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豪雪地帯の古民家を改装した「山ノ家」
なぜゲストハウスは増え続けているのか? 宿泊施設以外の意外な魅力とは〈dot.〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160228-00000002-sasahi-life
dot. 2月28日(日)7時4分配信
東京「Nui.」、長野「1166バックパッカーズ」、名古屋「西アサヒ」、鎌倉「亀時間」、京都「パンとサーカス」……いま、日本全国でオシャレなゲストハウスが急増しているのをご存じだろうか。数年前から一部の旅好きや外国人旅行者の間で口コミで広がり始め、最近では『BRUTUS』や『ソトコト』といった雑誌でも取り上げられるなど、ますます注目を集めている。
ドミトリー形式が敬遠され、日本全国のユースホステルが衰退していくなか、同じような宿泊形体でありながら、なぜゲストハウスは逆に盛り上がりをみせているのだろうか。
ゲストハウスの多くは、古民家や町家などをきれいに改装した建物で、客室は基本ドミトリー形式。1階に設けられたカフェバーでは、食事はもちろん、イベントが開催されることもある。宿泊料は1泊2500〜4000円とリーズナブルな上、雰囲気もオシャレだ。また、増え続ける訪日外国人観光客の受け皿としても注目されている。
日本全国の個性的なゲストハウスを取り上げるフリーペーパー『ゲストハウスプレス』を発行している西村祐子さんに、昨今のゲストハウス事情を聞いた。
「ユースホステルとゲストハウスは一見似ているようなんですが、ユースホステルにはこれという引きがないんですよね。その点、ゲストハウスはフォーマットがなくフレキシブルで、それぞれのオーナーが自分たちでかっこいいと思う個性的な空間を作り出しているんです。独特のフレンドリーさがあり、スタッフが町を案内してくれるなどの交流もあります。かつてカフェブームというのがありましたが、あれに似ている気がします」(西村さん)
このゲストハウスブーム、いつからはじまったのだろうか。
「1990年代にバックパッカーとして世界を旅していた人や、ワーキングホリデーで海外に行った人が、日本でもゲストハウスを作ろうと始めたのが最初です。2000年代始めあたりから、沖縄の『月光荘』や東京・浅草の『カオサンゲストハウス』が旅好きの人気を集めていました。いまのようなゲストハウスが増えてきたのは2010年あたりからですね。東京の入谷に『toco.』という古民家を改装したゲストハウスが誕生したのがきっかけではないでしょうか。さらに震災後は異業種の若い人たちも参入してきて、オシャレなゲストハウスが急増しています」(西村さん)
東京の清澄白河に事務所を構える空間デザイナーの後藤寿和さんは、新潟県十日町市で古民家を改装したゲストハウス「山ノ家」を経営している。
オープンは2012年の夏。十日町市・津南町で3年に一度開催されている「大地の芸術蔡 越後妻有アートトリエンナーレ」と関わりを持つなかで、十日町市松代でゲストハウスをはじめることになった。「農家民宿」という制度を利用して、地元農家と会社を作り、空き家になっていた古民家をゲストハウスにしたのだ。
「最初は芸術祭を観に来る首都圏からの方が多かったのですが、次第に台湾、香港、韓国、オーストラリアと外国人の方も増えていきました。海外のウェブメディアでユニークなゲストハウスがあると取り上げられたり、外国人バックパッカーには口コミで広がっていったようです。もともとこのゲストハウスは芸術祭における海外アーチストの滞在制作の拠点として始めたこともあり、外国人の受け入れに慣れていたというのも理由かもしれません」(後藤さん)
オープンして3年、「山ノ家」はゲストハウスやカフェにとどまらず、地元の人たちに愛されるコミュニティスペースとなっている。農家の人たちとの山菜採りやちまき作りといったワークショップを企画する一方、東京や海外からアーチストを呼んだイベントも開催している。
「ゲストハウスをやりたいと思ったきっかけは東日本大震災なんです。なにかあったときに、みんなが集まれる場所があるといいなと思ったんですよ。飲んだり、食べたり、泊まったり……。自分がなにかを発信するときに、東京より地方のほうがダイレクトに反応があっておもしろいですね」(後藤さん)
ゲストハウスは単に宿泊施設の提供ということではなく、大きい経済に依存せずに自分たちでできることをやっていこうという「スモールビジネス」のひとつの形体といえる。
個性的な空間に滞在できる楽しみや、スタッフとの交流から新しい町の魅力を発見できるゲストハウス。次回の国内旅行のひとつのオプションとして加えてみてはいかがだろうか。(文・写真/松岡宏大)
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