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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第165回 マイナス金利政策という緊縮財政(週刊実話)
http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/472.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 3 月 11 日 10:47:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第165回 マイナス金利政策という緊縮財政
http://wjn.jp/article/detail/4651403/
週刊実話  2016年3月17日号


 日本銀行の「マイナス金利政策」が、奇妙な結果をもたらしている。国内の銀行などが日本銀行に持つ「日銀当座預金」の残高の一部(政策金利残高)に、▲0.1%の金利を課すマイナス金利政策により、
 「政府が得をし、銀行や預金者が損をする」
 という状況が生まれつつあるのだ。

 日銀のマイナス金利政策で、銀行は日銀当座預金残高(総額は250兆円を超える)のうち10兆円ほどの政策金利残高に対し、金利を受け取るどころか、支払う羽目になってしまった。というわけで、本来であれば銀行から民間の企業、家計への融資が増え、消費や投資という実体経済(GDPのこと)が活性化するはずなのである。

 ところが、現在の日本はデフレ環境が継続し、民間企業は「投資してももうからない」状況に置かれている。筆者も経営者の端くれだが、われわれ経営者がなぜ設備投資をするのか。単純に、もうけるためだ。もうからない、つまりは投資利益が不十分な状況では、たとえ金利がどれだけ低くても経営者は投資判断を下さない。

 あるいは、消費者が消費を増やすのは、いかなる時期だろうか。簡単である。生産者として働き、稼ぎだした所得が実質値で安定的に増えている時期だ。すなわち、実質賃金が継続的に上昇していく環境になる。

 現実の安倍政権は、2013年、'14年、'15年と、3年連続で日本国民の実質賃金を減らした。言い換えれば、国民を貧困化に追いやった。毎年、貧乏になっていく状況では、国民は金融政策と無関係に消費を増やさない。いや、増やせない。実際、昨年の日本国民の実質消費は、信じ難い話だが民主党政権期('12年)をも下回ってしまった。

 安倍政権にデフレ対策を丸投げされた格好になった日本銀行は、現在も主に長期国債について保有残高が年間約80兆円増額となるように買い入れを行っている。いわゆる量的緩和政策である。とはいえ、何しろ日本銀行が国債を買い取り、日銀当座預金残高を増やすマネタリーベース拡大政策の裏で、安倍政権が消費税増税や公共事業削減など、緊縮財政に明け暮れているのだ。

 国民や政府がモノやサービスを買わない以上、日本銀行がどれだけ膨大なおカネを発行(=日銀当座預金残高の増額)したところで、インフレ率は上がらない。インフレ率とは、購入されたモノやサービスの価格変動のことなのである。

 黒田日銀発足以降、すでに日本銀行は200兆円(!)を超すおカネを発行したが、インフレ率は日銀定義のコアCPI(消費者物価指数=CPIから、生鮮魚介、生鮮野菜、生鮮果物などの生鮮食品を除いた指標)でわずか0.1%。事実上の「ゼロインフレ」の状況が継続している。

 というわけで、追い詰められた日銀が2月16日、マイナス金利政策をスタートさせたわけだが、結果的に銀行が追い詰められてしまった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の試算によると、マイナス金利政策で国債金利が下がり、政府が得をした分、銀行が負担を背負うという形になってしまっているようである。国債金利低下による、日本政府のネットの「得」は1.2兆に達する。家計は預金金利低下分が住宅ローンの金利下落でカバーされ、政府が得をした分の負担は主に銀行(0.7兆円の損)が負わされている。

 現時点では、住宅ローン金利が低下(これも銀行の「損」になる)したため、預金金利を引き下げられているとはいえ、預金者の「損」はそれほどでもない。ただし、今後の銀行が預金者への事実上のマイナス金利、すなわち「口座手数料」導入に踏み切ると、負担は家計に回されることになる。

 重要なのは、今回のマイナス金利政策が「政府が民間から所得を吸い上げる」という一種の緊縮財政効果をもたらしている点だ。詰まるところ金利という媒体を通じ、われわれの所得が政府に移転してしまっているのだ。

 むろん、金利低下により恩恵を受けた政府が、それ以上の「財政支出」の拡大に踏み切れば緊縮財政にはならない。とはいえ、現状の安倍政権は、財政政策の拡大に舵を切り直す素振りすら見せていない。

 黒田日銀総裁は、金利低下を受け、
 「今後、実体経済や物価面にも波及していく」
 と、発言した。実体経済への波及とは、「総需要(消費と投資)の不足が解消する」という意味になる。デフレは総需要の不足であり、貨幣現象ではない。どれだけ日本銀行が量的緩和を拡大しようとも、金利を引き下げようとも、国内で消費や投資が増えない限り実体経済は拡大しない。結果、総需要の不足は終わらず、デフレ脱却はできない。

 繰り返すが、今回のマイナス金利政策は、現状は「緊縮財政」になってしまっている。つまりは「総需要抑制策」だ。

 結局、総需要の不足という根本的な問題から政府が目をそらし続ける限り、金融政策は「歪み」を引き起こさざるを得ないことが理解できる。日本政府には国債金利が「超低迷」している以上、普通に建設国債を発行し、リニア新幹線や整備新幹線、高速道路建設といった「実体経済」における支出を増やしていくことを切に求めたい。

 政府がこのまま緊縮財政を続ける場合、デフレ脱却は果たせず、国民の貧困化が終わらないのに加え、日本銀行が追い詰められることになる。金融市場の国債不足が理由で日銀の量的緩和が終了した場合、超円高が発生し、最悪、日本が世界金融危機の引き金になりかねないのだ。この種のカタストロフィーを回避するためにも、政府は国債増発と財政出動に踏み切る必要があるのだ。

みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。

 

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コメント
 
1. 2016年3月11日 11:58:04 : d394LHiDkU : WCAUr0PFRrA[1]
[預金者の「損」はそれほどでもない。]  ???  とんでもない。
消費税増税で普通の国民の預金は3%がパーになった。
何故なら「普通の国民は預金は老後には使い尽くす程度か、それ以下しか持っていないから。」
つまり消費税増税は預金利息の実質マイナス3%がドーンと来たと同じ。
それにしても三橋氏は公共事業が好きですね。
公共事業とはそもそも国民の生存保障の為にあるもの。
年金や保育、介護、最低水準の医療などの方が優先されるべきもので、これが本来の公共事業。
三橋氏は「橋やトンネルが劣化して危険だから公共事業で対策を」とか言うが、確かにそう言うものは優先度は高い。
しかし道路が多すぎるから橋やトンネルも多すぎている面もある。
第二東名を走ればわかるが、交差する高架が異常に多い。昔の高速道路はこんなのではなかった。
ハコモノなどはもっと酷い無駄状態。
津波対策で近くの高台に移転したのは僅かで、また元の低地に気休め程度の盛り土したり、東日本大震災の時の津波の高さよりかなり低い堤防を膨大な公費を投じてる来るのも、「災害防止」が目的というより、「土建屋やその関連のシロアリが食う為のもの」。
また被害が出て、そしてまた修繕などが必要とかになれば土建屋がまた「マッチポンプでまた仕事にありつける」。
高台に土地なども売っても良いと思っている人は多いのに、何故か高台造成などの話にはならないのは不思議だ?



2. 2016年3月11日 12:25:05 : d394LHiDkU : WCAUr0PFRrA[2]
01です。
01の最終行の「高台に土地」は「高台の土地」に訂正です。

それと
「詰まるところ金利という媒体を通じ、われわれの所得が政府に移転してしまっているのだ。」は「所得」だけでなく「預金資産」もです。理由は01のコメントにある通り。
つまりこう言う事。
普通の国民にとっては、「預金の利息がマイナスになったと同じ」だから、日銀がマイナス金利にしたその低下率との差は「実質金利上昇」 即ち 「金融引締め」。
そんな事くらいがわからないでこう言う事をやっているわけはない。


3. 2016年3月11日 12:56:37 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[1018]

>政府がこのまま緊縮財政を続ける場合、デフレ脱却は果たせず、国民の貧困化が終わらないのに加え、日本銀行が追い詰められる

2%なんて、当面、ほぼ不可能なことは日銀関係者だって理解しているだろう

だから財務省出身の黒田は、改革ができない愚民政府を見限り、

財政再建のために、意図的にやっていると考えているけどねw


4. 2016年3月11日 13:01:12 : yBQkrRTumA : UvxNb8gKnf4[719]

 愛は マイナス金利 大賛成!!   消費税も 大賛成!!  だ〜〜


 観念しろ!! 愚民たち!!

 ===

 確かに 現在政府は −7%くらいの 緊縮財政になっているから 不景気なのだ

 ===

 今後は ヘリコプターマネーが 政策の中心になる

 ===

 平沢のバカが ヤジ飛ばしたばっかりに 政府は 看護師の給料を上げる

 ヘリコプターマネーの支援策を決めざるを得なくなるかもね〜〜〜

 <= 良い政策なんだがね〜〜〜
 


5. 2016年3月11日 13:03:01 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[1019]

もちろん、理想は何度も言うように、規制緩和や厳しい歳出と歳入改革を進めることではあるが

世界的な保護主義化や通貨安競争の速度はかなり速い


そして、永久に新興国を中心とした世界経済の低迷や資源安が続くわけではないのだから


QEとマイナス金利で、負担を金融資産保有者などの国民に集中し、

大企業の生産力へのダメージを最小化して高賃金雇用も維持するというのは

長期的なリスクを考慮すれば、そう悪くは無い選択とも言える


6. 晴れ間[987] kLCC6orU 2016年3月11日 22:18:48 : xni5yVaf3k : Fxfse0RTtHo[109]
マイナス金利は、究極の金融緩和策だと思うけど。
個人のレベルでは、住宅の購入やリフォームを容易にするのではないか。すでに、住宅関係のローン金利は下がり始めているはずだ。(要確認。) 自動車産業と並んで住宅産業は国民経済全体への波及効果が大きいから、あと半年もすれば効果が明らかになると思う。

昨日だったかな、ある都市銀行の口座をWebで開いたら、カードローンを申し込まないか、という勧誘のメールが入っていた。行内の審査はすでに終えているという。こっちが申し込んでもないなのに、借りろという催促。勿論私は借りないが、大手の都市銀行がこういうことをするというのは、マイナス金利のためだと、私は解釈した。今後、企業への貸し出し需要が見込めない大手都市銀行は、サラ金のようなマネを始めるかもしれない。



7. 2016年3月12日 01:48:59 : WzWHUUYg12 : rHaiDfkNmWQ[20]
金も無い先行きも不安で住宅購入。サブプライムですか?

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