えた。 原題:Odey’s Hedge Fund Said to Plummet 22% in First Half of March(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O47N616TTDSG01.html 米アリゾナ大のスポーツコーチのボーナス、原油下落で目減りする理由 2016/03/18 12:05 JST (ブルームバーグ):スポーツで有名な他の多くの大学同様、米アリゾナ大学も一定年数勤務したフットボールとバスケットボールのコーチに長期勤続ボーナスを支給する。ボーナスは数百万ドルに上る場合もある。ユニークなのは、同大ではこうしたボーナスが原油価格から影響を受けるということだ。 17日に全米大学体育協会(NCAA)のトーナメント開幕戦に出場する男子バスケットボールチームを率いるショーン・ミラー氏と、ギルダン・ニューメキシコ・ボウル大会に出場するフットボールチームを率いるリッチ・ロドリゲス氏は、優秀なコーチとしては奇妙な状況に置かれている。ボーナスが目減りしているのだ。2014年に1バレル=90ドルを上回っていた原油価格は36ドルに下落。ロドリゲス氏には長期勤続ボーナスの最初の部分が今月半ばに支払われるが、約90万7000ドル(約1億円)相当と14年時点から41%目減りする可能性が高い。コーチのボーナスは1人当たり総額360万ドル相当と620万ドルから落ち込む見通しだ。 アリゾナ州は原油の主産地でないにもかかわらず、なぜ公立大学のコーチのボーナスがエネルギー価格に影響を受けることになったか。ボーナスの仕組みはアリゾナ大学が2年前、マスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)の株式50万ユニット(ユニットは株式に相当)を匿名の寄付として受け取ったことをきっかけに構築された。税制面で優遇されるMLPは、パイプラインなどエネルギー機器を運営する企業で、上場されている。ミラー氏とロドリゲス氏はそれぞれ17万5000ユニット、当時の価値で620万ドル相当を受け取った。アスレチックディレクターのグレッグ・バーン氏には10万ユニット、350万ドル相当が支給された。 寄付者の名前は公文書では編集された形となっており、大学も公開していない。ただ、14年5月12日の寄付時点での価格は1ユニット当たり35.36ドルと記録されており、米石油会社ウェスタン・リファイニング・ロジスティクスによるものであった可能性を強く示唆している。同社のジェフ・スティーブンス社長兼最高経営責任者(CEO)はアリゾナ大出身で、09年に同大の施設計画の資金の一部として1000万ドルを寄付。同大への運動競技関連の寄付としては当時、過去最高額だった。MLPのユニットの価格は今月15日時点で20.74ドル。スティーブンス社長兼CEOはコメントを控えた。 アリゾナ大が報酬プランを工夫するのには十分な理由があった。公立大学では運動競技関連部門は通常、最も多くの資金を保有している部門の一つだが、報酬は他の支出よりも速いペースで増えている。 幹部人材仲介会社コーン・フェリーのスポーツ関連部門プリンシパル、チャド・チャトロス氏によると、同大は寄付されたMLPのユニットを利用することでコーチに保証する報酬のリスクの一部を移行することができた。コーチらにとっては、より多くの報酬を受け取れる可能性もあった。同氏は「今回はあいにくコーチ側に有利には働かなかった」と指摘する。アリゾナ大の運動競技関連の広報担当者ジェレミー・シャープ氏は、ミラー氏やロドリゲス氏はボーナスの仕組みに関してコメントすることができないと語った。 当初の契約では、コーチ3人が22年3月末時点で依然として同大で勤務していた場合のみ、MLPのユニットは換金、支給されることになっていた。その後、支払い日程の変更に全員が合意・署名し、ミラー、バーン両氏は2年前倒しで20年に最後の支払いを受け、ロドリゲス氏はまず25%を今月受け取ることになっている。 原題:Why These College Coaches Get Paid Less When Oil Tumbles(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O47JK96KLVRL01.html
ブラジルの政治危機、知っておくべき5つのこと ブラジルでは抗議行動が全土に広がっている By WILL CONNORS 2016 年 3 月 18 日 12:51 JST
ブラジルの政治危機が深刻化している。ルセフ大統領がルラ前大統領を官房長官に任命したことを受けて、再び全土で抗議活動が広がっている。こうした現状について、知っておくべき5つのポイントを以下にまとめた。 1. ルラ氏が再入閣 今回の官房長官任命について、多くの専門家はルラ氏を汚職疑惑の捜査から守るのが目的と考えている。ブラジルでは選挙で選ばれた議員や閣僚は最高裁判所の承認がなければ逮捕することができないためだ。検察当局は、国営石油会社ペトロブラスに絡む一連の汚職事件で不正な利益を得た疑いでルラ氏を捜査している。ただ、ルラ氏は不正行為を否定している。 2. ブラジル各地で抗議デモが発生 16日夜にルラ氏入閣のニュースが広まると、ブラジル各地で抗議デモが起き、一部は17日も続いた。13日にはルセフ大統領の退陣を求めるデモも行われた。17日には大統領府の周辺に集まったデモ隊に対して催涙ガスが使用された。 3. 連邦判事が任命の差し止め命令 ルラ氏が17日に官房長官に就任宣誓した直後、連邦判事は任命の差し止めを命じた。この命令が直ちに発効したかどうかは不明。ブラジル政府は不服を申し立てる意向を明らかにした。最高裁は「間もなく」審理を始めるとしている。 4. 通話記録を公表 ペトロブラスの捜査を担当する連邦判事は16日遅く、汚職捜査と関連のある政府高官の間で交わされた数十件の通話記録を公開した。これにはルセフ大統領とルラ氏の会話も含まれており、その中で大統領は、ルラ氏が官房長官に正式に就任したことを証明する書類を就任式の前に同氏に送ると話していた。これを受けて、ルセフ大統領に批判的な人々の間で、官房長官の任命はルラ氏を守るためという見方が広がった。大統領は通話記録の公開の合法性に異議を唱えている。 5. 特別弾劾委員会を設置 ブラジル議会下院は17日、ルセフ大統領の弾劾請求を審議する特別委員会の設置を承認した。ルセフ大統領は不正な会計操作によって財政赤字の拡大を隠蔽(いんぺい)したとされているが、大統領はこれを否認している。一方、今週、約2年前にペトロブラスの汚職疑惑が明るみに出てから初めて、ルセフ大統領自身がこれに関与した疑いが浮上した。汚職事件に関与したブラジル上院議員は検察当局に、大統領はペトロブラスの会長を務めていた時に同社の不正行為を知っていたと話した。大統領は不正行為を否定している。 関連記事 ブラジル大統領に強まる退陣圧力、5つの背景 ブラジルが直面する高インフレと景気後退の二重苦 ブラジルの高齢者、「割り込み」は正当な権利 FX Forum | 2016年 03月 18日 08:30 JST 関連トピックス: トップニュース コラム:ドル安長期化か、ハト派化するFRB=門田真一郎 バークレイズ銀行 為替ストラテジスト [東京 17日] - 15―16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジが市場予想通り0.25―0.50%に据え置かれた。FOMCは順調な米国経済の状況を説明しつつも、世界経済・金融動向のリスクを指摘し、今年の利上げ回数の見通しを4回から2回に引き下げた。
当社は引き続き6月の次回利上げを基本シナリオとしているが、今回のFOMCの結果は、見た目以上にハト派的な意味合いを持っており、一段とドルの重しとなり得る点に注意したい。 <米国経済は順調だが、利上げ見通しは下方修正> 3月FOMCの声明文では、米国経済に関して改めて前向きな評価が示された。具体的には、個人消費および住宅部門を中心に経済活動の緩やかな拡大を確認しており、在庫主導の成長減速に言及していた前回1月の声明文から景況判断が引き上げられている。 また、「力強い就業者数の増加を含め、最近の広範な指標は、労働市場が一段と力強さを増したことを示している」と堅調な雇用回復の継続にも言及した。先行きについても、「経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標は力強さを増し続ける」との見通しが引き続き示される形となっている。 FOMC参加者の四半期経済予測でも、順調な経済成長シナリオが維持された。実質国内総生産(GDP)成長率予測は、2016年が前回12月のプラス2.4%から今回は同2.2%、17年が同2.2%から同2.1%へと、それぞれ小幅に引き下げられたが、それでもなお長期の成長率見通し(プラス2%)を上回っている。 労働市場については、供給余力(スラック)の残存を認識しつつも、改善傾向の継続が改めて示された。米連邦準備理事会(FRB)が重視する物価指標であるコア個人消費支出(PCE)デフレーターについても、17―18年にかけて2%目標に向かって加速していくという従来の見通しが踏襲された。 しかし、こうした前向きな経済見通しにもかかわらず、政策金利の予測は16―18年にかけて大きく下方修正されている。FFレート見通しの中央値は、16年が1.4%から0.9%へ、17年が2.4%から1.9%へと、いずれも50ベーシスポイント(bp)引き下げられたほか、18年も3.3%から3.0%へと25bp程度引き下げられた。政策金利見通しの分布も全体的に切り下がっており、ハト派・タカ派問わず利上げの軌道が見直された形だ。 最新予測から想定される利上げペースは、16年が50bp(2回)、17年が100bp(4回)、18年が110bp(4―5回)となる。これは、前回12月時点の予測と比べると、16年が4回から2回に大きく引き下げられており、次回利上げは6月になることを示唆している。なお、イエレンFRB議長は4月利上げの可能性は排除しないが、次回会合までの時間は限られていると述べている。 <FRBは負のフィードバック・ループに陥いる可能性> FOMCが慎重な金融政策スタンスを示した背景には、世界経済および金融動向に対するリスク認識や物価に対する慎重なスタンスがあった。 今回のFOMC声明文では、「世界経済と金融動向を注意深く監視し、労働市場やインフレ、そして見通しへのリスクバランスに与える影響を評価する」という文言こそ削除されたものの、代わりに「世界経済および金融動向は引き続きリスクをもたらす」という一文が加わった。金融市場が2月後半以降、安定を取り戻していたことを踏まえると、今回のリスク判断は非常に慎重なものと捉えられる。 イエレン議長はこの文言がリスクバランスの方向性を説明するものではないとし、リスクのすべてが一方向に傾いているわけではなく、上下双方向の要因があると述べた。しかし、FOMCのリスク認識は下方に傾いていると考えるべきだろう。これは、経済見通しの安定にもかかわらず、政策金利見通しが大幅に下方修正されたことからも明らかだ。 世界経済・金融動向に対するリスク認識は、将来のFRBの金融政策を制約し得る厄介な問題だ。今後、FRBが利上げを示唆することによって金融環境が引き締まった場合、結果として利上げが難しくなるという負のフィードバック・ループに陥る可能性があるためだ。 また、利上げの示唆によってドル高が進行する場合、人民元を含む新興国通貨がより強い下落圧力にさらされるリスクもある。その場合、中国の資本流出に対する懸念などが再燃する可能性もあろう。FRBがこうした負のフィードバック・ループを自ら断ち切らない限り、将来の利上げペースが現時点の想定よりも一段と緩慢なものとなるリスクは否定できない。 FOMCはインフレ動向についても慎重なスタンスを表明した。まず、声明文で「インフレはここ数カ月間で上向いた」との認識を示しつつも、「委員会の長期的な目標である2%を下回り続けた」と繰り返した。また、イエレン議長は記者会見で、最近のインフレ加速には「一時的な要因が影響している」とし、コアインフレが継続的に上昇するような状況だと結論づけるには至っていないと、慎重な物価観を示した。 さらに、2%目標は「対称的な目標」であり、「インフレの上振れを目指しているわけではない」が、下振れと上振れに対する容認度合いは対称的であるとした。これは、期待インフレ率が2%目標を大きく下振れ続ける場合や、賃金上昇率が緩慢にとどまる場合、実際のインフレ率が目標を多少上振れることも容認することを示唆している。すなわち、インフレ加速に伴って、賃金上昇率の加速や期待インフレ率の上昇が確認されなければ、FOMCが拙速な利上げで対応する可能性は低いと言えよう。 なお、そもそも足下のコアインフレ加速は特殊要因による部分があると見られ、今後は昨年後半の新興国通貨に対するドル高の影響で、再び抑制される公算が大きいと考えている。 こうしたなか、当社は米国経済の回復基調の継続を前提に、引き続き6月の次回利上げを基本シナリオとしているものの、今回のFOMCは金融政策見通しの不透明感を高めるものと判断される。利上げペースが現在の想定以上に緩慢なものとなるリスクに注意したい。 <円に通貨高圧力が集中しやすい構図は変わらず> 今回のFOMCを控え、市場ではタカ派的なメッセージに対する警戒感があったと見られ、ハト派的な結果はドル安、米金利低下、米株高につながっている。先行きについては、FOMCの慎重なスタンスを踏まえると、昨年のような利上げ期待を背景とした一本調子のドル高は想定しにくく、足元のドル低迷が長引く可能性もあるだろう。 一方でドル円については、ドル安による下押し圧力も避けられない一方、FRBのハト派スタンスを受けたリスク資産の回復や日本の政策対応期待などによって支えられる可能性もあろう。ただ、中国、新興国の成長減速や英国の欧州連合(EU)残留を問う国民投票、米大統領選挙といった政治的リスクが控えており、世界経済・金融環境をめぐる不確実性は根強い。再びリスクオフの流れが強まった場合、依然として割安感が大きい円に通貨高圧力が集中しやすい環境は変わっておらず、最終的には95円程度まで円高が進行する余地があると引き続き考えている。 「グローバルリスク」対「政策の限界」という構図のなか、ドル円相場は変動の大きい展開を予想している。 *門田真一郎氏は、バークレイズ銀行の為替ストラテジスト。2008年にバークレイズ証券株式会社に入社し、調査部で銀行戦略調査および外債ストラテジーを担当した後、2013年から現職。海外拠点の為替・金利・経済チームとのネットワークを活かし、為替市場見通しのほか海外経済・政治動向などについて幅広い情報提供を行っている。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経済学部卒。 http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-shinichiro-kadota-idJPKCN0WJ0VR
FRB、絶妙な政策発信に成功 会見するFRBのイエレン議長(16日) By GREG IP 2016 年 3 月 18 日 07:33 JST 米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、金融政策を緩和した。そのおかげで、世界経済はより安全になった。 いや違う。FRBは利下げしたわけではない。ただ、金融政策は実際の行動だけでなく言葉を通じても機能する。FRBは今年の利上げは4回ではなく2回だけであると示唆した。 それ自体に驚きはなかった。市場は利上げ回数がそれぐらいは減ると織り込み済みだった。それでも、FRBから直接聞いたということに大きな意味がある。利上げの軌道はあらかじめ決められたものではないと表明し、それが本当であることを証明するものだからだ。金融市場の反応が全てを物語っていた。ドルは下落し、2年物の米国債利回りは低下し、米国株式市場は上昇し、原油価格は急反発した。つまり、金融状況を緩和することは実際の利下げと同じくらい重要だということだ。 FRBのおかげでリセッション(景気後退)の脅威が消えたということは決してない。ただ、その脅威が高まれば利上げ計画を見直すという意欲を示すことで、自らの過ちがリセッションの原因になる確率を低くしている。 こうしたFRBの慎重姿勢は、世界の他の主要中銀3行がいずれも緩和策に出た後だっただけに、その影響力は大きい。日本銀行は1月、マイナス金利政策を導入した。2月には中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率を引き下げ、市中銀行に融資を拡大する余地を与えた。そして先週、欧州中央銀行(ECB)が預金金利のマイナス幅拡大や債券買い入れ増額に踏み切った。 一見すると、経済動向も市況もFRBの慎重姿勢を正当化していないように思える。失業率は4.9%と、FRBが完全雇用と考える水準とほぼ一致する。食料品とエネルギー品目を除くコアの消費者物価指数(CPI)は2月に前年同月比で2.3%上昇し、約4年ぶりの高い伸びを記録した。これは朗報だ。なぜなら、インフレ率は(FRBが注目する指標でみた場合)、数年にわたってFRBの目標とする2%を下回っているからだ。一方、乱高下していた金融市場はおおむね落ち着いた。FRBの16日の政策判断を受けて、ダウ工業株30種平均が年初来高値を付けるなど、株式市場は今年の下げ幅の大半を解消した。また、ジャンク(投資不適格)債と米国債の利回り差は縮小している。 だが、こうした比較的強気の評価は、二つの重要なポイントを見逃している。一つは、FRBが1月の時点では、市場の混乱がファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の変調を反映しているのか見極める構えだったことだ。その答えはイエスだった。カナダからブラジルに至る資源輸出国の経済成長は鈍化した。国際通貨基金(IMF)は今年の世界経済成長率見通しを下方修正する見通しだ。FRB当局者らが今年の米経済成長率見通しをわずか2.2%とし、昨年12月時点の見通し(2.4%)から引き下げた主な理由として、イエレン議長は世界経済の成長減速を挙げた。 もう一つは、イエレン議長が自ら指摘したように、投資家が一段と緩やかなFRBの引き締めを予想したことも手伝って、市場が安定していることだ。FRBにはそうした期待に応える責任があった。 少し振り返ってみたい。2014年後半、FRBは債券買い入れやゼロ金利継続の公約を通じて実施した異例の金融緩和政策の時代が終わりに近づいていることを示唆し始めた。この政策が投資家にいわゆる「リスクオン」の取引を促した。そして終わりに近づいているということは必然的に「リスクオフ」を意味することとなった。新興国やシェールオイル生産業者などのジャンク級企業から資本が逃避する一方、ドルが上昇し、株価の上昇は止まった。原油価格の急落や中国をめぐる懸念がリスクオフの流れを促したのは確かだが、背景にはいつも市場寄りではないFRBがいた。 FRBは16日、利上げの軌道が低くなるだけでなく、一服することも示唆した。FRB理事と地区連銀総裁の政策経路見通しによると、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の長期予想(中央値)は3.25%で、昨年12月時点の3.5%や2年前の4%を下回った。これは実際のところ明るい材料ではない。というのも、FRB当局が深刻な投資・支出不足でローン需要、ひいては完全雇用に見合う「均衡」金利が抑えられていると考えていることを意味するからだ。 市場はかなり前に同じ結論に達していた。これこそ長期米国債利回りが2%付近にとどまっている理由だ。FRB当局は市場の考え方に歩み寄っており、その過程で米経済がリセッションに逆戻りするほど利上げすることはありそうにない。 多額の債務を抱えた新興諸国、英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票、波乱含みの米大統領選挙など、リスクはまだ山ほどある。中央銀行には、こうしたリスクが市場心理に与える衝撃に対処する手だてがほぼない。だが、市場寄りの姿勢を新たにしたFRBは、問題ではなく解決策の一部であるに違いない。 関連記事 3月のFOMC、5つのポイント FRB、利上げ休止で年内引き締めが容易に FRB議長、各中銀の政策方向の違い問題視せず 【FRBウォッチ】イエレン議長の合い言葉は「慎重」 By JON HILSENRATH 2016 年 3 月 18 日 06:51 JST
米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が16日行った記者会見で、最も重要な発言は以下のようなものだった。「現時点では政策緩和の解除を慎重に進めることで、海外発のリスクはあっても雇用市場が引き続き強さを増していると確認することが可能になる。政策金利は依然としてゼロ近辺にあり、金融政策が見通しの下振れより上振れに対応する余地のほうが大きいことを踏まえれば、そうした慎重さは適切だ」 「慎重」というのがイエレン氏の合い言葉で、決定的な特徴を表している。昨年8月には中国不安が表面化し、FRBは9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で一部の市場予想どおりに利上げを見送った。イエレン氏とFOMC委員は2015年中の利上げを数カ月にわたり示唆した後、一抹の不安を抱えつつ12月の利上げに踏み切った。 だが、FRBが初回の政策行動を取り終えたとはいえ、イエレン氏は追加利上げにあたり大胆な行動や予想外の動きをするつもりはない。 FRBは不確実性に直面する中、様子見姿勢を強めている。イエレン氏が上記の発言で指摘したように、積極的過ぎる利上げはあまりに大きな危険を伴う。政策金利は依然としてゼロ近辺だ。むやみに積極的な利上げを進めて景気が悪化すれば、経済の減速を和らげるために利下げで対応する余地はほとんどない。 FRBが16日に示した慎重姿勢はもう一つの目的も果たした。政策金利引き上げの軌道が12月に示唆したより一段と緩やかになるとの市場の認識を承認したことだ。これにより、投資家がここ数週間の金融条件の改善を逆行させ海外リスクから米経済を守ろうとするFRBの取り組みを脅かさないことがほぼ確実になった。 FOMCを受け、広範な主要通貨に対するドルの価値を示すドル指数は16日に前日比1%低下したほか、ダウ工業株30種平均は0.43%高で引けた。指標銘柄の10年物米国債の利回りは前日から0.021%低下し1.94%となった。 市場はここ数週間、FRBの役割を部分的に担う形で機能している。FRBは16日のFOMCで、経済が再び小幅な引き締めを受け入れられる状態になったとの説得力ある証拠をさらに確認するまで、行動を踏みとどまる決定を下した。 関連記事 3月のFOMC、5つのポイント FRB、利上げ休止で年内引き締めが容易に FOMC声明文、ここが変わった http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-NC828_0316YE_M_20160316145437.jpg 日銀、円の水準を照会していた=関係筋 By KOSAKU NARIOKA 2016 年 3 月 18 日 00:19 JST
【東京】日本銀行が対ドルの円の水準を照会していたことが関係者の話で17日明らかになった。市場関係者の間では、こうした動きは当局が円の上昇に懸念を強めている兆候と受け止められる。 為替取引プラットフォームEBSによると、この日のドルは一時110円67銭まで下落し、2014年10月以来の安値をつけた。 日本の当局者は過去にも、銀行に電話で円の売値と買値を問い合わせて急速な円高進行への不安を示していた。 当局の見解に詳しい別の関係者は、1ドル=110円が鍵となる水準で、これを突破すればさらなる懸念を引き起こすと指摘した。 関連記事 日銀、金融政策を現状維持 景気判断は下方修正 日本への批判高まり、円安誘導の選択肢なくなる 【社説】日本とスイス、タンス預金が示唆すること 中央銀行と市場の「危険な関係」 先進国の政府債務、実は3倍=シティグループ By TIMOTHY W. MARTIN 2016 年 3 月 18 日 13:39 JST
世界の先進20カ国の政府債務は44兆ドル(約4900兆円)に達している。 だが、最近のあるリポートによると、実際はこれをはるかに上回っている。公的年金や他の退職関連給付を含めると、債務水準は約3倍の122兆ドルに跳ね上がるという。 このリポートはシティグループが発表した「来る年金危機(The Coming PensionsCrisis)」というもの。経済協力開発機構(OECD)に加盟する20カ国の政府年金債務を分析した。 シティの年金関連部門責任者で、かつて米年金給付保証公社(PBGC)の運営を任されたチャールズ・ミラード氏は「まさに時限爆弾の様相を帯びている」と述べた。 この隠れ債務、つまり78兆ドルという退職給付関連債務の水準は、世界の国内総生産(GDP)の1年分に匹敵する。 シティの研究員が集計したのは政府の年金債務、つまり社会保障債務と公的年金債務の合計で、各国の退職関連債務を平均するとGDP比190%に達することが明らかとなった。専門家の多くはGDP比100%を憂慮すべき基準と考えているが、これをはるかに上回っている。 ミラード氏は「住宅ローンの残高は44万ドルだと思っていたのに、銀行が電話で130万ドルだと言ってきたところを想像してみて欲しい。まさにわれわれが直面している状況だ」と語った。 調査した20カ国のうち、オーストラリアの年金関連債務はGDP比50%未満と最も盤石だった。一方、この比率が最も高かったのはポーランドで、350%を上回っている。 未積立の年金や退職給付はすぐに支払いが必要な予算ではない。だが、その規模が膨らめば政府予算の負担となる。 有力な解決策の一つは、オランダが採用している「集団運用型確定拠出制度」だ。これは米国の確定拠出年金(401k)制度と似ているが、個人が投資戦略を選ぶのではなく、運用会社が資金を取りまとめて運用する。
Business | 2016年 03月 18日 13:40 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
アングル:スペイン、政治停滞が景気減速につながる恐れ [マドリード 17日 ロイター] - スペインで続く政治の停滞が経済に影を落とし始めており、新政権立ち上げに向けた政党間の駆け引きや対立がさらに長引けば、景気が減速する可能性が高まりつつある。 消費者が財布のひもを締めているのは心配な兆候の1つだ。マドリードの富裕層地区の店でクラフトビールを販売する男性は「毎週やってきてビールを5杯か6杯飲んでいた常連客の訪れる回数が減り、注文も1杯か2杯に減った」と述べた。 この男性の収入は1月に増えたものの、2月から3月にかけては期待したよりもずっと少なくなった。 昨年12月の総選挙でどの政党も過半数の議席を獲得できなかったことを受けて始まった連立政権樹立の動きは、3カ月近く経過した今も実を結んでいない。 最大野党の社会労働党が主導する左派は議会で信任を受けられず、選挙で最も多くの議席を得た国民党などの保守勢力もパートナー探しが難航している。 こうした事態が経済を圧迫するリスクは大きい。失業率は2008─13年までの経済危機時から下がっているとはいえなお20%を超える。財政赤字を抑制し続ける上でも、景気回復の持続は重要な要素になるだろう。 家計や投資家がより消極的な姿勢になっていることは今後もっとはっきりしてくるかもしれない。 中堅銀行バンコ・ポプラール(POP.MC)のアンヘル・ロン会長は「12月以降に各支店から上がってきた情報では、顧客は自動車や住宅の購入に際して幾分慎重になっている」と話した。 BBVAの調査担当者は、政治不透明感によって同社が2.7%と予想している今年のスペインの経済成長率は0.5%ポイント押し下げられかねないとの見通しを示した。昨年の同国の成長率は3.2%と過去8年間で最も高くなった。 国民党の暫定政権は、第1・四半期の成長率は昨年第4・四半期の0.8%からほとんど鈍化しないとみている。 1月と2月の新車販売は堅調なペースで、欧州中央銀行(ECB)による債券買い入れ増額で借り入れコストの上昇は避けられるだろう。 しかしそれほど心強くなれない指標も存在する。1月の住宅販売は年率ベースで見ると過去16カ月で初めて減少し、不動産業界の調査では2月の家賃は横ばいにとどまった。 DBRSのソブリン格付け責任者、ファーガス・マコーミック氏は「政治停滞が経済に悪影響をもたらしているのは間違いない」と強調し、改革に向けた勢いがしぼんでいる点が懸念されるとの見方を示した。 世論調査によると、連立協議が結局成立せずに再選挙が実施されたとしても、12月と同じような各党の割拠状態になってしまう可能性が大きい。 小規模な建設会社を経営するフェデリコ・バスケス氏は「われわれに今、必要なのは(まともな)政府だ」と切実に訴えた。 (Sarah White記者) http://jp.reuters.com/article/spain-politics-economy-idJPKCN0WK0EF?sp=true
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