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市場激動 識者に聞く 金融政策依存、脱却を アリアンツ チーフ・エコノミック・アドバイザー モハメド・エラリアン氏
――年末からの金融市場の不安定な動きや、今後の世界経済をどうみていますか。
「世界市場には安定をもたらしていたいくつかの“いかり”があった。その1つは、低成長とはいえ経済が比較的安定していたといういかり。もうひとつは、中央銀行が金融市場のボラティリティー(変動率)を効率的に抑制していたといういかりだ」
「その大事ないかりが失われ、市場関係者は懐疑的になっている。長期で運用する『忍耐力のある資本』が欠けてしまったため、市場の変動率は高まっている」
――日銀はマイナス金利を導入しました。どう評価しますか。
「金融政策は不完全で、部分的な道具にすぎない。日銀は他の先進国の中央銀行と同様、金融政策だけを使って経済回復をなし遂げなければならない難しい立場にある」
「中銀はコラテラルダメージ(やむを得ない損失)や、予想外の結果を招くリスクを負いながら、実験的な政策に深く足を踏み入れなければならない」
「日本は金融政策だけに頼らず、もっと包括的な政策を取る必要がある。アベノミクスで訴えた『成長に向けた持続性のある構造改革』を実行に移すことだ」
――ドイツ銀行株が一時大きく売られました。欧州の金融システムは不安定になっているのでしょうか。
「不安定さは増している。それには3つの理由がある。その1つは銀行の収益力の低下だ。金利水準は非常に低く、利回り曲線の形は平たんになった。このため金融仲介者としての銀行は短期資金を借り、期間の長い融資をして利ざやを稼ぐのが難しくなった」
「2つ目は、資源安だ。資源やエネルギーの国際価格の低迷に伴い、欧州でも関連企業の一部は困難に直面した。こうした企業に融資している金融機関の貸し倒れリスクが高まった」
「3つ目は、こうした困難な状況に陥っている金融機関に対し、政府などの公的組織が支援の手を差し伸べるかどうか、投資家が自信を持てないでいることだ」
――米国では労働市場が堅調な半面で、製造業が厳しく景気の先行きに懐疑的な声もあります。米国景気が後退する可能性はあるのでしょうか。
「最近、2017年に米国が景気後退に陥るリスクの確率を30%前後に設定した。これは16年の数値よりも少し低い。米国の景気後退は、リスクシナリオと位置づけている」
「米国経済は最近、雇用が増え、賃金上昇も見られる。向かい風となりそうなリスクは2つある。ひとつは世界経済の弱体化だ。もうひとつは金融市場の変動率の高まりが、実体経済へ悪い影響を及ぼすリスクだ」
――世界の市場の混乱を抑えるには何が必要ですか。また各国政府には何が求められるでしょうか。
「市場の安定剤となるものは2つある。1つ目は忍耐力のある資本の投入だ。短期的な市場変動への許容度が高く、長期で投資する投資資金が求められている」
「もうひとつ重要なのは先進国の政策の変更だ。政府は中銀に過度に依存するのではなく、経済の構造・需要上の欠陥を改めるような包括的な政策を取ることだ」
(聞き手はニューヨーク=山下晃)
大手運用会社、独アリアンツのチーフ・エコノミック・アドバイザーを務める著名エコノミスト。2014年3月まで米債券運用大手ピムコの最高経営責任者(CEO)を務めた。金融危機後、低成長に陥った世界の状況を「ニューノーマル(新たな常識)」と名付けた。
[日経新聞3月9日朝刊P.2]
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