Business | 2016年 03月 11日 16:09 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 日銀マイナス金利に限界論、株高が進む異例の展開 [東京 11日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が10日、追加利下げに否定的な発言をしたことで、日銀のマイナス金利政策の限界が、市場で早くも意識され出した。その結果、銀行収益の圧迫など副作用の面が強く警戒されてきた銀行株は、11日に急伸。金融政策の「限界論」が強まりながら、株高が進むという異例の展開となっている。 <「先駆者」ECBが限界示唆> 日銀がマイナス金利付き量的・質的金融緩和策(QQE)を1月29日に決めてから1カ月あまり。マーケットでは早くも限界論が浮上してきた。 きっかけは10日のECB理事会後のドラギ総裁の発言だ。ECBは主要3金利の一斉引き下げや、月額の資産買い入れ枠拡大など市場予想を上回る追加緩和策を発表したが、ドラギ総裁が「一段の金利引き下げが必要になるとは思わない」と発言すると、市場の雰囲気は一変。欧州市場では金利上昇・ユーロ高・株安が進んだ。 ドラギ総裁は「新たな事実が、状況や見通しを変えることはあり得る」とも発言しており、追加の利下げを全否定したわけではない。しかし、「銀行システムに何ら影響を及ぼすことなく、望むだけマイナス幅を拡大できるのか。答えは『ノー』だ」と断言。マイナス金利の限界を示唆したと受け止められている。 現在の日銀のマイナス金利幅は0.1%。マイナス金利政策を日銀に先駆けて導入している欧州地域・各国の政策金利のマイナス幅は、ECBが0.4%、スイスやデンマークは0.75%となっており、水準的には日銀にも拡大余地がある。 しかし、日本は欧州などと比べ、貸出金利の水準が低い。昨年末時点の貸出金利(国内銀行)は0.9%程度。ユーロ圏の2.2%程度などと比べると引き下げ余地は小さい。預金金利をマイナスにできない以上、金利低下がさらに進めば、利ザヤは一段と縮小し、銀行の収益を圧迫する。 マイナス金利政策の「先駆者」であるECBが限界を示唆したことで、市場では「少なくとも、日銀は来週の会合でマイナス金利の引き下げをできる環境ではなくなった」(UBS証券・デスクストラテジストの井川雄亮氏)との見方も広がり始めた。 <外債投資トレンドは変化なしか> 日銀の追加緩和を織り込んできた円債市場では、これまでの反動から金利が急上昇。10年長期金利JP10YTN=JBTCは一時プラス0.015%とマイナス水準を脱し、2月18日以来の水準に上昇した。 しかし、マイナス金利の限界論が高まったとしても、日銀が国債の「爆買い」をしている状況は継続中だ。需給的に円債市場は締め付けられており、市場では「金利上昇は限定的」(外資系証券ストラテジスト)との見方は多い。 日本は実質金利、名目金利がともにマイナスとなっている主要国で唯一の国だ。この状況は日本にお金を置いておけば、目減りするということを意味する。それゆえ、日本の投資マネーが海外に向かうという構図が、崩れることはないとみられている。 「金利が多少上昇しても、絶対的な金利水準としては依然として低い。国内投資家は海外への投資を止める可能性は低い」とHSBC証券東京支店 ・グローバル・マーケッツ債券営業本部マクロ経済戦略部長の城田修司氏は話す。 <マイナス金利拡大に株安リスク> 一方、日本株市場にとって、マイナス金利の「限界論」が浮上してきたことは、むしろプラス材料とみられているようだ。 11日の東京株式市場では、銀行株.IBNKS.Tが値上がりトップとなり、日経平均.N225を一時1万7000円台に押し上げた。日銀によるマイナス金利政策の決定後、日本株が急落したのは、世界的なリスクオフに巻き込まれたことが大きいが、収益圧迫懸念から銀行株が売られたことも、株安に拍車をかけた一因だ。 個人投資家の保有が多い銀行株の上昇は市場のムードも明るくする。 JPモルガン・アセット・マネジメント、グローバル・マーケット・ストラテジスト の重見吉徳氏は「日本株市場は、金融機関の収益き損への警戒感に支配されているようだ。日銀のマイナス金利拡大が遠のいたとすればプラスに働く」とみる。 さらに金利・量・質の「3次元緩和」のうち、量に比重がかかってくれば、ETF(指数連動型上場投資信託)の購入枠拡大への期待も高まる。「効果がわからないマイナス金利の拡大より、ETF拡大の方が需給に直接的に影響を与えるだけに、株価にはインパクトがある」(国内銀行エコノミスト)という。 とはいえ、金融緩和に「限界論」が強まれば、一般的には株安材料だ。それにもかかわらず、11日の日本株が上昇したのは、マイナス金利に対する市場の「嫌悪感」を表しているともいえる。 今後、日銀がマイナス金利幅を拡大させる追加緩和策を実施する場合は、株安リスクを警戒する必要がありそうだ。 (伊賀大記 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/boj-ecb-idJPKCN0WD0I3?sp=true 【社説】ECB追加緩和、なぜ市場は喜ばなかったか ドラギECB総裁(10日)
2016 年 3 月 11 日 14:24 JST 10日の欧州では遅いクリスマス・プレゼントが届けられた。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、昨年12月に投資家が期待していた金融政策を発表した。ところが、投資家はもうこの贈り物を喜ばなかった。 ドラギ総裁は、欧州のデフレと低成長への対策として文字通りできる限りの政策を講じた。量的緩和と呼ばれる債券買い入れ措置の規模を月額600億ユーロから800億ユーロ(約10兆円)へ拡大し、もっと驚いたことに買い入れ対象としてこれまでの国債に加え、金融機関以外の社債を加えた。買い入れ対象への社債の追加といくつかの技術的変更には、ECBの買い入れ適格債券が尽きてしまう懸念をあらためて拭い去る狙いがある。これで量的緩和の規模は1兆7000億ユーロ超になる。 ECBはまた、中銀預金金利をこれまでのマイナス0.3%からマイナス0.4%へ引き下げた。これで市中銀行が過剰準備をECBにとどめずに融資する動きが促されるだろう。マイナス金利は銀行の収益を圧迫するので、ECBはTLTRO(ターゲットLTRO=対象を絞った長期資金供給オペ)も拡充する。これで市中銀行がECBに預ける資金のマイナス金利は部分的に相殺される。マイナス金利の世界では、中央銀行は融資を促すためにアメとムチを使い分けている。 ドラギ総裁は市場に対し、期待以上のものを与えた。だから、10日の市場のあまりにつれない反応はECB当局にとってはショックだったに違いない。欧州株は下落して取引を終え、ユーロはドルに対し上昇した。だが、ショックを受けるべきではない。 欧州が懸念すべき金融上の問題は銀行がどうして融資しないのかということだ、とするドラギ総裁は間違っていない。一因は、中国や新興国への輸出低迷を企業が懸念し新規資金需要が停滞していることにある。だが、ECBとその関係者は、銀行が考えもなく中銀準備預金に大量な資金を積み上げ過ぎているという考えにこだわってもいる。そのような証拠はどこにもない。 欧州の銀行は依然として、2008年の金融危機以降長引いている余波から抜け出せずにいる。イタリアはまだ不良債権処理の新たな計画策定に手間取っている。その処理も何年もかかる可能性がある。ドイツ銀行などの大手銀行でさえ、ようやく収益力回復のための組織改革に着手しているところだ。 ECBなど規制当局は、費用がかかり銀行経営者や投資家の間に大きな不透明感をもたらす新たな厳しい資本要件を課して問題をさらに悪化させた。国際決済銀行(BIS)が今月発表した2本の論文で、最近見られる銀行株の不安定な状態を引き起こしている原因として、経済成長の減速と新たな資本規制およびマイナス金利の予測できない相関性を挙げている。 ドラギ総裁は、この悩ましい金融システムが資本をより効率的に配分する道をつける代わりに、信用をさらに政治家してしまった。最悪なのは、量的緩和の買い入れ対象に「非金融機関がユーロ圏内で発行したユーロ建ての投資適格債」を含めたことだ。 詳細は発表されなかったが、ECBは、例えばドイツのシーメンスが事業拡大のために発行する債券と米ゼネラル・エレクトリック(GE)がユーロ圏の工場のために発行する債券では、どちらが好ましいとするのだろう。どうして、中小企業よりも大企業向け融資を有利とするのだろう。TLTROによる融資が一部の信用(例えば中小企業向け融資など)を他の信用(住宅ローンなど)より優先している上に、こうしたゆがみがある。 ドラギ総裁には、ユーロ圏のインフレ率が目標の2%弱に達していない中、ECBが信頼を維持するためにはできることは何でもやらねばならない理由がある。また、総裁はいまでも、ECBの政策が各加盟国の指導者に、欧州にとって不可欠な供給サイドの改革を進めるうえでの財政的および政治的余地を与えることを期待している。 一方、こうした改革志向を、フランスで週35時間を超える超過勤務手当を削減する改革に反対して今週デモ行進を行ったような人々に対しても訴える必要がある。欧州では危機中しか改革は進んでこなかった。2012年当時、破綻寸前だったスペインが現在、欧州での成長の主導役となっているのを見ればこれが分かるだろう。しかし、現在は小幅な成長回復が見られるため、スペインでは改革論者が放り出されている。ドラギ総裁は、改革を求める市場のシグナルを抑え込んで、改革に冷や水を浴びせているのだ。 感謝ということを知らない投資家らはまた何かを期待しているのだろう。ドラギ総裁は10日の政策発表で欧州を十分に救済できなかったが、そんなことは今後も決してできないから当然だ。一方、総裁が打ち出したバズーカ砲のような金融政策に伴う被害はさらに大きくなり続けるだろう。 関連記事 ECB、追加緩和で6つの措置−政策金利0% 3月のECB理事会、5つのポイント ECBの政策総動員、効果が疑問視される理由とは http://jp.wsj.com/articles/SB12092858236623234774304581588702959452640
中銀政策、市場をかえって不安定にしている恐れ By BEN EISEN 2016 年 3 月 11 日 15:02 JST ここ最近の中央銀行は大変だ。 一部の中銀の場合、かつてないほどの緩和策を打ち出したのに市場の反応は経験にそぐわないものだった、というありさまだ。金融緩和の有効性に対する投資家の疑問が依然消えていないことがうかがえる。 直近の例が10日に追加緩和を発表した欧州中央銀行(ECB)だ。発表から間もないため、市場の反応について決めつけるのはまだ早い。ECBは政策金利の引き下げや債券買い入れの拡大など、市場の予想を上回る規模の緩和策を発表した。発表後、ユーロはドルに対して当初は下げたものの、やがて反発し、10日の欧米市場では結局、前日終値を上回る水準で取引を終えた。これほどの緩和策が提示されればユーロ安に傾きそうなものだが、実際の相場は逆の動きだった。 ユーロが反発した原因については、ECBのドラギ総裁が追加利下げの必要性を否定したからだとの意見もある。だが一歩下がって考えると、市場参加者は今回の追加緩和を効果的とみているかという疑問が浮かび上がる。 マーケットフィールド・アセット・マネジメントのマイケル・シャオール会長兼最高経営責任者(CEO)はECBの発表後、リポートで「中銀は景気回復局面の終盤まで『非従来型の』金融政策を維持することで、刺激をもたらす存在からボラティリティー(不安定さ)をもたらす存在へと変容した」と指摘。「(ECBの)この新たな政策(発表)からの最初の2時間で相場が驚くべき動きを見せたことは、状況が以前よりもはるかに複雑であることを人々に思い起こさせた」と言う。 ECBはそうは思っていないかもしれない。 ECB以外にも最近、市場が中銀の政策発表に予想外の反応を示す中で相場が乱高下し、政策の有効性への疑問が浮き彫りになったケースがある。日本銀行だ。日銀は1月、マイナス金利政策を導入した。日銀の発表を受け、当初は円安・ドル高が進んだ。だがその後は円高に転じ、直近では1年前よりも6%余り円高・ドル安水準で推移している。 確かに、マイナス金利は大胆な政策提案で、市場に消化されるまでに時間がかかるとも考えられる。しかし、ECBや日銀とは反対に利上げ路線をたどる米連邦準備制度理事会(FRB)も昨年12月、政策を市場になかなか納得させることができなかった。 FRBは12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で9年半ぶりの利上げを決めた。利上げ発表後、債券市場は追加利上げ見通しに極めて強い不安を示した。CMEグループのデータによると、今でさえトレーダーらは次の利上げを9月以降と予想している。つまり、FRBが12月時点で2016年中の利上げを4回と見込んでいたのに対し、市場は4回の利上げはないと考えているということだ。 中銀には政策上の選択肢がまだいくつもある。だが難しいのは、選んだ政策の有効性を市場に確信させることだ。この作業がうまく行かなければ、市場は今後も不安定な動きを見せる恐れがある。 ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのチーフ投資ストラテジスト、マイケル・アローン氏はECBの発表前に出したリポートで、「中銀の信頼が回復するまで、市場のボラティリティーはこのまま収まらない可能性が高そうだ」と述べた。 関連記事 ECBの政策総動員、効果が疑問視される理由とは 3月のECB理事会、5つのポイント マイナス金利政策、効果には疑問=BIS報告 http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MY840_negher_M_20160308074627.jpg
日本株続伸、銀行や建設、素材中心上げ−円高一服、ECB冷静評価も 2016/03/11 15:45 JST
(ブルームバーグ):11日の東京株式相場は続伸。為替の円高一服、下値での年金買いや株価指数先物のイベント通過による需給好転期待から午後の取引で上昇転換した。欧州中央銀行(ECB)の追加金融緩和がもたらす流動性供給の効果を冷静に評価する見方も徐々に広がった。 銀行や証券、その他金融など金融株、建設や不動産株が上昇。建設では、26年ぶりの復配を発表した飛島建設が午後に急騰した。鉄鋼や非鉄金属など素材株も堅調。半面、鉱業株のほか、機械やゴム製品など輸出株の一角は安かった。 TOPIXの終値は前日比7.15ポイント(0.5%)高の1359.32、日経平均株価は86円52銭(0.5%)高の1万6938円87銭。日経平均の高安値幅は439円と、2月17日以来の大きさ。 サクソ・キャピタル・マーケッツのストラテジスト、ケイ・バンピーターセン氏は「市場は立ち返り、昨日はオーバーリアクション、ドラギECB総裁の一言に注目したのは間違いだったということを再び消化しにいっている」と指摘。ドラギ総裁がさらなる利下げの必要性は見込んでいないと話した点に触れ、「現実は全く違う。欧州では今後4、5年間は緩和時代が続くだろう」とみる。 ECBは10日の理事会で中銀預金金利を0.1ポイント引き下げ、マイナス0.4%とした。量的緩和(QE)の月間購入額は4月から800億ユーロ(約9兆9000億円)とこれまでの600億ユーロから増額、社債も対象に含める。新たな条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)も6月に開始する。会見でドラギ総裁は、「政策金利が長期にわたり現行またはそれ以下の水準にとどまると予想している。資産購入の終了から相当後まで低金利を維持するだろう」とした上で、「一段の利下げが必要だとは考えていない」と述べた。 総裁発言を受けた10日の海外為替市場で、ユーロは下落から上昇へ急反転。ドル・円も1ドル=114円台から112円60銭台までドル安・円高方向に振れた。東京市場では円高の勢いが止まり、午後は113円50銭台で推移。前日の日本株終値時点は113円74銭だった。 ドラギ総裁発言を受けた為替の動きを嫌気したほか、取引開始時の先物・オプションの特別清算値(SQ)算出に絡む売買の影響もあり、日経平均は一時276円安まで下げ幅を拡大。その後は下げ渋り、午後はプラス圏に浮上した。下値での年金資金の買い、期末接近に伴う配当取りの買いなどへの期待が強い上、SQ通過で先物の短期波乱要素がなくなったことも投資家心理に好影響を与えた。東証が10日夕に公表した3月1週の投資部門別売買動向によると、年金基金の動きを映す信託銀行は15週連続で買い越し、連続買い越しは2008年12月の記録に並んだ。 野村証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「ECBの政策自体はマイナスではない。冷静に見ると、落ち着いてその効果を見極めようという姿勢になるだろう」と話していた。 また、政府内に景気失速懸念があり、10兆円景気対策の声もあるとロイター通信が11日午前に報道。週明け14ー15日には、日本銀行の金融政策決定会合も予定される。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は、「金融政策だけでは市場へのインパクトは限界になっている。財政による需要創出や構造改革などが必要だ」とみている。 東証1部33業種は銀行や鉄鋼、建設、ガラス・土石製品、証券・商品先物取引、不動産、海運、その他金融など28業種が上昇。鉱業やサービス、ゴム、機械、食料品の5業種は下落。東証1部の売買高は27億6156万株、売買代金は3兆883億円。上昇銘柄数は1295、下落は533。売買代金上位では三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、日東電工、TDK、積水ハウス、新日鉄住金が高い半面、ファナックやJT、クボタ、関西電力は安い。日経225先物・オプション3月限のSQは、ブルームバーグ・ニュースの試算で1万6586円95銭、前日の日経平均終値を265円40銭下回った。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3UHV56S972L01.html 日経平均は続伸、ECB緩和策への評価広がる
[東京 11日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は続伸。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁による利下げ打ち止め示唆を受けて朝方は売りが優勢だったが、予想を上回る追加緩和策への評価が広がるにつれ、日経平均はプラス圏へと切り返した。原油価格の上昇や円高一服、SQ(特別清算指数)通過に伴う需給改善なども支援材料となった。 ドラギ総裁がECB理事会後の記者会見で、さらなる利下げは想定していないと発言したことを受け、前日の欧州株が下落。米国株もECBの動きをめぐり上下に振れる展開となったほか、外為市場では一時1ドル113円割れへと円高方向に進み、朝方の日本株は軟調なスタートとなった。 ただ、ECBが発表した一連の追加緩和策に対し、「市場に失望感を与えた昨年12月に比べて100点満点の内容」(BNPパリバ証券・日本株チーフストラテジストの丸山俊氏)との評価が広がると見直し買いが入り、次第に下げ幅を縮小。日経平均は一時276円安から切り返し、取引時間中としては4営業日ぶりに1万7000円台を回復する場面があった。 アジア時間での米原油先物CLc1の上昇や113円台半ばまで戻したドル/円JPY=EBSなどに加え、「SQ通過で需給が軽くなった」(東海東京調査センター・チーフストラテジストの隅谷俊夫氏)ことも指数上昇を支援した。長期金利の上昇を受け、三菱UFJ(8306.T)など銀行株が堅調に推移したことも市場心理の改善につながった。 個別銘柄では、鬼怒川ゴム工業(5196.T)がストップ高。同社が日本政策投資銀行からのTOB(株式公開買い付け)を受け、非上場となることが分かったとの一部報道が材料視された。報道を受け、東証は午前8時20分から午前11時40分まで同社株の売買を一時停止した。 東証1部騰落数は、値上がり1295銘柄に対し、値下がりが533銘柄、変わらずが115銘柄だった。 日経平均.N225 終値 16938.87 +86.52 寄り付き 16610.18 安値/高値 16575.75─17015.30 TOPIX.TOPX 終値 1359.32 +7.15 寄り付き 1334.71 安値/高値 1331.63─1364.50 東証出来高(万株) 276156 東証売買代金(億円) 30883.03 (杉山容俊) http://jp.reuters.com/article/nikkei-increase-idJPKCN0WD0F3
債券下落、長期金利が一時プラス圏に上昇、ドラギ発言受けた米債安で 2016/03/11 15:53 JST
(ブルームバーグ):債券相場は下落。長期金利は一時プラス圏に上昇した。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁の発言を受けて米国債相場が下落した流れを引き継ぎ、売りが優勢となった。今週前半までの超長期債主導の急激な相場上昇の反動の売りも続いた。 11日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の342回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より2.5ベーシスポイント(bp)高い0.00%と、マイナス圏を脱出して開始。一時は0.015%と2月18日以来の高水準を付けた。午後はマイナス0.015%まで下げた後、マイナス0.01%で推移している。 新発5年物の127回債利回りは4bp高いマイナス0.115%まで上昇した後、マイナス0.145%に下げている。新発20年物の155回債利回りは5.5bp高い0.545%まで上昇後、0.52%まで戻し、その後は0.53%。新発30年物の50回債利回りは4.5bp高い0.805%まで売られた。 DIAMアセットマネジメントの山崎信人上席ファンドマネジャーは、「今週は超長期債主導の過度な金利低下とその反動が起こった。さらにECBが包括的な金融緩和を実施した一方で、追加利下げの可能性を排除した。日本国債についてはその前に過度な調整が一巡していたことから、影響は相対的に軽微なものになっている」と話した。「来週を考える上で、足元を見ると2年債や5年債はおおむねちょど良い水準まで調整された印象がある。10年債については、利回りがプラス圏に戻れば日銀買い入れを意識した買い需要が出てきている」と言う。 長期国債先物市場で中心限月3月物は、前日比21銭安の151円45銭で開始し、一時151円01銭と2月15日以来の安値を付けた。いったん7銭安まで値を戻したが、結局は13銭安の151円53銭で引けた。 3月物が14日に最終売買日を控える中、先物中心限月交代に向けた取引が活発化した。期先限月の6月物の日中売買高は4兆794億円と、3月物の2兆9126億円を上回った。大阪取引所はこの日午後3時半開始の夜間取引から中心限月が6月物に移行と発表した。 岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「ECBは予想通りに緩和の流れだったが、ドラギ総裁の利下げ打ち止め発言が効いて欧米金利が上昇したことが嫌気されている。先々週から超長期債が上昇相場をやり、いったん終了したムード。調整局面に入っている」と話した。 日銀買い入れオペ 日銀が実施した今月4回目となる長期国債買い入れオペ3本(総額1.27兆円)の結果によると、残存期間「1年超3年以下」と「5年超10年以下」の応札倍率が前回から上昇した。一方、「3年超5年以下」は低下した。 10日の米国債相場は下落。米10年債利回りは前日比6bp上昇の1.93%で引けた。ECBのドラギ総裁が追加緩和を決めた会合後の記者会見で「一段の利下げが必要だとは考えていない」と述べたことをきっかけに債券売りが強まった。 ECBは10日、中銀預金金利を0.1ポイント下げマイナス0.4%とした。主要政策金利のリファイナンスオペの最低応札金利を0.00%と0.05%から引き下げ、限界貸出金利も0.25%(従来0.3%)に下げた。量的緩和の月間購入額は4月から800億ユーロに増額し、社債も対象に含める。新たな一連の条件付き長期リファイナンスオペも開始する。 みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは、「今日の金利上昇はECBの追加緩和を受けた動き。利下げ幅が市場予想ほどではなく、ドラギ総裁は打ち止めも示唆した。欧州はマイナス金利政策の先行例なので、市場では日銀をめぐる限界論に結びつきやすく、中短期金利に上昇圧力が掛かった。超長期ゾーンでは今週まで急速に進んだブルフラット化の反動が出ている」と述べた。 日銀は14、15日に金融政策決定会合を開く。ブルームバーグがエコノミスト40人対象とした調査(8ー10日)では今回会合で追加緩和を予想したのは5人にとどまった。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3TFH96KLVR701.html ユーロが対円で3週ぶり高値、利下げ打ち止め観測で−株反発で円売り 2016/03/11 15:29 JST (ブルームバーグ):11日の東京外国為替市場では、ユーロが対円で約3週間ぶりの高値を更新。欧州中央銀行(ECB)の利下げ打ち止め観測や日本株の上昇転換を背景に、ユーロ買い・円売りが優勢だった。 ユーロ・円相場は一時1ユーロ=126円84銭と2月18日以来の水準までユーロ買い・円売りが進み、午後3時20分現在は126円76銭前後。一方、ドル・円相場は朝方に1ドル=112円台後半へ弱含んだ後、113円台前半でもみ合っていたが、午後には113円59銭まで円売りが進んだ。同時刻現在は113円46銭前後。 ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店の鈴木恭輔為替資金営業部長は、きのうのECB会合後は買い戻しでユーロ高となったが、「ECBが発表した包括的な緩和策そのものは中長期的なユーロ安につながるものだ」とし、「ユーロ・ドルやユーロ・円の上値余地は限定的ではないか」と指摘。一方、ドル・円については、ユーロ主導の相場の中で方向感がなくなっており、来週の日銀金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)のいずれも政策変更が予想されていないことから、「111−114円を中心としたレンジが続く」とみている。 ユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.1210ドルと、前日の海外市場で付けた2月15日以来のユーロ高値(1.1218ドル)に迫ったが、1.2ドル台の滞空時間は短く、その後は1.11ドル台後半でもみ合う展開が続いた。 ECBのドラギ総裁は10日、一段の利下げは可能だがその公算は小さいと述べた。ECBは同日、3つの政策金利全てを過去最低に引き下げ、資産購入を拡大した。ユーロは追加緩和発表後、いったん売られたが、ドラギ総裁の発言を受けて急反発した。 みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは、当初は多岐にわたる追加緩和が評価されたが、「利下げに関しては、もうやらないかもしれないといういう感じになったのが非常に残念な点」だとし、「目先はユーロを売りにくくなってしまったという感じがある」と語った。 ECBの利下げ打ち止め観測から前日の欧州株式相場は反落。一方、11日の東京株式相場は反落して始まり、日経平均株価は一時276円余り下げたが、午後の取引で上昇に転じた。 来週は14、15日に日銀の金融政策決定会合、15、16日にはFOMCが開かれる。山本氏は、FOMCに関しては金融市場の混乱に関する記述が和らぐか削除される可能性があり、「その辺から緩やかなドル高はあり得る」と予想。このため、ドル・円は「どちらかというと113円辺りで底固めの展開」を予想しているが、一部で日本銀行による追加緩和の期待もあり、緩和見送りが「一時的な円高リスクになり得る」と語った。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3UII66JIJUR01.html
バフェット氏も指摘する株式報酬の処理問題 米ツイッターは優秀な人材の流出を食い止めるために従業員に制限付きストックオプションの付与を始めた
By MIRIAM GOTTFRIED 2016 年 3 月 11 日 15:21 JST 株式報酬は本物の費用ではない――ハイテク企業は投資家にそう信じさせようとしてきた。しかし、短文投稿サイトの米ツイッターの例が示す通り、企業が株価下落を反映させるために報酬をリセットしなければならないとき、そうした幻想は崩れてしまう。 ツイッターは人材流出を阻止する目的であらゆる地位の従業員に追加的な制限付きストックオプション(自社株購入権)を付与してきた。これは既存株主にとって株式の希薄化につながるもので、株主はこの1年間ですでに64%の株価急落に見舞われた。 この措置によりツイッターは、シリコンバレーで最も多用されている報酬通貨である株式の価値が急落したときに投資家が直面するダブルパンチのわかりやすい例となってしまった。調査会社サンフォード・C・バーンスタインのアナリストは最近、株価が急落すると「従業員が期待する株価と実際の株価の差を補うために株式をさらに発行せざるを得なくなる、という危険な悪循環に陥る可能性がある」と指摘した。 企業の価値を評価する際に株式報酬を考慮することをめぐっては、たとえ経営幹部がこれを無視してほしいと考えるとしても、ツイッターの例はこの重要性を思い起こさせる。 ハイテク大手の2015年の株式報酬対プロフォーマ利益比率 ENLARGE ハイテク大手の2015年の株式報酬対プロフォーマ利益比率 直近の措置が導入される前、ツイッターの株式報酬はすでに2015年の非GAAP(プロフォーマ)ベースの利益の247%という異例の高水準に達していた。バーンスタインによると、フェイスブックとグーグルの親会社アルファベットの株式報酬はそれぞれ46%、26%だったという。だからと言って、その他のハイテク企業にリスクがないわけではない。 確かに、投資家に株式報酬を無視する傾向が強まった背景には、基本的にこうした「調整済み」利益に基づいて予想しているウォール街のアナリストの存在もあった。しかもアナリストの間では、よく引用されるコンセンサス予想から除外されたり、企業の経営陣を怒らせたりすることを恐れるあまり、先陣を切って株式報酬を費用に追加したいと考える向きはほとんどいない。 とはいえ、非GAAPベースの利益とGAAP(米国会計基準)ベースの利益の差は拡大してきた。フェイスブックの15年のGAAP純利益は非GAAP純利益の56.6%でしかなく、14年の62%から縮小した。S&P500種指数に含まれるハイテク企業全体で見ると、15年の2種の利益の差は19%で、14年の差のほぼ2倍となった。 著名投資家ウォーレン・バフェット氏がバークシャー・ハザウェイの投資家宛てに毎年出している手紙でこの問題に再度触れざるを得ないと感じた理由はそこにあるのかもしれない。バフェット氏は、株式報酬を除外することは「経営陣が現実にある特定の費用項目を無視してほしいと株主に伝えること」における「最も目にあまる例」であり、「報酬が費用でないとしたら、それは一体何なのか。現実の経常的な費用が利益の計算に入らないとしたら、どこに入れると言うのか」と述べた。 ツイッターはバフェット氏の指摘を体現している。他の投資家たちもこれを肝に銘じ、企業を正しく評価すべきだろう。 関連記事 S&P500社の利益、表面的な数字には要注意 http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-NA483_twitte_M_20160310152441.jpg 【社説】トランプ氏のための対日貿易講座 米から輸出「何もない」? 事実誤認はコマツとキャタピラーのエピソードにとどまらない 米カリフォルニア州のロサンゼルス港に積まれた輸送用コンテナ
2016 年 3 月 11 日 16:13 JST 米大統領選で民主・共和両党の指名を目指す最有力候補者2人が、共に「メードインアメリカ」を復活させるという愛国的ポピュリズム(大衆迎合主義)を振りかざしている。そんななか、有権者たちが自由貿易に背を向けるのは驚くことではない。そこで、これまでのところデータに基づいていないこの議論に、いくつかの事実を付け加えたい。また、もし要請があれば、ドナルド・トランプ氏に個別指導することも可能だ。 トランプ氏は最近、中国やメキシコを含む「米国の職を奪う最重要指名手配国リスト」に日本を付け加えた。同氏は8日の予備選・党員集会後にフロリダ州で記者会見し、「米国の対日貿易赤字額は年間1000億ドル(約11兆3200億円)を超えている」と発言した。「彼ら(日本)に苦しめられている。米国が日本に何を売っているか知っているか? ほとんど何も売っていない」と続けた。 年間1160億ドルに達する米国の日本向けのモノとサービスの輸出は、「ほぼ何もない」ものなのか。日本はカナダとメキシコ、中国に次いで、世界第4位の米製品の輸出市場だ。2013年には日本向け米輸出品の上位は農産物(121億ドル)、機械(107億ドル)、医療機器(80億ドル)、航空機(71億ドル)だった。 米国勢調査局によると、昨年のモノの対日貿易赤字額は総額680億ドルだった。その多くを自動車が占めたが、それは、日本の自動車メーカーが米メーカーよりも安いコストで性能のいい小型車を生産できることが主な理由だ。連邦政府の燃費基準のほうが貿易以上に米自動車メーカーを苦しめている。 米国は特に、高付加価値の製造業と農業で大きな比較優位性を享受している。米政権の貿易報告書によると、12年には、コンサルティングや法律関連業務、IT(情報技術)といった民間の商業サービス分野で、米国の対日貿易黒字額は200億ドルに達した。 それにもかかわらず、トランプ氏は8日、日本が「円をもてあそんでおり」、そのために米企業の競争力が弱まっていると主張した。さらに、「(建機の米)キャタピラーは(日本の同業)コマツのためにひどく打撃を受けている」と主張した。 円は過大評価されていると広くみなされていた12年の水準から、対ドルで約25%下落しており、このことが日本の輸出企業への恩恵となってきた。しかし、日銀の金融政策は内需拡大とインフレ刺激を目的とするもので、輸出の押し上げを狙ったものではない。いずれにしても、キャタピラーのこのところの苦戦は資源価格の急落が主な原因だ。中国の需要が鈍化する中で、鉱山関連機器の販売は世界的に打撃を受けている。 ところで、コマツはイリノイ州ローリングメドーズやピオリアなど米国の9つの拠点で数千人の従業員を雇用している。円安にもかかわらず、日本の自動車メーカー各社は輸入関税を回避し、為替リスクをヘッジし、輸送コストを削減することなどを目的に、米国での生産を増やしてきた。米国で販売される日産自動車製の車は4分の3以上が米国内で生産されている。 米国の輸出を押し上げる最善の方法は、新たな貿易協定によって貿易障壁を取り除くことだ。米国の農産物生産業者は日本など11カ国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)によって特に恩恵を受けるだろう。牛肉に対する日本の輸入関税は現行の38.5%から段階的に引き下げられ、TPP発効から16年目には9%になる一方、豚肉調製品に対する現行最大20%の関税は6年後には一部撤廃される。また、鶏肉・鶏卵に対する最大21.3%の関税も6?13年かけて撤廃される。 トランプ氏は大統領に就任すれば、今より賢明で「公平な」貿易協定を結ぶと主張している。対外貿易について少しでも知っていると示すことは、有権者の説得に役立つだろう。 関連記事 トランプ氏の保護主義を可能にする米大統領の強力な権限 TPPに逆風、米国で政治的後押し失う 【社説】崩壊しつつあるクリントン氏の支持層 トランプ氏の危うい外交政策、世界の現状一変 トランプ氏の矛盾が容認されている理由 http://jp.wsj.com/news/us-presidential-election 米通貨監督庁、「フィンテック」促進で一歩踏み出す By RACHEL WITKOWSKI 2016 年 3 月 11 日 15:31 JST 米通貨監督庁(OCC)がフィンテック(金融とIT=情報技術を融合したサービス)という新たな金融技術の世界に一歩踏み出そうとしている。OCCはデジタル通貨企業からの初の銀行免許申請について審査を行うと同時に、フィンテック業界についての考え方をまとめた報告書を近く発表する。 OCCはこの1年、銀行やフィンテック企業からの情報収集を着々と進め、いわゆる「白書」の準備に当たってきた。この白書では新興企業自体や、新興企業の銀行との関係の深まりに焦点を当てる。 OCCの首席顧問、アミー・フレンド氏は10日、ワシントンで開かれたフィンテック関連の会合で、この白書は近く発表される見通しだと述べた。 「これまであらゆる規模の銀行やフィンテック企業と幾度も接触してきた。そして現在はわれわれの考え方を示唆するための白書の作成に取り組んでいる。具体的には、OCCとしてこの分野にどんな価値をもたらすことができるか、また、連邦銀行制度のどの部分にイノベーション(技術革新)の余地があるか、という点についての考え方だ」と述べた。 関連記事 フィンテック企業が銀行とさほど変わらない理由 フィンテック投資ブーム、ピーク越えたか
ロボットが雇用奪う?「自分の職は大丈夫」8割=米調査 ロボットが50年以内に人間がやっている仕事の多くをこなすように「絶対になる」と予想した米国人は全体の15%だった(写真はフランス西部の駅に置かれた人型ロボット) By JEFFREY SPARSHOTT 2016 年 3 月 11 日 16:26 JST 米国人の約3分の2は、ロボットやコンピューターが今後半世紀のうちに人間が現在やっている仕事の多くを奪うと予想している。だが、自分自身の仕事は奪われないと考えているようだ。 調査会社ピュー・リサーチ・センターは、労働力の自動化を世論がどう予想しているかに関する新たなリポートを発表した。それによると、「多くの米国人(およそ3分の2)は機械が人間の雇用のかなりの部分を奪うと予想しているが、それを上回る80%の人々は自身の職業ないし専門的職業がおおむね変わらずに維持され、50年後も今の形で存在していると予想した」という。 これはかなり大きな食い違いだ。それは恐らく、多くの労働者にはもっと差し迫った懸念があるからかもしれない。ピューの調査によると、ロボットに仕事を奪われることを懸念するよりも、より低賃金の労働者、広範な業界のトレンド、経営ミスによって仕事を奪われることを懸念する人の方が多かった。 リポートの主執筆者であるアーロン・スミス氏は、「ロボットによる自動化は、人々が漠然とした将来に起こるだろうと感じていることだ。しかし、それが必ずしも自分ないし自分の子の雇用の見通しに影響するとは考えていないのだと思う」と述べた。 ピューの調査で明らかになった主な内容は以下の通り。 ・ロボットおよびコンピューターが50年以内に現在人間がやっている仕事の多くをこなすように「絶対になる」と予想した米国人は全体の15%だった。 ・50%は、「恐らく」こなすようになるだろうと予想した。 ・逆に、ロボットおよびコンピューターが50年以内に現在人間がやっている仕事の多くをこなすように「絶対に」ならないか「恐らく」ならないと予想したのは、全体の3分の1弱だった。 ・自分の仕事が50年後も今の形で「絶対に」存在すると予想した労働者は全体の3分の1強だった。 ・44%は「恐らく」存在すると予想した。 ・逆に、50年後に自分の仕事が今の形で「恐らく」ないし「絶対に」存在しないと予想したのは合計18%だった。 回答は、世代、学歴や収入によって多少割れた。50歳未満で世帯収入と学歴が比較的高い人は、機械の台頭について少し懐疑的だった。 職業的なバックグラウンドも回答に影響を及ぼした。調査からは、単純労働ないし肉体労働に従事する人々の中には、既に自動化で雇用を追われた人や、そういった人を知る人がいることがうかがえた。 一方、政府、教育および非営利の部門の仕事に従事する米国人は、ロボットに仕事を奪われない自信をより多く持つ傾向にあった。これらの仕事の従事者の約85%は、半世紀後も同じ仕事をしていると予想。ロボットが人間の雇用の大半を奪うと予想したのは7%にとどまった。大手および中小企業の従業員で、ロボットが人間の雇用の大半を奪うと予想したのは約13%だった。 関連記事 アルファベット、最新人型ロボットの動画公開 言葉の壁は崩壊寸前−翻訳ツールが切り開く未来 ザッカーバーグ氏、AIアシスタントの制作に挑戦 http://jp.wsj.com/articles/SB11901099142879894403204581592251677197700?mod=wsj_nview_latest
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