http://www.bloomberg.co.jp/bb/newsarchive/O35WN26JIJVX01.html 米個人消費支出:1月は8カ月ぶり大幅増、所得の伸びも予想上回る 2016/02/27 01:36 JST (ブルームバーグ):1月の米個人消費支出(PCE)は8カ月ぶりの大幅増加となった。所得の伸び加速に支えられた。 米商務省の26日発表によると、1月のPCEは前月比0.5%増加。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.3%増だった。前月は0.1%増。1月の個人所得も0.5%増加し、市場予想を上回る伸びとなった。 バークレイズの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・ゲーペン氏は「所得の伸びがしっかりしているため、消費支出は今四半期に上向くことが見込まれる」と指摘。「消費が予想よりも顕著なペースで減速しているとの不安があった。きょうの数字は消費が決して後回しにはなっていないことを示している」と述べた。 インフレ調整後の実質ベースのPCEは0.4%増と、昨年5月以来の大幅な伸び。 可処分所得はインフレ調整後ベースで0.4%増と、2カ月連続で同率の伸び。貯蓄率も2カ月連続で5.2%だった。 賃金・給与は0.6%増。前月は0.2%増だった。 金融当局がインフレ目標の基準とするPCE価格指数は前月比0.1%上昇。前年比では1.3%上昇と、伸び率は2014年10月以来の最大となった。 変動の激しい食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は前月比0.3%上昇。前年比では1.7%上昇し、12年11月以来の大幅な伸びを示した。 統計の詳細は表をご覧下さい。 原題:U.S. Consumer Spending Rose in January by Most in Eight Months(抜粋) http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=52363 【1月米個人所得・消費支出】堅調な所得の伸びを背景に、消費は市場予想を上回る伸び 経済研究部 主任研究員 窪谷 浩 1.結果の概要:所得、消費、価格指数ともに市場予想を上回る伸び
2月26日、米商務省の経済分析局(BEA)は1月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は、前月比+0.5%(前月:+0.3%)となり、前月から伸びが加速し、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.4%も上回った。一方、個人消費支出(名目値)は、前月比+0.5%(前月改定値:+0.1%)と、こちらも前月から伸びが加速、市場予想(+0.3%)も上回った(図表1)。さらに、価格変動の影響を除いた実質個人消費支出も、前月比+0.4%(前月改定値:+0.2%)と前月、市場予想(+0.3%も)を上回った(図表5)。貯蓄率1は5.2%(前月改定値:5.2%)と前月に一致した。 価格指数は、総合指数が前月比+0.1%(前月:▲0.1%)と前月からプラスに転じたほか、市場予想(横這い)も上回った。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.3%(前月改定値:+0.1%)となり前月から上昇、市場予想(+0.2%)も上回った(図表6)。なお、前年同月比では、総合指数が+1.3%(前月改定値:+0.7%)、コア指数が+1.7%(前月改定値:+1.5%)となった(図表7)。 1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得−個人支出)の比率。 2.結果の評価:所得の伸びを背景に、消費は前月から大幅に加速 (図表1)個人所得・消費支出、貯蓄率 個人消費支出(前月比)は、所得の堅調な伸びに支えられて、前月の低調な伸びから加速した。前月は自動車・自動車部品等の落ち込みもあって、財消費がマイナスとなっていたが、1月に再び加速したことから、12月の鈍化が一時的である可能性が高まった。 さらに、所得対比でみると、貯蓄率が前月と変わらず5.2%で高止まりしており、依然として消費は余力を残していると言えよう。 16年に入って、米国の資本市場は不安定な状況が続いているものの、消費には未だその悪影響はみられていない。 一方、物価は前月比、前年同月比ともに前月から加速し、市場予想も上回ったものの、原油相場が足元30ドル台前半と前年に比べて3割超の下落幅で推移していることに加え、昨年は5月末にかけて60ドル近辺まで上昇していたことを考慮すると、総合指数の前年同月比が上昇を続けることは難しいとみられる。さらに、コア指数についても足元で時間当たり賃金の伸びに加速がみられているものの、ドル高を背景に輸入物価がコア指数を押下げる方向に働くことから、コア指数の上昇も緩やかとみられ、FRBの政策目標(2%)の達成時期が見通せない状況が続こう。 3.所得動向:賃金・給与の伸びが加速 個人所得の内訳をみると、利息・配当収入が前月比+0.5%(前月:▲0.4%)と前月のマイナスからプラスに転じたほか、賃金・給与が+0.6%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速した。とくに賃金・給与は15年5月(+0.7%)以来の高い伸びとなっており、雇用統計の時間当たり賃金の伸び加速が明確となっていることと併せて考えると、労働市場の回復が漸く賃金・給与の伸びに波及してきた可能性を示している(図表2)。 一方、個人所得から社会保障支出や税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、名目値が+0.5%(前月:+0.3%)、価格変動の影響を除いた実質ベースも+0.4%(前月改定値:+0.4%)と、堅調な伸びを示しており、今後の消費堅調が期待できる(図表3)。 (図表2)名目個人所得(前月比寄与度)/(図表3)可処分所得(名目、実質) 4.消費動向:自動車・自動車部品が持ち直し 個人消費は、財消費が前月比+0.4%(前月:▲0.7%)と前月の大幅なマイナスからプラスに転じた。財消費の内訳をみると、耐久財が+1.2%(前月:▲0.5%)と前月から大幅なプラスに転じるなど消費を牽引した。とくに、自動車・自動車部品が+2.2%(前月:▲2.5%)と前月の反動もあって大幅な伸びとなったほか、家具・家電も+0.5%(前月:+0.4%)と伸びが加速した。一方、非耐久財は、食料・飲料が+1.0%(前月:▲0.3%)、衣料・靴が+0.5%(前月:▲0.3%)と、前月から改善したものの、ガソリン・エネルギーが▲5.1%(前月:▲5.1%)と前月に続いて大幅なマイナスとなったことから、非耐久財全体では前月比横這い(前月:▲0.8%)とマイナス幅は縮小したものの、横這いまでの改善に留まった。最後にサービス消費は前月比+0.6%(前月:+0.5%)となり、小幅ながら前月から加速した。外食・宿泊サービスが▲0.4%(前月:+1.4%)とマイナスに転じたほか、娯楽サービスも前月比+0.2%(前月:+1.6%)と伸びが鈍化する一方、住宅・公共サービスが+1.1%(前月:▲0.2%)とプラスに転じた。 (図表4)名目個人消費(前月比寄与度)/(図表5)個人消費支出(名目、実質) 5.価格指数:エネルギー価格の下落が持続 価格指数(前月比)の内訳をみると、エネルギー価格指数が▲2.9%(前月:▲3.0%)と2ヵ月連続で大幅なマイナスとなった(図表6)。一方、食料品価格指数は▲0.2%(前月:▲0.3%)と、こちらも3ヵ月連続のマイナスとなった。 最後に前年同月比では、エネルギー価格指数が▲5.2%(前月:▲12.4%)と、マイナスとなったものの14ヶ月ぶりに1桁のマイナスに縮小した(図表7)。もっとも、原油価格は16年に入って下落が加速しているため、来月以降再び2桁のマイナスへ拡大することが見込まれる。食料品価格指数は、▲0.2%(前月:▲0.3%)と、こちらも2ヵ月連続でマイナスとなった。 (図表6)PCE価格指数(前月比)/(図表7)PCE価格指数(前年同月比) このレポートの関連カテゴリ経済・金融フラッシュ米国経済 27923_ext_01_0.jpg 経済研究部 主任研究員 窪谷 浩 (くぼたに ひろし) 研究・専門分野 米国経済 レポートについてお問い合わせicon_targetblank.png 03-3512-1824 LINEで送る PDFをダウンロードする (2016年02月29日「経済・金融フラッシュ」) 関連レポート 【1月米住宅着工、許可件数】住宅着工許可件数は高水準も、住宅着工件数は予想外に減少。 【1月米雇用統計】雇用者数は市場予想を下回ったものの、その他の指標は労働市場の堅調を示唆 米国経済の見通し−個人消費主導の底堅い成長が持続、政策金利引き上げの影響は限定的と予想 17年度予算教書−オバマ大統領任期最後の予算教書。将来に対して意欲的な提案も実現の可能性は低い http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM26H79_W6A220C1FF1000/ 米GDP1.0%増に改定、15年10〜12月上方修正 2016/2/27 0:01 (2016/2/27 0:58更新) 【ワシントン=河浪武史】米商務省が26日発表した2015年10〜12月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、前期比年率換算で1.0%増だった。速報値から0.3ポイント上方修正したものの、輸出と設備投資は前期比マイナスで、成長率はブレーキがかかった。ただ同日発表した1月の物価指数は上昇率が高まり、利上げの判断材料となる景気指標には強弱が入り交じる。 実質成長率は市場予測(0.4%程度)も上回った。改定値が上向きに修正された要因は、在庫調整による成長率の押し下げ効果が0.14%分にとどまり、速報値段階から上方修正された影響が大きい。 項目別にみると、GDPの7割を占める個人消費は、前期比年率換算で2.0%増と速報値から0.2ポイント下方修正した。新興国の減速とドル高で、輸出は2.7%減と3四半期ぶりのマイナスだった。原油安によってエネルギー関連投資が縮小し、民間設備投資も1.9%減と約3年ぶりのマイナスに転落した。 金融市場では、昨年12月に利上げを開始した米連邦準備理事会(FRB)の次の一手に注目が集まる。10〜12月期のGDPは上方修正したものの、個人消費や輸出、設備投資といった主要項目はいずれもふるわず、3月中旬の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利上げを見送るとの観測が大勢だ。 ただ米商務省が26日発表した1月の個人消費支出(PCE)統計によると、FRBが重視する物価指数であるPCEデフレーター(食品とエネルギーを除く)は前年同月比1.7%上昇し、1年半ぶりの高い伸び率となった。雇用の改善で賃金が増え、サービス価格などが上昇しているためだ。FRBは2%の物価上昇率を政策目標に掲げており、物価の上昇基調が確認できれば、再び利上げを模索する考えだ。
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