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安くなったガソリン価格 (c)朝日新聞社
ガソリンスタンド“過疎市町村”が急増 原油安でこれからも加速?〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160303-00000003-sasahi-bus_all
週刊朝日 2016年3月11日号より抜粋
ガソリンが安い。電気やガスだって安くなる。ニッポンに恩恵をもたらす原油安。だが、日向があれば日陰もある。日々マネーや銃弾が飛び交い、一寸先は闇だ。
「ユカ(油価)ちゃん、今日も機嫌悪いよね」。最近の原油価格の下落ぶりには、大手商社の担当者もぼやきが止まらない。日によっては1バレル(約160リットル)当たり20ドル台。ピークだった2008年には同147ドル台に達したことを考えると、驚くほど安い。ガソリン店頭価格の比較サイトを見てみると、レギュラー1リットル当たり100円を切るスタンドも出ている。火力発電所の燃料として輸入する液化天然ガス(LNG)価格もこの油価に連動させる仕組みのため、自前で輸入、発電所を持つ電力・ガス大手各社は4月に一斉値下げする予定だ。
第一生命経済研究所の永濱利廣主席エコノミストは原油安効果について「相当なプラス。昨年から所得の海外流出を5兆円以上抑えられており、名目GDPは1%ぐらい押し上げ効果がある。消費税に例えるならば2%減税に相当します」。負担軽減になるのは間違いない。ただ、明るい話ばかりではない。ガソリンスタンドも揺れている。
原油は製油所で精製され、ガソリンや灯油になるが、それを手がける石油元売り最大手JXホールディングスと東燃ゼネラル石油(業界3位)、出光興産(同2位)と昭和シェル石油(同5位)がそれぞれ統合や合併に乗り出す。再編の大きな歯車が動き始めたのだ。別の大手商社社員は言う。
「冬は灯油、夏はガソリンで食っている業界ですが、低燃費車人気や若者の車離れで、ガソリン需要は減り、減産しないとどうにもならない。製油所も減ってますが、それ以上に需要が落ちている。値下げで少ない需要を奪い合う過当競争になっており、ガソリンスタンドも元売り会社も利ざやを減らしています。電力は明るい競争ですが、需要が減っているこの業界は、明らかに暗い競争です」
経済産業省の調べによると、全国のスタンド数は1994年度末に6万421カ所。だが14年度末には3万3510カ所に減少。13年度末〜14年度末の1年間だけで1196カ所も減った。スタンド3カ所以下の過疎市町村は283自治体に及ぶ。業界通は言う。
「郵便局は最低限、地域に残しているが、スタンドは違う。儲からなければやめてしまうだけ。とくに過疎地は厳しい。寒冷地でスタンドがなくなりでもすれば深刻な事態にもなる」
スタンド過疎自治体の一つの長野県飯綱町。以前、町内にはスタンドが5カ所あったが、徐々に減り、最近にも独立系の1店が閉店。今では国道沿いに農協系など計2カ所のみが残る。
最近閉まった店を訪ねてみると、すでに更地だった。近所の人によれば、昨秋までは営業していたが、最後はガソリン販売はせず、灯油のみ販売する傍ら、セラピーや、がん治療の食品などを売っていたという。
今も営業するスタンド店長は「いずれ1カ所になるかもしれないが、地域密着でやってきた。頑張りたい」。町職員は「今秋には農協のさらなる合併もあるよう。販売状況によっては切り捨てもあるのだろうが、町としては最低2カ所は残って頂きたい」と話す。
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