ブラジル大統領に強まる退陣圧力、5つの背景 ブラジルでルセフ大統領に退陣を求める声が高まっている 2016 年 3 月 14 日 10:48 JST ブラジルでルセフ大統領に退陣を求める声が高まっている。今後数カ月間は、同大統領が2018年末までとなる2期目の任期を終えられるかどうかで決定的に重要な時期になる公算が大きい。なぜ左派のルセフ大統領は苦境に陥っているのか。知っておくべき5つのことをまとめた。 1. ペトロブラス・スキャンダルの余波 ペトロブラスの浮体式生産貯蔵積出設備 ENLARGE ペトロブラスの浮体式生産貯蔵積出設備 PHOTO: BLOOMBERG NEWS 国営石油公社ペトロブラスを舞台とした汚職をめぐる広範囲の捜査により、有力な実業家や政治家が失脚している。ルセフ大統領はこれに関与していないが、側近集団の一部は関与していた。検察当局はペトロブラスからの多額のリベートがルセフ大統領率いる与党・労働者党とその連立政党に流れ込んだと指摘している。同大統領とこれらの政党はそれを否定している。 2. ルラ前大統領が捜査対象に ブラジル政権に大きな影響力を持つルラ前大統領 ENLARGE ブラジル政権に大きな影響力を持つルラ前大統領 PHOTO: ASSOCIATED PRESS 検察当局は、ルセフ大統領が政治的な師と仰ぐルラ前大統領を、汚職で利益を得た疑いで捜査している。ルラ氏は不正を行っていないと述べており、別の犯罪捜査でのマネーロンダリング(資金洗浄)容疑も否定している。ルラ氏は大物政治家で、ブラジル政権に及ぼす影響力はなお大きい。ルラ氏が足をすくわれれば、ルセフ大統領もそうなる恐れがあると考える人は少なくない。 3. ブラジル経済の後退 2015年のブラジル経済は3.8%のマイナス成長となり、今年も同程度のマイナスになるとみられている。失業率は2ケタに近づいている。汚職事件から大きな打撃を受けているルセフ大統領は、議会で成長てこ入れ策を通過させられずにいる。このため、産業界のリーダーからは、政治的まひ状態脱却のためルセフ大統領の退陣を公然と求める声も上がっている。 4. 支持基盤の縮小 ジカ熱対策でリオデジャネイロを訪れたルセフ大統領 ENLARGE ジカ熱対策でリオデジャネイロを訪れたルセフ大統領 PHOTO: REUTERS 同政権がスキャンダルに見舞われ、自身の支持率が過去最低水準となるなか、ルセフ大統領は「友人」を失いつつある。労働者党と連立を組む諸政党は、連立の解消を検討し始めている。労働者党のメンバーでさえ、同大統領の緊縮策要請に反対している。同大統領は不安定な財政を再建するための緊縮策を求めている。 5. 2方面での戦い リオデジャネイロのコルコバードの丘に立つキリスト像 ENLARGE リオデジャネイロのコルコバードの丘に立つキリスト像 PHOTO: RICARDO MORAES/REUTERS 反対派は2つの方面からルセフ大統領を追い込んでいる。一つは議会だ。議会は、同大統領が財政赤字拡大を隠すため政府会計の粉飾に関わったとの疑惑を聴取するため、同大統領の弾劾手続きを開始した。ルセフ氏は容疑を否認している。しかし、支持基盤が縮小しているだけに、同大統領が弾劾される可能性は高まっている。もう一つは選挙裁判所だ。選挙裁判所は同大統領が再選された2014年の選挙に不正な献金があったか否かについて調査中だ。不正な献金が発見された場合、当局は新たな選挙を求める可能性がある。それは、ルセフ大統領にとって有利な展開でないだろう。 関連記事 ブラジル株、ルラ前大統領の事情聴取で急騰 ブラジルが直面する高インフレと景気後退の二重苦 ペトロブラスCEOに続く試練 ジカ熱流行、ブラジル観光に大打撃か ジカ熱運ぶ「ゴキブリのような蚊」、駆除困難
Business | 2016年 03月 14日 11:08 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 焦点:新興国債に新たな難題、今後5年で1.6兆ドルの大量償還 [ロンドン 11日 ロイター] - 新興国市場に最近見られる落ち着きの兆しは、単なる嵐の前の静けさかもしれない。今後5年で1兆6000億ドルという巨額の債務償還が予定され、新たな問題になりかねないからだ。
2020年までの新興国債務の年間返済額は15年と比べて1000億ドル超も増える見通し。これは08年の金融危機以降の借り入れブームに関係している。 金融危機後は、米国の事実上のゼロ金利によって投資家の高利回り債需要が増大した流れを受け、アフリカの各国政府からトルコの銀行に至るまで新興国の借り手がこぞって外貨建ての起債に動いた。 だが、その返済期限が迫ろうとしている。ICBCスタンダード・バンクのデータによると、1兆6000億ドルという償還予定額のうち4分の3以上を社債が占める。 これまで社債市場では、償還額が比較的小さく、世界的な低金利の恩恵もあってデフォルト(債務不履行)の発生は抑制されてきたが、コモディティ安と米国の金利上昇に加え、こうした大量償還という要素も出てきたことから、厄介な事態が起きてもおかしくない。 UBSの新興国市場調査責任者、バヌ・バウェジャ氏は「新興国に立ちはだかる障害を取り除くことはできない」と語り、その理由として(1)特に今後トラブルに見舞われる恐れがあるエネルギーと金融のセクターを中心に既に借り入れが膨らんでいる(2)国際金融市場がかつてほど新興国に対して寛容でなくなっている──ことを挙げた。 重圧がかかりそうなのは、原油価格下落に見舞われたエネルギーセクターだ。 ベーブソン・キャピタル・マネジメントの新興国社債責任者、ブリジット・ポッシュ氏は、より規模の小さい民間企業は債務再編が避けられないだろうが、より大きな問題は国有の準ソブリン格の企業からもたらされる恐れがあると警告する。 ポッシュ氏によると、ブラジル国営石油会社ペトロブラスやメキシコ国営石油会社ペメックスといった準ソブリン格企業の抱える社債は今後4年のセクター全体の償還予定額の80%強に上り、これらの企業が政府からの支援を必要とすれば、政府部門にリスクが波及しかねないという。 UBSのバウェジャ氏の試算に基づくと、エネルギー・素材では外貨建て社債残高の25%強が今後3年で償還を迎え、金融の場合はこの比率が約33%になる。 バウェジャ氏は、政府支援は投資家にとって社債がより安全になることを意味するものの、ソブリン債にリスクが転嫁されるとともに、他の企業の借り入れコストまで引き上げる傾向があると説明し、金融セクターはとりわけ脆弱に見えるとの懸念を示した。 UBSのデータによると、新興国のうち外貨準備との比較で見るとグロスベースの債務借り換え必要額が最も大きいのはトルコで、ハンガリーやインドネシア、南アフリカ、ロシアもそれに近い水準にある。 <根強い需要> 国際通貨基金(IMF)は、新興国企業が新規調達した資金を返済に充てる割合が高まっていると警鐘を鳴らす。05年時点で調達資金の返済充当率は5%弱だったが、14年には約30%に達した。 このところニューヨークやロンドンでは新興国政府の起債に関する説明会が相次いで開催されており、投資家の需要が試されつつある。 もっとも大半の投資家は、デフォルト急増の懸念は一蹴している。特にドル高がこれ以上進まなかった場合、あまり心配はないとの見方だ。低金利環境にあって、新興国債が提供する利回りに対する投資家の引き合いは引き続き強いだろうという。 ほとんどの先進国の中央銀行が利上げするまでにはなお相当の時間があり、米10年債利回りはなお2%未満で推移するなど、世界的に借り入れコストの低い状態は続く可能性が大きい。 フィデリティ・インターナショナルのファンドマネジャー、スティーブ・エリス氏は「この利回りなら、(新興国の)借り換えに大きな問題が起きるとは予想されない。デフォルト率は低水準にとどまりそうだ」と話した。 それでも借り換えには信用力の問題がネックになるかもしれない。 スタンダード・バンクのデータでは、向こう5年に償還を迎える新興国債の34%が投資適格級未満、8%が無格付けで、発行体は借り換えに苦労する可能性がある。 ロンバード・オディエのチーフグローバルストラテジスト、サルマン・アフメド氏は「やみくもに利回りを追求する局面は終わったので、投資家は信用力ごとに投じる資金に微妙に差をつけていくだろう」とみている。 (Karin Strohecker記者) http://jp.reuters.com/article/emerging-bonds-issuance-idJPKCN0WG03K
FX Forum | 2016年 03月 14日 13:51 JST 関連トピックス: トップニュース コラム:「荒れ相場」示唆する世界経済事情=山口曜一郎
三井住友銀行 ヘッド・オブ・リサーチ [東京 14日] - 現在のマーケットは今なお不安定だが、2月に比べると幾分落ち着きを取り戻している。この一因はドルの下落であり、米国経済、新興国、原油市場といった懸念要因に対してドル安がクッションになっているとみられる。 米連邦準備理事会(FRB)が発表している26カ国を対象としたドルの実効為替レートは、1月20日の高値126.24から今月4日の122.16まで3.2%下落した。ドル安は、米国経済にプラスに効き、米国の利上げとドル高の影響にさらされる新興国経済への不安を和らげ、人民元の売り圧力を緩め、原油などドル建ての商品価格の反発を助ける。 とはいえ、米国経済の不透明性、金融政策の効果への疑問、中国や原油価格などのリスクオフ要因が早晩消え去るとは思わない。これら経済および金融市場の不透明性の背景には、世界経済の「成長の源泉」不足という問題があるからだ。 <前倒し需要枯渇で金融政策の効果が減退か> 例えば、国際通貨基金(IMF)が発表しているドル建ての世界の名目国内総生産(GDP)を見ると、昨年10月時点での2015年の予想値は前年比マイナス4.9%に落ち込み、16年はプラス3.8%の反発にとどまる見通しとなっている。 昨年はドル高の流れが続いていたことから、世界経済をドル建てにすると目減りして見えるということはあるが、ドルをベースにすると、世界経済全体では付加価値の増価が起こっておらず、今年の反発も大きなものになりそうにない、という点は認識しておくべきだろう。 また、世界の貿易取引を見ても経済活動の停滞がうかがえる。オランダの経済政策分析局(CPB)によれば、15年の世界貿易額(ドル建て)は前年比マイナス13.8%減少となった。貿易取引が伸びていないということは、ある国が通貨安を実現することで取り込める外需の規模は以前よりも小さくなっている可能性がある。そうであれば、外需の取り合いで各国が金融緩和による通貨安を目指しても、緩和効果は以前ほど強くは出ない。 加えて、各国が金融緩和を実施した場合、今まではドルがそれを受け止めることで通貨安が実現されていたが、米経済の不透明性からドルが買われなくなり、かつ多くの国が金融緩和競争に陥ると、通貨安自体も起こりにくくなる。 さらに議論は内需にも及ぶ。金融緩和は投資の要求リターンを低下させることで投資活動を活発化させ、内需を刺激するのだが、これは一部、将来の投資や消費を先食いしている側面がある。 先進国は、政策金利の引き下げや、資産購入による量的緩和など、長期にわたる金融緩和で、過去5年間、1.1%から1.9%の成長率を達成してきた。いずれ、追加の金融緩和なしに、自律的な経済成長を実現できると期待されていたが、今なお多くの国は金融緩和のサポートによってプラス成長を維持している状況だ。 悲観的に考えると、前倒しする需要が枯渇しつつあるのではないか、そのため金融政策の景気刺激効果が減退しているのではないか、との考えが頭をもたげる。 <所得格差拡大も経済活動抑制の一因に> つまり、話はどうしても所得と所得分配に行き着く。成長の源泉不足を解決する方法の1つとして、家計所得が増加する循環を作ることが必要であり、生産性の向上と労働分配率の改善に加えて、所得階層別での分配も重要となってくる。日本でも所得格差が問題となっているが、米国では上位10%の富裕層が総所得の47%を占めている。 中低所得者よりも高所得者の消費性向が低いことを考えると、所得格差の拡大が、消費の伸びをはじめとして、経済活動を抑制する一因となり得る。状況証拠に過ぎないものの、米大統領選挙におけるトランプ候補やサンダース候補の予想外の健闘には、格差とその影響の深刻さの一端が表れているようにも見える。労働者と企業の分配、所得階層別の分配が経済成長の下方圧力に影響を与えていることは間違いないだろう。 その観点で考えると、単月の数字とはいえ、2月の米雇用統計において時間当たり賃金が前月比マイナス0.1%と弱い結果になったことは、米経済の所得分配において、労働分配率の改善が進まず、将来の消費を支える家計所得が伸びないとの懸念を抱かせる。また、2月の中国の貿易統計(ドル建て)で、輸出が前年比マイナス25.4%、輸入が同マイナス13.8%の大幅減少となったことは、世界経済における需要不足を示唆する。 <マイナス金利にとどまらない金融緩和の限界論> 一方、金融政策は限界に近づく。10日の欧州中央銀行(ECB)理事会後にドラギ総裁は記者会見で「われわれの措置が、成長やインフレにもたらす支援を勘案すると、一段の金利引き下げが必要になるとは思わない」と発言した。これを受けてユーロドルが大きく反発したため、ドラギ総裁が市場との対話に失敗したという声が聞かれる。だが、筆者は確信犯的行動だったと見ている。 ドラギ総裁は、「マイナス金利は少なくともわれわれのケースではこれまでポジティブだった」が、「銀行システムに何の影響も与えずに望むだけマイナス幅を深めることができるか」というと「答えはノーだ」と述べ、この先、マイナス金利が深まっていくと、ネガティブ面の方が強まることを示唆していた。それゆえ、追加のマイナス金利引き下げに対する市場の期待を修正したかったのだろう。 ECBは、14年6月にマイナス金利を導入した後、15年3月に公的セクター債券購入プログラム(PSPP)を開始し、いったんは資産購入による量的緩和に舵を切ったものの、昨年12月はPSPPの増額がなかった一方でマイナス金利の引き下げを実施し、金融緩和の長期戦に備えたマイナス金利への再傾斜を印象づけていた。 しかし、ドラギ総裁は今回の記者会見で「金利手段から非伝統的手段へのシフト」に言及しており、再び前者から後者への回帰を匂わせた。追加の非伝統的手段の余地が限られていることを考えると、これはマイナス金利の限界のみならず金融政策の限界を感じさせる。 このような懸念は、機動的な財政政策や構造改革の必要性を指摘した2月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明からも、金融・財政・構造の3方面からのアプローチが必要だとするリプトンIMF筆頭副専務理事のコメントからも、読み取れる(リプトン氏は、3方面からのアプローチが必要な理由として、前回下方修正した最新見通しでさえ今はもう当てはまらず、以前より下方リスクは明白だと述べている)。 なお、上述したG20声明での指摘とリプトン氏のコメントは、まるでアベノミクスの3本の矢だ。筆者は成長の源泉不足を解決する方法の1つとして、生産性の向上と労働分配率の改善に触れたが、これもアベノミクスの成長戦略に組み込まれている。 しかし、日本では現在、これら一連の戦略の成果が見えにくい状況に陥っている。まさに「言うは易く行うは難し」であり、世界各国が協調してこの課題を達成することができるかには不透明性が存在する。 そう考えると、心持ち安心感が出ている現在のマーケット環境も楽観はできない。相場は今なおリスクオフに振れやすいと見る。 *山口曜一郎氏は、三井住友銀行市場営業統括部副部長兼調査グループ長で、ヘッド・オブ・リサーチ。1992年慶應義塾大学経済学部卒業後、同行入行。法人営業、資本市場業務、為替セールスディーラーを経て、エコノミストとして2001―04年に ニューヨーク、04―13年ロンドンに駐在。ロンドン大学修士課程(金融学)修了。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら) http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yoichiro-yamaguchi-idJPKCN0WG08T S&P500種の強気相場、持続に向け頼みの綱は1本だけ 2016/03/14 14:47 JST
(ブルームバーグ):米国株に対する企業と個人の需要に前例を見ない乖離(かいり)が生じている。これは8年目に入った強気相場の下支えで自社株買いの動きがいかに重要であるかを示している。 S&P500種株価指数の構成企業による今四半期の自社株買いは最大1650億ドル(約18兆8000億円)に上る見込みで、2007年に記録した過去最高に接近している。これに対し、投資信託や上場投資信託(ETF)の顧客による売りの動きは広がっており、1月以降に400億ドルが引き揚げられ、今四半期はこれまでで最大級の解約額となるペースだ。 過去に企業と個人の需要がかい離した際には株式相場の破滅を意味しなかったが、今年は米国株が過去最悪のスタートを切り、企業が決算発表シーズンで自社株買いから遠ざかったこの2カ月にその影響は珍しく鮮明になった。企業収益が6年ぶりに3四半期連続で減少したことから、自社株買いの持続性にも疑念が浮上している。 ウィルミントン・トラストの株式調査責任者、アンドルー・ホプキンス氏は「相場を支える要因が1つだけになるのは危険な状況だ」と述べ、「そのうち、『これらの企業は成長できない。資金を借り入れて自社株買いを行う状況は終わりを迎える』と気づくようになる」と語った。 原題:There’s Only One Buyer Keeping the S&P 500’s Bull Market Alive(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O40FLL6S972B01.html
眠れぬ米国債トレーダー、日欧中銀にらみオーバーナイト取引拡大 (1) 2016/03/14 12:00 JST (ブルームバーグ):世界最大の米国債市場においても債券トレーダーは、欧州と日本の中央銀行から取引の手掛かりを得ている。 ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁と黒田東彦日銀総裁が金融政策の壮大な実験を推進する中、ドイツと日本のマイナス金利が米国債にますます大きな影響を及ぼしている。米国債先物のオーバーナイト取引は急増し、数年ぶりの水準に達した。米10年債はドイツ国債との連動性が2014年以降で最も高まっている。 こうした流れは広範囲にわたる影響を及ぼし得る。ユーロ圏や日本で数兆ドル相当の債券の利回りがマイナス圏でさらに低下すれば、米国債の需要が高まり、米連邦準備制度による利上げの影響を抑制する可能性がある。さらに、ECBと日銀の超金融緩和でドル高がインフレと成長を鈍らせれば、米当局の引き締めの効果は損なわれる恐れがある。 モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのマネーマネジャー、ジム・キャロン氏は「以前なら全てが米国債の動きと関連付けられたものだが、今は米国が他を追いかけているようだ」と述べ、米国債は「世界のイベントに一段と影響を受けつつある」と指摘した。 米国債利回りは今月に入って持ち直しているものの、米当局が事実上のゼロ金利政策を終了し10年ぶりに利上げした昨年12月の水準をなお大きく下回る水準にある。指標10年債利回りは先週、1.98%で終了した。2015年末は2.27%だった。 国債の需要を背景に先進国の大部分では今年、借り入れコストが低下している。ブルームバーグが集計したデータによると、23兆ドル(約2600兆円)相当の債券の平均利回りは2月末時点で過去最低の0.69%。これらの証券の4分の1余りは利回りがマイナス圏にある。 こうした状況の大部分はECBと日銀による前例のない金融緩和が大きく関係している。ECBは先週、中銀預金金利をマイナス0.4%に引き下げるとともに、債券購入プログラムを拡大し、社債も買い入れ対象とするなど市場の意表を突く措置を発表した。これに先立ち黒田日銀総裁は2月に量的緩和プログラムにマイナス金利策を追加した。 この影響が13兆3000億ドル規模の米国債市場も揺さぶっている。JPモルガン・チェースの集計データによると、米国債先物取引で東京市場の時間帯に行われる割合は約8%と、2015年半ばの約4%から上昇した。ゴールドマン・サックス・グループの債券ボラティリティ分析では、日本国債の利回り低下が市場の方向性を決めていることが示されたという。 欧州の動きによる影響も増している。先月の米10年債とドイツ国債の相関係数(120日間ベース)は0.6625と、14年12月以来の高水準にある。 オッペンハイマー・ファンズの最高投資責任者(CIO)クリシュナ・メマニ氏は、日銀とECBが「どう行動するかによって米国債にかなりの影響が及ぶ」と指摘。「ECBや日銀といった他の中央銀行の行動を受けてドルが上昇し、米経済がかなり減速する状況になる可能性がある」と述べ、ドル高は「米当局の意向よりも大きく米国の金融状況を引き締めかねない」と分析した。 原題:Bond Traders Can’t Sleep as Fed Policy Becomes a Foreign Affair(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O405FP6JIJVE01.html ドル・円は113円後半、日米金融政策会合控えて上値限定−株高が支え 2016/03/14 15:04 JST
(ブルームバーグ):14日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=113円台後半で推移。世界的な株高を背景にリスクセンチメントの改善が支えとなる一方、きょうから相次いで開かれる日米の金融政策決定会合を控えて上値は限定的となった。 午後3時1分現在のドル・円相場は113円83銭前後。日本株が上げ幅を拡大する中、午前には一時114円01銭と2営業日ぶりのドル高・円安水準を付けた。ユーロ・円相場は一時1ユーロ=127円16銭まで強含み、同時刻現在は127円05銭前後となっている。 ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの平野淳外国為替営業部長は、「原油が安定し、株が反発する中、新興国に資金が流入し始めている」とし、「ベアマーケットラリーだと思われていた現在の局面が、徐々にリスクオンに本格的に向かい始めている証左だ」と指摘。その上で、ドル・円は「株が上がっている割には重い」が、日銀や米連邦公開市場委員会(FOMC)でサプライズがない限り、ボラティリティが低下し、月末までに1月高値から2月安値の半値戻しの116円35銭を試すと予想。「場合によっては118円トライのリスクもあると想定しておきたい」と話した。 14日の東京株式相場は続伸。海外原油価格の上昇や欧米株高など投資環境の安定が好感され、日経平均株価は一時300円を超える上げとなった。中国株も上昇。中国の証券監督管理委員会(証監会)の新主席に就任した劉士余氏が株式市場の支援継続を示唆したことや、不動産開発会社が出資や資産取得の計画を発表したことが好感された。 日米金融政策会合 ブルームバーグ調査では、エコノミスト40人中5人が14、15日開催の日本銀行の金融政策決定会合での追加緩和を予想。ロイター通信は13日、今回の会合ではMRF(マネー・リザーブ・ファンド)のマイナス金利適用除外を議論する公算が大きいと複数の関係筋の話を基に報じた。 一方、15、16日のFOMCで利上げ決定を見込む市場関係者はごく少数。先物市場動向によれば、今会合で利上げされる確率は4%にとどまっている。6月の利上げ確率は約50%に上昇している。 上田ハーローマーケット企画部の小野直人氏は、先週はドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の追加利下げに後ろ向きな発言を受けて金融市場が翻弄(ほんろう)されたが、ECBが緩和的な政策を続けることに変わりがないとの認識から「投資家センチメントが徐々に前向きになりつつある感じ」と説明。「日銀による刺激策への期待が少なからず意識されている面もあるだろう」とした上で、「中国の成長スピード鈍化への懸念は完全に払拭(ふっしょく)されておらず、先行きに対して不安は残るが、世界的な政策期待が懸念を押し戻す流れが続くか注目」と指摘した。 中国国家統計局が12日発表した1−2月の工業生産は前年同期比5.4%増、小売売上高は同10.2%増と、いずれも市場予想に届かなかった。一方、都市部固定資産投資は同10.2%増となり、市場予想を上回った。この指標が発表される直前、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は北京での会見で「目標を達成するために過度の金融政策の刺激は必要ない」との見解を示した。 ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.11ドル台前半から一時1.1176ドルまでユーロ買いが先行したが、その後伸び悩み、同時刻現在は1.1163ドル前後となっている。 トルコの首都アンカラで13日、自動車を使った自爆テロとみられる爆発が発生し、少なくとも34人が死亡し、多くの負傷者が出た。アンカラでの爆発事件はこの5カ月で3回目。 トルコ・リラはアジア時間早朝に下落した後、下げ渋る展開。クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は、トルコのニュースで朝方はリスクオフになったもようだが、反応は一時的で、「むしろドイツの地方選の結果の影響に注目している」と話した。 ドイツでは13日、3州の地方選挙の投開票が行われ、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の得票率が急落した。難民・移民の流入に寛容な政策を進めてきたメルケル政権に有権者がノーを突き付けた形となった。一方、反移民を掲げる政党「ドイツのための選択肢」(AfD)は得票を大きく伸ばした。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O4050W6JTSEC01.html 日本株1カ月半ぶり高値、原油など投資環境安定−東証全33業種上げる 2016/03/14 11:59 JST (ブルームバーグ):14日午前の東京株式相場は3日続伸し、主要株価指数は約1カ月半ぶりの高値を付けた。海外原油価格の上昇や為替の円安推移、欧米株高など日本株を取り巻く投資環境の安定を好感、電機や鉄鋼、海運株など海外景気敏感業種のほか、欧州の金融株高を材料に保険、銀行が業種別上昇率1、2位を占めるなど東証1部33業種は全て高い。 TOPIXの午前終値は前週末比25.03ポイント(1.8%)高の1384.35、日経平均株価は352円28銭(2.1%)高の1万7291円15銭。この水準で終日の取引を終えれば、TOPIXは2月4日、日経平均は同2日以来の高値となる。 三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジストは、「先週はブラジルレアルや株が戻すなど、資源価格が反発しているのが大きい」と指摘。世界的なリスク資産見直しの中で米国株が堅調、米10年債利回りも2%程度まで上昇し、「一時期の悲観ムードが薄れてきている」と話した。 11日のニューヨーク原油先物は1.7%高の1バレル=38.50ドルと反発。米国での燃料需要の増加と原油生産減少の兆しが出てきた上、国際エネルギー機関が世界的な供給超過が解消に向かいつつあり、原油価格は底入れした可能性があるとの見方を示したことを受けた。 同日のニューヨーク為替市場では商品輸出国の通貨が上昇した半面、安全資産は売られ、円は主要通貨に対し下落。中国人民銀行が元の中心レートをここ4カ月で最も大きく引き上げたことで、高利回り資産の需要も高まった。きょう午前のドル・円は一時1ドル=114円1銭と、11日の日本株終値時点113円41銭に比べ円安方向に振れた。 欧州中央銀行(ECB)が10日に実施したマイナス金利拡大などの景気刺激策があらためて評価され、11日の米S&P500種株価指数は終値でことしの最高値。欧州株もドイツやフランス、イタリアが3ー4%上げた。米国では15、16日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。市場は、今回の会合での利上げはほとんど織り込んでいないが、経済統計の改善や原油安定、株価回復を背景に6月の利上げ確率は49.6%と1カ月前の1.9%から上がっている。 東洋証券の檜和田浩昭シニアストラテジストは、「原油価格の落ち着きや米景気が思ったほど悪くないことで、米国株中心に強気相場が続くなら日本株にも良い影響を与える」とみている。また、昨夏以降の日経平均の価格帯別累積売買代金では、「1万8000円前後と並んで多かった1万7000円前後を上抜けてきており、売り物をこなしてきた。1万8000円まですんなり戻ってもおかしくない」とも言う。 このほか、取引開始前に発表された日本の1月機械受注は船舶・電力を除く民需で前月比15%増と、市場予想の中央値1.9%増から上振れた。鉄鋼業の大口受注が全体を押し上げた面はあったが、「機械受注の上振れもプラスに働いている」と檜和田氏は話す。 午前の上げが目立ったのは銀行株。三菱UFJフィナンシャル・グループが東証1部売買代金トップで、2月中旬以降の戻り高値を更新した。「ドラギECB総裁は打てる策を全て打った。先週末は年初から最も下げのきつかった欧州銀行株が上がっており、金融市場に対する悲観論が和らいでいる」と、岡三証券投資戦略部の小川佳紀シニアストラテジストはみていた。 東証1部の業種別33指数は保険、銀行、海運、建設、ガラス・土石製品、鉄鋼、倉庫・運輸、小売、不動産、電機が上昇率上位。売買代金上位では三菱UFJのほか、ペプチドリーム、ファーストリテイリング、第一生命保険、マツダ、日立製作所、東京海上ホールディングスが高い。関西電力や任天堂は安く、野村証券が投資判断を下げた日本化薬は大幅安。東証1部売買高は10億4001万株、売買代金は1兆129億円。値上がり銘柄数は1785、値下がりは115、全体の92%が高い。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O401O46KLVR401.html 債券は上げ幅拡大、償還控えて20年ゾーンなどに買い−前週末の反動も 2016/03/14 13:18 JST
(ブルームバーグ):債券相場は上昇幅を拡大している。22日に利付国債大量償還を控える中、足元の需給環境の良好さを背景にした買いが20年ゾーンなどに入り、相場を押し上げている。 14日の長期国債先物市場で中心限月の6月物は、午後の取引開始後に水準を切り上げ、午前高値の151円08銭を上回り、一時は前週末比47銭高の151円44銭まで上昇した。 現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の342回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.01%で開始。徐々に水準を下げ、午後はマイナス0.055%まで低下した。新発20年物の155回債利回りは1bp高い0.535%で開始後、0.545%まで上昇。その後は買いが入り、午後は0.495%に下げている。 JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、「先週末にかけて売られたことの反動で、買い戻しが入っている。今週の20年債入札は、先週の30年債入札と同じようになるかが焦点。他に買うものもないので一定の需要はあるだろう」と言う。 財務省は17日に20年利付国債の入札を実施する。発行予定額は1兆2000億円程度。前週は8日に実施された30年利付国債の入札好調を受けて、長期から超長期債まで利回りが過去最低水準を付けた。 メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「国債の大量償還を控えてプラス利回りのゾーンを買う動きが続く可能性もあり、ボラティリティを高めやすい。今週は20年債入札がポイントで、プラス利回りの買いが強いのか、先週の30年入札を買ったので手が引くのか、その後の流れを大きく左右するだろう」とみる。 同省によると、今月の利付国債の償還額は19兆円8519億円、割引短期国庫債券を含めると23兆8029億円に上る見込みだ。 日米金融政策見極め 日本銀行はこの日から2日間の日程で金融政策決定会合を開始する。ブルームバーグがエコノミスト40人を対象にした調査によると、今回の日銀会合で追加緩和を予想したのは5人にとどまった。 メリルリンチ日本証の大崎氏は、「日銀会合は現状維持を予想する。マイナス金利導入の効果を見極める必要がある上、このタイミングで追加緩和してもボラティリティにかき消される可能性がある。欧州中央銀行(ECB)に続いて慌てて動く必要はないだろう」と話す。 一方、米国では15、16日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。ブルームバーグがまとめた市場予想では、政策金利の据え置きが見込まれている。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3V46K6TTDS401.html マイナス金利の影響:国債利回り低下、景況感は悪化−日銀会合で議論 2016/03/14 06:00 JST (ブルームバーグ):日本銀行が1月末に導入したマイナス金利はさまざまな影響を及ぼしている。14、15日に開く金融政策決定会合では、その功罪について議論が行われる見込みだ。 *長期金利の低下 ブルームバーグの試算によると、期間2年以上の利付国債も残高の4分の3程度がゼロ%以下の利回りとなっている。8日の東京市場では、長期金利(新発10年物国債利回り)が一時マイナス0.10%と過去最低水準を更新した。 *各種金利も低下 三井住友信託銀行は10日、企業への長期貸し出しの基準金利となる長期プライムレート(最優遇貸出金利)を過去最低となる年0.95%に引き下げ、前日のみずほ銀行の決定に続いた。普通預金金利は各行とも0.001%に引き下げている。 *消費者の反応 8日発表された2月の消費者態度指数(一般世帯)は40.1と1月から2.4ポイント悪化した。ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦チーフエコノミストは発表後のリポートで、「マイナス金利が消費者心理には『ネガティブ・ショック』に働いたことが示唆される」という。 *企業の反応 11日発表された法人企業景気予測調査では、景気が「上昇」していると答えた企業の割合から「下降」していると答えた企業の割合を引いた景況判断BSIが広範に悪化した。 シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストはリポートで、「年明け後の国際金融市場の動揺、特に円高ドル安の進行、海外景気を巡る先行き不透明感の強まり、国内生産・個人消費の停滞といった多様な要因が下押し要因になったとみられる」と指摘。特に金融業・保険業が大きく悪化したことについて「日銀のマイナス金利導入によるものであろう」としている。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3V06D6K50XV01.html 金高値でも買い、マイナス金利で関心増−預金封鎖の記憶の声も 2016/03/14 12:03 JST (ブルームバーグ):「マイナス金利の報道などを受けて、金利の低い銀行に預けておくよりは安全資産の金に代えておいた方がいいというお客様が多い」。こう語るのは国内最大の地金商、田中貴金属工業直営店「GINZA TANAKA」銀座本店の伊藤隆弘チーフマネジャー。日本銀行が1月にマイナス金利の導入を決定したことで、金投資への関心の高まりを感じている。 田中貴金属工業の金地金の小売り価格は8日、昨年7月以来の高値となる1グラム当たり5024円を付けた。「通常であれば金を売却するお客様が多いが、5000円を超える小売り価格にしては購入される方が非常に増えているのが印象的」と伊藤氏。同日は金を購入した人の数が、売却した人数を上回っていた。2014年4月の消費増税前の駆け込み需要ほどの勢いはないが、初めて金に投資する顧客が多いという。 中にはマイナス金利の導入によって銀行に預金を預けておくと手数料を取られると勘違いしていたり、戦後に国が実施した預金封鎖の経験に通じる不安を感じて来店した高齢の顧客もいたという。 デンマークのサクソバンクで商品戦略責任者を務めるオーレ・ハンセン氏も日本のマイナス金利の導入に注目する。10日都内でのブルームバーグとのインタビューで「低金利が金への関心を高めており、今が市場の一つの転換点にあると思っている」と指摘。「今後、米国以外では低金利の環境が世界的に広がるだろう。各中銀が金利を引き下げることは、投資家が改めて金投資を見直す時期でもある」と述べた。 世界的な株式、為替市場の混乱などを背景に資金の逃避先として、金の需要は年初から高まった。11日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物価格は1オンス当たり1259ドル。年初からの上昇率は約20%に達している。 世界での金の関心度合いの高さを示す例はいくつかある。世界最大の資産運用会社、米ブラックロックは金の上場投資信託(ETF)の販売を需要急増に対応できず、4日から新規設定の一時停止を迫られた。 金地金のオンライン取引を手がける英ブリオンボールトによると、2月に金を購入した新規顧客数は過去1年間の平均の約2倍に急増。金相場が急落した13年4月以来の高い水準という。「マイナス金利や英国のEU離脱のような政治的リスクへの懸念が資金運用業者を再び金へと向かわせている」と調査責任者のエードリアン・アッシュ氏はリポートで指摘している。 欧州中央銀行(ECB)やスイス、デンマーク、スウェーデンの中央銀行がすでにマイナス金利政策を導入。ECBは10日、中銀預金金利を0.1ポイント引き下げマイナス0.4%とするなどの政策を発表している。 サクソバンクのハンセン氏は、年初の時点で今年末の金価格の見通しを1オンス当たり1225ドルと予測していたのを、このほど1250ドルへと引き上げた。ただ、年初から約20%に達した上昇率は急でもあるとして、今後、数カ月はいったん落ち着くと予想。1200−1300ドルの範囲での推移を見込んでいる。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3UQB36K50XT01.html
1月の機械受注は15%の大幅増−鉄鋼業で大型案件、伸び率は過去最高 2016/03/14 10:56 JST (ブルームバーグ):1月の機械受注は民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額が前月比で15.0%増の9347億円となり、比較可能な2005年4月以降、過去最高の伸び率を記録した。民間予想を大幅に上回ったものの、基調判断は据え置いた。内閣府が14日、発表した。 うち製造業は41.2%増の4625億円となり、増加幅は過去最高だった。非製造業は1.0%増の4818億円。内閣府は鉄鋼業で火水力原動機や化学機械などの大型案件があったとして基調判断は前月の「持ち直しの動きがみられる」を踏襲した。ブルームバーグが集計した予想中央値は1.9%増だった。 SMBC日興証券(株式調査部)の牧野潤一チーフエコノミストはリポートで、1月の機械受注の想定外の増加について、「鉄鋼業で大型受注があったためであり、一時的な要因」と分析した上で、「これを除くコア機械受注は前月比0.2%程度減と弱含んでいる」と指摘した。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O4088F6JIJVB01.html 中国人民元の上昇、政策奏功の兆しか By SHEN HONG 2016 年 3 月 14 日 14:56 JST 【上海】人民元の強さをめぐる懸念の解消に向けた中国の試みは、実を結びつつあるようだ。 人民元相場は過去2週間で大幅に上昇し、11日の本土市場ではドルに対して2月15日以来の高値を、オフショア市場では昨年12月8日以来の高値を記録した。 相場の上昇が始まった3月2日は、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の開幕直前で、高値に達した11日の翌日には、中国人民銀行(中央銀行)が記者会見で元安懸念の払拭(ふっしょく)に苦心した。 UOBケイヒアン・ホールディングスのエコノミスト、朱超平氏は「最近の元相場の上昇は、全人代の会期中に金融安定のイメージを守るという政府の意図によるところが大きい」と指摘した。 人民銀行は14日、人民元の対ドル相場の基準値(中間値)を1ドル=6.4913元とし、11日の6.4905元からドル高・元安方向に設定した。これを受け、元相場は最近の高値からやや下げている。 上海に本拠を置く国内銀行の為替トレーダーは「中央銀行はここ2週にわたり、基準値を用いて元高を誘導した後、きょうは一息ついている」と述べた。 また、人民銀行は元安圧力を解消するため、主に大手商業銀行を通じて元買い・ドル売りに動くなど「市場に毎日介入」しているという。 人民銀行の周小川総裁は12日、記者団に対し、元相場が今年初めの急落を経て、段階的に「正常へ戻る」とみていることを明らかにした。 総裁はまた、元安圧力の主な背景として、中国経済を取り巻く不確実性、中国金融市場の度重なる混乱、各国中央銀行が追求する金融政策のかい離を挙げた。 為替相場の「今後の変動をなくすことはできない」としつつ、「だが足元の傾向としては、正常かつ合理的水準に戻りつつある」と述べた。 人民元はドルに対し、最近の上昇を経て現在は年初来騰落率がほぼ横ばいとなっている。今年初めには、景気減速や急激な資本流出を受けて人民元に対する悲観が強まり、1.5%程度下落する場面もあった。 ただ、最近の元高は政治色が強いため、どの程度上げ幅を維持できるかには疑問が残る。 UOBの朱氏は「政府が経済成長を押し上げられない場合、元は今後、特に年末にかけて間違いなく圧力に直面するだろう」と指摘した。 過去1週間は元に加え、タイバーツやインドネシアルピア、マレーシアリンギなどの東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国通貨もドルに対して上昇し、中南米や東欧といった他の新興国通貨をパフォーマンスで上回った。 HSBCのアナリストらは11日付の調査リポートで「ASEAN諸国の通貨はすでに最悪期を過ぎたとの確信を強めている」と述べた。 関連記事 中国経済の苦境、統計で浮き彫りに 中国の資金流出抑制策、企業や個人は悲鳴 人民元、基本的に安定維持の見通し=人民銀副総裁
中国経済の苦境、統計で浮き彫りに 東風ルノーの工場(中国湖北省武漢、2月) By MARK MAGNIER 2016 年 3 月 14 日 13:06 JST 中国の今年1?2月の鉱工業生産と小売売上高は予想を下回った。需要低迷と過剰生産能力が世界第2位の中国経済を圧迫する状況が続いた。 中国国家統計局が12日発表した1?2月の鉱工業生産は前年同期比5.4%増となり、伸びは昨年12月の5.9%増を下回った。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がまとめたエコノミスト予想(5.6%)にもわずかに届かなかった。1?2月の小売売上高は同10.2%増で、12月の11.1%増から伸びが減速した。 鉱工業が景気減速で不振に陥っているのに対し、小売売上高は比較的堅調を保ってきた。そのため、例年消費が盛り上がる春節(旧正月)休暇と重なったにもかかわらず、1?2月の小売売上高の伸びが鈍化したことは一部のエコノミストを驚かせた。 コメルツ銀行のエコノミスト、周浩氏は「全体的にかなり暗い状況が続いている」とし、「通常は春節の影響で大幅な増減がある。今年は大幅に落ち込んだだけだった」と述べた。 中国政府は一部の経済指標について、春節休暇に関連した歪み(ゆがみ)を最小限に抑えるため1月分と2月分をまとめて発表している。今年の春節は2月初旬だった。 回復が見られた分野の一つは、工場や建物などの固定資産投資だった。1?2月の非地方部(都市部)固定資産投資は前年同期比10.2%増となり、エコノミスト予想や2015年通年の10%増を上回った。エコノミストらによると、政府のインフラ支出や、過剰建設状態にある不動産市場の一部への投資による押し上げが大きかった。 エコノミストらは、全体として国内外の需要の鈍さが鉱工業を圧迫しており、多くの工場が不要な製品を生産し続けていると述べた。国家統計局のエコノミストは、鉄鋼やセメント、たばこの生産会社が需要低迷に減産で対応したと述べた。 みずほ証券アジアは最近(12日の一連の統計発表前)のリポートで、「中国の鉱工業にはまだ回復が見られない」と述べた。 浙江省金華市でハンドパレットトラックなど物流関連製品を生産している浙江蘭渓山野機械の営業部長によると、同社は資本調達や値上げに苦戦する状況が今も続く。 この部長は「競争は厳しい」とし、「ほぼ同じ製品を作っている企業があまりにも多いため、焦点は値下げに移っている」と述べた。 李克強首相は今月開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の冒頭、事業環境の改善に向けて減税や官僚主義の是正、規制効率化に取り組む方針を明らかにした。だが、山野機械の営業部長は、現場レベルでは何か大きく変わったということはないとし、「単なるスローガンで、全く役に立たない」と語った。 エコノミストらは、生産統計が弱かったことで、1-3月期の経済成長率は今年の政府目標(6.5?7%)の下限に向かう可能性があると指摘。また、中国当局は成長の足取りがおぼつかないことを懸念し、1月に資金供給の大幅な拡大やインフラ投資の強化に踏み切ったようだとも述べた。 HSBCのエコノミスト、馬小平氏は「成長減速が一服しただけだ」とし、「まだ好転してはいない」と述べた。 不動産市場は持ち直しているが、活動の大半は大都市に集中している。エコノミストらによると、それ以外の大半の都市では、過剰生産能力が重荷となり改善の兆しはほとんど見られない。 1?2月の住宅販売は前年同期比49.2%増、不動産投資は同3%増となった。15年通年はそれぞれ16.6%増、1%増だった。 中国招商証券のエコノミストは、中国では今年、海外需要の鈍さや中国政府による鉱工業の過剰生産能力削減計画を背景に、不動産投資と国内消費が成長の主な原動力となる可能性があると述べた。 コメルツ銀行の周氏などのエコノミストは、投資資金が新規事業ではなく、過熱の兆しが見える一部の不動産市場に流入していることに懸念を示した。周氏は、金融緩和で生まれた資金が実体経済ではなく不動産資産だけに向かっていると述べた。 エコノミストらによると、1?2月の小売売上高の伸びが鈍ったのは、金融市場の混乱に加え、昨年の企業収益低迷が賃上げやボーナスを抑えたことを反映しているようだ。 春節休暇前後の統計のぶれを考慮した場合でも、今年の中国経済は低調なスタートとなっている。2015年の成長率は6.9%と、25年ぶりの低さだった。 昨年末から今年にかけて実施された一連の景気刺激策(直近事例は2月の銀行預金準備率の0.5%引き下げ)はまだ、景気減速を反転させるには至っていない。 関連記事 中国の成長目標に込められたもの−「願望」と「単純計算」 中国の資金流出抑制策、企業や個人は悲鳴 http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-NB068_0312ce_M_20160312011327.jpg
Column | 2016年 03月 14日 15:05 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:中国の不良債権株式化、銀行の自己資本不足招く恐れ Peter Thal Larsen [香港 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国人民銀行(中央銀行)が検討を進めている不良債権の株式化は、国内銀行の自己資本不足を引き起こす恐れがある。 新規則は融資を行った貸し手に対して、不良債権と株式の交換を容認するもの。経営状態の悪化した企業が受ける圧力は和らぐが、銀行の自己資本に対する下押し圧力は逆に高まるだろう。 先進国では、経営の悪化した企業に融資している債権者が、融資と株式の交換に応じるのは決して異例ではない。しかし中国では銀行は金融以外の企業への投資が制限されており、経営の悪化した借り手の再建に動ける余地が乏しい。 ロイターの10日の報道によると、導入の準備が進んでいる規則ではこうした制限が撤廃され、債務の株式への転換に道が開かれそうだ。既にこうした事例は起きており、経営不振に陥った造船の中国華栄能源(1101.HK)は8日、22億ドルの債務を帳消しにしてもらう代わりに株式の60%を債権者に譲渡すると発表した。 ただ、こうした不良債権と株式の交換は過剰な負債を抱える中国企業にとっては助けになる半面、銀行にはマイナスの影響を及ぼす。確かに昨年末時点で1.7%に上昇した不良債権比率は低下するだろう。しかし銀行で損失が増えれば必要な自己資本も増える。 中国の解釈によると、バーゼル銀行監督委員会の自己資本規則は企業融資のリスクウエートを100%としている。一方、国際決済銀行(BIS)による中国の規制の2013年の評価によると、株式投資のリスクウエートは最低が400%、最高なら1250%となっている。つまり企業向け融資を相当額の株式と交換した銀行は、少なくとも4倍の自己資本が必要になるということだ。 しかもこの計算は、銀行が当該の融資について適正な水準まで評価の切り下げを済ませているという前提に立っている。実際にはそうしたケースはほとんどない。昨年末段階で、不良債権と、返済期限を過ぎているがまだ不良債権に分類されていない分を合わせた「問題債権」の融資全体に占める比率は5.5%に達していた。本当の数字はこれよりもはるかに高いだろう。 つまり中国で大規模な債務の株式化が起きれば、貸し手は自己資本不足に陥る。国内銀の最大の株主である政府は対応を余儀なくされるかもしれない。それは債務問題の解決に向けて動き始めるための1つの方法ではあるかもしれないが、銀行に資金を投じている他の投資家は痛みを受けるだろう。 ●背景となるニュース * 人民銀行は、商業銀行が焦げ付いた融資を貸し出し先企業の株式と交換できるようにする法規制を準備している。ロイターが10日、関係筋2人の話として報じた。 *新規制が導入されると商業銀行の不良債権比率は低下する。中国の経済成長が四半世紀ぶりの水準に鈍化したため、不良債権は昨年10年ぶりの水準に急増した。 * この関係筋が匿名を条件に語ったところによると、規制の手直しについて説明した文書が近く公表される。人民銀行はこれまでのところコメント要請に応じていない。 * 中国銀行業監督管理委員会(CBRC)のデータによると、昨年末時点の融資全体に対する不良債権の比率は1.7%で、前年同期の1.25%から上昇した。返済期限を過ぎたがまだ不良債権に分類されていない分を含めると昨年末の比率は5.5%となる。2014年末は4.4%だった。 *造船の中国華栄能源は8日、141億元(22億ドル)の銀行借り入れについて、同社の株式と交換すると発表した。交換を行う銀行グループの行名は明らかにしていない。交換後に銀行などの債権者の持ち株比率は60%となる。 http://jp.reuters.com/article/column-china-debt-swap-idJPKCN0WG0CU
Business | 2016年 03月 14日 14:13 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
アングル:中国の「供給側改革」、温水便座から大衆食堂まで適用
[北京 14日 ロイター] - その言葉はある人にとっては中国でどこでも見られるちっぽけな麺物屋の改装を意味し、ある人にとってはハイテク便座(温水洗浄便座)の製造を意味している。「供給側改革」は北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)での流行語だが、解釈はさまざまで、正確な意味はあいまいなままだ。
習近平国家主席の昨年終盤の発言で注目されるようになった供給側改革(サプライサイド・リフォーム)という言葉。米国のレーガン元大統領が規制緩和や減税を導入する際に用いた英語のフレーズが由来だ。アナリストらは国有企業の再編などを通じ、国内経済における政府の役割を縮小して市場原理を一段と働かせることを狙ったものだと説明している。 しかし、実のところ具体的な意味は誰もよくわかっておらず、数千人いる全人代の代表がそれぞれ独自の解釈をする中で、省級政府による無駄遣いといったリスクが高まっているほか、中央政府の政策を地方に浸透させることの難しさを浮き彫りにしている。 キャピタル・エコノミクス(シンガポール)のエコノミスト、ジュリアン・エバンス=プリチャード氏は「中国ではこうした問題は常にある。政府機関が多層的に重なる構造のため、地方レベルにメッセージを浸透させ、適切に実行させるのを困難にしている」と述べた。 中国北西部の甘粛省は貧困で知られる。国営新華社によると、同省の当局者は有名な蘭州牛肉麺の店舗を改装し、インターネットに接続することを推し進めている。「ケンタッキーフライドチキン(KFC)といった西洋のファストフードのように」なれば、価格を引き上げることが可能だとしている。 また、全人代代表の会合では多くの当局者が供給側改革の1つとして、中国人の訪日旅行客に人気のハイテク便座を中国の業者が製造できるようになることを挙げた。 海外での買収を後押しする発言も出ている。西南財経大学のヤン・ハイヤン教授(経済学)は1月、重慶で開かれたイベントで「供給側改革とは何か。現在、世界経済は苦境に陥っており、多くの欧州ブランドも苦しんでいる。それらを買収したらどうか」と発言。「中国人がこうしたブランドを買収すれば中国ブランドになる。シャネルやルイ・ヴィトン、アディダス、ナイキを全て買収したらいい」と話した。 中国のスマートフォンメーカー、小米科技(シャオミ)の雷軍最高経営責任者(CEO)はこのほど記者団に対し、供給側改革は中国企業が輸入品と競合できる製品をつくれるようになることを意味していると述べた。 価格統制を認めることを意味するとの声もある。江西省衛生計画出産委員会の李利主任は、診療報酬引き上げをいかに素早くコントロールするかが供給側改革の典型的な例として挙げた。 しかし、前出のエバンス=プリチャード氏は「これは中央政府が打ち出している供給側改革ではない」と指摘。中国政府は経済活動における政府の役割を減らし、資本主義をより推し進めようとしていると説明する。 <全人代代表の方便に> 中国政府はこれまで、産業における過剰設備を解消するとともに、新しい産業が必要な資本を獲得できるようにし、市場原理の役割を高めると約束している。 一方で、大規模な失業を回避し、国有企業に対する支配を維持するほか、緩和的な金融政策を継続するとしている。 複数の関係筋がロイターに明らかにしたところによると、中国は向こう2─3年で、国有企業で500万─600万人のレイオフを目指している しかし、全人代の会合では、斜陽産業で数百万人のレイオフが必要なことを説明するのに「供給側改革」の言葉を使用した代表は誰もいない。この言葉のあいまいさは、全人代代表が自らの計画を訴えるための方便として利用されているのかもしれない。 クレディ・スイス(香港)のエコノミスト、陶冬氏は「誰も供給側改革を定義していない。正確な定義を知らなければ、地方政府の定義が間違っているとは言えない」と述べた。 (Sue-Lin Wong記者 執筆協力:Kevin Yao, Xiaoyi Shao and Pete Sweeney 翻訳:川上健一 編集:加藤京子) http://jp.reuters.com/article/china-economy-reform-idJPKCN0WG0A7
World | 2016年 03月 14日 12:59 JST 関連トピックス: トップニュース 中国、ウランの戦略備蓄を拡大へ
[北京 11日 ロイター] - 中国政府は、5カ年計画(2016─20年)の一環として、ウランの戦略備蓄を拡大する方針。原子力発電の拡大に対応することが狙い。 中国は2007年にウランの備蓄を開始。世界原子力協会によると、現在の備蓄は7万4000トンで、現時点の需要で約9年分に相当する。 ただ、需要は今後、国内供給を上回るとみられている。同国の備蓄がウランの国際価格を押し上げる要因になる可能性もある。 政府は5カ年計画で「天然ウランの備蓄規模を拡大する」と表明。新たな貯蔵施設を建設する可能性がある。 5カ年計画では、原発の発電能力を昨年末時点の28.3ギガワットから2020年末までに58ギガワットに引き上げる方針も確認した。 中国では現在、30基の原発が稼働しているが、目標達成には年間6基前後の原発を新設する必要がある。 http://jp.reuters.com/article/china-uranium-idJPKCN0WG07Y 英国、さらなる歳出削減へ=財務相 英国のオズボーン財務相(13日) By JASON DOUGLAS 2016 年 3 月 14 日 07:25 JST
【ロンドン】英国のオズボーン財務相は13日、目標とする2020年までの財政均衡化に向け、一段の歳出削減を実施する必要があるとの考えを示した。 財務相は16日の新年度予算発表を前に英国放送協会(BBC)の番組に出演し、昨年11月の秋季財政報告で課税・歳出計画を発表して以来、世界経済の見通しは悪化しており、財政収支を均衡させるにはさらなる措置が必要だと述べた。 財務相は「世界は(昨年11月時点に比べ)はるかに厳しく危険な環境にある」とし、「後で代償を強いられないよう、いま行動する必要がある」と語った。 2020年までの財政収支黒字化の目標を達成できるよう、今後4年間で歳出を追加で0.5%削減する方針で、16日に詳細を公表すると述べた。 関連記事 英国、さらなる歳出削減の必要性も=財務相 北米 米国の「富の格差」、従来推計より小さい=論文 「ウォール街を占拠せよ」によるデモ行進(ニューヨーク市ズコッティ公園、2013年9月) By DAVID HARRISON 2016 年 3 月 14 日 09:17 JST 政策立案者や学者、大統領候補らは米国の上位1%の富裕層とそれ以外の人々の資産・所得格差の拡大について論じてきた。しかし、その格差がどれぐらいかを計測するのは見た目以上に難しい。米シンクタンク、ブルッキングス研究所が発表した新たな論文は、こうした格差拡大の速度を測定する信頼性の高い方法を確立しようとした。 この論文を執筆した米連邦準備制度理事会(FRB)のエコノミスト、ジェシー・ブリッカー氏、アリス・ヘンリケス氏、ジョン・サーベルハウス氏、ペンシルベニア大学のジェイコブ・クリメル氏の4氏は、上位1%の富裕層が全体の資産や所得に占める割合は大きいものの、その格差は従来の推計ほど大きくないということが分かったと述べている。 例えば、フランスの経済学者、エマニュエル・サイズ氏とガブリエル・ザックマン氏による最近の推計では、米国の上位1%の富裕層が全体の富の42%を、上位0.1%が22%を保有しているとされた。しかも、これらの割合が急拡大していることが明らかになったという。対照的に、それとは異なる測定方法を用いたブルッキングスの論文は、上位1%が全体の富の33%を、上位0.1%が15%を保有しており、その割合はもっとゆるやかに拡大していると指摘した。 同様に、フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏とサエズ氏が行った別の研究では、米国の上位1%の富裕層が全体の所得の23%を受け取っているとされたが、ブルッキングスの論文ではその割合が18%となっている。 ブルッキングスの論文では、雇用主が提供する健康保険、メディケア(高齢者向け医療保険)、メディケイド(低所得者向け医療保険)、フードスタンプ(食料配給券)といった政府による移転所得プログラムのような現金以外の報酬も考慮されており、判明した格差がより小さい一因となっている。 ますます多くの米国民に行き渡っているそうしたプログラムは低所得層の所得を押し上げ、米国や他国の富裕層との格差を部分的に縮めるのに貢献している。 これを受けて執筆者らはそうした政府プログラムが「文字通り恩恵をもたらしている」と結論付けた。 「このような政策や慣行の恩恵を測定せずにコストだけを測定していたら、政策議論の場でそうした政策に賛成を唱えるのがより難しくなる」と論じている。 執筆者らは不均衡をより正確に推計するために、FRBによる家計調査「消費者金融調査(SCF)」や資金循環統計、税務データ、米商務省の「国民所得生産勘定(NIPA)」などを利用した。 一方、前述のフランスの経済学者らは富の不均衡に関する研究で主に税務データを利用したため、資産価値については、その資産が生み出すキャッシュフローに基づいて推測せざるを得なかった。 ブルッキングスの執筆者らは所得不均衡をより正確に見積もるため、雇用主が提供する健康保険といった現金以外の移転所得を組み込もうとした。 それでも、こうした測定方法は完璧から程遠い。例えば、住宅所有者が支払う必要がない家賃の価値や世帯が受け取るかもしれない現物・金銭給付を測定する有効な方法を持ち合わせていなかった。 関連記事 「所得格差には功罪」、ノーベル経済学賞受賞の教授が指摘 富の偏在、なぜ「貧富の差」より複雑なのか
米利上げ観測が再浮上 堅調な指標相次ぐ
By MIN ZENG 2016 年 3 月 14 日 12:03 JST 米債券市場は何カ月も頭になかったことを考え始めている。利上げのことだ。 トレーダーらはわずか1カ月前には連邦準備制度理事会(FRB)による年内の利上げはないと確信していた。ところが、彼らの直近の動きをみる限り、少なくとも1回は利上げがありそうだと思い始めたようだ。利上げ観測が息を吹き返したことで、大きな相場変動につながりかねない要因が一つ増えた。 FRBが15・16日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを決めるとの予想はほとんどない。だが、11日時点での金利先物価格に基づくと、6月までに利上げが1回実施される確率は43%、12月までに1回ある確率は75%にそれぞれ跳ね上がる。2月初めに織り込まれていた6月と12月の利上げの確率はどちらもゼロだった。 このように市場の見方が大きく変わったのは、堅調な米経済指標の発表が相次ぎ、原油価格の急落や海外の景気低迷が米国をリセッション(景気後退)に陥れかねないとの懸念が和らいだからだ。 年初から大荒れだった金融市場の地合いがとりあえず改善したことも一因だ。とはいえ、利上げ観測の再浮上は、市場がただでさえ不安定な中で投資家が利上げは年内に何回、どのタイミングで実施されるのか思案し始めなければならないことをも意味する。 利上げ予想の高まりはすでに市場の随所に影響を及ぼしている。 11日の米国債市場では、FRBの政策変更に特に敏感とされる2年物利回りは0.957%、指標金利である10年物利回りは1.977%だった。10年物利回りが2%に迫ったのは1月末以来のことだ。どちらの利回りもこの1カ月で0.3%余り上昇している。 金融市場にまん延していた悲観色が薄れるのに伴い、ここ1カ月で株式や原油など高リスク資産は年初の大幅な落ち込みから持ち直している。 低金利に押され急落していた銀行株は11日、大きく反発し、KBWナスダック銀行指数は2.9%上昇した。同日のダウ工業株30週平均は4日続伸した。 アトランティック・トラスト・プライベート・ウェルス・マネジメントのデビッド・ドナベディアン最高投資責任者(CIO)は「世界的なリセッション懸念が後退し、人々の見通しは米経済の底力に支えられてよりバランスの取れたものになってきた」と指摘した。 一方、海外の悪材料の市場への影響は消えていない。 利上げをめぐる観測の変化そのものが経済成長に影響し始める可能性もある。ここ数週間で金融情勢が改善したのは、FRBが追加利上げを見送るとの見方が広がったからでもある。 FRBが今週のFOMCで年内の利上げを示唆した場合、年初から失速気味のドルは上昇する可能性がある。ドル高が進めば、企業の海外収益は目減りし、2%のインフレ目標達成も難しくなるかもしれない。 運用会社セージ・アドバイザリー・サービシズの共同創業者でポートフォリオマネジャーのマーク・マックイーン氏は「ドルは依然、FRBにとっての不確定要素だ。(中略)積極的な(利上げ)推進で景気に急ブレーキをかけることはFRBの本意ではない」と語った。 関連記事 FRB、金融状況改善でも追加利上げはまだ先か FRB利上げ、6月まで先送りの予想増加=WSJ調査 米国株、「イエレン・コール」が重荷に 米FRB特集 ECBの新TLTRO、欧州銀行の南北格差浮き彫りに スペインの銀行はECBが10日発表した新たなTLTROの恩恵を受けるだろう(写真はバンコポピュラールのマドリード支店前ATMに列をなす顧客、2012年10月) By TODD BUELL 2016 年 3 月 14 日 13:16 JST 【フランクフルト】欧州中央銀行(ECB)が10日に発表した新たな4年物TLTRO(ターゲットLTRO=対象を絞った長期資金供給オペ)は、資金難にあえぐ欧州南部諸国の銀行に新たな希望を与えるものだが、欧州北部の銀行から早くも怒りを買っている。 このTLTROでは、ユーロ圏の銀行は最長4年の資金を利払い無しで借り入れることができる。イタリアやスペインなどの多くの銀行は不良債権の一掃と投資家の信用維持に必死だ。 一方、余剰資金を抱えるドイツの銀行はECBが決めた新規TLTROなどの追加政策は不要だとして厳しく批判し、ドイツの投資や保険、年金制度に支障を及ぼしかねないと主張した。 11日の欧州株式市場では、ECBの政策が好感され、銀行株が上昇。スペインのバンコ・ポピュラール・エスパニョールは約13%高、イタリアのウニクレディトは9.5%高、ドイツ銀行は7.4%高と急伸した。 企業の国別借り入れ金利 ENLARGE 企業の国別借り入れ金利 だが、追加緩和をめぐる意見の対立は、欧州の北部と南部の銀行の格差が消えていないことをあらためて浮き彫りにした。これは、ユーロ圏加盟19カ国に単一の金融政策を適用することで生じる多くの難題の一つでもある。 ドイツの商業銀行が加盟するドイツ銀行協会(BdB)は、ECBは「デフレリスク」を過大評価しているとして今回の追加措置を非難した。 憤慨しているドイツ人は銀行関係者だけではない。11日付のドイツ経済紙ハンデルスブラットは第1面で、100ユーロ紙幣を燃やして葉巻に火を付けているドラギ総裁のイラストに「ドイツ国民のお金を危険なゲームに投じるマリオ・ドラギ」とキャプションを入れ、その下に「何でもあり」と加え、ユーロを守るために「何でも」やると約束した総裁の約4年前の言葉を皮肉っぽくほのめかした。 専門家らはECBの一連の政策について、苦境に立つユーロ圏南部諸国の銀行が手にした勝利だと指摘する。 ピクテ・アセット・マネジメントのチーフストラテジスト、ルカ・パオリニ氏は「イタリアの銀行は融資で収益を上げる、はるかに時代遅れの商業銀行だ」とし、「ECBの政策判断は(イタリアの銀行に)好材料だ。なぜなら(TLTROは)非常に寛大な条件で、預金金利の低下から生じるあらゆる悪影響を相殺するのに大いに役立つと予想されるからだ」と指摘した。 欧州南部の銀行はドイツの銀行に比べて、ECBからの借り入れへの依存度が高く、預金残高が少ない。ラボバンク・グループが集計したデータによると、1月時点で、ECBの定期資金供給オペの残高上位を占めたのはイタリアとスペインの銀行、ECBへの預金が最も多いのはドイツの銀行だった。 ECBが公表したデータによれば、ドイツ企業の1月の借り入れ金利は1.98%、イタリアの企業は2.47%で、ECBがマイナス金利を導入した2014年6月の水準をそれぞれ22%、32%下回った。 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁(10日) ENLARGE 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁(10日) PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES INGのエコノミスト、カルステン・ブルゼスキ氏は、ECBが10日発表した政策は「多額の余剰資金を抱える銀行に悪影響を及ぼすだろう」と述べ、ドイツの貯蓄銀行を引き合いに出した。「マイナスの預金金利に圧迫されているのはまさにこれらの銀行で」、余剰資金をどこかに置いておく必要があるため「ECBに預金している」と指摘した。 同氏は4年物TLTROもこうした銀行には無用だとして、「ただでさえ過剰な流動性の処理に困っているときに余剰資金をさらに増やす銀行などない」と言う。 関連記事 ドイツ連銀、ECB追加緩和に反対していた=関係者 【社説】ECB追加緩和、なぜ市場は喜ばなかったか ECBの政策総動員、効果が疑問視される理由とは http://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AH296_ECBBAN_16U_20160313133007.jpg
中央銀行のインフレ目標、見直し議論高まる ECB本部前にあるユーロのシンボル像 By TOM FAIRLESS 2016 年 3 月 14 日 13:51 JST
【フランクフルト】各中央銀行は過去20年間、高すぎず低すぎない順調な標準として2%をインフレ目標としてきた。先進諸国ではこの目標を下回る年が続き、一部のエコノミストから目標を調整すべきとの意見が浮上している。 問題は、目標を引き上げるべきか下げるべきかで意見が割れている点にある。 インフレ率が極めて低水準にあるのは、グローバル化と高齢化で各地の物価が下がりつつある経済の長期傾向と各中銀の懸命な取り組みの結果だ、とする見方がある。 一方では反対に、中銀が現在の取り組みをやめることができるように、インフレ目標を引き上げるべきとの主張もある。金利がゼロないしゼロに近くインフレ率が低い中では、中銀は経済を活性化したくてもインフレ調整後の実質金利をゼロよりももっと低く下げることはできない。 全ての議論を有害だとする第三の考え方もある。ドイツのギーセン大学のペーター・ティルマン教授(金融経済)は「信頼性とは、目標に達することができないから引き下げるのではなく、目標を固定し維持することにある」と指摘した。 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は先週、ユーロ圏のインフレ率が2月にマイナス水準に沈んだことを受け、この3カ月で2回目の緩和措置を打ち出し、インフレ目標に対する自らの姿勢を明らかにした。ドラギ総裁は2%弱のインフレ目標達成を「あきらめない」と誓った。 論点は中銀の信頼性にある。中銀は世界金融危機の克服に中心的な役割を果たしたが、投資家やエコノミストらはいまや中銀には打つ手がなくなってきたのではないかと懸念している。 ENLARGE 米国のインフレ率は連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする2%に戻りつつある。FRBが重視しているコアの個人消費支出(PCE)価格指数は1月に前年同月比1.3%上昇した。だが、ユーロ圏では2年以上も1%を下回り続けており、回復する兆しがない。 ドイツ人の多くはそれも問題ないと考えている。2%弱のインフレ目標策定に携わったECBの元チーフエコノミスト、オトマール・イッシング氏は2%達成については忍耐強くあるよう政策担当者らに促し、目標がまだ適切かどうかを分析するよう求めた。 インフレ率が2%に達せずゼロ近辺にある一因は、いわゆるゼロ下限問題にある。これは、中銀が名目金利をゼロよりも大幅に低く引き下げることはできないという問題だ。金利が低すぎると、どこかの段階で人々は自分の預金に手数料を支払うよりも現金を抱え込むようになるためだ。インフレが2%ならば、名目金利をゼロに引き下げるとインフレ調整後の金利はマイナス2%になる。こうなるとリセッション(景気後退)期に経済がさらに混乱することになる。 だが一部のエコノミストは、2%に固定すると問題になる可能性があると警告している。 国際決済銀行(BIS)の調査責任者、ヒュン・ソン・シン氏は昨年12月、「経済情勢に関係なくインフレ目標を達成しようとすれば、金融システムに別のゆがみを生み、最終的にもっと害を及ぼすだろう」と指摘した。 とは言え、目標の引き下げや目標をすぐに達成しないことを容認することには、多くのリスクを伴う。昨年11月までアイルランド中央銀行副総裁を務め現在はスイスのBSI銀行チーフエコノミストのステファン・ゲルラッハ氏は「1%目標は、あきらめたという意味だ」と述べ、「まず予想されるのはユーロ高だ」と語った。 インフレ調整後の実質金利を十分引き下げることができない状況を避けるために、一部の特に国際通貨基金(IMF)のエコノミストらは、中銀に危機対応余地を与えるため4%をインフレ目標とするよう求めている。 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのポール・デグローエ教授(欧州政治経済)は「新たな目標に到達すれば、金利を引き下げることができないような状況には戻らないだろう」と語った。 これに対しゲルラッハ氏は、2%でさえ達成できないときに4%を中銀が目標とするのは「どうみても怪しい」と述べ、それは無意味だと断じた。インフレは上がるにつれて不安定さを増すので、年間物価上昇率がときとして多くが不愉快に感じる7%に達することもあると指摘した。 3月10日の会見でのドラギECB総裁(右)とコンスタンシオ副総裁。ECBはこの日、ユーロ圏経済を活性化するため追加緩和を行った ENLARGE 3月10日の会見でのドラギECB総裁(右)とコンスタンシオ副総裁。ECBはこの日、ユーロ圏経済を活性化するため追加緩和を行った PHOTO: KAI PFAFFENBACH/REUTERS 2%をインフレ目標とするには他にも理由がある。米議会上院が委託した分析によると、1996年以前の米国では、インフレの測定方法は約1.3ポイント過大評価する傾向が見られた。ECBのコンスタンシオ副総裁は昨年10月、「だから目標がゼロならば、マイナスのインフレ率を目標とすることになる可能性が極めて高い」と指摘した。 米上院の分析報告によると、過大評価した理由として可能性が高いものには、一段と性能の高いコンピューターなど新製品の質の向上を正しく勘案できなかったことや、物価の相対的変動において消費者がより安いモノにどのように移行するかを反映できなかったことなどが含まれる。 超低インフレは債務返済コストも高める。これは欧州のように債務水準の高い国々にとっては問題だ。そして中銀当局者は何としてもデフレの危険水域から距離を置こうとする。物価がどこまでも下がり続ける悪循環では債務の価値が上がり、企業や消費者が購買行動を先送りする可能性がある。 08年から12年にかけてECB理事を務め現在マサチューセッツ工科大学のアタナシオス・オルファニデス教授(経済学)は「目標の変更を口にするのは極めて不適切だと思う」と述べ、「ECBが約束を果たすという仮定の下で多くの契約は結ばれているのだ」と指摘した。 関連記事 ECB理事会、低インフレ対策で試練に直面か 欧州のマイナス金利、その本当の意味とは FRBの寄与は低水準でのインフレ安定=リッチモンド連銀総裁 http://si.wsj.net/public/resources/images/BT-AH506A_OUTLO_16U_20160313110308.jpg | 2016年 03月 14日 08:11 JST 関連トピックス: トップニュース ドル/円はレンジ継続、日銀が現状維持なら円高=今週の外為市場 [東京 14日 ロイター] - 今週の外為市場で、ドル/円はレンジ内で神経質な展開となりそうだ。日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)は現状維持とみる向きが多いが、日銀については一部で追加緩和期待が残されている。政策変更がなかった場合は、期待がはく落した分だけ円高方向に振れるとみられている。 予想レンジはドル/円が112.00―115.00、ユーロ/ドルが1.1000―1.1300ドル。 <上値は重く、下値は堅い> 10日は欧州中央銀行(ECB)の政策発表と総裁会見でユーロが乱高下。ドル/円も114円半ばまで上昇した後、112円半ばまで下落した。上下2円近く動いたが、このところの111─115円レンジは抜けられず、「上が重くて下が堅いということが確認された」(邦銀)。 今週は15日に日銀決定会合の結果発表と総裁会見がある。極端なスピードで円高が進んでいないことや、マイナス金利を導入したばかりであることなどから「3月は静観ではないか」(国内金融機関)との声が多い。 市場には追加緩和を予想する参加者もおり、無風で通過した場合は円買いで反応するとみられている。ただ、期待がそれほど高まっていない分、失望も小さく、ドル/円は下がっても111円台を維持するとの見方も出ていた。 <FOMCは「ドットチャート」に注目> 16日にはFOMCの結果発表と米連邦準備理事会(FRB)議長の会見がある。日銀と同様、政策変更はないとみられており、FRB当局者の金利予測の分布を示す「ドットチャート」に関心が集まっている。 現在のドットチャートは2016年末までに年4回の利上げを想定しているが、当局者からはこれまでに緩やかな利上げペースを支持する見方も出ている。ドル/円の反応は読み切れないものの、FOMCを通過して111円より上だった場合は「当面は急落の目がなくなって戻りを試しやすい」(国内証券)という。 今週は米経済指標の発表も豊富で、15日に2月小売売上高、2月生産者物価、3月ニューヨーク連銀製造業景気指数、16日に2月消費者物価、2月住宅着工件数、鉱工業生産・設備稼働率、18日に3月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。 ユーロは、ドラギ総裁が一段の利下げは予想していないと発言したことで「ショートにしづらくなった」(国内金融機関)との声が出ている。 (為替マーケットチーム) http://jp.reuters.com/article/tokyo-forex-week-idJPKCN0WF0ZP?sp=true
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