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中国政府が乗り出した景気対策のための「危険なバクチ」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48115
2016年03月07日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界」 現代ビジネス
■バブルの後始末をはじめる中国政府
3月5日、中国政府は2020年までの経済成長率の目標を公表し、今後5年間の成長率を平均で6.5%以上とした。中国政府は輸出・投資主導から国内消費型への経済構造の改革を進め、安定した経済成長を目指そうとしている。
政府は経済構造の改革とともに、過剰設備に悩む鉄鋼業界などの「ゾンビ企業」の淘汰を進めていくという。ゾンビ企業の淘汰を進めることは企業の倒産件数や失業者を増加させ、景気減速懸念を高める。
問題は、過去の景気刺激策の後遺症が大きく、大規模な景気刺激策が打ちづらいことだ。そのため、今後も、中国政府は金融緩和策を中心に、景気の下支えを進めることになるだろう。問題は、金融緩和策だけで景気を支えることができるか否かだ。
現在、中国政府は、2009年の大規模な景気対策の後始末を進めている。リーマンショック後、中国は4兆元(当時の邦貨換算額で約60兆円)の景気刺激策を打ち出し、景気の減速を食い止めようとした。
その結果、大規模に公共投資などのインフラ開発などが進められ需要が急速に高まった。
需要の高まりに合わせて、中国は鉄鉱石、原油など多くの資源を世界中から買いあさり、これを受けて世界各国が資源開発を急速に進め、資源バブルによる景気拡大が発生した。
問題は、景気対策の効果は永久に続かないことだ。景気刺激策が一巡し、需要が伸びづらくなった結果、中国の成長率は低下した。そして、過剰な供給能力の存在が明らかとなった。
それと同時に、不良債権の増加懸念などを高め、2014年後半には世界的な資源バブルが崩壊した。
バブルが崩壊すると、過剰な人員、設備、負債のリストラが必要になる。すでに中国政府は鉄鋼や造船、セメント業界で経営難に陥ったゾンビ企業のリストラを進めている。ゾンビ企業の存在は、4兆元に上る景気刺激策の“後遺症”だ。その後遺症が治癒しない限り、積極的な財政支出は打ち出しづらいだろう。
さらに苦しいのは、失業者や企業倒産の増加という、経済の基礎的条件=ファンダメンタルズの悪化を支えられる経済基盤が見当たらないことだ。
中国の個人消費はGDPの40%に満たない。都市部と農村部の格差や戸籍の問題もあり、消費のすそ野を広げることには時間がかかる。当面、景気の減速懸念は高まりやすいと考えた方がよいだろう。
■残るカードは「金融緩和策」のみだが…
5日に開幕した全人代(第12期全国人民代表大会、わが国の国会に相当する)では、今後5年間の実質経済成長率を1年あたり6.5%以上と定めた。2016年の目標は6.5〜7%で、昨年の7%前後から引き下げられた。これは中国政府が景気減速のリスクを認識していることを示している。
財政支出を進めづらい中で経済の減速を食い止めるために、金融政策への依存度が高まることは避けられない。特に注目されるのは株式、不動産などの資産価格の下支えだ。
すでに中国の短期金融市場では、国内の信用リスクの上昇を懸念して短期金利の上昇圧力が高まっている。これが2月後半の中国株の下落の要因とみられる。
2月29日、中国人民銀行は預金準備率を引き下げた。これは、短期金利の低下を促し、株式などのリスク資産の価格の安定が景気回復に不可欠との考え方だろう。このような金融緩和は今後も続けざるを得ない。
これまでのところ、金融緩和の影響もあり、不動産価格は再度上昇している。それなりの効果が顕在化しているということだ。
しかし、バブルの崩壊を金融政策で食い止めることは困難だ。問題は、中国政府の経済政策のカードに金融緩和策しか残っていないことだ。その結果、短期間で、株式と不動産の間でリスクマネーの行き来が生じ、投機的な動きが市場を不安定にさせやすい。それは、まさにマネーゲームだ。
バブル崩壊の影響が懸念される中、投機的な動きが引き起こす相場の急落は、想定以上に金融市場を混乱させ、実体経済に悪影響を与える可能性がある。そうなると、中国経済のハードランディングのリスクも無視できないだろう。
米国の経済指標の上振れによって、一時的に市場は楽観的な雰囲気を醸し出しているが、先行きの中国の金融市場の動向には注意が必要だ。
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