円反発、日中株安でリスク回避強まる−G20は通貨切り下げ回避を確認 2016/02/29 15:52 JST
(ブルームバーグ):29日の東京外国為替市場では円が反発。中国や日本の株価下落などを背景に、リスク回避に伴う円買いが強まった。先週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では市場安定化に向けた具体的な政策協調が打ち出されなかったほか、通貨の競争的切り下げ競争の回避が確認されたことで日本銀行は追加緩和に動きにくくなるとの見方が浮上した。 ドル・円相場は前週末に付けたドル高値の1ドル=114円ちょうど付近で週明けのアジア市場を迎えたが、徐々にドル売り・円買いが強まり、午後には112円77銭まで円高が加速した。午後3時45分現在は112円96銭前後。前週末には国内総生産(GDP)や個人消費支出(PCE)価格指数など米経済指標の上振れを手掛かりに18日以来の水準となる114円ちょうどまでドル高・円安が進んでいた。 三菱UFJ信託銀行資金為替部為替市場課の市河伸夫課長は、「G20に関しては、特に何かが決まったわけでもなく、影響は限定的。強いて言えば、円安に持っていく政策がOKというわけでもないというところ」と指摘。その上で、月末ということで輸出企業など需給的に円買いが強いほか、「人民元安や中国株式市場の下落がリスク回避的な円買いにつながっている」と円の上昇を説明した。 ブルームバーグのデータによると、円は主要16通貨全てに対して前週末終値比で上昇。ユーロ・円相場は1ユーロ=124円台半ばから一時123円41銭までユーロ売り・円買いが進んだ。 週明けの中国株式相場は反落し、上海総合指数は一時4.6%安まで下げ幅を拡大した。東京株式相場は続伸して始まった後に伸び悩み、午後には下落に転じた。一時276円高まで上げていた日経平均株価は結局、161円安の安値引けとなった。 中国外国為替取引で中国人民元は下落。中国人民銀行(中央銀行)はこの日、元の中心レートを5日連続で引き下げ、1ドル=6.5452元に設定した。 G20 G20会議終了後に公表された共同声明によると、G20は成長押し上げのため金融、財政、構造政策を活用することで合意。声明は「金融政策だけでバランスの取れた成長をもたらすことはできない」と指摘した。また、為替相場に関して、「われわれは競争的な切り下げを回避する。競争的な目的のために為替レートを目標にしない」ことを確認した。 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のデイセルブルム議長は27日に上海で記者団に対し、「正直に言って、日本についても討議された。競争的な通貨切り下げの状況に陥るのではないかとの多少の懸念があった」と発言。「他が追随し、競争的な切り下げとなるリスクは非常に大きい」とし、通貨安が真に国内のマクロ経済的理由を動機とした金融政策の結果なら、各国はサプライズを招かぬよう、確実に連絡して相互に相談する必要があると述べた。 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは29日付リポートで、こうした「事前通知」は、「黒田日銀総裁がマイナス金利幅拡大などの『サプライズ緩和』によって為替相場を円安・ドル高方向に押し戻そうとする将来の選択肢に対して一定の制約を加える、重要な動き」と指摘。「少なくとも、一段の円高ドル安を日本の政策当局が阻止したいと考える場合にとれる行動の範囲が狭まったことだけは間違いないだろう」と記述した。 三菱東京UFJ銀行の市場企画部グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、G20の結果に失望はないが「具体策もなく、リスク環境が一気に改善されるというわけでもないだろう」と指摘。一方、「金融緩和依存や通貨安競争に懸念が示される中で、日本の金融政策がそれほど理解、共有されていないように感じる」とし、「海外の理解や共有が弱い中で、緩和を受けた市場の反応は限定されざるを得ない」と語った。 今週は米国で2月の米供給管理協会(ISM)製造業及び非製造業景況指数や雇用統計など主要経済指標が発表される。一方、中国では2月の製造業購買担当者指数(PMI)が発表されるほか、3月5日に全人代が開幕する。 上田ハーローマーケット企画部の山室宏之氏は、G20は市場の予想通り、具体的な対応策の策定には至らなかったとし、「経済成長に対する不透明感は晴れず、投資家は半身の構えを崩していない」と指摘。「今週は中国をはじめとして米雇用統計など各国で経済イベントが相次ぐため、再びリスク回避色の強いマーケットに戻っても不思議ではない」と予想した。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3A64P6JIJUV01.html バフェット氏、株主への手紙で3Gとの提携擁護 By ANUPREETA DAS 2016 年 2 月 29 日 14:23 JST ウォーレン・バフェット氏は27日、同氏率いる米複合企業バークシャー・ハザウェイの株主に宛てた毎年恒例の手紙の中で、同社の業績と米経済の未来に対する楽観的見方を強調した。一方で、31ページに及ぶ手紙のかなりの部分を割いて、同社が取ったビジネス上の措置に対する批判にも再び応じた。 バフェット氏は、賛否を呼んでいるブラジルの投資会社3Gキャピタル・パートナーズとの提携について詳しく説明した。3Gはバークシャーと共同で、米食品大手クラフト・ハインツとバーガーキングの親会社であるレストラン・ブランズ・インターナショナルを保有している。 バフェット氏は、3Gとは大手企業を買収・保有するという目標は同じだが、その目標を達成するための「道筋が異なる」と述べ、一部株主が疑問を呈した両社の関係を正当化した。同氏は昨年ネブラスカ州オマハで開かれた年次株主総会をはじめ、これまでにも3Gとの関係を擁護している。 3Gは買収した企業で大幅な変革を推し進め、コストや人員削減、経営幹部の入れ替えを断行している。買収した企業に対してほとんど干渉や人員削減を行わないバフェット氏のやり方に慣れているバークシャーの一部株主は、3Gとの提携にいら立っている。 「ジョルジ・パウロや彼の同僚は申し分ないパートナーだ」。バフェット氏は3Gの共同創設者ジョルジ・パウロ・レマン氏について手紙でこう言及した。 バークシャーがこの日発表した2015年通期決算は、純利益が240億ドル(約2兆7200億円)に増加した。これには昨年行った傘下の食品大手HJハインツと同業のクラフト・フーズ・グループの合併に伴う一時利益も含まれる。合併で誕生したクラフト・ハインツの年間売上高は270億ドルで、バークシャーは同社の27%を保有している。一時利益を除いた通期純利益は174億ドル、売上高は2110億ドル。 投資家やバフェット氏のファンは毎年、この手紙から投資に関するヒントや見識を得ており、今年の手紙でもファンが期待するおなじみの領域がカバーされていた。バフェット氏は米国に関する強気の見方を繰り返し、バークシャーのさまざまな事業や個々の運用者の業績を宣伝し、昔からのジョークを並べた。 バフェット氏は、14年の難しい時期を経て昨年業績を好転させた米鉄道大手バーリントン・ノーザン・サンタフェ(BNSF)を称賛した。他の鉄道会社は今、原油価格低迷などにより業績低迷に苦しんでいる。 BNSFの15年通期決算は、売上高は取り扱い貨物の減少で5.5%減となったが、純利益は運行成績向上で10%増の43億ドルとなった。しかし、10-12月期(第4四半期)については、取り扱い貨物の減少で純利益が9%減の約11億ドルとなった。バフェット氏は手紙でBNFSの16年の利益は減少するとの見方を示した。 保険事業の15年通期決算は利益が減少した。米国第2位の規模の自動車保険会社ガイコの保険金支払額の増加と再保険利益の減少が響いた。保険引受利益と保険関連資金に関係した投資収益を含む15年の保険事業の利益は49億ドルと、前年比6%近く減少した。 バフェット氏が長年、業績を測る指標としてきた資産額から負債額を差し引いたバークシャーの簿価は、1年で1株当たり6.4%増加し、S&P500種指数のパフォーマンスを上回った。バフェット氏は5年移動ベースのパフォーマンスでS&P500を上回るという目標をかつて掲げていたが、バークシャーが大きくなるにつれ、それが難しくなったことを認めた。S&P500は昨年、配当を加味すると基本的に横ばいだった。 バフェット氏は昨年の手紙で初めて、バークシャーの業績指標には簿価よりも長期株価の方がふさわしいとの考えを明らかにした。 3Gとの提携は近年、重要になっている。バークシャーが巨大化したことでバフェット氏は従来の手法を変えざるを得なくなっているためだ。同氏はこれまで肥大化した企業は買収せず、代わりに経営陣のコスト意識が高い会社に目をつけてきた。昨年320億ドルで買収した金属部品製造のプレシジョン・キャストパーツなどがそうだ。 しかし、バークシャーの成長に大きく寄与する大規模で既に経営が順調な企業を見つけるのは難しくなっている。それにバフェット氏はコスト削減を目標に掲げる企業を買収するようなタイプの運用者でもない。そこで解決策をもたらしてくれたのが3Gだ。 3Gのやり方はコスト削減によって生産性を向上させられる企業を買収することで、それが「過去240年にわたる米国経済の成長において極めて重要な要因」になったとバフェット氏は指摘。3Gと同様に「われわれも効率を求め、官僚主義を嫌っている」と述べた。また、3Gと友好的な関係が続く限り、同社とさらに案件を手掛けていく意向も示した。 バフェット氏は手紙のかなりの部分を割いて米クレイトン・ホームズの慣行についても説明した。クレイトンは住宅ローンと住宅建設を手掛ける会社で、低所得者向けプレハブ住宅の45%を供給している。同社は略奪的な回収・貸付慣行、高額な手数料などの問題が報じられ、厳しい批判の目にさらされた。 バフェット氏は昨年の年次総会でもクレイトンを擁護している。手紙では、クレイトンのやり方を金融危機前の住宅ローン業界にまん延していた無謀な手法とは区別し、同社は組成した住宅ローンを全て保持し、リスクを別の当事者に移行することなく全て引き受けていると述べた。 また、さまざまな連邦や州の規制当局が過去2年にクレイトンを調査したが、同社が支払った罰金はわずか3万8200ドル、顧客への返金額は70万4678ドルにすぎないことも指摘した。 しかも、15年末時点で住宅ローンの支払いが継続中の借り手は95%を超えている。 バフェット氏は、今年の米大統領戦の候補者についても熱い意見を披露し、米国の将来に対する彼らの悲観的な見方に苦言を呈した。 バフェット氏は「彼らの見解は完全に間違っている。今日米国に生まれる子供たちは史上最も幸運だ」と指摘。現在の年率2%という国内総生産(GDP)伸び率は過去30年と比較すれば大したことがないように見えるが、人口増加を考慮すれば、一人当たりの伸び率は「驚異的」な数字になるだろうと述べた。
米企業の株買い戻し、投資家が青ざめる結果も 米国企業は多くの場合、調達した資金を事業に投資せずに自社株の買い戻しに使用してきた。写真はニューヨーク証券取引所 PHOTO: BRENDAN MCDERMID/REUTERS By JUSTIN LAHART 2016 年 2 月 29 日 17:20 JST 金利が低いだけでは融資の返済は楽にならない。高利回り債券市場が足元で緊張の兆しを見せていることで、多くの企業が身を持ってそれを知ることになるかもしれない。 米企業は近年、積極的に資金を借りてきた。米連邦準備制度理事会(FRB)によると、非金融企業の2015年7-9月期の債務残高は8兆ドル(約907兆円)と、3年前の6兆6000億ドルから増加した。企業の粗付加価値(売上高から原材料費や仕入原価などの変動費を差し引いたもの)に占める債務の割合は金融危機直後の水準に近づきつつある。 債務増加のほとんどの原因は起債にある。社債利率は1960年代半ば以来の低水準にあり、非金融会社はそれをたくみに利用してきた。多くの場合、社債の償還期間を延長し、借り入れコストを引き下げることができたため、この点では企業にとってプラスだ。 しかし、マイナス面もある。企業は多くの場合、調達した資金を事業に投資せず、自社株の買い戻しに使用した。多くの投資家はそれを歓迎したが、将来的に彼らにとって思いも寄らないコストになる可能性がある。 非金融会社のキャッシュフローの過去3年の総額は設備投資を十分賄える金額だ。これは異常なことだ。企業は成長のために投資するため、通常は設備投資がキャッシュフローを上回る。これは金融危機以来、いかに企業が支出を抑制してきたかを物語っている。一方、同期間の企業による自社株買いの規模は1兆3000億ドルに上る。 ENLARGE 非金融企業の粗付加価値に占める債務の割合(左)は金融危機直後の水準に近づきつつある。右は2010 年末からのS&P500種構成企業の発行済み株式数の変化(累積値) 自社株買いは発行済み株式数を減少させることになるため、1株利益は増加する。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによると、実際、過去3年に株式数の減少がなかったとした場合、10-12月期のS&P500種構成企業の1株利益は、実際に計上した金額よりも2%少なかったはずだ。 企業が設備投資よりも自社株買いに資金を投じている主な理由は、低成長の環境下では設備拡大で得られるリターンは以前ほど妙味がないように見えるためだ。企業が安いコストで資金を借りられてきた主な理由もそれだ。低成長・低インフレの環境においては、社債のリターンが高成長期のときほど高くなくても投資家は受け入れてくれる。 問題は、低成長下では債務の返済も難しくなる可能性があることだ。借りた資金を設備に投資していなければ、なおさらだ。設備投資は債務返済に必要なキャッシュフローを生み出すが、買い戻した株式は生み出さない。 債務を借り換え、償還期間を延長している企業もあるため、これが全ての企業にすぐに問題をもたらすわけではないが、長期的には利益の足かせになる可能性がある。 もちろん企業は必要であれば新たな株式を発行し、返済費用を調達できる。しかし、既存の株式は希薄化されることになる。 企業は多くの場合、利用可能な多額の手元資金を持っている。しかし、これにもデメリットがある。1つは、現金が海外にある場合、使用するにはまず税金を支払わなければならない可能性があること。もう1つは、株式には企業の現金保有高が反映されていることだ。つまり、現金が減少すれば、株価も低下する。 企業が借りた資金で自社株を買い戻すことを喜んでいた投資家は、そのつけに青ざめることになる可能性がある。 関連記事 ? 米企業の自社株買い、急増は是か非か ? 米事業投資、落ち込みの5大要因とは http://si.wsj.net/public/resources/images/MI-CO400_BUYBAC_16U_20160228160316.jpg 中国株:上海総合指数、1年3カ月ぶり安値近辺−G20に失望感 2016/02/29 17:48 JST 記事をメールで送信 記事を印刷する 共有/ブックマーク ShareGoogleチェックTwitterシェア (ブルームバーグ):29日の中国株式相場は下落。上海総合指数は2014年11月以来の安値近辺となった。上海での20カ国・地域(G20)財務相 ・中央銀行総裁会議では具体的な成長支援策が打ち出されず、一部の投資家の間で失望感が広がった。 上海総合指数は前週末比2.9%安の2687.98で終了。一時は4.6%下げていた。月間ベースでは1.8%値下がり。景気減速の深刻化に伴い資本流出が加速するとの懸念から、指数は年初来で24%下落と、世界の93株価指数で最悪のパフォーマンスとなっている。人民元はこのままいけば7営業日続落と、今年最長の下落局面となる。 君康人寿保険によると、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が26日に追加緩和の余地があると述べたことで、投資家は中国当局が週末に景気支援策を発表すると期待していた。また、瑞東金融市場の中国担当チーフエコノミスト、王致翔(スティーブ・ワン)氏(香港在勤)は、資金が株式から住宅にシフトする兆しが強まっていると指摘。「投資家はG20で朗報がなかったことに失望し、人民元は再び下げ始めている」と述べた。 CSI300指数の業種別ではテクノロジー株や一般消費財関連、工業銘柄の指数の下げが目立った。中国人寿保険(601628 CH)は3.3%安と、上海総合指数の下落に最も大きく響いた。 香港市場ではハンセン中国企業株(H株)指数が前週末比1.5%安で引け、月間では4カ月連続下落となった。ハンセン指数は前週末比1.3%安。 原題:China Stocks Tumble Toward 15-Month Low as Stimulus Bets Unwind(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3AEAK6TTDS401.html FRBの金利ガイダンス、どうすべきか議論続く 市場はFRB当局に今後の手掛かりを求めている(
By MICHAEL S. DERBY 2016 年 2 月 29 日 15:51 JST 【ニューヨーク】米連邦準備制度理事会(FRB)は、市場を驚かさずに金利の指針を示す最善の方法を模索し続けている。 これは中央銀行が「フォワードガイダンス(先行きの指針)」と呼ぶもので、FRBが短期金利誘導目標をゼロ近くまで引き下げた際、景気刺激効果を発揮するべく用いた手法だ。 このガイダンスは、金利変更に関する特定の文言やFRBが利上げを判断する際の基準、低金利を維持する日程など、さまざまなかたちで示されてきた。昨年12月にゼロ近辺から利上げしたFRB当局は、今後の政策は「指標次第」だとしており、段階的な利上げになる可能性が高い。 政策金利がゼロ近辺から一段と遠ざかりさらに過去の正常水準に向かうにつれ、ガイダンスの問題は重要性が薄れるかもしれない。だが、FRBが金利誘導目標を0.25%?0.50%の水準に据え置く一方で市場の関心が次の利上げ時期に集まる中、この問題はFRBの政策議論の中心に残り続けている。 シカゴ大学ブース経営大学院が主催した会合で発表された論文でエコノミストらは、FRB当局は利上げを一定の時間軸で行う可能性が高いというような約束はしないことが必要だと強く主張した。そうしたガイダンスを行うと、今後の指標への反応が鈍くなるとの考えだ。一方、この会合に参加したFRB当局者らは、実体経済の情勢は微妙で、その時々で理想的なガイダンスは多岐にわたる可能性があるとの見解を示した。 103ページにおよぶ分厚い論文は、JPモルガンの米国担当主席エコノミスト、マイケル・フェローリ氏と、モルガン・スタンレーの米国担当主席債券エコノミスト、デビッド・グリーンロー氏、ドイツ銀行証券の主席エコノミスト、ピーター・フーパー氏、コロンビア大学のフレデリック・ミシュキン教授、シカゴ大学のアミール・スフィ教授がまとめた。 この論文で筆者らは「金融政策立案者らが置かれている難しい立場を評価」しつつも、当局者が政策は指標次第だと主張しても、利上げがいつになるか時間軸を示せば、この考え方を弱めることになると指摘した。同時に、金融報道や市場参加者は引き続き当局が示す時間軸の手掛かりを探っており、またそれを手にすることがしばしばある、と論文では指摘した。 さらに、指標次第とはどういう意味なのか分かりづらいことが多いとし、「金融政策の反応作用を表現するのはいつも容易なことではない。金融政策当局が計量化できる経済指標に直接反応するのではなく、むしろ経済に重要な影響を及ぼす可能性のある計量的要素の少ない要因について判断する場合は特にそうだ」と述べた。 この催しに出席したサンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は、個人的な見解としてフォワードガイダンスは「簡潔ではっきりしたもの」であるべきだと語った。また、ガイダンスはFRBの金利誘導目標がゼロに近い場合の方が効果を発揮しやすいと述べた。金利が上がるにつれ、ガイダンスはうまく機能しなくなるとの見方を示した。 同総裁は「足元の不透明感すべてに対する金融政策の包括的な見方を伝えたいのは理解できるが、一般大衆は中央銀行の発する言葉だけに絞って耳を傾けている」とし、「このため、大きな衝撃が必要な場合は、強い言葉遣いのフォワードガイダンスが有効な手段となり得る。だが、大きな衝撃をいつどこで用いるかは、用心する必要がある」と語った。 同じくこの論文を評価したFRBのパウエル理事は、FRBが今後の指標次第とすると、最近のやり方に比べてもっと意表を突くことになりかねないと語った。当局が予想外の出来事に対応して政策を誘導することになるためだ。 同じ催しで講演したハーバード大学のジェレミー・スタイン教授は、投資家が金利の手掛かりを中央銀行に求める一方で、中銀は市場を驚かせるような行動をとることを心配しているような「堂々巡り」に陥る可能性について警告を発した。スタイン教授は2012年から14年にかけてFRB理事を務めた。 関連記事 米FRB特集 http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MU684_0226fe_M_20160226174749.jpg ユーロ圏:2月インフレ率はマイナス0.2%に低下−ECBに圧力 2016/02/29 19:22 JST (ブルームバーグ):ユーロ圏の2月の消費者物価は過去1年で最も下がった。コアインフレ率も低下したため、デフレ懸念が強まっている。欧州中央銀行(ECB)に追加刺激を3月に打ち出すよう迫る圧力は増すばかりだ。 欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が29日発表したユーロ圏の2月の消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比0.2%低下。1月のインフレ率はプラス0.3%だった。価格変動の大きいエネルギーなどを除いた2月のコアインフレ率は0.7%と、前月の1%を下回った。 原題:Euro-Area Consumer Prices Fall Most in Year as ECB Mulls Easing(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:フランクフルト Alessandro Speciale aspeciale@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Paul Gordon pgordon6@bloomberg.net Kristian Siedenburg, Catherine Bosley 更新日時: 2016/02/29 19:22 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3B09U6KLVR901.html
中国人民銀、預金準備率を引き下げ−景気てこ入れ策を強化 2016/02/29 19:27 JST (ブルームバーグ):中国人民銀行(中央銀行)は市中銀行に課す預金準備率の引き下げを決めた。株式相場下落と通貨安の中で景気てこ入れ策を強化する。 人民銀が29日ウェブサイトに掲載した声明によると、預金準備率は3月1日から0.5ポイント引き下げられる。 原題:China Cuts Reserve Ratio in Latest Step to Support Growth(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:香港 Tan Hwee Ann hatan@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: John Liu jliu42@bloomberg.net 更新日時: 2016/02/29 19:27 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3B0DZ6K50YK01.html
中国が銀行預金準備率を50bp引き下げ、3月1日から
[北京 29日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は29日、銀行の預金準備率の引き下げを発表した。引き下げは2015年2月以降で5回目。ウェブサイトによると、全銀行を対象に50ベーシスポイント(bp)引き下げ、最大手行の預金準備率は17%となる。実施は3月1日から。 前回の預金準備率引き下げは10月23日で、25bpの利下げに合わせて行われた。 http://jp.reuters.com/article/china-rrr-idJPKCN0W2169 インド政府予算、歳出拡大と赤字削減をどう両立させるか インド経済は今年少なくとも7%の成長が見込まれる
By GABRIELE PARUSSINI 2016 年 2 月 29 日 15:26 JST 【ムンバイ】インド政府は29日に発表する2016年度予算において、急成長する同国経済が世界の暗い見通しの中で脱線しないよう、歳出拡大を打ち出す見通しだ。 だが、モディ首相率いる政府は、数億人の国民を貧困から助け上げようとしており、公的債務を増やさずに財政赤字を縮小するという相いれない目標を抱えている。農業従事者を助け、公務員給与を引き上げ、国営銀行に投資する取り組みが重荷になるに違いない。 それでも、ジャヤント・シンハ国務大臣(財務担当)は「これは、非常に荒れ狂う不安定な世界情勢においてインドが引き続き安定的で成長する国であり続けることを確実にする、近代的かつ先見的な予算になるだろう」と自信を示した。 インドは昨年、国内総生産(GDP)の算出方法を見直したおかげで、大国の中で成長率世界一の座を中国から奪った。15年のGDP成長率は7.3%で、中国の6.9%を上回った。中国は25年ぶりの低成長だった。 インド政府は歳出拡大と財政赤字縮小の公約のつり合いをとろうとしている。−財政赤字対GDP比(左)とGDP成長率(右)の推移 ENLARGE インド政府は歳出拡大と財政赤字縮小の公約のつり合いをとろうとしている。−財政赤字対GDP比(左)とGDP成長率(右)の推移 だが、インド国民の大半はこの成長の恩恵をほとんど受けていない。また他の指標は、中国と日本に続くアジア第3の経済大国にとって、厳しい時代だということを示唆している。設備投資や企業収益、輸出は低迷しており、最も就業者の多い農業部門は2年間にわたる干ばつの被害を受けている。 インドの国家予算はかつて、同国経済をさらに市場寄りにする改革に役立てられてきたが、近年ではさまざまなグループをなだめるための公約実現に用いられることが多くなっている。 一部では、モディ政権が昨年の予算に金融改革を盛り込むと期待し楽観したが、歳出をわずかに増やしてGDPに対する財政赤字比率の削減を先送りしただけだった。エコノミストらは、今年もほぼ同じことを予想している。 ジェートリー財務相は昨年、予算を発表した際、財政赤字は当初の厳しい目標だったGDP比3.6%から3.9%になる見通しを示し、それまで予定していたよりも1年遅い18年3月末までに3%まで徐々に削減する方針を示した。 エコノミストの多くは、インド政府は今年の目標を達成する可能性が高いが、政府は赤字削減目標を先送りし、投資家に誤ったシグナルを発することになるとみている。 ゴールドマン・サックスはリポートで、「インドのマクロ的安定の重要な柱は財政赤字の段階的な削減だ」と述べ、「この軌道を変えると、やっと達成した伸びが反転する可能性がある」と指摘した。 関連記事 新興諸国の中銀、利下げから資金供給に方針転換 インドの改革、今年はほぼ実行されず おもちゃ製造大国めざすインドの課題 http://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AG687_INDBUD_16U_20160226014209.jpg インドのモディ政権、財政赤字縮小の計画を堅持−来年度予算案 2016/02/29 17:45 JST
(ブルームバーグ):インドのモディ政権は29日発表した来年度予算案で、農家救済のための歳出措置を施しながらも財政赤字を縮小する計画を堅持した。来年度に予定されている主要州での選挙を前に、予算案には農村地域での支持を取り戻すという首相の意向も反映されている。 ジャイトリー財務相は同日、4月1日からの新年度の財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を、計画通り3.5%に縮小させる方針を議会で表明した。これは2008年以降で最小。同相は今年度の比率は目標の3.9%に達する見込みだとした上で、長期目標を見直すと述べた。予算関連の資料によると、再来年度以降2年度の同比率は3%を見込んでいる。 原油安によりインフレは来年の目標近辺にとどまる見通しであり、財政再建方針の堅持によって追加利下げに道が開かれそうだ。インド準備銀行(中央銀行)のラジャン総裁は先月、モディ政権が財政赤字縮小路線から外れれば債券利回りが上昇する可能性があると警告し、世界的に市場が混乱する中、マクロ経済の安定こそがインドの「唯一の最重要の強み」だと指摘していた。 原題:Modi Sticks With India Deficit Target in Pro-Farmer Budget (2)(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3AUL56JIJUU01.html
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