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日立とIBM、存亡の危機→奇跡的回復を呼んだ破壊的改革…しがらみが企業を滅ぼす
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14085.html
2016.03.04 文=新将命/国際ビジネスブレイン代表取締役社長 Business Journal
私は多くの日本企業の改革を妨げている最大の元凶は、「しがらみ文化」であると考えている。
変化には2つの変化がある。ひとつは改善(improvement)で、基本的に現状を大幅に変えず、少しずつ手直しをして変えるということである。そこには基本的に、「継続」がある。もうひとつの変化は改革(innovation)である。現状を否定して破壊した後に何か新しいものを創造するということで、これは「ガラガラポン」「破壊」の世界である。企業経営にとって改善はもちろん重要だが、世の中の変化が、大変、激変、急変の時代のなかでは改善では間に合わず、改革が求められる。
改革を妨げる最大の敵が「しがらみ文化」である。中根千枝・元東京大学教授の著書に『タテ社会の人間関係』(講談社)という名著がある。
日本の文化の根底には、村社会の文化から生まれた長幼の順とか、年功序列などという「タテの文化」がある。長を立てて村の和と秩序を保つという「和をもって貴しとなす」である。企業には和やチームワークが大切なことはいうまでもないが、環境が急激に変化している「大変の時代」のなかでは、企業は時には改善の域を超えた改革を迫られる。
ところが大方の日本企業は、改善には長けてはいても改革が苦手である。社長が、業績が悪い子会社を閉鎖しようとしても、子会社の社長が昔の先輩だったり、ましてや上司だったりすると、つい「しがらみ症候群」が邪魔をして改革の矛先が鈍る。思い切った改革ができなくなる。結果として限界的小会社の温存を許容するという破目に陥ってしまう。
『「しがらみ」を科学する』(筑摩書房)の著者、山岸俊男氏は「しがらみをつくるのは人と人との関係性であり『しがらみ』とは、自分の意図を超えて自分を拘束してくるもの」と述べている。言い得て妙である。
■「しがらみ文化」からの脱却
「しがらみ症候群」から脱却して改革を実現するための方法のひとつが、「新しい血の導入」である。自社のしがらみとは無縁の人間を外から招聘して経営の采配を振らせることにより、今までのしがらみにどっぷりつかっていた人間にはできないレベルの改革を果たすという一種の荒療治である。アスピリンや絆創膏による応急手当ではなく、大量の出血を伴う(可能性の高い)手術である。
代表的な例がアメリカにある。IBMは1911年の創業以来、常に生え抜きの社員が社長職を務めてきた。90年代に巨額の赤字に転落し、企業の存続そのものに危険信号が灯った時に、コンピューターとはまったく無縁なRJRナビスコという食料品メーカーのCEOだったルイス・ガースナーを会長兼CEOとして招いた。ガースナーは大鉈を振るい、IBMを「コンピューター会社」から「情報サービス会社」に改革した。瀕死の巨象は見事に息を吹き返した。
日本にも改革の好例がある。日立製作所は、日本の製造業の歴史のなかで最大の赤字を出した。日立はグループ会社に出されていた川村隆氏を呼び戻して社長に任命した。川村氏は重病人の日立を2年で見事に回復させた。同氏は「日立のグループ会社のトップに本社のOBが多く就任していたので、若い社長ではいくら改革を断行しようと思っても、先輩のグループ会社のトップが言うことを聞かない」と述懐している。
川村氏の場合は、経営能力に優れているという基本的条件を備えているということに加え、本社のしがらみから距離を置く立場にいたことが役に立った、ということだ。そう考えてみると、武田薬品工業が外国人社長を任命したり、資生堂やサントリーホールディングスやローソンが外部からのトップの輸入に踏み切ったのは、いずれも「しがらみ文化」からの脱却を狙った改革策と考えることができる。
「我が社にとって必要な改善と改革は何か」――。経営者にとって、立ち向かわざるを得ない永遠の課題である。
(文=新将命/国際ビジネスブレイン代表取締役社長)
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