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[ポジション]マイナス金利、効果に暗雲
対象資金、ゆうちょ銀に偏在 国債利回りの動き荒く
国債利回りの動きが荒くなっている。日銀が16日に始めたマイナス金利政策が今後の市場金利にどう影響するのか読みづらいためだ。マイナス金利の負担がゆうちょ銀行など一部の銀行に偏り、短期資金が円滑に取引されない可能性も意識されている。「金利全般により強い下押し圧力を加えていく」(黒田東彦総裁)という日銀の狙いには暗雲も漂い始めた。
17日の債券市場では5年物国債の利回りが一時マイナス0.115%と前日より0.03%上昇した。10日に付けた最低金利(マイナス0.265%)から1週間で0.15%も上がった。9日に初めてマイナス金利を付けた10年物国債も今週はプラス圏で不安定な動きを続けている。
先週まではあらゆる年限の国債利回りが急低下していたが、市場の雰囲気は一変した。理由は大きく2つある。1つは追加利下げ観測の後退。もう1つは短期金融市場の金利形成の不透明感だ。
黒田総裁は「必要ならさらに金利を下げる」と繰り返し発言しているが、市場では3月14〜15日の次回の金融政策決定会合では「追加利下げの可能性は低いのではないか」との声が徐々に増えている。マイナス金利の導入で銀行収益の悪化などの副作用が警戒されているほか、日銀がまずはマイナス金利政策の効果が十分か見極めるのではないかとの見立てだ。
もう1つは短期金融市場の動きだ。17日に金融機関同士の短期資金をやり取りするコール市場で翌日物金利が約10年ぶりにマイナスとなったが、取引は急減。円滑にマイナス金利が形成されているとは言いがたい。
導入直後で金融機関が取引を控えている面もあるが、実は制度面も色濃く影響している。日銀が0.1%のマイナス金利を課すのは当座預金のうち10兆〜30兆円程度。それが一部の金融機関に偏っているのだ。
日銀が16日に公表した「業態別当座預金残高」にヒントがある。1月の当座預金実績にマイナス金利を適用した場合、業態ごとの負担の参考値を示した。合計は23兆円でそのうち半分強が「その他準備預金制度適用先」に集中していた。決算資料などを踏まえると、ゆうちょ銀の割合が多いとみられる。都市銀行は1兆6千億円にとどまる。
市場では「短期金利は当面、ゆうちょ銀などがどの程度マイナス金利で資金を出すのかに左右されそうだ」との声が出ている。マイナス金利でお金を借りる金融機関がどれほどいるかも不明で、資金の出し手と借り手のバランスがみえづらい。
短期金利の落ち着きどころがみえないことが国債取引のリスクになっている。今後1カ月の予想変動率も大きく上昇。18日には5年債の入札を控えるが、国債トレーダーは「どんな金利水準で入札すべきか……」と頭を抱える。
市場では「長い目でみた金利低下の基調は変わらない」(東海東京証券の佐野一彦氏)との声はなお多い。だが金利の動きが不安定だと、企業や家計にお金が行き渡りづらくなる。マイナス金利で「企業や家計の経済活動に好影響をもたらす」という黒田総裁の狙いもかすみかねない。
(後藤達也)
[日経新聞2月18日朝刊P.19]
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