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香港のビル群。(c)Relaxnews/Shutterstock.com/Songquan Deng〔AFPBB News〕
日本も二の舞に?爆買い終了で香港真っ青 ブランド店から姿を消した中国人客の行列
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46257
2016.3.8 姫田 小夏 JBpress
つい最近まで、中国人が真っ先に目指す旅行先は香港だった。週末に香港で散財することが金持ちのステイタスであり、香港でブランド品のおみやげを買うことが中流市民の憧れでもあった。
そのおかげで香港の小売業は飛躍的に成長した。不動産業も商業地を中心に好況に沸いた。中国人旅行客は香港経済の成長に大きく寄与し、なくてはならない存在となった。
ところが、この関係が崩れた。2015年の香港経済はこれまでにない落ち込みを見せた。その大きな理由は、中国人客が香港を訪れなくなったからである。
■香港で爆買いしまくった中国人客
2003年、中国政府は大陸住民に対して香港とマカオへの個人旅行を解禁した。これがきっかけとなって、香港を訪れる中国人客の数は増加の一途をたどる。
さらに2009年4月には、中国政府が香港に隣接する深セン市の市民に対し「1年間有効のマルチビザ」の発給を認めた。すると、同年だけで1000万人の中国人客が香港を訪れた。その後、2002年から2012年の10年間で、香港を観光に訪れる中国人はのべ1億人に膨らんだ。
香港を訪れた中国人客は何をしていたのか。
それは大量の買い物だ。要するに「爆買い」である。観光客だけではなく、商売目的の「担ぎ屋」も頻繁に香港を訪れ、商品の仕入れに励んだ。
爆買いによって確かに香港経済は潤った。だが、一般市民にとっては迷惑千万である。香港市民に欠かせない日用品が姿を店頭から姿を消えてしまったのだ。
例えば、粉ミルク。安全性の問題から国産品を敬遠する中国の消費者が、香港で売られる海外製の粉ミルクを切望するようになった。特に中国大陸で物価が急騰した2010年以降は、香港の日用品の割安感が注目され、さまざまな商品が爆買いされ、品切れになった。
路上では、中国人旅行客のマナー違反を注意した香港人が逆に悪態をつかれるなどのトラブルがたびたび発生した。
また、女性が安心して子どもを生めなくなるという事態も引き起こした。香港での永住権、あるいは第二子目の出産を求める中国人が香港の分娩室に殺到し、産院のベッドが地元住民に行き渡らなくなったからだ。
香港人は、自分たちの生活を脅かす中国人客に対してついに堪忍袋の緒が切らした。2012年、香港の民間団体が地元メディアに「香港人は我慢できない」と訴える広告記事を掲載した。
「香港人は我慢できない」の新聞広告。中国人旅行客をイナゴになぞらえている(出所:Wikipedia)
2014年に「雨傘運動」と呼ばれる反政府運動が起こり、香港と大陸の民間交流に亀裂が入ったことは記憶に新しい。2015年には「爆買い」に対する激しい反対運動(反水客運動)も繰り広げられた。
■姿を消したブランド店の行列
2014年に香港を訪れた大陸からの旅行客は、香港の人口(約700万人)の5倍に相当する約3500万人に達した。香港を訪れる旅行者の約8割を中国人客が占めていたという。
ところが2015年、香港に渡航する中国人客が減少に転じる。2015年12月の大陸からの旅行客は372万人。前年の同月と比べると15%もの減少である。通年では2015年の中国人客は4724万人。前年の4582万人から142万人の減少となった。中国政府の推計によると、2015年に本土以外へ旅行した中国人は前年比12%増という。それにもかかわらず香港を訪れる旅行客は減っている。
香港恒生銀行の調査によれば、中国人客の買い物は香港の小売額の30%を占める。中でも宝飾品や時計などの高級品の消費が相当な割合を占めるが、高級時計の売上は40%近い落ち込みを示した。ブランド店での先頭が見えないほどの行列も、姿を消した。
香港経済が激震が見舞われたことは言うまでもない。メディアは「2003年のSARS禍以来の経済の落ち込み」と報じた。
香港経済の落ち込みは、1つの要因だけでは語れない。習近平政権の反腐敗運動の影響もあるだろう、香港で消費された贅沢品は、多くが「官僚への贈答品」だったといわれる。香港独立派の抗議活動や反水客運動が中国人客を遠ざけたという側面もある。元安が進んだことも、香港で買い物をすることの魅力を低下させた。
■無視できない負の影響
中国人旅行客の爆買いについては、「バブルの頃の日本人もそうだった」と言う人がいる。だが、買い物の中身が違う。当時、日本人が海外で先を争って購入したのは高級ブランド品である。その土地の日用品にまで手を出して市民生活に深刻な影響を及ぼすことはなかった。
「搶空」という中国語がある。文字通り奪い尽くして空にするという意味だ。経済力をつけた中国人の飽くなき物欲は確かに香港経済には潤いをもたらしたが、その結果、地元市民との深い対立を招いた。このような“負の影響”を無視することはできない。
香港経済はここに来て中国人客への依存から脱却しようと動き出した。新たな観光資源を開発したり、別の国からの誘客に軸足を移そうとしている。しかし効果が出るのはしばらく先のことになりそうだ。
日本もそろそろインバウンドツーリズムへの過度な傾斜を見直さなければ、香港の二の舞となることだろう。
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