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マイナス金利不発 イエスマンで固めた黒田日銀(週刊文春)
http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/612.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 3 月 17 日 07:23:35: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

マイナス金利不発 イエスマンで固めた黒田日銀
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160317-00005978-sbunshun-bus_all
週刊文春 3月17日(木)7時1分配信


「無名の存在で驚いた」

 金融関係者がこう指摘するのは、4日に衆参議院運営委員会理事会に提示された日銀の新たな審議委員だ。政府は3月末に任期を迎える白井さゆり氏と、6月までの石田浩二氏の後任2人を提示する意向を議運に伝えていたが、当日午前11時に提示されたのは桜井真氏(70)のみだった。

「審議委員の任期は5年で、任期満了の際には75歳となる桜井氏は高齢すぎるとの指摘が出ている」(同前)

 桜井氏は、日本輸出入銀行時代に旧大蔵省の財政金融研究所に出向した経歴がある。

「俗に“天上がり”と呼ばれるもので、都銀からの出向期間が2年だったのに対し、興銀や政府系金融機関は3年だった。当時は日本開発銀行から竹中平蔵氏も出向しており、民間にも人脈を広げるための“横の会”と呼ばれる親睦会があり、秘書課長を囲んで定期的な懇親もあった」(メガバンク幹部)

 桜井氏は、リフレ派で大蔵官僚出身の山本幸三衆議院議員と親しく、安倍晋三首相のブレーンであるエール大の浜田宏一名誉教授との共著論文がある。異次元緩和によるアベノミクスを擁護すると見られる。

 一方、石田氏の後任と見られるのが、新生銀行執行役員の政井貴子氏(51)だ。日経新聞が、白井委員の後任候補と報じたため、情報漏れを嫌った官邸が一旦引っ込めた形となった。

「本来であれば女性枠として白井氏の後任に政井氏、都銀枠として三井住友銀行出身の石田氏の後任にメガバンク出身者が選ばれるはずだった。だが、意中の人物に断られ桜井氏になったと見られる。また、政井氏を巡っては、自民党幹部への根回しの過程で新生銀行からの選出に難色を示す意見があったようだ。自民党内には新生銀行が瑕疵担保条項を行使して取引先を追い込んだとの負のイメージがまだ残っている」(国会関係者)

 ただ、政井氏の就任は動かないと見られる。

「白井氏、石田氏は、マイナス金利導入では、反対票を投じており、採決は5対4のギリギリだった。リフレ派の2人を押し込むことで、審議委員会は完全に黒田総裁の思い通りになる」(同前)

 イエスマンばかりでは、日銀の独立性が危惧される。


<週刊文春2016年3月24日号『THIS WEEK 経済』より>

森岡 英樹(ジャーナリスト)
 

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1. 2016年3月17日 13:37:45 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[367]

邦銀・生保の海外投融資に逆風、マイナス金利でドル調達コスト急上昇
2016/03/17 00:01 JST

    (ブルームバーグ):日本銀行のマイナス金利政策で、円資金を元手にドル資金を調達するコストが急上昇している。国内融資の収益が低迷し運用難の中、銀行や生命保険会社などが注力してきたドル建て融資や外債投資には逆風となる可能性がある。

みずほ証券によると海外貸し出しのためのドル資金調達には、外国為替市場で円を売ってドルを買う取引よりも、金利部分を交換するベーシススワップ取引が使われることが多い。ドル調達コストを示すベーシススワップのスプレッドは、1年物が日銀がマイナス金利導入を発表した前日(1月28日)の52.6 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)から16日には58bpまで拡大。5年物は先週、過去最大の102.5bpに達し、16日は98bp

安倍晋三政権下の日銀の異次元緩和で国内貸し出し利ざやは低迷し続けており、国内銀行はより高い金利を求めて、海外融資を拡大。国際決済銀行(BIS)によると、邦銀の海外債権残高は昨年9月末時点で3兆5617億ドル(約402兆円)と3年前より3650億ドル増えている。さらに今年1月には日銀がマイナス金利政策に踏み切ったのを受けて、日米の金利差拡大を見込んでドル調達需要が増加、ベーシススワップ取引のコストは一段と拡大した。

みずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストは、ベーシススワップの拡大はマイナス金利の影響があるとした上で、「ものすごく重要な問題だ。このままスプレッドが拡大すれば、海外融資や外債投資を減らすか地域の分散といった工夫が必要になる」と指摘する。中でも「困る割合が高いのは地域金融機関と保険会社だ」と言う。ドイツ証券の山田能伸アナリストは、外債などで資金調達できる「3メガバンクには影響は基本的に出ない」としている。

ユーロに分散投資も

欧州中央銀行(ECB)が10日、追加金融緩和に踏み切ったこともあり、ユーロ円のベーシススワップはドル円よりも低く、5年物でドル円の半分以下となる45bp(16日現在)にとどまっている。

みずほ証の大橋氏は、ユーロの方が調達コストが低いことから、ユーロ建て資産に資金を「振り向けて行くといった工夫が必要になる」と話す。スプレッドの乗っている欧州圏の銀行社債などは「引き続き投資対象になる」との見方を示した。大橋氏は、「欧州では金利低下も期待されている」とし、これから数カ月は国内投資家からの資金が欧州債市場に入っていくとみている。

外債投資

ドイツ証の山田氏は、ドル調達コスト上昇の影響を大きく受けるのは「海外貸し出しよりもむしろ外債投資」といい、「生命保険などの機関投資家が外債投資しようとする時にコストが上がると問題になる」と説明した。
生命保険協会によると、債券を含む国内生保の外国証券資産は、15年末時点で76.7兆円と前年比4%増加しているのに対し、国内の国債や社債、地方債はいずれも前年から減少している。

東海東京調査センターの摩嶋竜生アナリストは、保険会社にとって「海外投資の運用利回りが落ちるのは痛い」ため、各社は利回りの影響を受ける貯蓄性商品の販売停止という形で対応していると指摘した。一方、死亡率の低下で保障型の保険商品は好調なため「収益ドライバーを大きく損なうわけではない」と話した。富国生命保険保険は、マイナス金利発表後に一時払い終身保険の一部を休止した。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3V2LA6TTDS201.html

2カ月ぶり貿易黒字、原油安で輸入減−2月は対中輸出が一転増加 (1)
2016/03/17 10:53 JST

    (ブルームバーグ):輸出から輸入を差し引いた貿易収支は2月速報で、予想通り2カ月ぶりの黒字に転じた。原油価格下落を受けた輸入額の減少が大きく、中華圏の春節が前年より早かった特殊要因で輸出の減少幅も縮小した。
財務省が17日発表した貿易収支は2428億円の黒字。ブルームバーグ調査の予想は4002億円だった。輸入は液化天然ガス(LNG)・原粗油などが減り14%減の5兆4606億円、輸出は鉄鋼を中心に4.0%減の5兆7034億円。春節要因で輸出が反動増となり、対中国が5.1%増と7カ月ぶり増加に転じた。対アジアは6.1%減とマイナスが続いている。対米国は0.2%増と3カ月ぶりの増加、対EU(欧州連合)は9.2%増。
季節調整済みの貿易収支は1661億円の黒字となり、4カ月連続でプラスになった。東日本大震災が発生した2011年3月から季調済み貿易収支は赤字が続いたが、昨年11月分から黒字に転換し、プラス幅は拡大している。
SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは貿易収支について「2月も原油やLNGなど燃料の輸入物価の下落が押し上げた」とリポートに記した。LNG価格は原油価格に4カ月ほど遅れて連動するとして「貿易収支は目先もう一段の改善余地があるだろう。赤字化の一因であった交易条件の悪化が収まるなか、再び黒字定着となってきている」と指摘した。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 下土井京子 kshimodoi@bloomberg.net
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O4491D6S972C01.html


2016年 03月 17日 09:58 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス

 貿易収支、2月は2428億円の黒字 2カ月ぶり黒字

[東京 17日 ロイター] - 財務省が17日に発表した2月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は2428億円の黒字だった。鉄鋼輸出などが減少する一方、液化天然ガスや原粗油などの輸入が減少し、差し引きで2カ月ぶりの黒字となった。

輸出は前年比4.0%減の5兆7034億円。5カ月連続の減少だった。減少品目は鉄鋼(24.1%減)、鉱物性燃料(29.3%減)、科学光学機器(16.6%減)などとなっている。

一方、輸入は同14.2%減の5兆4606億円。14カ月連続の減少。減少品目は液化天然ガス(43.5%減)、原粗油(33.3%減)、石油製品(31.8%減)などとなった。

地域別では、中国向け輸出は同5.1%増、米国向け輸出が前年比0.2%増だった。

財務省によると、為替水準は税関長公示レートの平均値で対ドルで117円36銭だった。前年比で0.6%の円高となり、43カ月ぶりに円高に振れた。

ロイターが民間調査機関を対象に行った調査では、予測中央値は3886億円の黒字。輸出は前年比3.1%減、輸入は同15.2%減だった。 
http://jp.reuters.com/article/trade-data-feb-idJPKCN0WJ008



2016年 03月 17日 09:24 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
寄り付きの日経平均は反発、米利上げペース引き下げでリスクオン

[東京 17日 ロイター] - 寄り付きの東京株式市場で、日経平均株価は前営業日比133円15銭高の1万7107円60銭と3日ぶりに反発した。米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内の米想定利上げペースが引き下げられ、前日の米国株が上昇した流れを引き継ぎ、買いが先行。

1ドル112円後半と円高水準で推移する為替は重しだが、投資家のリスクオン姿勢が強まり、幅広い銘柄が物色されている。
http://jp.reuters.com/article/nikkei-open-idJPKCN0WJ018


ドル全面安、FRB利上げ見通し2回に引き下げ=NY市場

[ニューヨーク 16日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが急落した。米連邦準備理事会(FRB)は16日に終わった連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置いたが、年内の利上げ見通しを4回から2回に引き下げたことで、ドルは対ユーロで1か月ぶり安値を付けるなど全面安の展開となった。

FOMC声明は、米経済の緩やかな成長と「力強い雇用の伸び」を受けて、今年再び利上げすることが可能としながらも、米国は世界経済の不確実性に起因するリスクに引き続き直面しているとの認識を示した。多くの市場参加者はこれを予想したよりもハト派的内容と受け止め、ドルは急落。その後イエレンFRB議長の会見中に下げ幅をさらに拡大した。

主要6通貨に対するドル指数.DXYは声明発表直前に96.837だったが、声明発表後からイエレン議長の会見が終了するまでの間に約1.3%下落し、約1カ月ぶり安値の95.539に沈んだ。

声明発表後ユーロ/ドルEUR=は約1か月ぶり高値を付けた後、終盤は1.05%高の1.1225ドル。ドル/スイスフランCHF=も約1カ月ぶり安値に下落、終盤の取引で1.2%安の0.9761フランとなっている。

ドル/円JPY=は声明発表後にマイナスに転じて、終盤は0.75%安の112.61円で取引されている。

コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジ(ワシントン)のチーフ市場アナリスト、オマー・エシナー氏は顧客へのノートで「声明は世界経済と金融情勢をめぐる不安の度合いを高めたように見える。世界の金融市場が足元で落ち着き、原油価格も13年ぶりの安値から持ち直している点からすれば、これは驚きだった」と指摘した。

ドライブウェルスLLCの市場戦略責任者、ブライアン・ドラン氏は「FRBは利上げ経路の見通しを引き下げて非常にハト派的な姿勢を打ち出し、米国経済が全体として底堅いがインフレ圧力が存在しないと説明している。これは市場のリスク選好ムードとリスク資産にとっては明るい材料だ」と強調した。

こうしたFRBの姿勢に原油高も加わり、資源国通貨のカナダドル、豪ドル、ニュージーランドドルはいずれも対米ドルで1.5%を超える大幅上昇となった。

ドル/円 NY時間終値 112.55/112.58

前営業日終値 113.14

ユーロ/ドル NY時間終値 1.1224/1.1230

前営業日終値 1.1108

米国株式はS&P500が年初来高値で終了、FOMC声明受け

[ニューヨーク 16日 ロイター] - 16日の米国株式市場は上昇した。連邦準備理事会(FRB)が、今後数カ月間の利上げ回数について従来予想より少なくなるとの見通しを示したことを好感、S&P総合500種.SPXは年初来の最高値水準で引けた。

FRBは米国の緩やかな経済成長と「力強い雇用の伸び」が年内の引き締め政策を容認していることを示唆した上で、新たな予想では政策当局者が年末までに25ベーシスポイント(bp)ずつ2度の利上げを見込んでいることを示した。昨年12月時点では年内4度の利上げを見込んでいた。

RBCキャピタルマーケッツの首席米国エコノミスト、トム・ポルセリ氏は「大半の人々はわずかにタカ派的な声明を期待していたが、そうではなかった。ひいき目にみてもバランスを取ったという内容で、もっと言えば恐らくややハト派的だ」と話した。

この日はS&P500種の主要10業種中8業種が上昇し、素材株指数.SPLRCMが1.7%高で最も高かった。ヘルスケア.SPXHCと金融株.SPSYは値下がりした。

主要産油国が増産凍結について協議する計画を固めたことを手掛かりに原油価格がほぼ6%急騰したことを受けて、エネルギー株指数.SPNYは1.6%上昇した。

個別銘柄では、四半期利益が予想を上回ったソフトウエア大手のオラクルORC.Lが3.8%上昇した。

ビジネス向けSNSのリンクトイン(LNKD.N)は4.9%安、衣料小売大手のギャップ(GPS.N)が1.4%安で終えた。モルガン・スタンレーが両社の投資判断を引き下げたことが嫌気された。

米取引所の合計出来高は約76億株で、過去20営業日平均の81億株を下回った。

騰落銘柄数はニューヨーク証券取引所が上げ2462で下げ590(比率は4.17対1)、ナスダックは上げ1675で下げ1084(1.55対1)だった。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 17325.76 +74.23 +0.43 17249.34 17379.18 17204.07 .DJI

前営業日終値 17251.53

ナスダック総合 4763.97 +35.30 +0.75 4717.88 4774.79 4716.45 .IXIC

前営業日終値 4728.67

S&P総合500種 2027.22 +11.29 +0.56 2014.24 2032.02 2010.04 .SPX

前営業日終値 2015.93
http://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPKCN0WI2XY?sp=true



3月のFOMC、5つのポイント
イエレン議長の記者会見場前に立つ男性(ワシントンのFRB本部) ENLARGE
イエレン議長の記者会見場前に立つ男性(ワシントンのFRB本部) PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By DAVID HARRISON
2016 年 3 月 17 日 12:03 JST

 米連邦準備制度理事会(FRB)が15・16日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)に関する見出しは「利上げ先送りを決定」というものだったが、最新の政策声明と経済・金利見通し、イエレン議長の記者会見に関して、5つのポイントを以下に挙げる。

1.世界的な不透明感を意識

 この数週間、サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁やクリーブランド地区連銀のメスター総裁などは、米国は世界的な金融市場混乱による影響を十分回避していると指摘してきた。一方、ブレイナード理事などは、米国は海外動向とのつながりをさらに強めているとの見方だ。

 16日の政策声明の内容から察するに、少なくとも現時点ではブレイナード陣営が優勢だったようだ。最近発表されたインフレおよび労働市場に関する指標は比較的堅調だが、それでもFRBはフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を現状維持とし、利上げ軌道の見通しを引き下げた。明るさを増す経済指標と警戒感を反映した政策金利に違いが生じている原因は、海外発のリスクだ。FRBは政策声明に「世界の経済・金融情勢が引き続き危険をもたらしている」という重要な一文を盛り込み、そうしたリスクを明確にした。

2.インフレ指標をうのみにしない

 インフレ率は3年余り期待外れに終わってきたが、足元では上昇の兆しが見られる。FRBがインフレ指標として重視している個人消費支出(PCE)価格指数は1月に前年同月比で1.3%上昇した。食料品とエネルギー品目を除くコアのPCE価格指数は同1.7%上昇だった。また、FOMCが終了する数時間前に米商務省が発表した2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で1%上昇し、コアCPIは同2.3%上昇と予想外の伸びを示した。

 だが、イエレン議長は意に介さなかった。議長は記者会見で、こうした数字を額面通りに受け止めるべきではないと忠告した。議長は「心配しており、継続性のある(インフレ率の)大幅な上昇が認められるとの結論にはまだ至っていない」と述べた。インフレ指標の上昇は「非常に不安定なことが多く長期的にはインフレにそれほど大きな影響を及ぼさない」品目の価格が急上昇していることに原因がありそうだと語った。

3.労働市場にまだスラック

 失業率は4.9%まで低下し、この1年の新規雇用者は月平均で22万3000人に達した。それでも、労働市場の改善は道半ばとFRBはみている。16日に発表されたFRB理事と地区連銀総裁の最新の経済見通しでは、失業率は2016年末までに4.7%(昨年12月時点も4.7%)へ低下するとの予想を示した。ただ、長期見通しは4.8%と、前回調査の4.9%から引き下げた。

 イエレン議長は「賃金がそれほど伸びていないことに少し驚いている」とし、このことから「労働市場にまだスラック(余剰人員)が残っていることがうかがえる」と述べた。

4.原油安の影響まだ剥落中

 最新の経済見通しでの大きなサプライズの一つは、2016年末までの総合インフレ率の見通しがわずか1.2%と、12月に予想した1.6%から大幅に引き下げられたことだ。1月のPCE価格指数の前年同月比上昇率は1.3%だったため、最新の見通しでは物価上昇圧力が年末までに高まるどころか弱まることになる。

 その原因は年初に見られた原油安の再燃だ。政策声明では「先のエネルギー価格が原因でインフレは当面低くとどまる見通しだが、エネルギー価格と輸入物価の下落がもたらす一過性の影響が消え去り、労働市場がさらに改善するにつれ、中期的には2%に向かい徐々に上昇する」と指摘された。

5.期待の手掛かりは不確か

 将来の物価変動を織り込んだ経済動向について手掛かりを示すインフレ期待は、FRBにとって重要な経済指標の一つだ。現時点では、市場と消費者のインフレ期待は大きく低迷している。とは言え、このことがどれだけ重要かは不明だ。どちらの指標も、不安定なことで知られる原油価格の下落による影響が大きい。さらに、市場に基づくインフレ期待は最近、流動性に対する不安から低下している。

 イエレン議長は「賃金や価格設定に影響する(インフレ)期待動向を示す確かな指標はない」と述べた。つまり、将来についての重要な手掛かりの一つが曖昧になっているということだ。未来を知ることはいつの場合もできないが、これまで以上に難しくなっているようだ。

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http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-ND054_160317_M_20160316232236.jpg


FRB議長、各中銀の政策方向の違い問題視せず
By WSJ STAFF
2016 年 3 月 17 日 09:18 JST

 米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、当面は政策金利を0.25%?0.50%の水準に据え置きつつ今年以降の利上げ見通しを後退させたことを発表して、2日間の連邦公開市場委員会(FOMC)を終えた。

 政策声明と経済見通しの発表後にイエレン議長が行った記者会見の要点は次の通り。

 イエレン議長は、欧州中央銀行(ECB)と日本銀行が緩和しているときにFRBが追加利上げに向かうのは、一部で考えられているような問題ではないとの見解を示した。議長は、米経済が他国と比べ強いことを踏まえれば、「現時点で、(米国の金融政策に)いくらか開きがあるのは自然だ」と語った。金融面で各国間の関係と影響はいまや強まっているものの、米国の金利政策は他国の行動には「束縛」されないと述べた。

 FRBの金利見通しを「FOMCが認めた予想」と解釈すべきではないと述べ、金利見通しは「今後の政策の計画ではない。政策は既定路線をたどるものではない」と語った。また、「政策の将来の経路は当然、不確かなものだ」とも話した。

 インフレについては、「心配だし、例えばコアのインフレに関して長く続くであろう大幅な上昇を確認したとはまだ結論づけていない」と語った。FRBはインフレ率を中期目標とする2%よりも高く押し上げようとはしていないが、「下振れや上振れは経済動向の一部であり、それらに対する許容度は対称的(どちら向きにも同じ)だ」と述べた。

 マイナス金利は「検討ないし議論している話題」ではないと述べ、「他の国々の経験に注目している」が、マイナス金利は「まちまちな影響があるようだ」と語った。FRBのさらなる景気刺激が必要な事態となる公算は小さいが、その場合もFRBが保有する債券の年限調整やさらなる資産買い入れ、積極的な先行きの指針を示すことなど他の手段があると指摘した。

 また、金利の変更はどの政策会合でも議題になることだとあらためて強調した。「あらためて言うならば、どの会合も生きている会合だ。4月もまだ生きている会合だ」と記者団に語り、「今後の指標を追っていく。少し期間が短く6週間になるが、労働市場やインフレにまつわるさまざまな要素に関する新たな統計がある。だから、可能性は確実に生きているのだ」と述べた。

 議長は、経済の基本的な見通しは12月以降あまり変わっていないが、経済成長は10-12月期の控え目なペースから上向いたようだとの見方を示した。

 労働市場については、やや冷めた評価を示した。失業率や不完全雇用率は全般に「改善が続いている」としつつも、「まだ改善の余地がある」として、FRBとしては労働市場にまだ余剰資源がいくらか残っているとみていることを示唆した。「不本意なパートタイム雇用がまだいくらか多く、賃金の伸びはまだ持続的に上向いてはいない」と指摘した。

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FRBは現状維持、年内利上げ見通し緩める
By JON HILSENRATH AND HARRIET TORRY
2016 年 3 月 17 日 04:09 JST

 【ワシントン】米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、軟調な世界経済の成長と金融市場の不安定さが景気見通しにおよぼすリスクを認めつつ、年内およびそれ以降の利上げ見通しを緩めた。

 FRB当局者17人の新たな中心見通しでは、翌日物フェデラルファンド(FF)金利は年末までに0.875%に少しずつ上昇するとみられている。つまり、昨年12月に見込んだ4回の利上げに対し、今回は年内2回の利上げを想定していることになり、次の利上げは6月を見据えていることがうかがわれる。

 今回、FRBはFF金利の誘導目標を12月に0.25%引き上げた0.25%〜0.50%の水準に据え置いた。次の政策行動は「実現したものと予想される経済情勢」次第だとして日程は定めず、段階的に動く姿勢を繰り返し示した。

 FRBは2017年末にFF金利は1.875%、18年末には3.0%になるとみている。これらの予想も昨年12月の四半期予想より引き下げられた。長期予想は3.25%で、12月の3.5%よりも低くなった。

15日・16日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表した政策声明でFRBは、「ここ数カ月の世界経済と金融の情勢をよそに経済成長がまずまずのペースで拡大している」としたが、注目されたリスク評価の部分に、市場動向と世界の見通しが「引き続き危険をもたらしている」との見解を追加した。このリスク評価は、FRBが利上げに傾いているのか、あるいは現状維持とするか利下げに向かうのかを示す材料として重要だ。

 FRB当局は1月のFOMCでは経済に対するリスク評価を示さず、遅々とした世界の成長と不安定な金融市場の影響に対する当局の不透明感を示唆した。今回のリスク評価は見通しがさらにはっきりするまで待つ姿勢を示している。つまり、4月の利上げは不可能ではないがハードルが高くなった。

 経済見通しでは、経済成長についてはやや悲観的になったが、失業率については一段と強気になった。16年の国内総生産(GDP)は2.2%増の予想で、12月の見通しよりも0.2ポイント低い。17年は前回より0.1ポイント低い2.1%増、18年は前回と同じ2.0%増を見込んでいる。海外の低成長が米国の輸出を損なっており、これを勘案して予想を下方修正した可能性が高い。

 米国経済は、成長率は低調だが雇用は引き続き生み出している。弱い生産性の伸びをまかなうために企業が従業員の採用を増やしていることが一因にある。FRB当局者らは、このパターンが続くと予想している。失業率は今年の年末までに4.7%に下がり、18年にかけて従来予想よりも低い4.5%になるとみている。

 政策声明では「雇用の強い伸びをはじめとする最近の様々な経済指標は、労働市場のさらなる強まりを示している」とした。

 雇用とGDP成長率の見通しがまちまちな一方、インフレの見通しは不透明感を残している。FRB当局者らは今年の物価上昇率は前回予想よりも低い1.2%を見込んでいる。原因の大半は軟調なエネルギー価格にあるが、ドル高が輸入物価に低下圧力を加えているためでもある。FRBは、原油相場とドル相場が落ち着くにつれ、物価は上がり始めるとみている。インフレ率は17年末までに1.9%に達し、18年末にはようやくFRBが中期目標とする2%に到達する見通しだ。食品とエネルギーを除くコアのインフレ率は、ほぼ従来の予想と変わらず、16年末は1.6%、17年が1.8%、18年は2.0%としている。

 FRBの新たな金利見通しは、金融市場の予想とかなり一致したものになっている。FOMCの声明発表に先立つ金利先物市場では、年内あと1回の利上げ確率が35%、2回の確率は30%織り込まれていた。ウォール・ストリート・ジャーナルが64人のエコノミストを対象におこなった最近の調査では、今年0.25%の利上げを2回行う見通しが示された。エコノミストらは12月には年内3回の利上げを予想していた。

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【FOMC政策声明】現状維持、海外動向とインフレを注視−賛成多数
2016 年 3 月 17 日 03:58 JST

 米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)が3月16日に発表した政策判断の声明は次の通り。

 FOMCが1月の会合以降に入手した情報は、ここ数カ月の世界経済と金融の情勢をよそに経済成長がまずまずのペースで拡大していることを示している。家計支出はほどほどに伸びており、住宅部門は一段と改善した。だが、企業の固定投資と純輸出は弱い。雇用の強い伸びをはじめとする最近の様々な経済指標は、労働市場のさらなる強まりを示している。インフレはここ数カ月で上向いたが、エネルギー価格と非エネルギー輸入品価格の下落を一部反映し、委員会の2%の長期目標を引き続き下回った。相場に基づくインフレ見通しは低水準にとどまり、調査に基づく長期的インフレ期待はここ数カ月総じてほとんど変わりがない。

 法定の使命に沿い、委員会は最大限の雇用と物価の安定を促そうと努めている。委員会は現在、金融政策姿勢の段階的な調整をもって、経済活動が適度なペースで拡大し、労働市場の指標が強まり続けると予想している。だが、世界の経済・金融情勢が引き続き危険をもたらしている。ある程度先のエネルギー価格下落が原因でインフレは当面低くとどまる見通しだが、エネルギー価格と輸入物価の下落がもたらす一過性の影響が消え去り、労働市場がさらに改善するにつれ、中期的には2%に向かい徐々に上昇すると委員会は見込んでいる。委員会は引き続きインフレ動向を注視する。

 こうした背景に照らし、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標水準を0.25?0.50%に維持することを決定した。金融政策姿勢は引き続き緩和的で、その結果として労働市場環境の一層の改善と2%のインフレへの回復を下支えする。

 FF金利の目標水準に対する今後の調整の時期と規模を決めるにあたり、目標とする最大雇用と2%のインフレに対し、実現したものと予想される経済情勢について委員会は評価する。この評価では、労働市場環境の尺度やインフレ圧力とインフレ期待の指標、金融および国際情勢に関する諸指標をはじめとする幅広い情報を考慮する。インフレが現在2%を下回っていることを踏まえ、委員会はインフレ目標に向けた実際の進展と予想される進展を注視する。委員会は、経済情勢がFF金利の段階的な引き上げしか正当化しないかたちで展開すると予想している。FF金利は当面、長期的に主流となる見通しの水準を下回り続ける可能性が高い。しかし、FF金利の実際の経路は、今後の指標が示す経済見通しに左右されるだろう。

 委員会は、エージェンシー債とエージェンシーが発行した住宅ローン担保証券の持ち高の償還元本を、エージェンシーが発行する住宅ローン担保証券に再投資し、入札時に償還期限の来る米国債を更新する既存の政策を維持し、FF金利水準の正常化が順調に進行するまでそうし続けることを予想している。委員会の大規模な長期債の持ち高を保つことで、この政策は緩和的な金融環境の維持に役立つはずだ。

 FOMCの金融政策措置に対し賛成票を投じた委員は以下のとおり。ジャネット・イエレン議長、ウィリアム・ダドリー副議長、ラエル・ブレイナード、ジェームズ・ブラード、スタンレー・フィッシャー、ロレッタ・メスター、ジェローム・パウエル、エリック・ローゼングレン、ダニエル・タルーロ。エスター・ジョージは今回の会合でFF金利誘導目標を0.50?0.75%に引き上げるべきとして反対した。

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FRB、利上げ休止で年内引き締めが容易に

By JUSTIN LAHART
2016 年 3 月 17 日 11:27 JST

 金融市場にこのほど燃え上がった火は消えたばかりだが、米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、再びマッチで火を付ける気がないことを明らかにした。矛盾しているように聞こえるが、これで年内の政策引き締めが難しくなるどころかかえって容易になった可能性がある。

 FRBは15・16日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決めたが、据え置きはほぼ想定通りだった。市場はすでに最近の市場混乱を理由に現状維持を予想していたため、据え置きが確認されると、株式市場には安心感が広がり株価は急伸した。

 その上、FRBが示した政策見通しはハト派的なものだった。声明では、米経済は順調に拡大を続けていると認める一方、世界経済の成長低迷や金融市場の不安定さが「引き続き危険をもたらしている」と指摘した。

 とはいえ、金融危機以来続けてきたゼロ金利政策を終了したFRBは、さらなる正常化の進め方を見極めながら行きつ戻りつで政策運営していかざるを得ないため、投資家はこのハト派的なメッセージをそうした試行錯誤の一部と考えるべきだ。だからといってFRBが追加利上げへの意欲を失ったわけではない。今回はっきりしたのは、FRBは今後曲がりくねった道をたどり途中で何度も立ち止まるだろう、ということだ。

 新たな政策経路見通しによると、FRB当局者らが年内に見込む利上げはわずか2回に減っており、利上げ姿勢の後退がいっそう如実に表れている。約10年ぶりの利上げを決定した昨年12月の時点では、2016年中にオーバーナイト物フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25%ずつ4回引き上げるとの見通しが示されていた。

 中国景気やコモディティー(国際商品)価格の急落をめぐる懸念から、年初の世界金融市場は大荒れとなったが、この年内4回の米利上げ見通しが混乱に拍車を掛けた。追加利上げ観測は一段のドル高にもつながり、新興国の債務や米輸出企業への影響について懸念が高まった。

 FRBの利上げペースが落ちたことで、投資家が見込む追加利上げのタイミングは今年後半に後ずれした。金利先物市場が織り込む6月利上げの確率は、据え置き発表直前の時点で66%だったが、発表後は38%に低下した。

 FRBの発表を受け、株価は上昇し、米国債の価格も上昇(利回りは低下)した。米国内外の金利差の拡大ペースが鈍化するとの見方から、ドルは下落した。

 その結果、金融情勢は好転し、FRBの大きな心配の種である市場の急落というシナリオが現実化する可能性はやや低下した。そうだとすれば、FRBは今年後半に利上げを再開しやすくなるはずだ。

 一方、利上げ休止に助けられ、米景気は好調維持とまではいかなくても悪化せずに済む公算が大きい。しかも、そうした兆候は雇用市場や物価など随所に現れており、期待が持てる。

 要するに、FRBは金融市場や米経済に対する自信を深めるということだ。金融市場は追加利上げを乗り切れる、仮に市場が利上げにうまく対応できず再び不安定化しても米経済は大丈夫、といった確信は強まる一方のはずだ。

 今回の政策発表を受けて投資家は、FRBが6月の利上げを検討対象から外したと思ったかもしれないが、実はかえって6月利上げの確率が上がった可能性もある。

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3月のFOMC判断、エコノミストはこうみる
By ERIC MORATH
2016 年 3 月 17 日 07:12 JST

 米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を据え置いた。併せて発表した新しい経済見通しでは、昨年12月に見込んだ4回の利上げに対し、年内2回の利上げが想定された。以下にエコノミストの反応をまとめる。

−ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのジム・オサリバン氏

 FRB当局者らは年内に追加引き締めを行うことを予想し、そう望んでいるが、「世界の経済・金融情勢」が引き続き懸念される中で(利上げを)急いではいないようだ。4月にも行動する可能性はこれで確実に低下したと思われる。

−SGアメリカス・セキュリティーズのオマール・シャリフ氏

 (政策判断は)「指標次第」という立場を取るのであれば、FRBは少なくとも4月か6月の追加利上げに向けて市場を備えさせてしかるべきだが、それにもかかわらずハト派的な行動が取られた。FRB当局者らは世界の経済・金融情勢に対する懸念を払拭(ふっしょく)できていない。

−ITGインベストメント・リサーチのスティーブ・ブリッツ氏

 要するに米経済に関するFRBの評価は空想的なものからより現実的なものに変わった、というのがわれわれの見解だ。

−RSMのジョセフ・ブルセラス氏

 FRBはこれで(経済見通しを)発表しない会合で利上げを検討しなければならなくなる可能性が高いが、1968年以降で最も論争を巻き起こしていると言える大統領選挙の前後では確実に利上げを避けるだろう。

−スタイフェルのリンジー・ピエグサ氏

 きょうの声明を受けて、市場参加者にとっては2回目の利上げに向けたFRBの基準がさらに分かりにくくなった。

−グレンミードのジェーソン・プライド氏

 この予想を下回る引き締めペースは、人口動態やデレバレッジ(負債圧縮)の圧力に加え、中国とエネルギー業界の低迷が引き起こした最近の景気不振による長期経済成長の低調を反映している。

−プレステージ・エコノミクスのジェーソン・シェンカー氏

 FRBは政策が指標次第だと繰り返し指摘してきたが、その観点からするときょうの政策判断はやや気がかりなものだった。失業率が4.9%、コア消費者物価指数(CPI)上昇率が2.3%であることを踏まえれば、利上げを見送ったのはFRBが米経済に関して深刻かつ根本的な懸念を持っていることを示唆する。

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2016年 03月 17日 09:40 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:利上げ先送りのFRB、大統領選の嵐に突入も

Gina Chon

[ワシントン 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)が米大統領選挙戦の嵐の中に突入する可能性がある。米連邦公開市場委員会(FOMC)が16日に政策金利の据え置きを決めたということは、次回の利上げが選挙戦の激化する時期と重なる見込みであることを意味する。議会共和党は既にFRBの監視強化を呼び掛けている。不必要に利上げを先送りすれば、政治的リスクの増大を招くことになる。

共和党の候補者指名争いで2位を走るテキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員は、先月選挙戦から撤退したケンタッキー州選出のランド・ポール上院議員が提案したFRBに対する監査の導入を支持している。悪いことに、首位を走るドナルド・トランプ氏は2月、FRBの監視強化を支持する考えをツイッターに投稿した。トランプ氏は従来よりタカ派的な金融政策を好んでおり、イエレンFRB議長はオバマ大統領に痛手となる景気後退を回避するため、政策金利を低位水準に据え置いている、とキャピトル・ヒル紙に語っている。

しかも、民主党の大統領候補指名争いをリードするヒラリー・クリントン前国務長官は、年内の利上げによって最も苦痛を受ける立場にある。市場のボラティリティが増大し、経済成長に対する懸念を引き起こす可能性があるためで、そうなれば反体制派の候補に攻撃材料を与えることになるからだ。FRBが6月に利上げに踏み切った場合、候補者を指名する党大会の直前になる。秋に利上げする場合でも、大統領選挙の本選を前に有権者に両党の候補者が最後の呼びかけを行う時期と重なる。

大半の経済的要素をみれば、米国景気は利上げの準備ができていることが示唆される。例えば16日に発表された2月のコア消費者物価指数(CPI)は前年比2.3%上昇した。これは2008年以来の高水準で、FRBが好んで用いる指標ではないにせよ、物価上昇をめぐる懸念を和らげる材料になるはずだ。FRBがほぼ10年ぶりに利上げに踏み切った翌月の1月の失業率も4.9%に低下した。

つまるところ、それはFRBが今週、自信を持って利上げに踏み切ることもできたが、その代わりに過度に慎重な道を選択したということを意味する。タイミングの選択としては、政治的に正しくない方に向かいつつある。

●背景となるニュース

*米連邦準備理事会(FRB)は16日までの2日間開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を維持することを決定した。FRBは米国経済が引き続き緩やかなペースで成長するが、グローバルなリスクは引き続き残るとの見通しを示した。また年内の利上げは2度限りという予測を示し、昨年12月時点の4度の予測から見通しを引き下げた。

*FOMCは昨年12月、ほぼ10年ぶりとなる利上げを実施したが、1月は政策金利を据え置いた。政策金利を検討する会合は6月に予定されており、大統領候補者を指名する民主、共和両党の党大会が開かれる1カ月前になる。

*3月15日の予備選挙では民主党のヒラリー・クリントン前国務長官が5州のうち4州で勝利を収めた。ミズーリ州では、ライバルでバーモント州選出のバーニー・サンダース上院議員とほぼ互角の支持を集めた。

*共和党では指名争いの首位を走るドナルド・トランプ氏は3州で勝利し、ミズーリ州でテッド・クルーズ上院議員(テキサス州)と互角の大接戦を繰り広げた。オハイオ州のジョン・ケーシック知事は地元の州で勝利した。地元フロリダ州で大差の2位に終わったマルコ・ルビオ上院議員は選挙戦からの撤退を表明した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/column-frb-presidential-election-idJPKCN0WJ00E

2016年 03月 17日 09:35 JST 関連トピックス: トップニュース
米FOMC、年内利上げ予想2回に引き下げ:識者はこうみる

[16日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は16日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きを決定した。だが米経済の緩やかな成長と力強い雇用の伸びを受けて、今年再び利上げすることが可能との認識を示した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

<岡三証券・債券シニアストラテジスト 鈴木誠氏>

米連邦準備理事会(FRB)は政策金利の据え置きを決定するとともに、年内の想定利上げペースを2回に引き下げた。市場でハト派的と受け止める向きもあったが、利上げペースの鈍化は、ある程度想定の範囲だ。

FRBは不安定な金融市場や世界経済などの動向を見極めながら、利上げ判断をしていくとみられるが、市場は年2回の利上げでさえ懐疑的な見方をしている。足元の指標は強めの内容も目に付くが、利下げを急ぐほど、景気が拡大しているわけではない。物価上昇ペースが速まらないとすれば、米長期金利も大きく上がることはないだろう。米10年債利回りは1.75%から2%付近をコアレンジに推移するのではないか。

<パインブリッジ・インベストメンツ 執行役員 前野達志氏>

米利上げペースが遅くなるという点は、グローバルの流動性の観点からプラス。だが円高は日本株にはマイナスだ。市場がこれからどちらを重視するか、読みにくいところでもある。現時点では6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加の利上げが実施される可能性があるとみている。だが、経済指標次第の面もあるうえ、利上げペースに対しては今後、市場の見方が割れてくることも予想される。

もっとも米経済はそれほど悪い訳ではない。中国も回復基調に戻ると考えれば、穏やかながらもグローバル市場は上昇基調に入っていく。原油市場に対しても警戒感は持つべきだが、米原油先物については今後、1バレル40─50ドルの範囲で安定的な推移も見込まれる。

日本株についてはファンダメンタルズというよりは、参院選をにらんだ政策への期待から底堅い展開となるだろう。ただ、為替に加え、来期の企業業績についてはかなり弱気なものが出てくる恐れもあり、当面は上値の重い形となりやすい。 

<クレディアグリコル銀行 外国為替部長 斎藤裕司氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの金利予想に基づく年内利上げ回数は2回に引き下がった。足元の米経済指標が堅調なこともあって3回への下方修正を織り込む向きが増えてきていた中では、ハト派的な内容となった。

発表後の相場では、投機筋はポジション調整の動きに出た。米金利が低下し、金利面からのドル高はかなり難い状況となった。きょうは東京・欧州の両市場でも、こうした調整の動きが出る可能性がある。

ただ、FOMCを踏まえたドル売りの流れは、週内には収束するだろう。来週前半には国内実需筋の期末のリパトリエーション(資金の本国還流)によるドル売り/円買いの動きも大方終了するため、上値が軽くなる可能性がある。3月最終週のドル/円チャートは、陽線となる傾向が強いことからも、目先のドル上昇も期待できそうだ。来週は海外勢のイースター休暇を控えていることもあり、ドル/円は111─115円のレンジで落ち着く可能性がある。

<ドライブウエルスの首席市場ストラテジスト、ブライアン・ドーラン氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)声明は極めてハト派的なトーンとなった。連邦準備理事会(FRB)は金利の道筋に関する見通しを下方修正すると同時に、インフレ圧力が存在しない中、米経済が総じて底堅く推移しているとの認識を示した。

リスク選好度を押し上げ、リスク資産の買いを後押しするだろう。

<ウェルズ・ファーゴ・ファンズ・マネジメントの首席ポートフォリオ・ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブソン氏>

世界情勢が引き続き課題と米連邦準備理事会(FRB)が指摘したことにそれほど驚かない。(カンザスシティー地区連銀総裁の)ジョージ氏らタカ派が、利上げペースの加速を主張できるが、より慎重な見方が優勢となるだろう。このため、利上げ回数予想が、市場予測により合致するよう大きく引き下げられた。

<UBSウェルス・マネジメント・アメリカズのシニア株式ストラテジスト、デービッド・レフコウィッツ氏>

金利見通しは市場の想定以上に引き下げられた。FRBが示唆する年内の利上げ回数をめぐっては、2度と3度の予想で大きく分かれていた。今回、年内2度の利上げの可能性が示され、市場よりややハト派的な結果となった。

これまで市場の利上げ予想と米連邦準備理事会(FRB)当局者の金利見通しには大きな開きがあった。今回の金利見通しの修正で、双方の見方が近づいた格好だ。市場とFRBがかい離する可能性を低下させるため、支援材料だ。個人的にはこの変化の意味は大きく、その他はおおむね想定内だ。

<マニング・アンド・ネイピアの債券部門幹部、マーク・ブシャロー氏>

今回(示された声明や経済見通し)はややハト派的と言えよう。市場が好む方向だ。このため、次回利上げの予想時期は、4月から6月か7月にずれ込むことになるだろう。

米連邦準備理事会(FRB)が示した経済見通しや、世界情勢が引き続きリスク要因との指摘がややハト派的だ。市場が6月か7月(の利上げ)により対応できるよう、FRBが環境整備を試みようとしているとみる。4月に行うなら、(今回示された)見通しや文面がともによりタカ派的な内容となっていただろう。

<コロンビア・スレッドニードル(ミネソタ州)のシニア為替・金利アナリスト、エドワード・アルフセニ氏>

かなりハト的な声明となった。個人消費支出(PCE)価格指数の見通しが1.6%から1.2%に引き下げられたのは重大な変更といえ、いわゆるドット・プロット(=今後の政策金利の推移を点で示したグラフ)の下方修正の根拠になっていると思う。ただ個人的にはインフレ率は当該予想よりも多少強まっていると考えており、米連邦準備理事会(FRB)はやや後手に回っているのではないか。FRBは足元、慎重になっており、海外リスクが主要リスクであると強調している。
http://jp.reuters.com/article/fomc-insights-idJPKCN0WI2SX



2016年 03月 17日 07:57 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
米FRB金利据え置き 世界リスクで年内利上げ予想2回に引き下げ

[ワシントン 16日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は16日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きを決定した。米経済の成長は継続し労働市場も健全としたが、世界経済の弱含みを背景に年内の想定利上げペースを2回に引き下げた。

公表したFRB当局者の金利見通しでは、大半の当局者が年内2度の25ベーシスポイント(bp)利上げを見込んでいることが示された。年内4回を見込んでいた昨年12月から半減した。

イエレン議長はFOMC後の会見で、声明ではインフレの上向きを挙げたが、最近のインフレ加速の兆候も一時的なトレンドではないと指摘。「持続するとみられる大幅な上昇が出ているとはまだ結論付けていない」として、今後の状況を見極める必要があるとの認識を示し、見通しを取り巻く不確実性を強調した。

議長は「米経済はここ数カ月、衝撃にもかかわらず底堅い」が、現時点で利上げするには世界的なリスクが明白過ぎると述べた。

また大半の参加者の金利見通しの変化は「世界経済の成長見通しがやや減速したとの見方をおおむね反映している」と説明した。

声明ではリスクはなお海外に起因しているとしており、議長は中国の経済減速に加え、日欧経済が再び弱含んでいる点に言及した。

議長はまた、FRBの基本見通しが正しいと分かれば、金利は上昇するとも指摘。一方で、慎重に進めることで景気回復の順調な進展を点検できるとの考えを示した。

イエレン議長はFOMCが直面する不透明性を強調。国内経済成長見通しを引き下げ、金融引き締めペースの予想を緩やかにしても、利上げを行う態勢にあるとし、「多くの委員が政策見通しを修正したが、これは世界経済の成長予測が一定程度鈍化したことを主に反映した」と述べた。

今回の決定に関し、米カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁が唯一、利上げを主張し反対票を投じた。他の参加者は金融引き締めを進めるには、国際情勢は依然脆弱過ぎるとの考えを示した。

RBCキャピタル・マーケッツの米経済担当エコノミスト、トム・ポーセリ氏は「予想に対し、ややハト派寄りな印象」と述べた。

金融市場の反応は、ドルが主要通貨バスケット.DXYに対し急落。米国債利回りは軒並み低下する一方、米株は大幅高となり、S&P総合500種.SPXは昨年12月31日以来の高値で引けた。

<慎重なアプローチ>

声明では「雇用の大幅な伸びを含む最近の一連の指標は、労働市場がさらに力強さを増したことを示唆している。インフレ率も最近、加速した」と指摘。

「だが世界経済と金融動向が引き続きリスクとなっており、年内インフレを低水準に抑える」とした。

FRB当局者の経済見通しでは、今年の成長率とインフレ率がともに引き下げられた。長期的な金利見通しも3.5%から3.3%に下方修正された。

金利軌道に関する見通しでは、大半の当局者が年内およそ0.5%ポイントの利上げが適切との見方を示した。年内4度の利上げが見込まれていた昨年12月時点から想定の利上げペースはより緩やかとなった。

失業率見通しは年末までに4.7%、その後2017、18年も継続的に改善すると予想している。

今年のインフレ率見通しは1.6%から1.2%に下方修正。ただ来年には中期目標の2%近くに加速すると見込む。
http://jp.reuters.com/article/fomc-rate-idJPKCN0WI2LM


イエレン米FRB議長の会見要旨

[ワシントン 16日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は16日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きを決定した。だが米経済の緩やかな成長と力強い雇用の伸びを受けて、今年再び利上げすることが可能との認識を示した。

イエレン議長がFOMC後の会見で行った発言の要旨は以下の通り。

<FRBはマイナス金利を検討、協議しておらず>

これは検討または協議されている議題ではない。委員会は経済が改善しインフレ率も上向いている軌道にあると引き続き考えている。そのような形で状況が展開すれば、われわれは時間とともに金利を段階的に引き上げる公算が大きい。決まっているわけではなく、経済動向を注視し、異なる状況が発生した場合に対応する準備を整えている。だがどのような追加緩和が可能かについて活発に議論したり検討したりしていないし、もちろんマイナス金利を積極的に検討してもいない。

<毎回の会合で利上げ実施の可能性ある>

毎回の会合で利上げを実施する可能性があるということをあらためて繰り返す。4月の会合でも利上げを実施する可能性はあり、われわれは入手される経済指標を見極めていく。(4月会合まで)幾分短い期間ではあるが、6週間あり、労働市場やインフレ動向に関連するデータも新たに発表される。

<賃金>

労働情勢が幅広く改善しているにも関わらず、賃金が緩慢なペースでの伸びにとどまっていることに幾分驚いている。

かなりの数の企業が、賃金圧力に直面し、若干速いペースでの賃金の上昇を確認していると報告している。それにも関わらず、広範な賃金の上昇がみられないことは、労働市場に依然として緩みが存在することを示唆していると考える。

ただ、賃金は幾分上昇すると予想している。

<見通しに対するリスクのバランス>

委員会は見通しに対するリスクは確実に減ったと考えている。だが指摘したように、引き続きリスクがあるとみている。

リスクバランスが下向きと表現することはしないと決めた。委員会はまだ結論に至っていない。リスクが安定しているかどうかに関して、全体の判断はない。全体の判断を示すことは避けた。私の考えでは、リスクは安定していると考える参加者もいれば、やや下向きとみる参加者もいる。

米経済はここ数カ月、衝撃にもかかわらず底堅い。また世界情勢がやや下向きのリスクとなっているが、リスクがすべて一方向に偏っているわけではない。

<原油価格の消費支出に対する影響>

原油安が消費支出を押し上げなかったと決定的に言えるかどうか、厳密な意味ではこうした結論に至っていると確信を持っていない。

米国の典型的で平均的な家計は、現在の原油価格の水準で毎年約1000ドルの恩恵を受けていると見られる。私が確認した家計消費のパターンに関する非常に詳細なミクロ経済データによると、予想通り、ガソリンに振り向ける支出の減少と外食などに振り向ける支出との間には相関性があることが示唆されている。

ただ、総合的なデータはそれほど堅調ではなく、消費もそれほど強くない。もちろん、こうしたことには時間がかかり、原油価格が低水準にとどまれば次第にゆっくりと増加していく可能性はある。一方で、掘削活動は大幅に低下しており、投資の減少のほか、エネルギー部門の大幅な人員削減につながっている。

<原油価格とインフレ>

原油価格が1バレル=50ドルに上昇すれば、われわれのコアインフレの見通しの若干の上昇、さらに2%(の目標)回復までにかかると予想される時間の短縮につながる可能性がある。ただ、これだけでは政策に大きな影響は及ぼさないと見ている。

<インフレのオーバーシュート>

われわれのインフレ目標は2%で、われわれはインフレ率が2%に向けて回復すると予想しており、インフレを意図的にオーバーシュートさせようとはしていないことを明確にしておきたい。

2%は目標であるが、シンメトリックな目標である。われわれはこの目標をオーバーシュートしたくないのは明らかだ。ただ、アンダーシュートとオーバーシュートは経済のなかで自然に起こることで、われわれはこの双方をシンメトリックに容認する。

声明ではインフレがここ数カ月上向いたことを指摘した。これは、インフレに非常に大きな影響をもたらすことなく、かなり不安定になる傾向を持つ部門でインフレが通常より高まっていることが一部要因になっていると見ている。

私は心配しており、例えばコアインフレなどに、持続すると見られる大幅な上昇が出ているとはまだ結論付けていない。

FOMCは12月にも指摘したが、われわれは進展のトレンド、および進展を引き続き注視した。これには、このところのインフレ指標がやや高めの水準にあるとの事実も含まれる。一方で、インフレーション・コンペンセーションや一部指標はやや低めとなっている。こうした意味では、インフレ見通しをめぐっては双方向のリスクが存在する。

<後手に回りたくない>

米連邦公開市場委員会(FOMC)は昨年12月、インフレ率の2%回帰が望ましいとの考えを示した。一方で、(インフレ率の上昇が)多少著しい形で行き過ぎた結果、われわれが後手に回って、これまでの安定した雇用増を損ない得る、非常に急な形で、後で(政策を)引き締める必要に迫られないよう、注意したいとも考えている。

<世界経済・金融状況>

年明け以降、世界経済の見通しへの懸念に伴い、金融市場の変動は増大し、米国内における金融状況はややひっ迫した。ただ金融状況は最近になって著しく改善した。さらに海外経済の成長ペースは当初の見通しよりも多少弱まっているもようだ。しかしながらこうした想定外の動向は委員会の基本見通しを大幅に変えるものではない。

<金利見通し>

大半のFOMC参加者は現在、昨年12月時点に想定していた経済状況を達成するには、金利見通しを12月からやや引き下げることが必要な公算が大きいと予想している。ただ、参加者のフェデラルファンド(FF)金利見通しは、中央値も含め、将来の政策プランではないことを強調したい。金融政策に予め決められた軌道はない。

<FOMCの決定>

金融緩和政策の解除を慎重に進めることにより、海外を起因とするリスクにもかかわらず、労働市場が引き続き力強さを増していることを検証することが可能になる。短期金利がなおゼロ近辺にあるということは、金融政策が見通しの下振れより上振れに対応する余地が大きいことを意味しており、その点を踏まえると、こうした慎重さは適切だ。

声明でも指摘した通り、委員会はFF金利の緩やかな上昇しか正当化しない形で経済状況が進むと予想している。FF金利は当面、長期的に到達すると見込まれる水準を下回るレベルで推移する可能性がある。こうした予想は中立の名目FF金利、つまり経済が潜在水準近くで推移すれば拡大的でも縮小的でもない水準と定義される金利水準が、現在は歴史的な基準に照らし合わせて低く、時間とともに段階的にしか上昇しない公算が大きいとの見方に整合している。

<インフレ率>

個人消費支出(PCE)価格指数に基づく総合インフレ率は1月までの1年間に1.25%上昇し、伸びが加速した。2014年末頃からのエネルギー価格急落によるベース効果が剥がれ落ちたことが背景にある。エネルギー、食品を除くコアインフレ率も上向いた。だが、とりわけ先のエネルギー価格下落やドル高が総合インフレ率を引き続き押し下げる可能性があり、このインフレ加速が持続するかどうかは不透明だ。だが一時的な影響が後退し、労働市場が引き続き力強さを増せば、委員会はインフレ率が今後2━3年で2%に加速すると予想している。
http://jp.reuters.com/article/yellen-fed-press-idJPKCN0WI2XK?sp=true


米2月コアCPIは予想上回る0.3%上昇、FRB引き締め路線堅持の公算

[ワシントン 16日 ロイター] - 米労働省が16日発表した2月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)によると、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIが0.3%上昇し、市場予想の0.2%上昇を上回った。

物価上昇が確認されたことで、米連邦準備理事会(FRB)が示している年内は緩やかに金利を引き上げていくとの方針は振れない公算が高まった。

1月も0.3%上昇だった。家賃や医療費の値上がりが続いたことが影響した。米連邦準備理事会(FRB)による緩やかな利上げを後押しする可能性がある。

コアCPIの前年同月比は2.3%の上昇で、1月の2.2%上昇から伸びが加速した。2012年5月以来の大幅な上昇となった。市場予想は2.2%上昇だった。

ナロフ・エコノミック・アドバイザーズ(ペンシルバニア州)の首席エコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は、「今回の統計で物価圧力が皆無との状態は過去のものになったことが確認された」とし、「FRBは利上げが近いことを容易に示唆できるようになった。こうした示唆は予想より早い時期に来る可能性がある」と述べた。

2月のコアCPIの内訳は、家賃が2カ月連続で0.3%上昇した。医療費は2カ月連続で0.5%上昇。処方せん薬は0.9%、病院費は0.5%それぞれ値上がりした。

衣類は1.6%上昇し、09年2月以来の大幅な値上がりとなった。企業が積み上がった在庫を解消するために大幅なセールを実施していることを考えると、衣類が2カ月連続で値上がりしたことは意外だ。

新車や中古車、トラックも値上がりした。

一方、ガソリンが13.0%下落し、コアCPIの伸びや食品(0.2%上昇)の値上がりを相殺した。結果として、全体のCPIは前月比0.2%下落となった。1月は横ばいだった。

CPIの前年同月比は1.0%上昇と、1月の1.4%上昇から伸びが鈍化した。

16日午後には2日間にわたって開かれていた米連邦公開市場委員会(FOMC)が終了する。FRBは金利を据え置くとみられている。ただ、物価に上昇圧力がかかっていることや、住宅部門の底堅さ、雇用市場の引き締まりは、FRBが6月に利上げする確率を高めている。

FRBは2%の物価上昇目標を掲げているが、その基準となる個人消費支出(PCE)価格指数は上昇している。

FRBは昨年12月、9年半ぶりに政策金利を引き上げた。
http://jp.reuters.com/article/us-feb-cpi-idJPKCN0WI230


World | 2016年 03月 17日 11:19 JST 関連トピックス: トップニュース
豪2月就業者数は前月比+300人、予想大きく下回る 失業率は改善


[シドニー 17日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が17日発表した2月の雇用統計は、就業者数が前月比300人増にとどまり、予想の1万人増を大幅に下回った。

しかし、フルタイム就業者数は1万5900人増加しており、パートタイム就業者数の1万5600人減をほぼ相殺する形となった。

失業率は5.8%で前月から改善した。予想は6.0%だった。

全体に強弱まちまちの内容となった。ただ就業者数は振れが大きいことから、豪中銀は失業率の推移により重きを置いているとされる。

豪中銀は最近、失業率が先行きの不透明感の主な原因との認識を示しており、失業率が今回5.8%に低下したことは好感されそうだ。

コモンウェルス銀行(CBA)のチーフエコノミスト、マイケル・ブライス氏は「中銀は経済状況に関するより明確な手掛かりを待っており、失業率はプラス材料がマイナス材料を上回ることを示している」と指摘。「失業率が現在、低下傾向にあることは明白だ。追加的な金利面での支援は必要なくなる」との見方を示した。

市場もこの見方に同意しているようだ。雇用統計発表後、豪ドルAUD=D4は0.7616米ドル付近に上昇、8カ月ぶり高値をつけた。

2016年 03月 17日 11:00 JST 関連トピックス: トップニュース
豪2月就業者数は前月比+300人、予想大きく下回る:識者はこうみる

[シドニー 17日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が17日発表した2月の雇用統計は、就業者数が前月比300人増にとどまり、予想の1万人増を大幅に下回った。失業率は5.8%。予想は6.0%だった。

市場関係者のコメントは以下の通り。

<JPモルガンのエコノミスト、トム・ケネディ氏>

まちまちの内容だ。就業者数の伸びはほとんど横ばいで、失業率は低下し、労働参加率もやや低下した。つまり、ヘッドライン失業率の変動の大半はサプライサイド要因ということを示している。

現在の基調トレンドを正しく反映しているとは考えていない。ここしばらくは労働参加率が上向いていたため、今回低下したのはやや奇妙だ。今後は労働参加率が回復するとみている。

<コモンウェルス銀行(CBA)のチーフエコノミスト、マイケル・ブライス氏>

結果的に、経済見通しに関してポジティブな数字といえるだろう。失業率が現在、低下傾向にあることは明白だ。

経済に関する強力なシグナルであり、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)へのメッセージとなる。

中銀は経済状況に関するより明確な手掛かりを待っており、失業率はプラス材料がマイナス材料を上回ることを示している。追加的な金利面での支援は必要なくなる。

<RBCキャピタル・マーケッツのストラテジスト、マイケル・ターナー氏>

まずまずの内容。失業率は2014年と15年の大半と比べ、やや低いレンジにシフトしたようだ。豪雇用は昨年第4・四半期に力強い結果が出ており、それがより現実を反映しているように思われる。ただ、統計の振れが大きくなった印象を持っており、解釈が難しい面もある。

当社は、失業率は年内、6.0%前後で推移すると予想している。

豪準備銀行は、失業率が現行水準付近で推移し、2017年に若干低下するとみているが、今回の統計でその見通しは変わらないだろう。

当社は依然として、今年下半期に2度の利下げを予想しているが、利下げには、失業率が5.8%よりも若干上昇する必要があるだろう。
http://jp.reuters.com/article/employment-idJPKCN0WJ04Z


2016年 03月 17日 10:12 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
英2016/17年度予算案、成長予想引き下げ 債務削減目標届かず

[ロンドン 16日 ロイター] - オズボーン英財務相は16日、2016/17年度予算案を議会に提出した。予算案では成長見通しを大きく下方修正するとともに、公的債務の削減目標を今年達成できないことを認めた。ただ2019/20年度までに財政収支を黒字化する目標は堅持する姿勢を示した。

2016年の成長率見通しは2%とし、11月時点の2.4%から引き下げた。17年についても2.5%から2.2%に下方修正した。海外経済の減速に加え、国内の生産性の伸びが弱いことが足かせとした。

同相は「金融市場は混乱している。生産性の伸びは西部でかなり弱く、世界経済の見通しも弱い。さまざまなリスクが混在している」と指摘した。

また6月実施の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まれば、景気見通しはさらに悪化するとの見方を示した。

オズボーン財務相は昨年の総選挙前、国内総生産(GDP)に対する公的債務の比率を毎年引き下げるとともに、財政収支を2019/20年度までに黒字化する目標を発表していた。

だが今年の公的債務のGDP比率は上昇するとし、目標は達成できないとした。2016/17年度の公的純債務はGDP比82.6%になる見通し。11月時点では81.7%としていた。

2016/17年度の財政赤字見通しは対GDP比で2.9%と、11月時点の2.5%から修正した。ただ19/20年度にはGDP比で0.5%の黒字を見込む。

しかし、エコノミストの多くは今回の成長率見通しの引き下げ前から、目標の達成は困難との見方を示していた。

オズボーン財務相は、目標達成には2019/20年度までに歳出をさらに35億ポンド削減する必要があると指摘した。
http://jp.reuters.com/article/britain-budget-idJPKCN0WI23C


ベネズエラ:1週間休日に−電力不足に対応しイースターの祝日増やす
2016/03/17 12:00 JST

    (ブルームバーグ):ベネズエラは来週、1週間にわたって休暇となる見通しだ。同国政府は電力危機の深刻化への対応に苦慮している。
官報で15日発表された声明によると、ベネズエラのマドゥロ大統領は、国民全員を対象に来週、本来2日間のイースター(復活祭)の祝日に3日間休暇を追加する方針を示した。同大統領は先週末、追加休暇は政府職員のみに適用すると発表していた。
ベネズエラでは干ばつの長期化で水力発電ダムの発電量が減少しており、政府は数カ月にわたって全国で電力と飲料水を配給制とし、国民に対し節電・節水を呼び掛けている。電力・水不足については、メンテナンスと計画性の欠如によるものとする批判がある一方で、マドゥロ政権はエルニーニョ現象と政敵による「妨害行為」が影響していると主張する。
停電対策としての祝日延長は、ベネズエラでは今回が初めてではない。2010年に当時のチャベス大統領が同様の行政命令を出し、イースターの祝日を3日増やした。
原題:Venezuela to Shut Down for a Week Amid Electricity Crisis (2)(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O45TY46S972901.html


マイナス金利最長の中央銀行総裁、一段の利下げも可能と発言
2016/03/17 08:07 JST

    (ブルームバーグ):マイナス金利に関して中央銀行でこれほどの経験を持つ人物はほかにいない。
その人物とは、デンマーク中央銀行のローデ総裁だ。同中銀の政策金利がマイナス圏に置かれてきた期間は過去4年間のほとんどに及ぶ。2019年までプラス圏に浮上することはないという市場の見通しは正しいかもしれないとすら、総裁は語っている。

昨年の大半の期間、デンマーク中銀の預金金利はマイナス0.75%だった。だがローデ総裁は16日、その水準が「下限」ではないと発言した。

ローデ総裁によると、マイナス金利は極めて低いプラス金利とほぼ同じように機能する。国内金融機関最大手のダンスケ銀行は15年に過去最高益を記録、株価も競合する欧州主要銀の大半を上回る上昇を遂げていることもあり、デンマークにマイナス金利の「多くの副作用」は見られていないと言う。
スイスとは違い、為替市場の投機筋の抑え込みにも成功している。ローデ総裁は金融政策の正常化を試みたことがあり、1月には預金金利をマイナス0.65%に引き上げた。

だがデンマークのような小規模で開かれた経済では、金融政策は最終的に欧州中央銀行(ECB)に支配される。ドラギECB総裁が追加緩和の実施を決めた場合、デンマークにはそれに追随する手段があると、ローデ総裁は述べた。
「ECBの金利がわれわれが今まで目にした水準より低くなったとしても、デンマークには必要なあらゆる手段が備わっていると感じている」と続けた。
原題:Man With Longest History of Negative Rates Says We Can Go Lower(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O454CC6KLVR601.html



欧州銀の苦境続く、ドイツ銀もUBSも−赤字や追加人員削減の恐れ
2016/03/17 01:54 JST

    (ブルームバーグ):欧州の銀行の2016年は暗いー。ドイツ銀行とUBSグループの経営トップが16日、このような認識を示した。両行とも株価は先月の株式市場混乱以降で最大の下落を演じた。
ドイツ銀のジョン・クライアン共同最高経営責任者(CEO)はロンドンでの会議で、今年の業績が黒字になるとは考えていないと明らかにした。UBSのセルジオ・エルモッティCEOは同じ会議で、「厳しい環境」が今年1−3月(第1四半期)に入っても続いたと述べた。
海通証券(英国)のアナリスト、シャイレシュ・ライクンドリア氏(ロンドン在勤)は「現在の環境では収入への下押し圧力が続くだろう」とした上で、「問題は2015年10−12月(第4四半期)が異常だったのか、これが16年全体にわたって続くと考えるべきなのかだ」と述べた。
UBS株はチューリヒ市場で一時5.9%安となり現地時間午後4時2分現在は5.1%安。ドイツ銀株はフランクフルト市場で5.4%安。クレディ・スイス・グループはデービッド・マザーズ最高財務責任者(CFO)が何らかの理由でロンドンでの会議に欠席したことが材料視され、一時7.4%下げた。
エルモッティCEOは「最新の当行見通しで指摘した状況は1−3月を通じて続いた」と語った。クライアンCEOは2月のドイツ銀のトレーディング事業が「良くはなかった」と述べた。
一段のコスト削減への言及もあった。同じ会議でフランスのソシエテ・ジェネラルのフレデリック・ウデアCEOは、金融業界全体で規制強化による負担が増す中、法人金融や投資銀行などの事業でコスト削減を加速させる可能性があると発言した。
また、UBSは欧州の投資銀行部門で約300人を削減する公算だと、ロイター通信が関係者の話として報じた。
原題:European Banks Slump as Cryan, Ermotti Signal Tough Year Ahead(抜粋)

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O454G2SYF02101.html


中国の経済改革、遅々として進まず
第2ラウンドはどこに
By MARK MAGNIER
2016 年 3 月 17 日 12:45 JST

 中国は一度、それを行ったことがある。なぜ再びやらないのか?

 1990年代末、中国は肥大化した国有企業の果敢な再編に着手した。煙突から煙を吐いていた鉄鋼工場を閉鎖し、過剰能力を削減し、数年間で3500万人もの人々を解雇した。その結果、最終的には余計なものが一掃され、長年の2ケタ成長のきっかけとなった。

 その後ほぼ20年がたち、中国は再び肥大化した国有企業、増大する債務、そして成長を妨げる過剰能力にあえいでいる。中国指導部は最近、鉄鋼と石炭産業の過剰能力を削減する計画を発表した。計画では180万人の雇用を削減する見通しだ。しかし、それには5年もかかるうえに人員の自然減などに頼る可能性が高い。専門家は、それでも現在この業界を悩ませている過剰能力のごくわずかな部分を吸収するにすぎないと言う。だが、現在の中国は1990年代末の7倍の経済規模があり、社会も当時より豊かで、本格的な改革に伴う混乱と失業の衝撃を受け止められる。

 では中国の改革はなぜ、遅々として進まないのか?

 その大きな要因は指導者にあると、1997年から2004年まで世界銀行の中国担当局長を務めたユーコン・ファン氏(現在はカーネギー国際平和財団所属)は話す。ファン氏によれば、当時の朱鎔基首相は果敢にリスクをとる人物だった。これとは対照的に、現在の習近平国家主席は多くの主要経済委員会を掌握しているものの、経済改革で大胆に動いたことはないという。

 ファン氏は、習氏の攻撃的な汚職撲滅政策を挙げて、「安全保障と政治に関して、習主席は賭(か)けに出ている」と述べた。しかし「経済問題についてはそれほど明快ではない。彼は賭けに出たがらない。経済的な恩恵を確信していないからだ」と語った。

 ファン氏によれば、今日、政府は少数の世界的企業を生み出すために、国有企業の合併を推進しようとしている。これは、市場の力が勝者と敗者を選り分けるという信念を強く抱いていた朱鎔基氏の時代とは対照的だという。

 16日、李克強首相は北京の全国人民代表大会(全人代)の閉幕記者会見で、中国は2020年まで年間平均で少なくとも6.5%の成長率を維持し、構造改革を推し進めると述べた。エコノミストたちは、このように比較的高い成長目標を維持しようとすれば、改革を犠牲にする公算が大きいと指摘している。経済を投資・製造型から消費・サービス型に転換する努力は、後退する恐れがあるという。

 今日、改革プロセスを鈍化させているのは、現在進行中の壮大な政治闘争だとシンガポール国立大学の黄靖(ジン・ファン)教授は言う。それは経済の膨大な分野を支配している強大な既得権益集団から管轄権と資源をもぎ取る政治闘争だ。同教授はこれを19世紀の米国における巨大な鉄道と鉄鋼トラストの分割に例える。しかも、言論の自由や政治的反対勢力の支援もないまま、成し遂げようとするものだという。

 ファン教授は「生きるか死ぬかの闘争だ」と述べた。同教授は「(1990年代末)当時、彼らは壁と窓を変えようとしていた。だが今日は家の土台を取り替えようとしている。慎重にしないと、家全体が崩壊するだろう」と語った。

 北京の改革意欲をそいでいるのは、中国の労働市場の現状と、厳しい経済のファンダメンタルズ(基礎的要因)のためでもある、とエコノミストらは言う。

 労働市場はますます精緻になっており、高齢化した鉄鋼労働者をサービスやハイテクの仕事にシフトするのが一層困難になっている。以前は鉄鋼工場から他の業種の工場の組み立て作業に移動させる程度で、もっと簡単だった。

 多くの簡単な改革は実施済みで、しかも世界の需要は弱い。この結果、中国が諸問題を乗り越えて成長していけるかどうかはますます大きな疑問になっていると、調査会社IHSグローバル・インサイトのエコノミスト、ブライアン・ジャクソン氏は言う。初期の改革時代は、農民が工場に殺到し、中国は世界貿易機関(WTO)に加盟し、外国では買い物客が安価な中国製品を買い込んだ。

 前出の元世銀中国局長のファン氏によれば、1990年代末の国有企業改革の決定は自明の選択ではなかった。世界は1997年のアジア金融危機で動揺しており、中国は世銀や他の機関から欠陥だらけの金融システムに対処するよう強い圧力を受けていた。

 ファン氏は「(金融改革を主張した)われわれは実は間違っていたのだ」と述べた。

 しかし同氏によれば、朱首相は当時、銀行再編は余りに難しいと考え、代わりに北京によって統制された数百もの大手国有企業の改革に集中した。それが地方当局者にもシグナルとなった。

 ファン氏によれば、労働者の大きな抗議行動が発生したが、朱首相は自らの立場を貫き、調整は予想以上に急速に進んだ。省庁は傘下の研究部門を分離し、中国のサービス産業の台頭のきっかけになった。製造業はブームになった。そして政府はインフラを構築し始め、それが雇用と成長を生んだ。

 ファン氏は、中国政府が当時、上海から近隣の浦東を結ぶ橋の建設資金提供を世銀に要請したのを思い出す。しかし世銀はこのプロジェクトを支えるほど十分な交通量がないと考え、要請を拒否した。中国政府は最終的にアジア開発銀行(ADB)から融資を獲得した。ファン氏は「3〜4年以内に急増した橋の交通量をわたしは信じられなかった。本当にわれわれは間違っていたのだ」と述べた。

 同氏は「多くの人々は今、立ちすくんでいる」と述べた。そして「朱鎔基氏が優れていたところは、彼が極端に頑固で、賭けをし、しかも特定の原則に固執していたことだった」と語った。

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中国ゾンビ企業の再編と労働者の苦境
中国首相、経済目標の達成に自信−全人代閉幕後の会見で
中国経済の苦境、統計で浮き彫りに
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http://jp.wsj.com/articles/SB12798596211232484180504581602071327485458


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